【弁護士監修】不倫慰謝料の相場・示談書の書き方・交渉の流れをくわしく解説
パートナーの不倫が発覚し、慰謝料を請求したい。あるいは、請求されてしまい、どう対処すべきかわからない。
いずれの立場でも、裁判は避けて早期に解決したいと考える方がほとんどです。
不倫慰謝料の示談金相場は50万〜300万円程度で、示談書の作り方次第で不払いや蒸し返しを防げるかどうかが大きく変わります。
本記事では、不倫慰謝料の示談における相場や増減要因、示談書に記載すべき9項目とテンプレート、交渉の具体的な流れまで網羅的に解説します。
弁護士に依頼するメリットや実際の解決事例も紹介しているので、示談を有利に進めるための判断材料にしてください。
不倫(浮気)の示談とは?示談金と慰謝料の違いを解説

不倫の示談とは、裁判をせずに当事者同士の話し合いで慰謝料の金額や支払い条件を決め、合意によって問題を解決する手続きです。
合意内容を示談書として書面化し、双方が署名・押印することで法的な効力を持ちます。
示談で支払われる金銭は示談金と呼ばれますが、慰謝料と混同されやすいので注意が必要です。
示談金と慰謝料の違い
示談金は、慰謝料に加えて通院治療費や休業損害など示談で支払われる金銭すべてを含む総称です。一方、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金のみを指します。
不倫の示談では慰謝料が示談金の大部分を占めるケースがほとんどですが、厳密には意味が異なる点は押さえておきましょう。
示談金と慰謝料の関係を整理すると、示談金のなかに慰謝料が含まれる構造です。
| 項目 | 示談金 | 慰謝料 |
|---|---|---|
| 意味 | 示談によって支払われる金銭の総称 | 精神的苦痛に対する賠償金 |
| 範囲 | 慰謝料 + 治療費 + 休業損害 など | 精神的苦痛に対する部分のみ |
| 関係性 | 慰謝料を含む上位概念 | 示談金の一部 |
不倫の示談では、多くの場合「示談金=慰謝料」として扱われます。
示談金には慰謝料以外の意味にも含まれるため、内訳を正確に把握しておけば混乱を防げるでしょう。
示談書と誓約書の違い
示談書と誓約書は、どちらも書面で約束を残す点は共通していますが、性質が大きく異なります。
| 項目 | 示談書 | 誓約書 |
|---|---|---|
| 書面の性質 | 双方合意の契約書 | 約束を守る側(差し入れ側) |
| 署名・押印 | 当事者双方 | 約束する側のみ |
| 法的拘束力 | 当事者双方を拘束する | 約束する側のみを拘束する |
| 主な用途 | トラブル解決・和解の条件決定 | 秘密保持・違反しないことの約束 |
示談書は、当事者双方が合意した内容を記載する書面です。慰謝料の金額や支払方法、接触禁止条項などの合意事項を双方の署名・押印で確定させます。
誓約書は、一方の当事者が相手に対して約束事項を誓う書面です。作成者のみが署名・押印するため、相手方の同意は必要ありません。
不倫の慰謝料問題を確実に解決するなら、双方を法的に拘束できる示談書の作成がおすすめです。
不倫を示談で解決するメリット3つ
不倫の慰謝料問題は、裁判ではなく示談で解決するケースが大半です。
ここでは、不倫を示談で解決するメリットを3つ解説します。
①早期解決が期待できる
示談における最大のメリットは、裁判に比べて解決までの期間が短い点です。
裁判になると、判決が出るまで半年〜1年以上かかるケースも珍しくありませんが、示談であれば早ければ数週間、長くても1〜3ヶ月程度で合意に至るケースが多いです。
合意した内容を示談書として書面化すれば、金額や支払方法、期日を明確に残せます。口約束による「言った・言わない」のトラブルも防げます。
精神的な負担を長引かせたくない方にとって、早期解決できる示談は有力な選択肢です。
②不倫の再発を抑制できる
示談書に接触禁止条項や違約金条項を盛り込めば、不倫の再発に対する抑止力になります。
たとえば「配偶者と不倫相手が今後一切接触しないこと」「違反した場合は違約金100万円を支払うこと」といった条項の設定が可能です。
示談書は、不倫の事実を相手が認めた記録としても機能します。万が一、示談内容が守られず裁判に発展した場合でも有力な証拠として活用できるでしょう。
