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不妊を理由に離婚が成立するケース・しないケース

弁護士法人未緒法律事務所
原口 未緒
監修記事
不妊を理由に離婚が成立するケース・しないケース

2017年の統計では、不妊を心配したことのある夫婦は35%、実際に不妊治療を受けたことのある夫婦は18.2%という結果が出ています(参考:不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック|厚生労働省)。

不妊治療は精神的にも肉体的にも負担が多く、治療機関が長くなれば長くなるほど、不妊治療や妊娠の理解や熱量の相違から、離婚を検討する人もいるでしょう。

治療は肉体的精神的にとても辛く、夫にあたってしまい喧嘩が増え、その事で夫婦の歯車が狂ったように思ってしまいます。 夫は初婚で、私はバツ一(一度目は私がマリッジブルーに陥り不安定で覚悟がないまま結婚し結果スピード離婚になってしまいました‥)再婚の際はかなりの覚悟でしたが、価値観の不一致で沢山喧嘩をする度にすぐに離婚と口にする旦那にずっと向き合って来ましたが、色々と心が折れ、先が見えなくなってしまいました。(引用:Yahoo!知恵袋)

このまま2人で生きるか、子供を諦めず離婚するかは究極の選択でしょう。この記事では、不妊を理由に離婚を迷っているあなたが知っておくべきこと、不妊を理由とした離婚は認められるのかなど詳しく解説しています。

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この記事に記載の情報は2023年11月13日時点のものです

不妊を理由に離婚できるケース・できないケース

そもそも不妊を原因とした離婚は認められるのか?という点についても解説します。

互いが合意さえすれば離婚理由に関係なく離婚が成立する

いかなる離婚理由であっても、双方が離婚に同意し、離婚届に署名・捺印を行い役所に提出すれば、その時点で離婚は成立します。これは「協議離婚」と言い、日本でもっとも一般的な離婚の方法です。

また、調停を利用して離婚する「離婚調停」でも、双方の合意さえあれば、不妊を理由に離婚できます。離婚調停とは、それぞれが調停委員と面談し、調停委員を仲介し離婚するか・しないかを決めていく方法です。

状況によっては、調停委員はあくまで中立ですが、合意案として離婚しない方がいいのではないかと提案するケースもあり、必ずしも味方ではないことに注意しましょう。

離婚裁判ならば不妊だけで離婚を成立させることは難しい

離婚調停でも離婚に至らず、裁判で離婚する場合は、不妊だけを原因として離婚を主張しても認められない可能性があります。例えば、「僕は子どもが欲しいが不妊の原因が妻にあり、治療を行っても改善しない。だから別れたい」というような理由で夫が妻に対して訴訟を起こしたとしても、夫の言い分は論理的にも通らないでしょう。

そもそも裁判で離婚が認められるには、離婚原因が以下の法定離婚事由に該当していることが条件になります。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 配偶者の生死が3年以上不明
  4. 配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みが無い
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由

ただし、「不妊がきっかけとなり夫婦関係が破たんした」ことを主張すれば、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められるケースがあります。例えば以下のようなケースです。

  • 不妊であることがわかってから夫婦間で喧嘩が絶えない
  • 不妊であることが原因で長らく別居をするようになった など

また、セックスレスに不妊の原因がある場合、程度やセックスレスに至った経緯、改善の態度などによっては離婚が認められる可能性があります。

不妊で離婚するか迷った場合にまずすべきこと

不妊で離婚するか迷った場合、まず以下のようなことを行ってみましょう。

子供に対する希望や熱量を再確認する

不妊治療が長くなればなるほど、一方の子供に対する希望や熱量が落ちてしまうケースもあります。

妊娠のための性交渉をするのが苦痛でセックスレスに陥ったり、心身共に疲れてしまうなどです。一方は希望を捨てていないため、夫婦関係が余計に悪化する原因にもなりえます。

一度夫婦で話し合い、子供について、もし子供を諦めた場合の生活について話し合いましょう。その際は、養子をとることについても考えをすり合わせておくことをおすすめします。

話し合いをしても、どうしても溝を埋めきれないのであれば、離婚を本格的に考えることをおすすめします。

不妊や妊娠から離れて夫婦の時間を持つ

不妊治療に専念してしまうと、夫婦間の会話や行動がすべて不妊治療のためになることも珍しくありません。

もちろん加齢によりリスクが高くなるため、1日1日を無駄にできないという気持ちもあるでしょう。しかし、一度夫婦関係に大きな溝が入ってしまうと、妊娠できたとしても夫婦関係の悪化が続き最終的に離婚を選択してしまう可能性もあります。

