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悪意の遺棄となる行動と獲得できる慰謝料の相場
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2019.7.24

悪意の遺棄となる行動と獲得できる慰謝料の相場

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Akuinoiki
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悪意の遺棄(あくいのいき)とは、民法 第770条に規定された法律で離婚が許される理由(法定離婚事由)の一つで、「配偶者に悪意で遺棄されたとき」に該当し、例えば、「生活費を渡さない」「正当な理由のない別居」「健康なのに働こうとしない」といった行為が挙げられます。

 

民法 第752条には、夫婦間の義務である「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」が定められており、これに違反したとして、離婚原因になったり、慰謝料を請求することができます。

 

なお、悪意の遺棄による離婚慰謝料の相場は50万円〜300万円と言われています。

 
悪意とは、「夫婦関係の破綻をもくろんでいたり、破綻しても構わないという意思」とされ、遺棄とは「正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠ること」を言います。字面だけ見ると最悪の組み合わせですね。

 

裁判所が公表している2017年の司法統計によると、女性側の離婚理由の第2位は、「生活費を渡さない」で1万3,820件。決して珍しくない離婚理由であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

【参考】裁判所|平成29年 司法統計19  婚姻関係事件数  申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所  

 
具体的にはどういった行動が悪意の遺棄に該当するのか、そして慰謝料を獲得するにはどんな証拠があればいいのか、解説していきます。

 

 

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悪意の遺棄における3つの義務

民法では、「夫婦は同居し、互いに協力、扶助し合わなければならない」という規定を設けています。(民法 第752条

 

夫婦になった以上、同居義務(一緒に住まなければならない)、協力義務(協力し合わなければならない)、そして扶助義務(助け合わなければならない)という三つの義務を示した法律です。
 

同居義務とは?

夫婦は一緒に住まなければならないという義務を示したものです。

 

つまり、別居をしてはいけないということを言っているわけですが、あくまで倫理的な規範を示しただけのものであり、法的な強制力はありません。

 

ただし、強制力は無くても正当な理由も無しに同居をしないのは離婚原因となります。
 

協力義務とは?

夫婦は互いに協力すべきであるという規定です。「夫婦は互いに協力し合って結婚生活を送るべし」というそのままの意味ですね。

 

具体例で言うと、夫が妻に家事の全てを強制してはいけない、生活費を全く出さないのはあってはならないなどが該当します。
 

扶助義務とは?

夫婦は互いに扶助し合うべきと定めています。言い換えれば、「夫婦の一方が扶助を必要とするような場合は、もう片方が同等の生活を送れるように援助すべし」ということです。

 

例えば妻が病気や怪我で動けなくなった場合、夫は妻に対して同程度の生活を送れるように支援したり、生活費を出すなどの面倒をみる必要があります。

即離婚?悪意の遺棄となる11の行動

配偶者(夫・妻)が正当な理由もなく以下のような行為を行った場合、悪意の遺棄に該当する可能性がありますので、どのような行動があるかチェックしておきましょう。
 

生活費を配偶者に渡さない

悪意の遺棄に該当する行為の中でも、もっとも多い離婚理由です。近年では女性の社会進出が増加しており、男女間での収入格差も年々縮まりつつありますが、十分ではありません。

 

引用元:厚生労働省|平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況

 

主な家事・育児の担い手はいまだ女性であり、女性側は家庭にお金を入れてもらえなければ、困窮してしまいます。

 

引用元:内閣府男女共同参画局|男女共同参画白書(概要版) 平成30年版 第3章 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)

 

理由も無く同居を拒否する

なんとなく一緒にいたくないなどの理由は基本的に認められません。ただ、相手が理由はわからないけど別居に同意している場合は悪意の遺棄とはなりません。
 

頻繁に家出を繰り返す

いい年をした大人が何をやっているのか?という気もしますが、家出をした結果、家事や仕事に影響を与えてしまうようでは悪意の遺棄になります。
 

必要も無いのにアパートで1人暮らしをしている

理由のない別居と考えられもしますが、アパートの家賃も無駄にしているので、協力義務にも違反していると考えられます。
 

配偶者を虐待して追い出す、家を出ざるを得ないようにしむける

扶助義務、協力義務、同居義務の全てに違反していますので、完璧な悪意の遺棄と考えて良いでしょう。
 

浮気相手のところで生活している

浮気がいつしか本気になり、全く帰ってこないパターンです。この場合は悪意の遺棄の他に不倫にも該当しますので、慰謝料請求を考えた場合、かなりの額を請求できるかもしれません。
 

生活費は送ってくるが、愛人宅に入り浸る

お金だけ渡しておけばいいんだろという相手の顔が目に浮かぶような行為ですね。こんなことをされた日には即座に離婚を考えるでしょう。
 

姑との折り合いが悪く実家に帰ったままである

一緒に暮らす場合によくあるケースであると考えられます。今では、姑との折り合いの悪さが原因となる離婚は減ってきたようですが、いざこざをおこしたまま実家から帰ってこないのは同居義務違反と成り得ます。
 

単身赴任の夫から生活費が送られてこない

場合によっては単身赴任が頻繁にある旦那を持つこともあるでしょう。その場合、同居義務違反にはなりませんが協力義務や扶助義務を怠ってしまうケースもあります。生活費確保が難しくなると、離婚の可能性が出てきます。
 

