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公開日:2019.8.13  更新日:2021.3.26

離婚慰謝料の相場は?離婚理由など金額に影響する要素や請求方法を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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離婚の慰謝料とは、相手配偶者の違法な権利侵害により離婚に至った場合の精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことで、離婚の慰謝料の金額は、事案によりケース・バイ・ケースですが、おおむね50~300万円の範囲に落ち着く場合が多いと言われています。

離婚の慰謝料は、違法な権利侵害行為を行った配偶者に対して請求することができるものであり、権利侵害がない場合は請求できません。

今回、離婚の慰謝料に関する相場や慰謝料を高額にする事由、どんな証拠が必要かなど、そのすべてをお伝えします。

離婚の慰謝料を請求したい方はもちろん、慰謝料を請求されそうという方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事のPOINT
 こんなことがわかります
  • 不貞行為による離婚の慰謝料相場は100~300万円
  • 離婚の慰謝料は原則として非課税
  • 暴力行為、悪質なモラルハラスメントがあった場合は慰謝料請求しやすい
  • 慰謝料請求可能な期間は3年
  • 何から手を付けたらいいか分からない方は、弁護士に相談しましょう

離婚の慰謝料とは?離婚の慰謝料の基礎知識

用語解説
離婚慰謝料
離婚慰謝料とは、相手配偶者の違法な権利侵害により、離婚に至った場合に生じた精神的苦痛を賠償するために支払われる損害賠償金のことです。

「違法な権利侵害」の例として、不貞倫や暴力といったものが挙げられます。

相手配偶者がこのような違法な権利侵害を行ったことで夫婦関係が破綻し、離婚に至ったという場合は、相手配偶者に対して慰謝料を請求することができます。

ナビ子

よく誤解されますが、離婚すれば必ず離婚の慰謝料が支払われるものではありません(世間では離婚した場合に男性が女性に必ず支払うこととなる慰謝料であるとの誤解がありますが、それは間違いです。)。

慰謝料請求が可能なのは、あくまで相手配偶者に違法な権利侵害行為があり、それが原因で婚姻関係が破綻した場合に限ります。

そのため、「性格の不一致」「価値観の違い」「不仲」など一方配偶者に特段の違法な権利侵害行為がないような場合(要するにどちらが悪いのか明確にすることができないような場合)は、慰謝料請求はできませんので、ご注意ください。

ナビ美

余談ですが、相手配偶者に不貞がある場合、不貞の当事者双方(相手配偶者とその不貞行為の相手当事者)に共同責任を問うことが可能です。

したがって、相手配偶者だけでなく、その不貞行為の相手当事者にも慰謝料を請求することができます

また、慰謝料請求を行う相手配偶者は、違法な権利侵害を行っているかどうかがポイントであり、男性であるか女性であるかは関係ありません。

そのため、妻側に不貞行為や暴力行為などの違法な権利侵害がある場合は、夫から妻に対して離婚慰謝料を請求することもできます(女性のみが請求できると誤解されている人がいるかもしれませんが、それも間違いです。)。

以下では離婚慰謝料についてまとめていますので、気になる項目をご覧ください。

慰謝料は原則非課税

離婚の慰謝料で気になるのが、慰謝料が課税対象になるかどうかではないでしょうか。結論からいえば、離婚の慰謝料は、損害賠償金であり利益を受けるものではないため原則として非課税です。

しかし、慰謝料の金額としてあまりにも高額であり、合理的説明がつかないような場合には、慰謝料に仮託された贈与行為であるとして贈与税が課される可能性があります。

極端な例を挙げれば、不貞行為の慰謝料として3000万円支払ったというようなケースが挙げられるでしょう。

不貞行為について3000万円という慰謝料は一般的な相場を考慮すると通常はあり得ない水準であり、実質的な贈与であると評価される余地は相当高いと考えられます。

なお、離婚慰謝料を、現金ではなく、財産分与の意味合いも込めて不動産の譲渡等により支払う場合、次のような税金が課せられる場合もありますので、支払い方も注意するべきでしょう。

