「慰謝料」が得意な弁護士に相談して悩みを解決!
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離婚の慰謝料相場は、事案によって異なりますが50万円~300万円が目安とされています。
慰謝料相場に幅がある理由は、離婚原因の内容や婚姻期間の長さなどさまざまな要素が考慮されるためです。
離婚の慰謝料を請求する場合、どのようなケースでもらえるのか、いくらぐらいもらえるのかなどを知らないと、話し合いが揉めて解決が長引くおそれがあります。
スムーズに請求をおこない、適切な額の慰謝料を受け取るためにも、慰謝料請求に関するポイントを押さえておきましょう。
本記事では、離婚の慰謝料に関する基本知識や請求できるケース・できないケース、慰謝料相場、請求方法などを解説します。
慰謝料問題をスムーズに解決したい方はぜひ参考にしてください。
慰謝料の相場がわからずお困りのあなたへ
慰謝料の請求を考えていても、相場がどれくらいかわからず、悩んでいませんか。
慰謝料の相場は、離婚の原因などさまざまな要因で変わります。そのため、請求できる慰謝料額を知りたいなら、弁護士の無料相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 請求できる慰謝料額を試算してもらえる
- 慰謝料を請求できるかどうか判断してもらえる
- 法的観点から交渉時のアドバイスをもらえる
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当サイトでは、離婚問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。 無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。
離婚の慰謝料とは?慰謝料の種類と時効
離婚の慰謝料とは、離婚に至った場合に生じた精神的苦痛に対し、損害賠償として相手に請求できる金銭のことです。
離婚の理由はさまざまありますが、たとえば不貞行為・DVなど、違法な権利侵害があった場合には慰謝料を請求できる可能性があります。
一方、「性格の不一致」や「価値観の違い」など、どちらにも離婚の責任がない場合には、基本的に慰謝料は請求できません。
離婚慰謝料は2種類
慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償(民法第709条・710条)として請求するものです。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
そして、離婚に関する慰謝料は、厳密には「離婚原因についての慰謝料」と「離婚慰謝料」の2つに分けられます。
離婚原因慰謝料|離婚に至った原因から生じる精神的苦痛に対する慰謝料
離婚原因慰謝料とは、離婚原因となった不法行為により生じた精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。
具体的には、配偶者によるモラハラ・暴力などのDVや不貞行為などがおこなわれた場合に、離婚原因慰謝料を請求するケースが多く見られます。
なお、不倫が原因の場合、慰謝料は配偶者だけでなく、配偶者の不倫相手に対して請求することもできます。
離婚慰謝料|離婚すること自体の精神的苦痛に対する慰謝料
離婚慰謝料とは、離婚をすることで配偶者としての地位を失ってしまうことにより生じた精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。
実際、離婚が原因で仕事に支障が生じたり、親族からの視線が冷たくなったりすることで、精神的苦痛を受けるケースも少なくありません。
しかし、必ずしも請求できるわけではなく、相手に離婚の原因となる有責行為があることが前提です。
また、実務上は離婚原因慰謝料と離婚慰謝料が区別されることはなく、有責配偶者に対してまとめて慰謝料請求をおこないます。
離婚による慰謝料請求の時効期間は原則3年
離婚の慰謝料請求権については、時効(民法第724条)が定められています。
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
時効期間は、損害及び加害者を知ったときから3年、または不法行為がおこなわれてから20年です。