ただし、示談書だけで相手の行動を物理的に制約する力はありません。あくまで「違反した場合のペナルティ」による心理的な抑止効果である点は理解しておきましょう。
③高額な慰謝料を受け取れる可能性がある
示談では、裁判の判決よりも高額な慰謝料で合意できる場合があります。
裁判の慰謝料額は過去の判例に基づいて算出されるため、ある程度の上限が見えています。
一方、示談は当事者間の合意で金額が決まるため、相手が合意すれば判例の相場を超える金額で成立可能です。
特に、不倫相手が職場への発覚や裁判沙汰を避けたいと考えている場合は、相場以上の金額で示談に応じるケースもあります。
交渉力次第で金額が変わるからこそ、弁護士に依頼して有利な条件を引き出すのがおすすめです。
不倫の示談で支払われる慰謝料の相場
不倫の示談で支払われる慰謝料の相場は、一般的に50万〜300万円程度といわれています。
ただし金額は一律ではなく、婚姻期間の長さや未成年の子どもの有無、不倫の期間など、複数の事情によって変わります。
相場はあくまでも目安です。交渉の進め方や証拠の強さによって、実際に受け取れる金額は大きく変わってくるでしょう。
不倫の示談金額が高額・低額になる主な要素
不倫慰謝料の金額は、さまざまな要素によって増減します。
請求する側は「どの要素があれば増額できるか」、請求される側は「どの要素があれば減額を主張できるか」を把握しておくと、交渉を有利に進められるでしょう。
以下では、主な増額要因・減額要因を一覧にまとめました。
| 要素 | 高額になりやすいケース | 低額になりやすいケース |
|---|---|---|
| 婚姻期間 | 長い(10年以上など) | 短い(1〜2年など) |
| 子どもの有無・年齢 | 幼い子どもがいる | 子どもがいない |
| 不倫前の夫婦関係 | 円満だった | すでに不仲・別居中 |
| 不倫の期間・回数 | 長期間・頻回 | 短期間・1〜2回程度 |
| 発覚後の態度 | 反省がない・開き直り | 真摯に謝罪している |
| 被害者への影響 | うつ病発症・離婚に至った | 精神的ダメージが軽度 |
| 加害者の地位・収入 | 高収入・社会的地位が高い | 収入が低い |
| 時効 | 発覚から間もない | 時効が迫っている |
| 経済的事情 | 支払い能力が十分ある | 資力が乏しい |
| 請求側の過失 | なし | 請求側にも落ち度がある |
自分のケースでどの要素が該当するか分からない場合は、弁護士に相談すれば具体的な見通しを教えてもらえます。
不倫慰謝料が高額になりやすい4つのケース
慰謝料が相場の上限に近づきやすいのは、被害者の精神的苦痛が大きいと評価されるケースです。
以下で、高額になりやすい4つのパターンを紹介します。
| ケース | 内容・評価のポイント | 慰謝料の目安・傾向 |
|---|---|---|
| 離婚に至った | 婚姻関係が破壊されたと評価されるため | 200万〜300万円以上になることも |
| 期間が長く回数が多い | 数年にわたる関係などは、悪質性が高いと判断されるため | 増額の可能性が高い |
| 幼い子どもがいる | 子どもへの精神的影響が考慮され、増額要素となるため | 増額の要因となる |
| 妊娠・出産した | 被害者の精神的苦痛が極めて大きいと判断されるため | 高額な慰謝料が認められやすい |
該当する要素が多いほど増額交渉で有利になるため、証拠とあわせて弁護士に整理してもらうのがおすすめです。
示談交渉を進めるときの具体的な流れ
示談交渉の進め方は、当事者同士で交渉するケースと弁護士が代理人につくケースで異なります。
それぞれの流れを確認しておきましょう。
当事者同士で交渉する場合
当事者同士の示談交渉は、電話やメール、LINEなどのやり取りで進めるのが一般的です。
まずは不倫の事実を相手に伝え、慰謝料の金額と支払条件を提示します。相手が金額や条件に異議を唱えた場合は、妥協点を探りながら交渉を続けましょう。
合意に至ったら、示談書を作成して双方が署名・押印します。口頭での合意だけでは、後から「そんな約束はしていない」と否定されるリスクがあるので、必ず書面に残しましょう。
