離婚は理由がないとできないって本当?対処法や譲歩すべき条件も解説
- 「一緒に生活してみたら、なんとなく自分に合わない気がする」
- 「理由のない離婚はどうやってする?」
DVや不倫などの決定的な理由がない場合でも、離婚を考えている人もいるでしょう。
夫婦双方が離婚の理由に合意していれば、相手に非がない状況でも離婚できます。
しかし、決定的な理由がない状態では、配偶者から合意を得られない可能性が高いです。
離婚問題をスムーズに解決するためにも、離婚拒否された際の対処法や譲歩したほうがよい離婚条件などを把握しておきましょう。
本記事では、理由がない状況で離婚を成立させるためのポイントや、配偶者が離婚に合意しない場合の対処法を詳しく解説します。
離婚理由の第1位は「性格が合わない」
裁判所が公表した2024年度の司法統計によると、離婚を申し立てる動機の第1位は、男女ともに「性格が合わない」です。
離婚理由を「性格が合わない」とした回答数は、夫側は総数15,396人に対して9,233人、妻側は総数43,033人に対して16,503人でした。
ほかの離婚理由も表にまとめたので、気になる人は参考にしてみてください。
なお、離婚理由の動機は、主な理由を三つまで挙げる方法で重複集計しています。
|
申立人 |
夫 |
妻 |
|---|---|---|
|
性格が合わない |
9,233人 |
16,503人 |
|
異性関係 |
1,820人 |
5,743人 |
|
暴力を振るう |
1,441人 |
7,690人 |
|
酒を飲みすぎる |
377人 |
2,479人 |
|
性的不調和 |
1,622人 |
2,862人 |
|
浪費する |
1,764人 |
3,662人 |
|
病気 |
629人 |
948人 |
以上の結果をみても、不倫や暴力などの決定的な理由よりも、価値観のズレを理由に家庭裁判所を利用する夫婦が多い事実は明らかです。
「性格が合わない」を理由に、夫婦生活を続けることに限界を感じている人が非常に多いといえます。
理由がなくても協議離婚や離婚調停なら合意があれば離婚できる
離婚する方法には「協議離婚」「離婚調停」「離婚裁判」の三つがあります。
このうち協議離婚と離婚調停なら、夫婦双方の合意があれば、不倫やDVなどの明確な理由がなくても離婚できます。
日常の小さな価値観の違いやコミュニケーション不足が原因で夫婦関係が悪化し、離婚に至るケースも多いです。
また、性格の不一致から起こる夫婦喧嘩が子供に悪影響を及ぼすため、というのも子供がいるのに離婚する理由としてよく挙げられます。
夫婦での共同生活に限界を感じたら、円満な離婚を目指して協議離婚や離婚調停による話し合いをおこないましょう。
離婚裁判で離婚が認められるには法定離婚事由が必要
相手の離婚拒否により離婚裁判までもつれ込んだ場合は、民法で定められた下記いずれかの法定離婚事由がなければ、離婚は認められません。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。※2026年4月の法改正により法定離婚事由から削除されるため、以降は精神疾患を理由とした離婚請求はできなくなります。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:民法|e-GOV法令検索
理由がない離婚は上記のいずれにも該当しないため、離婚したいけどできないという状態になるため注意してください。
相手に落ち度はないものの、相手が癌などの重い病気にかかったから離婚したい、というような内容も認められません。
しかし離婚の原因が、性格の不一致や過度な宗教活動などであれば「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性はあります。
また長期間の別居をしている場合も、夫婦関係が修復不可能なほど悪化しているとみなされて、離婚できるケースもあります。
決定的な理由がない離婚は慰謝料を請求される可能性がある
相手に非がない状況で一方的に離婚を求める場合、相手方から慰謝料を請求される可能性があります。
本来、理由がなかったり性格の不一致などを理由にした離婚では、どちらかに責任があるとはいえないため、慰謝料は発生しません。