たとえば、配偶者の不倫相手に対して慰謝料請求する場合は、不倫の事実及び不倫相手を知ったときから3年が経過すると時効となります。
不倫相手がわからない場合は、不倫がおこなわれてから20年で時効となります。
一方、配偶者に対する離婚慰謝料請求権の時効は、離婚が成立してから3年です。
離婚の慰謝料相場はどれくらい?慰謝料を決める算定要素
離婚の慰謝料相場は数十万円~数百万円といわれており、離婚原因などによって増減するのが一般的です。
ここでは、離婚慰謝料の算定要素や相場などを解説します。
離婚慰謝料の決め方がわからず悩んでいる方は参考にしてみてください。
離婚慰謝料の算定要素
離婚の慰謝料は、離婚原因の内容、婚姻期間、子どもの数、相手方の資力など、さまざまな要素を考慮して判断されるものです。
慰謝料が増減するケース
離婚の慰謝料が増減する要素について、たとえば以下のような考慮がされることがあります。
子どもの有無 |
子どもがいる |
慰謝料 増 |
子どもがいない |
慰謝料 減 |
婚姻期間 |
婚姻期間が長い |
慰謝料 増 |
婚姻期間が短い |
慰謝料 減 |
不倫していた期間 |
期間が長い |
慰謝料 増 |
期間が短い |
慰謝料 減 |
慰謝料の算定にあたっては、このほかにも当事者の資力など、さまざまな要素が考慮されます。
また、相手方に反省の態度が見られないなど悪質性が高い場合も、慰謝料額が高額になる傾向があります。
ただし、自身にも責任がある場合は慰謝料額が相殺される可能性があるなど、ケースバイケースといえます。
詳しい金額が知りたい場合は弁護士に相談することをおすすめします。
離婚慰謝料の相場
離婚の慰謝料相場は50万円~300万円程度です。
しかし、婚姻関係が破綻した原因によって金額は増減します。
おおまかに原因別に分けると、慰謝料相場は下記のとおりです。
性行為の拒否 |
0円~100万円 |
悪意の遺棄 |
50万円~300万円 |
DV |
50万円~300万円 |
不貞行為(不倫) |
100万円~300万円 |
悪意の遺棄とは、正当な理由なく「別居を強制される」「生活費を渡さない」「家事・育児をしない」など、夫婦間の義務を果たさない行為のことです。
程度によって差はありますが、状況次第では数百万円の慰謝料が認められるケースもあります。
とはいえ、離婚の慰謝料はさまざまな要素を考慮して算出されるので、あくまで目安として捉えてください。
では、離婚原因として割合の多い、DV・不貞行為による慰謝料相場を詳しく見ていきましょう。
DVがあった場合の相場
配偶者のDVで離婚に至る場合、離婚の慰謝料相場は50万円~300万円程度です。
具体的には、以下のような事情を考慮して慰謝料金額を算定します。
たとえば、長期間にわたって生命の危機に関わるようなDVを受けていた場合は、精神的苦痛も大きくなるため、慰謝料は高額になりやすいといえます。
不貞行為があった場合の相場
相手方の不貞行為によって離婚に至った場合、慰謝料の相場は100万円~300万円程度といわれています。
不貞行為があった場合は、次のような事情を考慮して慰謝料を算定するのが通常です。
たとえば、数回程度の不倫と数年間にわたって継続していた不倫とでは、慰謝料額にも大きな違いが生じるものと考えられます。
子どもの養育費は慰謝料とは別に請求できる
社会的・経済的に自立していない子どもがいるなら、慰謝料とは別に養育費を請求できます。
養育費とは、子どもを監護、教育するために必要な費用のことです。
衣食住にかかる費用のほか、教育費や医療費などが含まれます。
離婚して相手が親権を失っても親であることに変わりなく、扶養義務は残ったままです。
そのため、相手の年収が高い場合などは養育費を請求できます。
なお、養育費の具体的な金額は基本的に夫婦の話し合いで決めます。
話し合いがまとまらず、家庭裁判所に調停を申し立てた場合は、「養育費・婚姻費用算定表」をもとに算出するケースが一般的です。
相手の年収が低くても慰謝料は請求できる
相手の年収が低かったとしても、慰謝料の請求は可能です。
年収は精神的苦痛と直接関係するものではないので、慰謝料請求の可否や金額にも基本的に影響しません。
ただし、回収できなければ請求する意味がないので、相手の年収が低い場合は支払い能力を考慮し、低額となる可能性が高いでしょう。
逆に、相手の年収が高ければ、慰謝料金額も高額になる可能性があります。