なお、当事者同士の交渉は感情的になりやすく、冷静な話し合いが困難になるケースが多い傾向にあります。
交渉が難航した場合は、早い段階で弁護士に相談するのを強くおすすめします。
代理人(弁護士)がつく場合
弁護士に依頼する場合、交渉は段階的に進みます。
まずは、被害者側の弁護士が不倫相手に対して内容証明郵便を送付します。内容証明には、不貞行為の事実と慰謝料の請求額、回答期限を記載するのが通常です。
内容証明を受け取った相手方から返答があれば、弁護士同士または弁護士と相手方の間で交渉が始まります。
その後、金額・支払方法・付帯条件について合意できれば、示談書を作成して締結する流れとなります。
弁護士が代理人として交渉するため、依頼者本人が相手と直接やり取りする必要はありません。
内容証明の送付から示談成立まで、早ければ1〜2ヶ月程度で完了します。
不倫慰謝料をしっかり受け取る示談書の作成ポイント
示談書を作成する際は、内容に不備があると、不払いや蒸し返しといったトラブルに発展しかねないので注意が必要です。
ここでは、不倫慰謝料をしっかり受け取る示談書を作成するためのポイントを解説します。
正確な記載事項を記載する
示談書は、曖昧な表現を排除し、正確な内容で作成する必要があります。
たとえば「慰謝料を支払う」とだけ記載し、金額や支払期日が明記されていなければ、相手に「金額は合意していない」と主張される余地を残してしまいます。
「誰が」「誰に」「いくらを」「いつまでに」「どの方法で」支払うのかを、具体的に記載してください。
示談書に盛り込むべき項目は、以下の9つです。
- 不貞行為の事実(当事者の氏名・不貞行為の時期・内容)
- 慰謝料の金額
- 支払方法(一括払い・分割払い)
- 支払期日
- 振込先口座
- 遅延損害金の定め
- 違約金条項(再度の不貞行為時のペナルティなど)
- 清算条項(示談書記載の内容以外、互いに請求しないことの確認)
- 当事者双方の署名・押印・日付
特に重要なのが、清算条項です。
清算条項がなければ、示談後に追加請求される可能性が残るので注意が必要です。
示談書のテンプレート
以下は、不倫慰謝料の示談書テンプレートです。
|
示談書 甲(被害者氏名)と乙(加害者氏名)は、以下のとおり示談する。 第1条(不貞行為の事実) 乙は、○年○月頃から○年○月頃まで、甲の配偶者である丙(配偶者氏名)と不貞行為をおこなった事実を認める。 第2条(慰謝料) 乙は、甲に対し、本件の慰謝料として金○○万円の支払義務があることを認める。 第3条(支払方法) 乙は、甲に対し、前条の金員を○年○月○日までに、甲が指定する下記口座に一括で振り込む方法により支払う。 ○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○○○○ 口座名義○○○○ 第4条(遅延損害金) 乙が前条の期日までに支払いを完了しなかった場合、乙は残額に対し年○%の割合による遅延損害金を支払う。 第5条(接触禁止) 乙は、今後一切、丙と面会、電話、メール、SNS等いかなる手段によっても接触しないことを約束する。 第6条(違約金) 乙が前条に違反した場合、乙は甲に対し、違約金として金○○万円を支払う。 第7条(清算条項) 甲及び乙は、本示談書に定めるもののほか、甲乙間には何らの債権債務がないことを相互に確認する。 ○年○月○日 甲(署名・押印) 住所: 氏名: 乙(署名・押印) 住所: 氏名: |
ただし、上記はあくまで一般的なひな形です。
個別の事情によって必要な条項は変わるため、弁護士に確認したうえでカスタマイズすることをおすすめします。
なるべく被害者側が作成する
示談書は、できる限り被害者側が主導して作成するのがおすすめです。
自分で作成すれば、接触禁止条項や違約金条項など、自分に有利な条件を盛り込みやすくなります。
逆に、相手側が用意した示談書にそのまま署名するのはリスクがあります。
相手に有利な条件が含まれていたり、清算条項の範囲が広すぎて将来の請求権を失ってしまう可能性があるからです。
相手から示談書を提示された場合は、署名する前に必ず弁護士にチェックしてもらいましょう。
公正証書で示談書を作成する