一度、不妊治療や妊娠から離れて夫婦の時間をもってみましょう。夫婦の時間を持った時、配偶者に対し愛情を感じるのであれば離婚はおすすめできません。

不妊を理由に離婚を決意した場合に知っておくべきこと

不妊を理由に離婚を決意した場合、以下の2つのことについて知っておきましょう。

女性は再婚するのに100日(約3ヶ月)の禁止期間がある

不妊で離婚した場合、年齢のことも考え再婚を考えている人も多いと思います。その際、女性には100日の再婚禁止期間がありますので注意が必要です。

また、離婚後に妊娠が発覚した、ということがないよう離婚する際は不妊治療をやめ数か月様子を見るなどしてタイミングを計りましょう。

離婚する際の慰謝料について

「不妊」は一方のせいではないため、不妊を理由に慰謝料請求は難しいでしょう。ただし、生殖器の障害などを隠したまま結婚し不妊に至った場合、離婚できる余地があります。

実際に、性交不能を隠したまま結婚し、性交渉が一切なく婚姻関係が破綻した事例では、性交不能および夫婦関係の破綻に対し原告が精神的苦痛を負ったと判断され、200万円の慰謝料請求が認められました。

 

婚姻前には結婚の条件として自己に不利な事情を敢えて開示しないのが通常人の心情であり、それには無理からぬものがあり、一般には事実の単なる消極的不告知が不法行為となることはないというべきであるが、告知されなかった結婚の条件が、婚姻の決意を左右すべき重要な事実であり、その事実を告知することによって婚姻できなくなるであろうことが予想される場合には、その不告知は、信義則上違法の評価を受け、不法行為責任を肯定すべき場合がありうると解するのが相当である。(昭和62年5月12日 京都地裁 文献番号1987WLJPCA05121050)

 

なお、不妊以外に浮気やDVなど慰謝料請求できる理由がある場合、弁護士に相談することをおすすめします。

不妊を理由に離婚を迫られた場合の対処法

不妊の原因があなたにあり、それを理由に離婚を突きつけられた場合ですが、あなたが離婚をしたくなければ、同意する必要はありません

仮に訴訟になったとしても、前述したように不妊だけが理由の場合は、離婚が認められる可能性は極めて低いでしょう。

本当に離婚をしたくないのであれば、全力で拒否してください。拒否をする正当な権利があなたにはあるのですから。

離婚をしない方法については「離婚したくないとき絶対に避ける5つの行動と夫婦関係改善への手順7選」の記事でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。

しかし、不妊で辛い思いをしているにも関わらずこのような主張をしてくるパートナーと婚姻関係を継続していくのも、とても辛いことだと思います。

夫婦間でよく話し合い、理解と尊重をしながら困難に立ち向かいましょうとお伝えしましたが、パートナーの理解が得られないどころかあなたの気持ちをひどく傷つけるような言動をしてくるようであれば、その時にこそ離婚を前向きに考えてみても良いのではないでしょうか。

また、あまりにも暴言が過ぎ、それにより精神的なダメージを負ってしまったような場合は、言動の度合いや証拠の有無にもよりますが、モラハラとして離婚時に慰謝料を請求することも可能になります。

まとめ

不妊治療がうまくいかないと、子供を諦めるべきか夫との生活を諦めるべきか、究極の選択が迫られているように感じるでしょう。

原因をまず明確にした上で適切な治療を受けることは大前提です。しかし、何が原因であるにせよ、そのせいにしてネガティブな考えを持たないようにすべきです。

例えば、「自分のせいで着床しないのだ」「自分はこんなに頑張っているのにあの人のせいで」などといった考えはナンセンスです。このような考えを持ってしまうと、夫婦で過ごす毎日がより窮屈に感じてしまいます。

不妊は夫婦で乗り越えるべき問題です。そして、夫婦で乗り越えるべき問題は不妊だけではありません。

例えば「セックスの頻度が少なくなったけど浮気されているんじゃないか」とか、「夫の稼ぎが少ないから妻の私もパートに出たほうがいいのかしら」とか、今後も夫婦として生活していく上で、様々な問題と直面することでしょう。

不妊問題も含め、こうした一つ一つの問題を2人で乗り越えられるからこそ、夫婦なのです。まずは、現在抱えている問題の終点はどこで、そのために何をすべきかを夫婦間でよく話し合い、理解を示し、よく価値観を共有するようにしてください。

自分が有利に離婚したい場合や、どうしても自分の主張を通したい場合は、離婚届にサインをする前に弁護士へ相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人未緒法律事務所
原口 未緒 (東京弁護士会)
自身も3回の離婚を経験。その経験を活かし、『円満離婚弁護士』として、数々の離婚問題を解決。『終わり』ではなく、『スタート』としての離婚を目指して、奮闘している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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