支払う側

譲渡所得税

受け取る側

不動産取得税・登録免許税

もし離婚の慰謝料の課税のことで疑問がある場合は、税理士に相談してみましょう。

離婚の慰謝料は2種類ある

離婚の慰謝料には『離婚原因についての慰謝料』と『離婚そのものについての慰謝料』の2種類があります。ふたつの違いは以下の通りです。

離婚の慰謝料の種類

離婚原因についての慰謝料

不貞行為、DVなどの離婚原因となった違法な権利侵害行為により直接的に生じた被害に対する慰謝料の趣旨です。

離婚そのものについての慰謝料

違法な権利侵害行為により夫婦間関係が破綻したという被害に対する慰謝料の趣旨です。

両者を区別する実益は、離婚事由に対応する慰謝料請求権の消滅時効を検討する場合くらいでしょう。それ以外の場合に、両者を区別する実益は特にありません。

離婚原因についての慰謝料は、違法な権利侵害について知ったときから3年の消滅時効にかかります。

そのため、不貞行為があったことを知りながら3年間特にアクションを起こさなければ、相手配偶者に対して慰謝料請求を行うことは困難です。

離婚そのものについての慰謝料は、離婚時から3年の消滅時効にかかります。相手配偶者との関係では、両者を区別する実益はあまりありません。

離婚の慰謝料の相場|ケース別慰謝料の相場一覧

離婚慰謝料全体の相場は50~300万円です。

ただし、この記事で紹介する相場はあくまで慰謝料の目安として参考にしていただく目的ですので、当然、確実にもらえる金額を示すものではありません。

実際の金額はケースに応じて定まりますので、必ずしも目安の範囲に収まらない場合もあります。離婚の慰謝料を決定する上で考慮すべき要素については、「離婚の慰謝料を算定する場合の考慮要素」をご覧ください。

不貞行為(浮気・不倫)の離婚の慰謝料の相場は100~300万円

相手配偶者の浮気・不倫など、不貞行為が原因で離婚に至る場合の、離婚の慰謝料の相場は100~300万円と言われています。

不貞行為は、配偶者が相互に負担する貞操義務に違反する行為であり、違法な権利侵害行為となり得ることは上記のとおりです。

不貞行為により慰謝料を請求するような場合は、次のような事情を考慮して慰謝料を算定するのが通常です。

  1. 不貞行為の回数
  2. 不貞行為の期間
  3. 不貞に至った経緯
  4. 子供の有無 など

DV等の離婚の慰謝料の相場は50~300万円

相手配偶者にDV等があり、結果離婚に至る場合の離婚の慰謝料は50~300万円が相場といわれています。DVは暴力行為ですので、当然、違法な権利侵害となり得ます。

DVを理由とする離婚について慰謝料を請求する場合は、DVの態様、期間、被害の程度等の事情を考慮して慰謝料額を算定するのが通常です。

なお、直接的な暴力ではない暴言や人格否定などのモラハラについても、態様が悪質であり違法な権利侵害といえるような場合には、慰謝料請求が可能な場合もあります。

もっとも、モラハラはDVと違って行為態様がわかりにくい場合もありますので、立証のハードルは相対的に高いです。

慰謝料の決め方

離婚の慰謝料を算定するにあたり、通常考慮される事項について説明します。

離婚慰謝料の算定に明確なルールは存在しない

離婚の慰謝料を算定するに当たって遵守するべきルールは特にありません。離婚の慰謝料はあくまで一方配偶者の精神的苦痛を慰謝するためのものであるため、金額について特段の決まりはないのです。

ナビ子

そのため、夫婦が話し合って、納得して慰謝料額を決めるのであれば、金額は0円でも良いですし、1億円でも良いのです(もっとも、あまりに多額・過剰な慰謝料は課税の問題が生じますので注意してください。)。

ナビ美

もっとも、離婚交渉の場で、通常の目安・相場からあまりにかけ離れた金額を提示しても、協議がまとまる可能性は低いのも事実です。
そのため、話合いにより慰謝料を定めるにしても、一定の目安・相場を共有しながら金額を協議する方が建設的です。
その意味では上記で挙げたような一定の目安は参考になるのではないでしょうか

夫婦の話合いにより慰謝料が決まらない場合は、裁判手続で決めることになります。
具体的には、離婚調停の中で慰謝料についても合わせて協議したり、相手配偶者に対して慰謝料請求訴訟を提起したりして、慰謝料を請求していくことになります。
このような裁判手続では、慰謝料の金額を算定するに当たり、以下のような事情を総合的に考慮して妥当な慰謝料を裁判所が認定するのが通常です。