また、請求相手に借金があったとしても慰謝料は請求できます。
相手の借金は、離婚とは別の問題と考えられるためです。
離婚の慰謝料請求ができる5つのケース
離婚の慰謝料請求は、配偶者の不法行為により精神的苦痛を受けた場合におこなうものです。
不法行為に当たるものとしては、法定離婚事由(民法第770条1項)となるような不貞行為や悪意の遺棄のほか、身体的DV、経済的DVなどがあります。
なお、法定離婚事由とは、裁判にて離婚を認めてもらう際に必要な離婚理由のことです。
民法にて、以下のとおり定められています。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 省略
引用元:民法 | e-Gov法令検索
ここでは、どのような場合に慰謝料請求できるのか以下の5つのケースで解説します。
- 相手が不倫・浮気(不貞行為)をしていた場合
- DV・モラハラされた場
- 経済的な嫌がらせがあった場合
- 悪意の遺棄があった場合
- 一方的に性交渉を拒否され続けた場合
1. 相手が不倫(不貞行為)をしていた場合
不貞行為とは、配偶者以外の第三者と肉体関係を持つことをいいます。
不貞行為は法定離婚事由のひとつです。
相手方の不貞行為により夫婦の平穏・円満な共同生活を送る権利を侵害された場合には、慰謝料を請求することが可能です。
なお、デートをしたりキスをしたりといった行為は基本的に不貞行為にあたりません。
あくまでも、肉体関係の有無がポイントとなる点に注意しておきましょう。
2. DV・モラハラされた場合
DVは、一方の配偶者が他方の配偶者に対しておこなう暴力的行為のことをいいます。
配偶者から殴る蹴るなどの暴行を受け、それが離婚原因になった場合には、慰謝料の請求が認められるでしょう。
モラハラは、相手を精神的に貶める行為のことをいいます。
たとえば、「お前はいなくてもよい」「結婚しなければよかった」など、精神的に追い詰められる暴言を日常的に投げかけられていた場合などは、モラハラを理由に慰謝料を請求できる可能性があります。
うつ病などの精神疾患を患った場合には、慰謝料額の増額も期待できるでしょう。
3. 経済的な嫌がらせがあった場合
経済的な嫌がらせがあった場合も、離婚する際に慰謝料請求できる可能性が高いといえるでしょう。
「働いている配偶者が家事専業の配偶者へ生活費を渡さない」「配偶者から働くことを禁止されている」「配偶者が浪費をやめない」などの行為が該当します。
金銭の自由を奪い、相手を追い込む行為は経済的DVともいわれ、扶養義務を果たさない不法行為と捉えられるため、慰謝料請求ができます。
4. 悪意の遺棄があった場合
民法上、夫婦には同居義務・協力義務・扶助義務などがあります。
正当な理由なく、一方の配偶者がこれらの義務を守らなければ、「悪意の遺棄」と呼ばれる不法行為に該当し、慰謝料請求が可能です。
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
たとえば、以下のような行為が悪意の遺棄に該当します。
- 無断で家を出て同居を拒否する
- 家事・育児をしない
- 健康上問題ないのに働こうとしない
ただし、悪意の遺棄に該当するかを判断する際には、さまざまな事情が総合的に考慮されます。
そのため、悪意の遺棄を理由に慰謝料請求を検討する場合は、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。
5. 一方的に性交渉を拒否され続けた場合
配偶者から正当な理由なく性交渉を拒否され続けたことにより、精神的苦痛を受けたときは、離婚慰謝料が認められるケースがあります。
もっとも、病気などの理由でセックスができない場合や、夫婦双方が望んでいない場合などもあります。
セックスレスのケースが常に慰謝料が認められる訳ではない点に注意しましょう。
実際、性交渉の拒否が不法行為として認められるには高いハードルがあります。
離婚の慰謝料請求ができない4つのケース
ここでは、離婚トラブルになっていても、慰謝料を請求できないケースを見ていきましょう。
- 性格の不一致による場合
- 信仰上の対立があった場合
- 健康上の問題だった場合
- 相手の親族との不仲が原因だった場合
1. 性格の不一致による場合
性格の不一致は、離婚の理由としてよくあるケースです。