示談書の効力をより確実にしたい場合は、公正証書にすることを検討してください。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な文書です。通常の示談書よりも証拠力が高く、裁判で争われた場合にも強い効力を発揮します。
強制執行認諾文言を入れれば、相手が慰謝料を支払わなかった場合、裁判を経ずに給与や預金を差し押さえできます。
通常の示談書だけでは、不払いが発生しても裁判を起こさなければ強制執行はできません。
| 項目 | 通常の示談書 | 公正証書 |
|---|---|---|
| 作成場所 | 当事者間 | 公証役場 |
| 証拠力 | 通常 | 高い |
| 強制執行 | 裁判が必要 | 裁判なしで可能(※認諾文言あり) |
| 作成費用 | 無料 | 慰謝料額に応じて数千円〜数万円 |
費用はかかりますが、相手の支払い能力や誠実さに不安がある場合は、公正証書にしておくと安心です。
不倫慰謝料の示談交渉で注意すべき4つのポイント

示談交渉では、知らずに不利な状況に陥ってしまうケースがあります。
交渉を始める前に、以下4つの注意点を確認しておきましょう。
①時効が成立すると慰謝料請求できなくなる
不倫慰謝料には時効があります。
時効を過ぎると、どれだけ証拠が揃っていても請求権を失ってしまうので注意が必要です。
民法724条で定められた時効期間は、以下の2つです。
- 不倫がおこなわれた時から20年間
- 配偶者の不倫と不倫相手を知った時から3年間(相手を特定できた時点が起算日)
※不倫の事実を知らなかった場合でも、20年が経過すると請求できなくなる
時効が迫っている場合は、内容証明郵便の送付や裁判の提起によって時効を中断させる方法があります。
まだ時効を過ぎていないか気になる場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
②慰謝料請求できないケースがある
不倫があったとしても、すべてのケースで慰謝料を請求できるわけではありません。
請求が認められない主なケースは、以下のとおりです。
| 認められないケース | 認められない主な理由 |
|---|---|
| 不貞行為を証明する十分な証拠がない場合 | 証拠不十分では不貞行為を立証できないため |
| 不倫が始まった時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合 | 婚姻関係が破綻した原因が不貞行為ではないため |
| 不倫相手が脅迫や暴力で無理やり肉体関係を結ばされていた場合 | 加害者ではなく被害者にあたるため |
| 既に配偶者または不倫相手から十分な慰謝料を受け取っている場合 | 慰謝料の二重取りはできないため |
不倫相手が、配偶者を既婚者だと知らなかった場合、故意・過失がなければ不倫相手への請求は認められません。
自分のケースが請求可能かどうか判断が難しい場合は、弁護士に確認するのが確実です。
③一度示談が成立するとやり直しができない
示談は法的には契約と同じ性質を持つため、一度成立すると原則としてやり直しができません。
「もっと高い金額を請求すればよかった」「条件を変えたい」とあとから思っても、相手の同意がなければ変更はできないのが現実です。
示談書に署名・押印した時点で合意が確定するため、内容に少しでも不安がある段階で署名するのは避けるべきです
金額や支払条件、接触禁止条項、清算条項の範囲まで、全てに納得してから署名しましょう。
自分だけで判断するのが不安な場合は、署名前に弁護士にチェックしてもらうのがおすすめです。
④暴力・暴言・署名の強要は絶対に避けること
示談交渉の場で、暴力や暴言、署名の強要は絶対にやめてください。
脅迫や強要のもとで交わされた示談書は、あとから無効を主張される可能性があります。
せっかく合意に至っても、示談書そのものが無効になれば、交渉は振り出しに戻ります。
さらに、以下のような罪に問われるリスクもあります。
- 脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)
- 強要罪(3年以下の拘禁刑※罰金刑はなく、直ちに拘禁刑の対象)
強要罪には罰金刑がないため、起訴されて有罪になれば直ちに刑務所へ行く可能性(拘禁刑)がある非常に重い罪です。