一般的な要因
  1. 有責行為の態様、期間、頻度
  2. 婚姻期間、同居期間
  3. 婚姻生活の状況
  4. 未成熟の子供の有無
  5. 被害の有無・程度

例えば、以下のような場合には、離婚の慰謝料を増額する方向で検討することになるでしょう。

  • 行為が悪質で相当期間に及んでいる場合
  • 婚姻期間・同居期間が長い場合
  • 未成熟の子供に対する影響(精神的影響、経済的影響等)が大きい場合
  • 実害が生じている場合

婚姻期間と離婚の慰謝料の関係もポイントになる

婚姻期間の長さは慰謝料の算定要素の中でも大きなポイントになっています。

婚姻期間が長いほど、これを破綻に追いやった責任は重いと考えられており、慰謝料額も大きくなる傾向にあります。

千葉県弁護士会が出版している「慰謝料算定の実務<第2版>」にも、婚姻期間と慰謝料は比例関係にあるという傾向があるという記載があります。

もっとも、あくまでケースバイケースですので、婚姻期間と慰謝料額をコミットするものでは全くないことは留意してください。

慰謝料請求では証拠が必須となる

相手配偶者に対して慰謝料を請求する上で、もっとも重要なのは、違法な権利侵害行為についての証拠です。

訴訟をしない場合であれ、訴訟手続であれ、相手に金銭的な請求をするのであれば、その原因となる事実の特定と立証は必須です。

以下、違法な権利侵害行為についてのカテゴリー毎に証拠となり得るものについて簡単に列挙します。

不貞行為
  • 相手配偶者と浮気相手がラブホテルに出入りしていることが分かる写真や動画
  • 相手配偶者と浮気相手が性交等をしていることが分かる音声やメールのやり取り
DV
  • DV行為が行われている現場の状況を捉えた動画、音声
  • DV被害(負傷部位等)について撮影した写真
  • DV被害についての医師診断書
  • DV被害について警察や行政機関に相談し場合の相談記録
  • DV被害について日々記録した日記等

上記で挙げたものはあくまで一例です。どのような形で相手配偶者の違法な権利侵害行為を立証するかは、事案に応じて個別に検討するべき事柄です。一概にこれがあれば大丈夫とか、これがなければダメというものではありません。

相手配偶者に対する請求を真剣に検討している場合は、その立証方法も含めて弁護士に相談することをおすすめします。

離婚慰謝料を請求しやすいケース・しにくいケース

離婚の慰謝料が請求できる・できないは相手配偶者に違法な権利侵害があるかどうかであることは上記のとおりです。

具体的な事例として以下のように区分できると思われますが、あくまで参考であり、絶対的なものではありません。

直ちに慰謝料が発生しないような場合でも、問題に対する対応によっては別途慰謝料が発生するような場合もありますので、注意してください。

請求しやすいケース

不貞行為やモラルハラスメント、DV、悪意の遺棄(経済的な嫌がらせ)、正当な理由のない別居などは、離婚慰謝料を請求しやすいケースです。

ふたつ以上の事情が重なっている場合も、慰謝料の請求が可能です。

請求しにくいケース

離婚慰謝料の請求が難しいのは、性格の不一致や信仰上の対立、健康上の問題、配偶者の親族との不和などです。

ただし、離婚理由にこれらが含まれていても、事情によっては慰謝料を請求できることもあります。

たとえば、不貞行為が大本にあって、不貞行為への配偶者の言動から性格の不一致などを感じたケースです。このように請求しやすいケースが重なっている場合は、請求できる可能性があります。

慰謝料請求が難しいと思われるケースでも自分では判断せず、弁護士に相談して、慰謝料請求可能かアドバイスしてもらうといいでしょう。

離婚の慰謝料を請求する前に知っておくべきこと

相手配偶者に離婚の慰謝料を請求したいと考えるのであれば、まずは相手配偶者の違法な権利侵害を特定する必要があります。そして、特定後、相手配偶者にこの点を明確にして慰謝料を請求することになります。