健康な夫が働こうとしない

ニートと呼ばれる部類の人間ですが、なんで働かなくなったのかを考えてあげてもいいかもしれません。しかし、なんの理由もないのに働かないのは離婚原因としては申し分ないでしょう。
 

一方が全く家事を手伝おうとしない

家事は女性の仕事という古臭い考え方を持っている方もいますが、それでも全く手伝わないことで妻がストレスを感じるようであるなら、悪意の遺棄となります。
 

悪意の遺棄とはならない行為

 

  • 単身赴任による必要な別居

  • 配偶者のDVなどに耐えかねて別居する場合

  • 夫婦関係を見直す為の別居

  • 子どもの教育上必要な別居

  • 治療のために必要な別居

  • 夫婦関係が破綻したゆえの別居 など

※夫婦関係破綻後の別居は破綻の結果であり破綻の原因ではない


主に別居に関するものが多いですが、生活費を渡しても自分のために全部使うという行為も悪意の遺棄になる場合がありますので注意しましょう。
 

女性側の離婚ランキング2位|悪意の遺棄となった判例

冒頭でご紹介した通り、悪意の遺棄は女性側の離婚理由で、性格の不一致に続く2番目に多い理由でした。また、男性側でも、同居に応じない・家庭を捨てて省みないといった理由がランクインしています。

 

【参考】【2019年最新版】離婚原因ランキングトップ10

 

悪意の遺棄関係でどんな判例があるのかも見ておきましょう。
 

妻の置き去り---浦和地判

夫は半身不随の身体障害者で日常生活もままならない妻を、そのような不自由な生活、境遇にあることを知りながら自宅に置き去りにし、正当な理由もないまま家を飛び出して長期間別居を続け、その間妻に生活費を全く送金していないから、夫の前記行為は民法770条1項2号の「配偶者を悪意で遺棄したとき」に該当する。
引用元:これって悪意の遺棄じゃないですか?

 

夫のあまりに多い出張、生活費を入れない例—大阪地裁

夫がたとえ仕事のためとはいえ、余りに多い出張、外泊等家族を顧みない行動により、妻に対する夫としての同居協力扶助義務の義務を十分に尽くさなかったことをもって今直ちに原告に対する「悪意の遺棄」に当たるとするにはやや足りないけれども、なお「婚姻を継続しがたい重大事由」があるとするに十分であり、その責任の過半が夫にあることもまた明らかである。
引用元:これって悪意の遺棄じゃないですか?

 

夫の家出、愛人宅に入り浸りー東京高判

会社倒産後に夫が家出して女と同棲し、アル中等で入院中、妻がこれを見舞わず、その生活費や入院費も負担せず、夫の帰宅も受け入れないことが悪意の遺棄に当たらず、また、妻が夫の財産を仮差押えし、夫も別の女と同棲する等の破綻状態が10年以上続いて回復不能であるが、有責配偶者たる夫からの離婚請求は認められないとした事例。
引用元:悪意の遺棄に関する判例

 
ある判例では、わずか2ヶ月間で「悪意の遺棄」に当たるとしたケースもありますので、別居期間の長短より、遺棄の意思が明確かどうかに重点がおかれていると見るべきでしょう。
 

悪意の遺棄で請求できる慰謝料の相場

悪意の遺棄で請求できる慰謝料は基本金額を100万円とし、「同居義務違反に関する事情」「協力・扶助義務違反に関する事情」を考慮して増減を決定していきます、大体の相場としては約50万円〜300万円と考えて良いと思います。
 
悪意の遺棄による慰謝料については「離婚した際の慰謝料の金額」で詳しく解説しています。

確実な慰謝料請求に必要な証拠は?

どのような悪意の遺棄になるかによって多少の違いはありますが、例えば以下のような証拠が挙げられます。

 

  • 生活費の振り込みが途絶えたことがわかる通帳の記録

  • 別居に至った経緯、別居がいつ始まったかという記録

  • 別居先を特定できる資料、賃貸借契約書 など

 
金銭絡みに悪意の遺棄であれば証明は簡単なのですが、姑と折り合いが悪く実家に帰っている場合や、生活費だけは送ってきても愛人宅に入り浸っている、家出を繰り返すなどは決定的な証拠となるものが少ないので、弁護士などにプロに相談されるのが良いと思います。
参考:離婚の慰謝料|獲得と増額のための完全マニュアル
 

完璧な証拠を手に入れるためには?

完璧な証拠を手に入れるためには、専門家の力を借りた方がいいでしょう。浮気調査の専門家である、探偵に相談してみませんか?

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離婚をしなくても、まずは生活費だけでも支払ってもらいたい…という方は関連記事もあわせてご覧ください。

 

【関連記事】

婚姻費用分担請求で家賃の支払いなどお金の不安を解決する方法

婚姻費用とは|婚姻費用計算表と相場・請求する・される側の注意点

 

また悪意の遺棄でお困りなら、まず法テラスの無料相談を利用して、弁護士に相談してみる方法もあります。

 

【関連記事】

法テラスで離婚相談する方法!無料相談の利用条件と活用のポイント

 

悪意の遺棄に関するまとめ

いかがでしたでしょうか?法律でも規定があるように、こうでもしないと夫婦関係がうまくいかないのかもしれませんが、助け合いは結婚生活の基本であり、我慢と忍耐が夫婦円満の秘訣でもあります。
 
気に入らないからと言ってすぐに家を飛び出したり、何日も帰ってこないなどということは、できればないようにしていただければと思います。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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