被害者側であっても、行き過ぎた言動は加害行為として扱われかねないので注意しましょう。
感情的になりやすい場面だからこそ、冷静さを保つのが難しいと感じるなら、弁護士に交渉を任せるのが安全です。
示談交渉が難航した場合の2つの対処法
相手が交渉に応じない、金額が折り合わないなど、示談交渉が難航するケースは珍しくありません。
ここでは、話し合いが行き詰まった場合に検討すべき2つの対処法を紹介します。
①民事調停を申し立てる
示談交渉がまとまらない場合、家庭裁判所に民事調停を申し立てる方法があります。
民事調停では、裁判所が選任した調停委員が仲介役として間に入ってくれます。当事者同士が直接顔を合わせずに話し合えるため、感情的な対立が激しいケースでも和解が成立しやすい傾向にあるのが特徴です。
調停が成立すると「調停調書」が作成されます。調停調書には判決と同じ法的拘束力があり、相手が支払いに応じなければ強制執行も可能です。
裁判より手続きが簡易で、費用も数千円程度と経済的な負担が少ない点もメリットといえます。
②ADR機関に相談する
ADR(裁判外紛争解決手続)は、裁判所を通さずに専門家の仲介で紛争解決を目指す制度です。
弁護士や法律の専門家が仲介役として双方の主張を聞き取り、解決に向けた具体的な方向性を示してくれます。裁判と比べると費用が抑えられ、解決までの期間も短い傾向にあります。
裁判とADRの費用・期間の目安は、以下のとおりです。
| 比較項目 | 裁判 | ADR |
|---|---|---|
| 申立費用 | 印紙代(請求額の約1%) | 数千円〜数万円程度 |
| 弁護士費用の目安 | 50万〜100万円以上 | 20万〜50万円程度 |
| 解決までの期間 | 1〜3年程度 | 数か月〜1年程度 |
| 手続きの複雑さ | 高い | やや高い |
| 強制執行力 | あり | 仲裁のみあり |
ただし、注意点が一つあります。ADRの手続きのうち、判決と同じ効力(債務名義)を持つのは仲裁のみです。
あっせんや調停では強制執行ができないため、相手の支払い意思に不安がある場合は仲裁を選ぶか、公正証書の作成を別途検討する必要があります。
そのため、費用を抑えつつ確実に進めるなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。
不倫慰謝料の示談を弁護士に依頼する3つのメリット
不倫慰謝料の示談交渉は、弁護士に依頼することで有利に進められる可能性が高まります。
請求する側・請求される側のどちらにとっても、弁護士を入れるメリットは大きいでしょう。
具体的なメリットを解説します。
①適正な慰謝料額の判断ができる
弁護士に依頼する最大のメリットは、慰謝料額の妥当性を正確に判断してもらえる点です。
不倫慰謝料の相場は50万〜300万円程度と幅が広く、不倫の期間や婚姻年数、子どもの有無などによって金額が大きく変動します。
相場を知らずに交渉すると、以下のようなリスクがあるため注意が必要です。
- 請求する側:本来もらえるはずの金額を取りこぼす
- 請求される側:不当に高い金額を支払ってしまう
弁護士は過去の判例や裁判所の傾向を踏まえて、適正な金額を算出してくれます。
「相手の言い値で合意してしまった」と後悔しないためにも、金額の妥当性は弁護士に確認しておくのがおすすめです。
②示談書の不備によるトラブルを防げる
弁護士に依頼すれば、法的に有効な示談書を作成してもらえます。
自分で示談書を作成した場合、条項の漏れや表現の曖昧さが原因で、あとからトラブルになるケースが少なくありません。
たとえば清算条項が抜けていると、示談後に追加請求される可能性が残るので注意が必要です。
しかし弁護士に依頼すると、作成する示談書に違約金条項や清算条項などの将来のリスクに備えた条項を適切に盛り込んでくれます。
示談書の作成段階から弁護士に関与してもらうのが、トラブルを防止するうえで確実です。
③交渉の負担・精神的ストレスを軽減できる
弁護士が代理人として交渉すれば、相手と直接やり取りする必要がなくなります。
不倫問題は感情的になりやすく、当事者同士の交渉では冷静さを保つのが難しいケースも多いです。