相手配偶者が任意で慰謝料の支払いに応じてくれるのであれば、慰謝料の金額や支払方法について協議して双方で決定すれば足ります

ナビ子

決定した内容は、後々トラブルとなることを避けるべく、書面化しておくことが必須でしょう。

一方で、相手配偶者が慰謝料の支払いに応じない場合や、慰謝料の金額で合意が成立しない場合は、調停や訴訟などの法的手続を検討せざるを得ません。

この場合、違法な権利侵害行為を特定するだけでは足りず、当該行為があったことを立証できるだけの証拠が必須です。

ナビ美

証拠がない場合は、法的手続での請求は困難であることに十分留意してください。

そのため、相手配偶者と離婚することや離婚の慰謝料の請求を検討しているのであれば、早い段階から準備しておきましょう。

別居してしまえば証拠を収集することが格段に難しくなります。同居している期間中に、押さえられる証拠をできる限り押さえることが重要です。

不貞行為で慰謝料を請求する場合に留意すべき点

不貞行為は違法な権利侵害行為として、典型的な離婚の慰謝料の発生原因です。

しかし、不貞行為と思われる事象があっても、相手配偶者に離婚慰謝料が請求できないケースがあります

ナビ子

具体的には不貞行為があったときに婚姻関係が事実上破綻状態であった場合には慰謝料は発生しないと考えられています。

不貞行為が違法な権利侵害となるのは、これが夫婦相互に存在する貞操義務違反(貞操権侵害)となるからですが、夫婦関係が破綻していたような場合には、夫婦相互に法的に保護すべき貞操義務は存在しないと考えられるからです。

したがって、そのような状態で不貞に及んだとしても、それは違法な権利侵害行為には当たらないことになります。

もっとも、夫婦関係が事実上破綻していたかどうかは本人の主観ではなく、客観的に判断される問題です。

夫婦関係が破綻していたと評価される可能性が低い

夫婦が同居状態にあるとか、別居していても交流が続いているような場合には、夫婦関係が破綻していたと評価される可能性は低い

夫婦関係が破綻していたと評価される可能性がある

別居状態が相当長期に渡っており、夫婦間の交流もほとんどない状態が続いているような場合には夫婦関係が事実上破綻していたと評価されやすい

なお、「不貞行為」とは通常は、男女が肉体関係を持つ行為を意味します。そのため、相手配偶者が他女性と交際していても、男女関係にあるような場合でなければ、通常は「不貞行為」とはいえません。

逆に言えば、ほか女性との間で肉体関係を持つようなことがあれば、一回でも「不貞行為」には該当し得ます。

そのため、風俗店で風俗嬢との間で肉体関係を持ったという場合も、厳密に言えば「不貞行為」に該当するといえそうですが、慰謝料請求が認められるか否か、認められるとしてその金額はいくらになるかは、風俗通いの頻度、期間等によって異なるでしょう。

離婚の慰謝料について権利放棄

離婚の際に慰謝料を請求しないという誓約をしていた場合、後日慰謝料の請求はできるでしょうか。

離婚の慰謝料を請求する権利も民事上の債権ですので、その権利放棄は可能です。

したがって、離婚時に自由な意思決定によりこれを放棄したということであれば、後日離婚の慰謝料を請求することはできないでしょう

しかし、離婚する際に、相手配偶者に違法な権利侵害行為があることを知らない状態ならその限りではありません。

例えば不貞行為を知らなかったようなケースで、慰謝料請求権を包括的に放棄したという場合は、権利放棄の意思表示自体に問題があるとか、権利放棄の対象に存外の権利侵害行為は含まれていないというような法律構成をして慰謝料を請求するということはあり得ると思われます。

この点は完全にケース・バイ・ケースですので、気になる場合は弁護士に相談してください。

離婚の慰謝料を請求する具体的な方法

上記でも簡単に触れましたが、相手配偶者に対して実際に離婚の慰謝料をするという場合の具体的な方法や手順を紹介します。

相手配偶者に離婚の慰謝料を請求する方法

1:まずは協議する

相手配偶者に離婚の慰謝料を請求しようと思うのであれば、まずは離婚についての話合いの中で慰謝料についても協議の対象とすることから始めましょう。

ナビ子

協議の結果、相手配偶者が違法な権利侵害行為についての慰謝料を任意で支払うことに応じ、慰謝料の金額や支払い方法について合意が成立した場合、合意内容は必ず書面化しましょう。