しかし、性格の不一致とは夫婦の性格や価値観にズレが生じている状態のことで、夫婦のどちらか一方に違法な行為があるわけではありません。
このような場合には、配偶者に慰謝料請求はできません。
2. 信仰上の対立があった場合
単なる信仰上の対立からお互いの関係に亀裂が生じ、夫婦生活の継続が困難になった場合も、性格の不一致の場合と同様、慰謝料請求は難しいでしょう。
何を信仰するかは個々の自由であり、違法性のあるものではないためです。
ただし、一方が宗教活動にのめり込んだことで、夫婦関係に著しい悪影響が生じた場合などは、慰謝料を請求できる可能性があります。
3. 健康上の問題だった場合
離婚に至った原因が健康上の問題だった場合も、慰謝料請求は難しいといえるでしょう。
たとえば、相手がうつ病などの精神病にかかった場合は、法定離婚事由に該当し、それを理由に離婚できる可能性はあります。
しかし、健康上の問題が生じたからといって、相手が違法行為をしているわけではないので、慰謝料請求は基本的に認められません。
4. 相手の親族との不仲が原因だった場合
配偶者の親族と不和が原因で離婚することなったとしても、慰謝料請求は認められません。
配偶者が違法行為をしているわけでなく、慰謝料を請求されるだけの責任があるともいえないためです。
ただし、配偶者が親族と一緒になって嫌がらせをおこなっていた場合などは、慰謝料請求できる可能性があります。
離婚の慰謝料請求する方法
離婚の慰謝料を請求するには、次の方法があります。
夫婦間の話し合いで離婚することは協議離婚と呼ばれ、日本で最も一般的な離婚方法です。
協議離婚が成立しなかった場合には、離婚調停を活用することになるでしょう。
離婚調停とは、中立的立場の調停委員を交え、離婚条件などを調整して離婚の合意を目指す手続きのことをいいます。
離婚調停が不成立となると、通常、家庭裁判所に離婚訴訟を起こして離婚を求めることになるでしょう。
なお、離婚審判という手続きもありますが、ほとんど利用されることはありません。
離婚裁判では、当事者双方が証拠に基づきお互いに意見を主張し合い、最終的に裁判所の判決により離婚を成立させます。
日本の法律では調停前置主義がとられており、離婚裁判を提起するためにはまず離婚調停をおこなう必要があります。
以下では、それぞれの離婚の方法について解説します。
- まずは夫婦間での話し合いで解決を図る
- 夫婦間での解決ができなければ離婚調停をする
- 離婚調停で解決できなければ離婚裁判をする
1. まずは夫婦間での話し合いで解決を図る
まずは離婚についての話し合いの中で、慰謝料を請求するのが通常です。
協議の結果、配偶者が慰謝料の支払いに応じ、慰謝料の金額や支払い方法についてお互いが合意すれば問題解決となります。
なお、慰謝料の請求は内容証明郵便を利用するのがよいでしょう。
送付日・受取日、差出人・宛先、文書の内容などを郵便局が証明してくれるので、調停や裁判に移行した際の証拠として有効に活用できます。
また、合意が成立した場合には、合意内容は書面化し、可能であれば公正証書化しておくことをおすすめします。
公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する公文書のことです。
公正証書は高い証明力をもち、公証役場で原本を保管してくれるので紛失・盗難・改ざんの心配がありません。
強制執行認諾文言を付けた内容で公正証書を作成しておけば、相手が合意内容を守らず慰謝料が不払いになった場合に、裁判手続を経ることなくすみやかに財産の差し押さえができます。
公正証書に記載しておくべき具体的な内容については、弁護士に相談することをおすすめします。
協議のポイント
離婚の慰謝料について協議する際は、金額や支払方法について明確に取り決めましょう。
相手の経済力次第では、分割払いも妥協せざるを得ないかもしれません。
仮に相手方名義で不動産などの資産があるのであれば、財産分与の協議の中で、慰謝料の一部としてその不動産をもらうという方法もあります。
たとえば、慰謝料を500万円請求する場合、現金で300万円受け取り、残り200万円分は資産を分与してもらう、ということも考えられます。
当事者のみでは協議が進まない場合には、弁護士に依頼することでスムーズに協議が進むこともあります。
まずは弁護士の意見を聞いてみるとよいでしょう。
2. 夫婦間での解決ができなければ離婚調停をする