怒りや悲しみから感情的な発言をしてしまい、交渉が決裂したり、不利な条件で合意してしまうリスクも考えられます。
弁護士が間に入れば、法的根拠にもとづいた冷静な交渉が可能です。精神的な消耗を最小限に抑えながら、有利な条件で示談をまとめたい方は、弁護士の力を借りるのをおすすめします。
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【被害者側】妻の浮気で不倫慰謝料300万円を示談によって回収できたケース
妻の浮気が判明し、不倫相手に対して慰謝料300万円を示談で回収した事例です。
弁護士が介入したことで、裁判に発展させることなく示談交渉のみで高額な慰謝料を獲得しています。
不倫の期間や悪質性を根拠に弁護士が適正な金額を算出し、交渉を進めたことが、300万円という高額の合意につながりました。
裁判を避けつつ、しっかりと慰謝料を回収したい方にとって参考になる事例です。
【加害者側】被害者と示談書を交わしていたが400万円の減額に成功したケース
すでに被害者との間で示談書を交わしていたものの、弁護士に相談した結果、400万円の減額に成功した事例です。
一度示談が成立すると原則やり直しはできませんが、示談の過程で強迫や錯誤といった意思表示の瑕疵があった場合は、取り消しや再交渉の余地があります。
弁護士が示談の経緯を精査し、法的根拠にもとづいて減額交渉をおこなったことで、大幅な減額が実現しました。
示談書に署名した後でも、「納得していなかった」「脅されていた」といった事情がある場合は、弁護士に相談する価値があります。
【加害者側】被害者と200万円の示談書を交わしていたが100万円の減額に成功したケース
被害者との間で200万円の示談書を交わしていましたが、弁護士が介入して100万円の減額に成功した事例です。
示談書の内容や締結時の状況を弁護士が確認し、減額を主張できる法的根拠を見つけたことで、再交渉が実現しました。
すでに示談が成立している場合でも、示談書の内容に問題があったり、締結時の経緯に不当な点があったりすれば、減額できる可能性はゼロではありません。
「高すぎる金額で合意してしまったかもしれない」と感じている方は、まず弁護士に事情を話してみてください。
不倫慰謝料の示談に関するよくある質問
最後に、不倫慰謝料の示談について多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q.示談金の支払い時期はいつにすべき?
一括払いの場合は、示談成立後できるだけ早い時期に設定するのがおすすめです。
示談書には「示談書締結から14日以内に支払う」など、具体的な期日を明記してください。期日の記載がないと、いつまでも支払いを引き延ばされるリスクがあります。
分割払いの場合は、毎月の支払日、支払回数、1回あたりの金額を示談書にすべて記載します。
加えて、支払いが遅れた場合の遅延損害金や期限の利益喪失条項も盛り込んでおくと、不払いリスクを抑えられるでしょう。
Q.減額交渉の期間はどれくらい?
減額交渉にかかる期間は、1〜3ヵ月程度が目安です。
相手が早期解決を望んでいる場合は1ヵ月以内にまとまるケースもあります。一方、争点が多かったり相手が交渉に消極的だったりすると、3ヵ月以上かかることも珍しくありません。
弁護士が介入すると交渉がスムーズに進みやすく、期間が短縮されるケースもあります。
交渉が長引くほど精神的な負担も大きくなるため、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。
Q.再交渉の方法とタイミングとは?
示談が成立した後の再交渉は、原則として認められません。なぜなら、示談は双方の合意で成立する契約であり、一方的に撤回はできないためです。
ただし、示談の意思表示に納得してサインしたとは言えない重大な問題があったときは例外的に再交渉が認められる場合があります。
たとえば、脅迫によって無理やり署名させられた場合や、重要な事実について騙されていた場合は、示談の取り消しを主張できる可能性があります。
再交渉の余地があるかどうかの判断は難しいので、「おかしい」と感じた時点で早めに弁護士に相談するのが賢明です。
Q.慰謝料を払わない場合のリスクは何?