しかしあなたが不倫やDV、モラハラなどの行為をしていた場合は、不法行為に該当するため、相手から慰謝料を請求される恐れがあります。
慰謝料を請求されないためにも、自身が不法行為をしていないかを、慎重に整理しておきましょう。
請求される離婚慰謝料の金額相場は50万円〜300万円
配偶者からの慰謝料の請求理由によって相場は異なりますが、相場は50万円から300万円です。
主な請求理由別の慰謝料の相場は以下のとおりです。
|
慰謝料の請求理由 |
相場 |
|---|---|
|
不貞行為 |
100万円〜300万円 |
|
DV・モラハラ |
50万円〜300万円 |
|
悪意の遺棄(一方的な家出など) |
50万円〜300万円 |
|
セックスレス |
0円〜100万円 |
上記以外にも、多額の借金があったり、配偶者に金銭を渡さない経済的DVをしていたりなどの場合も、慰謝料を請求される恐れがあります。
なお、性格の不一致を理由とした慰謝料請求は拒否できるため、離婚慰謝料の相場はありません。
相手が理由のない離婚を拒否したときの2つの対処法
相手が離婚を拒否し続けて話し合いが進まない場合は、具体的な行動を起こして状況を変える必要があります。
ここでは配偶者から離婚の合意を得るために有効な、2つの対処法を解説します。
長期間の別居をする
長期間の別居をしておくと、離婚裁判になった場合に夫婦関係が客観的に破綻しているとみなされ、離婚が認められる可能性が高まります。
不貞やDVがなくても、長期間の別居をすると法定離婚事由の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。
おおむね3年から5年程度の別居期間があれば、法的に夫婦関係の修復が不可能であると判断されやすくなるでしょう。
また夫婦関係の修復の意志がないことを示すメッセージにもなるため、裁判を経る前に、配偶者から離婚の合意を得られるかもしれません。
ただし、配偶者に何も告げずに家出をしたり、別居中の生活費の支払いをしなかったりするのは控えましょう。
法定離婚事由である「悪意の遺棄」に該当し、慰謝料を請求されるリスクがあります。
解決金の支払いを提示する
配偶者が理由のない離婚に同意しない場合は、解決金の支払いを提示するのも有効です。
解決金とは、離婚に応じてもらう代わりに支払う金銭、いわゆる手切れ金のことです。
配偶者に非がない場合、配偶者は当然「自分は悪くないのになぜ捨てられなければならないのか」という感情を抱きます。
収入が少ない場合は、離婚後の生活への不安を感じることもあるでしょう。
そこで解決金を提示することで、心理的・経済的な不安が和らぎ、離婚に合意するケースがあります。
解決金は、決まった相場はありませんが、およそ100万円から300万円である場合が多いです。
理由がない離婚を成立させるポイント4つ
配偶者が「離婚してくれない」と悩んでいる場合でも、適切な順序を踏めば離婚する方法は見つかります。
決定的な離婚理由がないケースでは、感情論を避け、配偶者の心情と自身の覚悟の両面からアプローチすることが重要です。
円満な合意を目指すために、ここで解説する4つのポイントを意識して、話し合いを進めましょう。
1.はっきりと離婚したい意志を伝える
曖昧な態度は配偶者に期待を持たせてしまうため、一貫して離婚の意志を伝え続けてください。
「少し距離を置きたい」といった表現は、配偶者が関係修復の希望を感じてしまうため避けるべきです。
一度でも迷いを見せると、配偶者は「まだやり直せる」と考えてしまい、離婚の話し合いが停滞する可能性もあります。
感情的に配偶者を責めるのではなく、自分の気持ちが離れた事実や、修復の意志がない旨を冷静かつ断固として伝えましょう。
2.配偶者が気持ちを整理できる時間をつくる
結論を急かさず、配偶者が離婚を受け入れるための期間を設けるのも大切です。
突然離婚を切り出された配偶者は、パニック状態に陥りやすい傾向にあります。
即答を求めると、激しい反発を招く恐れがあるため、感情の整理には時間が必要です。
一度離婚の話を切り出した後は、数日から数週間ほど時間を置いて、配偶者の気持ちが整理できるのを待ちましょう。
3.事前に相手の質問や反応を予想して対策を立てる
なぜ離婚したいのか、これからの生活はどうするのかなど、配偶者からの質問に対する回答を、事前に用意しておきましょう。