夫婦間での解決ができなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることを検討しましょう。
離婚調停とは、調停委員に仲介してもらいながら話し合いを進め、トラブルとなっている事案の落としどころを探る手続きです。
調停委員から和解案が提示されることもあり、当事者間ではまともに話し合いにならない場合でも、スムーズに解決に至る可能性があります。
離婚調停は、下記のような流れで進んでいきます。
離婚調停がおこなわれる期間はケースバイケースですが、3ヵ月~半年程度かかるケースが一般的です。
長期間かかって精神的負担が大きくなることもあるので、基本的には弁護士に対応を依頼するほうがよいでしょう。
なお、不倫相手に慰謝料請求する場合も調停は利用できますが、一般的ではなく、話し合いが決裂した段階で訴訟に移行するケースがほとんどです。
離婚調停では証拠が重要になる
離婚調停では、第三者の調停委員に対して主張内容を明確に伝える必要があります。
そのため、慰謝料について主張するのであれば、相手方にどのような行為があったのかを証拠とともに主張することが重要です。
不貞行為があった場合 |
・ラブホテルに出入りしていることがわかる写真や動画
・肉体関係を持ったことがうかがえるLINEやメールのやり取り
|
DVを受けた場合 |
・現場の状況を捉えた動画、音声
・被害についての医師の診断書
・DV被害について日々記録した日記 |
経済的な嫌がらせを受けた場合 |
・少ないお金でやりくりしていることがわかる家計簿
・生活費が入金されなくなった通帳
・浪費したことを裏づける本人の音声 |
悪意の遺棄があった場合 |
・配偶者が新たに借りた住居の賃貸契約書
・家事や育児に非協力的であることがわかるSNSでのやりとり
・働けるのに働いていないことがわかる健康診断の結果や医師の診断書 |
性交渉を拒否された場合 |
・性交渉を求めたときに状況や回答を記した日記
・会話の録音記録 |
3. 離婚調停で解決できなければ離婚裁判をする
離婚調停が不成立に終わった場合は、離婚訴訟を提起して、離婚自体や慰謝料を含むその他の離婚条件について裁判所の判断を仰ぐことになるでしょう。
裁判で争うと時間や時間がかかってしまいますが、最終的な決着をつけることができます。
また、慰謝料の不払いがあった場合には、判決が出ていることを理由に強制執行ができます。
なお、すでに離婚している場合や、離婚するかしないかは解決済みで慰謝料についてのみ争っている場合は、通常の民事訴訟を提起するという方法もあり得ます。
トラブルの状況 |
訴訟提起先 |
離婚そのものについても協議がまとまらない場合 |
原則として、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所 |
慰謝料についてのみ協議がまとまらない場合 |
原則として、自分の住所地を管轄する簡易・地方裁判所 |
訴訟の場合は、より厳格な主張・立証が求められますから、弁護士に依頼するのが適切です。
離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼する4つのメリット
自力で慰謝料請求できるか不安な方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
ここでは、離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットについて解説します。
- 代理で交渉や手続きをおこなってくれる
- 離婚協議書を作成してもらえる
- 調停や訴訟にも対応してくれる
- 精神的な負担を軽減できる
1. 代理で交渉や手続きをおこなってくれる
弁護士であれば、交渉や手続きの代理を頼むことができます。
離婚するためには、相手方と交渉したり、調停や訴訟といった裁判所での手続きが必要だったりなど、個人ではかなり負担に感じることが多いでしょう。
相手によっては、離婚したいという旨を直接伝えても取り合ってもらえず、無視されることもあるかもしれません。
しかし、弁護士が交渉の代理人になることで本気度が伝わり、相手も真剣に受け止めて対応してくれる可能性があります。
また、DVやモラハラを受けていて離婚手続きを個人で進めることが困難な場合には、弁護士に代理してもらうこと自体が大きなメリットになるでしょう。