示談で合意した慰謝料を支払わない場合、被害者から裁判を起こされる可能性があります。
裁判で支払い命令が出されても応じなければ、給与や預金口座の差し押さえに発展するので注意が必要です。
公正証書で示談書を作成していた場合は、さらにリスクが高くなります。公正証書に強制執行認諾文言が含まれていれば、裁判を経ずに直接差し押さえが可能です。
慰謝料の支払いが困難な場合は、放置せず、分割払いの相談や減額交渉を弁護士に依頼するのが現実的な対処法です。
Q.違法な証拠収集をする場合のリスクは何?
違法な方法で集めた証拠は、裁判で採用されない可能性があります。
それだけでなく、証拠収集の手段そのものが以下のような犯罪行為にあたるリスクもあります。
- 住居侵入:(3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)
- 不正アクセス禁止法違反(3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
- 窃盗罪(10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)
- 器物損壊罪(3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金・科料)
さらに、違法な証拠収集が発覚した場合、逆に相手から損害賠償を請求される恐れもあります。慰謝料を請求するつもりが、逆に請求される立場になりかねません。
証拠の集め方に不安がある場合は、弁護士に相談して合法的な証拠の集め方を確認してください。
Q.自分で作成した示談書にも法的効力はある?
双方の署名・押印があれば、自分で作成した示談書にも法的効力はあります。
ただし、内容に不備や漏れがあると、あとからトラブルになるリスクは高くなります。
清算条項が抜けていたり、違約金条項の記載が曖昧だったりすると、示談後に話が蒸し返されるおそれがあるので注意が必要です。
法的効力をより強固にしたい場合は、公正証書として作成する方法があります。公正証書にすれば証拠力が高まり、強制執行認諾文言を入れることで不払い時の差し押さえも可能になります。
もし自分で作成する場合でも、弁護士にリーガルチェックを依頼するのがおすすめです。
Q.相手が示談交渉に応じないときはどうすればいい?
相手が交渉に応じない場合は、裁判の意思を明確に伝えるのが有効です。
「示談に応じなければ裁判を提起します」と書面で通知すれば、相手の態度が変わるケースは少なくありません。
裁判は原則として公開でおこなわれるため、職場や知人に知られたくない相手にとっては強い圧力になるでしょう。
裁判になれば弁護士費用や時間もかかるため、早期解決を望む相手であれば示談交渉に応じる可能性が高まります。
それでも応じない場合は、民事調停の申立てや訴訟の提起を検討するのをおすすめします。
Q.示談成立後に追加で慰謝料を請求できるケースはある?
原則として、示談成立後に追加の慰謝料請求はできません。なぜなら、清算条項を含む示談書に署名した時点で、互いに追加請求しないことに合意しているからです。
ただし、示談成立後も不倫を続けていた場合や別の相手と新たに不倫を始めた場合は例外です。
新たな不貞行為は、示談で解決した過去の不倫とは別の不法行為として扱われます。以前の示談の清算条項には含まれないため、改めて慰謝料を請求できます。
追加請求が可能かどうかの判断は難しいため、弁護士に事実関係を伝えて確認しましょう。
Q.示談締結後に慰謝料が振り込まれないときはどうなる?
まずは、書面やメールで支払いを催促してください。
もし催促しても振り込まれない場合は、訴訟の提起や裁判所への支払督促の申立てが必要です。
通常の示談書だけでは、強制執行(差し押さえ)はできません。裁判で判決を得るか、支払督促に仮執行宣言を付ける必要があります。
ただし、強制執行認諾文言付きの公正証書で示談書を作成していた場合は、裁判を経ずに強制執行が可能です。
訴訟になった場合でも、示談書は有力な証拠として機能します。特段の理由がなければ、示談書の内容どおりの判決が出るのが通常です。
不払いが発生したら、できるだけ早い段階で弁護士に相談して対処方針を決めてください。
まとめ|不倫慰謝料の示談は弁護士に相談しよう
不倫慰謝料の示談は、裁判を避けて早期に問題を解決できる有効な手段です。
ただし、示談書の内容に不備があれば、不払いや蒸し返しといったトラブルに発展するリスクがあります。慰謝料の相場を知らずに交渉すると、請求する側は取りこぼし、請求される側は不当に高い金額を支払ってしまう可能性も否定できません。
適正な金額で合意し、法的に有効な示談書を作成するには、弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、相手との直接交渉も不要になり、精神的な負担も大幅に軽減されます。
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