書面化しない場合、後々、「そんな事は言っていない」「そんな約束はしていない」と水掛け論となってしまい、協議の時間が無駄になってしまう可能性があります。

ナビ美

なお、合意書は内容が明確かつ一義的であればどのような形式でも問題はありませんが、可能であれば執行受諾文言付きの公正証書を作成することをおすすめします。

このような形で合意書を作成しておけば、仮に相手が合意内容を守らない場合、訴訟手続を経ることなく強制執行手続に移行できるからです。

一方で、相手が協議に応じようとしない場合や協議しても慰謝料の金額について合意が成立しない場合には、離婚調停の中で慰謝料についても協議するか、裁判所に慰謝料請求訴訟を提起することを検討せざるを得ません。

離婚そのものについても協議がまとまらない場合

家庭裁判所に家事調停を申し立てる

離婚については協議が成立したが慰謝料について協議がまとまらない場合

簡易裁判所や地方裁判所に訴訟提起をする

協議で離婚の慰謝料に関して取り決める際のポイント1: 過剰な慰謝料請求をしても協議が成立しない

協議で慰謝料を決めるに当たって、できる限り高額な慰謝料を取ってやりたいと考えるのが通常でしょう。しかし、協議である以上、まとめるためには相手の合意が必要です。

一方配偶者のみが過剰な慰謝料に固執していても、相手配偶者はこれを了解しないのが通常です。

「有責な行為をしておいて支払いを拒否するなんて」と思うかも知れませんが、相手が有責であるから慰謝料額が青天井などということはありません。

ナビ子

慰謝料の支払いについて協議で解決しようと思うのであれば、一般的な相場・目安を意識した交渉を心がける必要があります。

もちろん、相手がそれより多くを払うというのであればそれを拒む必要はありませんが、相手が支払いに難色を示すような場合は「一般的にはこれくらい」という説明を踏まえて協議をする方がまとまりやすいでしょう。

協議で離婚の慰謝料に関して取り決める際のポイント2: 支払い方法の工夫と一括分割の違い

離婚の慰謝料の支払い方法は、一括と分割、いずれもありえます。支払ってもらう側としては当然一括で支払ってもらいたいところです。分割払いとした場合にきちんと支払が継続する保証はないからです。

しかし、現実問題として一括で支払えるのかどうかは別途検討が必要です。相手に一括での支払い能力がないのに、一括払いに固執しても、やはり協議がまとまらず、せっかく金額で合意できても解決しないことになってしまいます。

この場合は、相手の経済力に応じて一定の分割払いに応じることも検討して良いでしょう。何回払とするのが適切であるといえるかは、ケース・バイ・ケースです。相手の経済力を考慮し、応じられるラインを検討しましょう。

ナビ美

なお、現金での支払能力がないという場合、以下のように財産分与と調整することで慰謝料の一括支払いがされた場合と同様の効果を得ることもできます。

もし財産分与の対象となる財産があるような場合は、このような支払方法についても検討してみてください。

協議で離婚の慰謝料に関して取り決める際のポイント3:財産分与の対象を増やす(慰謝料的財産分与)

財産分与とは、夫婦が共同で構築した財産を離婚に伴って分配する行為です。通常の財産分与は共同財産を半分ずつ折半して行います。

もし、離婚の慰謝料を財産分与で調整したいのであれば、この分配の方法を慰謝料請求を行う側の配偶者に多めに渡すことで、慰謝料の支払いを精算したこととするという処理があります。

例えば、夫婦の共同財産として600万円の不動産があるというような場合に、300万円の慰謝料を請求するケースです。

この場合、現金では300万円を用意できないが、共同財産となる不動産の折半分(300万円の価値)を相手に渡すことで慰謝料の支払を精算したものとするのです。

なお、この場合、不動産の名義を変更することになりますが、これに伴って不動産譲渡に関する課税処理が必要となります。

2:慰謝料で合意できなければ離婚調停を申し立てる

協議により慰謝料について決まらないのであれば、上記のとおり法的手続を検討することになります。ここでは、慰謝料の問題だけではなく離婚そのものについてももめているケースを念頭に流れについて説明します。

このような場合は、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てる事から始めます。離婚調停では離婚に関するあらゆる問題を協議することができますので、離婚の慰謝料の問題についても協議の対象とすることができます。