2. 離婚協議書を作成してもらえる
離婚協議書の作成も、弁護士に任せることができます。
離婚協議によって話し合いがまとまった際は、離婚について合意する旨・親権・慰謝料・養育費・財産分与などについてまとめた離婚協議書を作成します。
口約束で済ませると認識の相違を招くおそれがあるので、離婚協議書として書面で残しておくことは必須といえるでしょう。
しかし、離婚協議書は、双方が合意した内容を正確に記載し、後々のトラブルを防止するための条項も盛り込む必要があるなど、自力での作成が難しいケースも少なくありません。
弁護士に任せることで、法律的な観点から、依頼状況に合った離婚協議書を作成してもらえます。
3. 調停や訴訟にも対応してくれる
離婚協議で話し合いがまとまらなかった場合には離婚調停に進み、離婚調停も不成立になった場合には離婚裁判に移ります。
弁護士に依頼している場合、調停や訴訟の手続きを全て任せることが可能です。
離婚調停・離婚裁判では、離婚の事情や慰謝料請求の理由などを説明しなければなりません。
しかし、これらの説明は、調停や裁判に慣れていないと難しいものです。
その点、弁護士であれば、依頼者の代わりに必要な内容を適切に説明してくれたり、依頼者が説明しているときにフォローしてくれたりします。
また、煩雑な書類作成などにも対応してくれるので、手間や時間をかけずに済む点も大きなメリットといえるでしょ。
4. 精神的な負担を軽減できる
精神的な負担を大幅に軽減できる点も、慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットのひとつです。
弁護士に対しては、慰謝料の交渉を含め、相手方とのやり取りを全て任せられます。
そのため、離婚を決意した相手と一切関わらずに、慰謝料の獲得に向けた手続きを進めることが可能です。
特にDVを受けていた場合などは、直接やり取りすることで精神的ダメージが蓄積し、心身に支障をきたす可能性も否定できないので、できるだけ弁護士を頼るようにしましょう。
離婚慰謝料を弁護士に依頼したときの費用内訳と相場
ここでは、弁護士費用の相場はいくらか・どのタイミングで支払うのか・安く抑えるにはどうしたらいいかなどを詳しく解説します。
慰謝料請求の弁護士費用相場
離婚の慰謝料請求にかかる弁護士費用は、法律事務所によって異なります。
また、離婚手続きと慰謝料請求の両方を依頼するのか、慰謝料請求だけを依頼するのかでも変わります。
あくまで目安に過ぎませんが、費用相場は以下のとおりです。
〈離婚手続きの弁護士費用相場〉
法律相談料 |
5,000円~/30分程度 |
離婚協議
離婚調停 |
着手金 |
20万円~50万円 |
報酬金 |
20万円~50万円 |
離婚裁判 |
着手金 |
30万円~60万円 |
報酬金 |
30万円~60万円 |
日当 |
半日 |
3万円~5万円 |
一日 |
5万円~10万円 |
その他実費 |
数千円~数万円程度 |
〈慰謝料請求の弁護士費用相場〉
経済的利益の金額 |
着手金 |
報酬金 |
300万円以下 |
8% |
16% |
300万円超~3,000万円以下 |
5%+9万円 |
10%+18万円 |
3,000万円超~3億円以下 |
3%+69万円 |
6%+138万円 |
3億円超 |
2%+369万円 |
4%+738万円 |
弁護士費用を支払うタイミング
弁護士費用を支払うタイミングは、それぞれの費用項目によって異なるのが一般的です。
通常、着手金は事件着手時に支払い、報酬金は事件終了後に支払います。
印紙代や郵便切手代などの実費については、事件開始前に一定額を支払うことが多いようです。
あくまで一般論であるため、支払いタイミングは、依頼先の法律事務所に直接確認するようにしましょう。
弁護士費用を少しでも抑えるためには
弁護士費用を少しでも安く抑えたいなら、費用設定が安い事務所を選ぶ、法律相談料や着手金などが無料の事務所を選ぶなどの方法があります。
また、収入や貯蓄に関する条件はありますが、法テラスによる無料相談・弁護士費用の一時立替えなどの「民事法律扶助」を利用する方法もあります。
そのほか、単純に初期の支払負担を減らしたい方は、分割払いに対応している事務所を選ぶのがよいでしょう。
離婚慰謝料に関するよくある質問
ここからは、離婚慰謝料に関するよくある質問に答えていきます。
離婚後の慰謝料請求は可能?