明確な離婚理由がない場合でも、配偶者は納得できる説明を求めてくるため、誠実に回答してください。
たとえば性格の不一致を理由とする際、女性側・男性側のいずれからもよく挙げられる具体例は、下記のとおりです。
- 家事や育児に協力してくれない
- 教育方針に大きな違いがある
- 生活リズムが異なる
- 金銭感覚が違いすぎる など
しかし上記の理由をそのまま伝えても、配偶者は納得しない可能性があります。
論理的に、なぜその理由で離婚を求めるに至ったかを説明できるよう、事前にシミュレーションをしておきましょう。
4.譲歩できる条件をまとめておく
離婚する際は、財産分与や親権などの条件を決める必要があります。
理由がない離婚の場合は、離婚の合意を得やすくするためにも、譲歩できる条件をあらかじめ決めておきましょう。
全ての条件を自分の思い通りにしようとすると、交渉は決裂しやすいです。
事前に条件を整理しておくと、実際の話し合いで柔軟な対応ができるため、配偶者も納得しやすくなる傾向にあります。
離婚を伝える前に、絶対に譲れない条件と配偶者に譲ってもいい条件を考えておきましょう。
理由がない離婚に同意してもらうために譲歩が重要な条件4つ
理由がない離婚に同意してもらうには、配偶者が有利になるように、離婚条件を譲歩する必要があります。
ここでは、話し合いを円滑に進めるために検討すべき、4つの重要条件を解説します。
1.財産分与
財産分与とは、婚姻関係中に夫婦が共同で築いた預貯金や家などの財産を、離婚時に夫婦で分けることをいいます。
財産は2分の1で分けるのが原則ですが、夫婦の合意があれば、一方に多く配分することも可能です。
そのため、配偶者に多く配分することを検討してください。
配偶者が離婚に応じない理由が経済的不安だった場合、財産分与で多く受け取れるならと、離婚に合意する見込みもあります。
2.親権
双方が親権を望んで譲らない場合、自分が親権を諦めることが離婚成立の決定打になることもあります。
親権は離婚条件の中で特に感情的になりやすく、双方が主張し合うと離婚の時期が大幅に遅れるリスクがあります。
苦渋の決断ではありますが、どうしても今の婚姻生活を終わらせたい場合は、親権を相手に譲ることも視野に入れましょう。
ただし改正民法により、2026年4月1日から「共同親権」制度が施行されます。
共同親権は、これまでは父母のどちらかが親権者となっていたものを、父母の双方が親権者と定められるようになる制度です。
離婚後も子どもと関わりを持ちやすくなるため、親権問題に関して弁護士に相談してみることをおすすめします。
3.養育費
養育費を決める際は、裁判所が公表している算定表を参考にするのが一般的です。
しかし理由のない離婚をする場合は、算定表よりも高い金額を支払う旨を約束すると、配偶者から合意を得られる見込みがあります。
たとえば14歳未満の子どもが1人いて、夫(年収700万円)から妻(年収200万円)に養育費を渡す場合です。
算定表をみると6〜8万円が相場ですが、そこで8〜10万円の養育費を毎月渡すとなると、相手も離婚に同意しやすくなるでしょう。
金銭面での誠意を具体的な数字で示すことが、理由のない離婚をスムーズに進めるためには重要です。
4.面会交流
自身が親権を持たない場合、子どもとの面会交流の条件を、できるだけ配偶者の希望にあわせましょう。
面会交流の頻度や方法、日時の指定などについて柔軟に対応する姿勢を示すと、相手の不安や不満を和らげられる場合があります。
ただし、面会交流は、子の福祉を重視して考えるものとされているため、子どもの生活リズムや気持ちを最優先に考えることが大切です。
またトラブルを防ぐためにも、面会交流の内容は弁護士に相談しながら取り決めるのがおすすめです。
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まとめ|理由がない離婚を成立させるなら弁護士に相談を!
理由がない状態でも、夫婦の合意があれば離婚することは可能です。
しかし配偶者からの合意を得られず、離婚裁判になった場合は、法定離婚事由がなければ離婚が認められません。
また自身が配偶者に不法行為をしていた場合は、配偶者から慰謝料を請求される恐れがある点も把握しておきましょう。
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