なお離婚や離婚時に決めるべきこと(親権や財産分与)について特に争いがないということであれば、家事調停ではなく、慰謝料請求訴訟を提起することになります(この場合は後述する3に進んでください。)。

離婚調停は2,000円の印紙を収めれば申し立てることができます。離婚調停では裁判所の調停員が当事者双方から話を聞いて、落とし所を探る手続ですので、相手と顔を合わせることなく第三者を交えた話し合いをすることができます

離婚調停の場で離婚の慰謝料について協議可能ですが、この場合でも、「相手が違法なことをしている気がする」程度では説得力がありませんし、調停委員も積極的に取り合ってくれないでしょう。

相手に慰謝料を請求するのであれば、相手の何が違法な権利侵害であり、それを立証する証拠は何かを明確にすることが大切です。

なお、裁判所が公表する2017年の司法統計によると、離婚調停の平均審理期間は、おおよそ6ヶ月以内が最多となっています。

もっとも、離婚調停の場で必ずしも慰謝料の問題が出るわけではありませんので、慰謝料の問題がこじれた場合に6ヶ月以内で調停が終了する保証は全くありません。

3:訴訟を提起する

離婚調停を行ったけれども離婚について協議がまとまらなかった場合には相手配偶者に対して離婚訴訟を提起して、離婚の可・不可(及びその場合の離婚条件)について裁判所の判断を仰ぐことを検討する必要があります。

また、慰謝料についてのみ争いがある場合は調停を経ることなく離婚訴訟を提起することになります。

【申し立てる裁判所】

離婚そのものについても協議がまとまらない場合

自分または相手の居住地を管轄する家庭裁判所

慰謝料についてのみ協議がまとまらない場合

自分または相手の居住地を管轄する簡易・地方裁判所

もしも裁判を行うのであれば、離婚の慰謝料との関係で言えば相手の違法な権利侵害行為についてはより厳格な主張・立証が求められますので、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

不倫相手に慰謝料を請求する方法

不貞行為に関して言えば、相手配偶者だけでなく、不貞行為の相手当事者に対しても慰謝料を請求できることは前述のとおりです。

このような不貞行為の相手当事者に対して慰謝料を請求する手順は通常は以下のとおりです。

不倫相手に慰謝料を請求する方法
  • 相手当事者と協議の場を持ち、任意での支払を求める
  • 相手当事者が任意支払に応じない場合は訴訟を提起する

基本的には相手配偶者に請求する場合と同じであり、まずは話合いで解決できないかを模索し、これが難しい場合は法的手続をとるという流れです。

違う点は、相手当事者に対する請求は離婚の可否等が問題とならないため、法的手続は簡易裁判所/地方裁判所に対する通常訴訟の提起以外にないということです(もちろん民事調停を申し立てることは可能ですが、訴訟提起をした方が早い事のほうが多いです。)。

詳しくは関連記事をご覧ください。

離婚の慰謝料を請求された場合の対処法

ここでは、離婚の慰謝料を請求された側の配偶者が気をつけるべき点を解説します。

  1. 慰謝料請求について軽々と応じない
  2. 支払能力に不安がある場合は減額・分割の交渉を行う
  3. 財産分与などの方法で慰謝料が支払えないか検討する
  4. 法的手続を行う

1:慰謝料請求について軽々と応じない

「離婚の慰謝料が生じないケース・請求できないケース」で解説した通り、離婚の慰謝料が請求できるのは、一方の配偶者に違法な権利侵害がある場合に限られます。

したがって、離婚することにはなってしまったが、離婚に至ったことについて自身に違法な権利侵害がないと考えるのであれば、相手からの慰謝料請求に軽々と応じるべきではないでしょう。

相手が何の証拠も根拠もなく慰謝料請求を行ってきているのであれば、請求の根拠となる証拠の提示を求め、その提示がない場合には事実を否定して慰謝料の支払を拒むという対応をすべきでしょう。

なお、自分にも違法な権利侵害行為があるが、相手にも違法な権利侵害行為があるという場合は、相手の慰謝料請求権と自分の慰謝料請求権を突き合わせ、相殺処理を行うことを提案するという方法もあり得ます(一方的相殺はできません。)。