たとえ離婚したあとであっても、不法行為によって精神的苦痛を受けていたという事実があれば、慰謝料請求は可能です。
実際、婚姻中に不倫していたことがあとで発覚し、あとから慰謝料請求がおこなわれるようなケースも少なくありません。
しかし、離婚時にすでに金銭面に関する取り決めを済ませている場合などは、慰謝料請求が認められない可能性があるので注意しましょう。
離婚協議書の内容によって、慰謝料請求できるかどうかが変わるので、一度弁護士に相談するのがおすすめです。
相手が離婚慰謝料を支払えない場合はどうなる?
請求した離婚慰謝料を相手が支払えない場合は、分割払いなどの方法を検討する必要があります。
分割払いでも支払いが難しい場合は、慰謝料の減額を検討せざるを得ないケースもあります。
なお、裁判を通じて一度取り決めた慰謝料が支払われない場合は、強制執行を申し立て、財産を差し押さえることも可能です。
万が一、慰謝料が支払われなかったときのために、離婚協議書は強制執行認諾文言付きの公正証書で作成するなど対策しておくとよいでしょう。
受け取った離婚慰謝料に税金はかかる?
離婚慰謝料の請求で受け取った金銭に対しては、原則税金はかかりません。
慰謝料は精神的苦痛に対して支払われるもので、受け取った人に利益が発生するものではないからです。
ただし、慰謝料があまりにも高額すぎる場合や、離婚成立前に慰謝料の代わりに不動産を譲受している場合などは、課税される可能性があります。
離婚慰謝料の相場を把握したうえで、弁護士に相談して対応するのがよいでしょう。
離婚慰謝料に加えて養育費も請求できる?
離婚慰謝料に加えて、養育費を請求することは可能です。
離婚慰謝料と養育費はまったくの別物なので、互いに制限し合うことはありません。
仮に慰謝料の受け取りが決まった場合でも、別途養育費を請求することができます。
配偶者以外も離婚慰謝料を請求できる?
離婚をする際に慰謝料請求ができるのは、特別の理由がない限り、配偶者のみに限られます。
ただし、離婚によって子どもが直接的に精神的苦痛を負ったといえる特別な理由がある場合は、まれに子どもからの慰謝料請求ができる可能性もあります。
配偶者以外からの慰謝料請求を考えている場合は、一度弁護士に対応を相談するのがよいでしょう。
まとめ|離婚の慰謝料請求をするなら弁護士に無料相談を
離婚の慰謝料相場は50万円~300万円程度ですが、離婚原因の内容などによって金額は増減します。
自力でも慰謝料請求は可能ですが、相手が感情的になっている場合にはうまく話がまとまらない可能性もあります。
スムーズに請求をおこないたいのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、法律に関する適切なアドバイスを受けられるほか、心身の負担も軽くなるでしょう。
そして、依頼状況に合った適切な慰謝料金額を算出したうえで、慰謝料獲得に向けて粘り強く相手方と交渉してくれるでしょう。
弁護士に依頼しようかどうか迷っている方も、まずは無料相談を利用してみましょう。