2:支払能力に不安がある場合は減額・分割の交渉を行う

過剰な離婚の慰謝料に同意する必要がないことは当然ですが、適正な範囲での慰謝料請求であり、支払意思もあるという場合でも、自身の支払能力に不安がある場合は軽々と一括払いを確約するのは注意が必要です。

支払えないものを支払えるかのように合意してしまい、後々支払えなかった場合、相手の信頼を著しく損ねることになりトラブルのもとです。

このような場合には、自分の支払能力について具体的な資料(預金残高や収入状況等の資料)を踏まえて、現実的な支払いプランについて話し合うことが大切です。

請求側としても現実性の乏しい支払合意よりも、現実性が高く支払が確実である支払計画のほうが有り難いはずです。支払意思があるが支払能力がないという場合は、支払能力の範囲で継続的に弁済できるよう話し合いましょう。

3:財産分与などの方法で慰謝料が支払えないか検討する

上記のとおり、慰謝料の支払に変えて財産分与額を増額するという方法もあります。

慰謝料と財産分与は異なる性質を持っています。財産分与は婚姻中の財産の分割・清算であり、慰謝料は精神的損害への賠償金です。

もっとも、財産分与に慰謝料の性質を加える「慰謝料的財産分与」も可能です。

財産分与と慰謝料の支払いを一緒に行う場合は、被害者側の財産分与に対して慰謝料分を上乗せし、取り分を多くするなどの方法も検討しましょう。

4:法的手続を行う

上記のとおり、相手との間で離婚の慰謝料について協議が調わないのであれば、法的手続の利用を検討せざるを得ません。

離婚そのものについても揉めているのであれば離婚調停を、離婚の慰謝料だけについて揉めている場合は通常訴訟をそれぞれ検討しましょう。

なお、相手がありもしない違法な権利侵害行為(DVやモラルハラスメントなど)をでっち上げているようなケースでは、話し合いによる解決は難しいです。

このようなケースでは、当該行為の存在を請求する側が主張・立証する必要がありますので、法的手続に持ち込んだほうが有利に進むこともあります。

このような方針については弁護士等の専門家に相談しながら慎重に決めていくことが望ましいです。

離婚慰謝料の時効|請求可能な期間は3年

慰謝料には、請求権が行使できる期間である消滅時効があります。

離婚慰謝料を相手配偶者に請求する場合は、離婚した日から3年の消滅時効にかかります。

このような消滅時効には中断(更新)や停止(完成猶予)という制度があります。相手に訴訟手続で裁判上の請求をして権利が確定すれば時効がリセットされ、訴訟外で催告をすると時効完成が一定期間猶予されたりします。

なお民法改正により時効の中断は時効の更新、時効の停止は時効の完成猶予という表現に変わりました(意味内容は改正前と変わりません)。

時効に関する判断も複雑な場合が多く、さらに時効が完成していると、いくら証拠が揃っていたとしても請求が認められなくなってしまいます。

もし「離婚から3年経過しそう」という方や時効の判断に不安がある方は、すぐに弁護士に相談をして、請求が可能かどうか、請求できるとして時効の問題をクリアできるかどうかを相談することをおすすめします。詳細は関連記事をご覧ください。

離婚慰謝料以外に離婚時に発生するお金

離婚のときは慰謝料以外の金銭問題も発生します。離婚慰謝料だけでなく、他の離婚時に発生するお金について取り決めをすることも重要です。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間に夫婦が協力して築いた財産を、その貢献度に応じて公平に分与することです。預金や不動産、有価証券などが対象になります。

年金分割

離婚に際して厚生年金や共済年金を分割することを年金分割といいます。納付実績に応じて年金を分割し、将来的な年金に反映させる仕組みです。

養育費

養育費とは、子供が成人するまでに必要となる費用のことです。子供の学費や、医療費、食費など、養育にかかる費用が含まれます。子供と同居していない親が、子供が自立するまで支払うのが一般的です。

まとめ

離婚の慰謝料について説明しましたが、相手に請求する場合はまずは話合いが大切です。

また、話合いをスムーズに進めるためには相手の違法な権利侵害行為を特定し、これを立証できる証拠を用意することも大切です。

何から手を付けてよいかわからないという場合が大半と思いますが、そのような場合には弁護士との無料相談を活用してみましょう。

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KL2020・OD・037

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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