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配偶者(妻・夫)から離婚を切り出されても離婚を決意することは簡単ではありません。
配偶者のことが好き、子供がいる、不倫している配偶者を自由にさせたくない、などさまざまな理由から「離婚したくない」人は多くいます。
離婚を切り出された原因が、あなたに不倫やDVなどの原因がある場合、離婚を回避するのは難しいかもしれません。
しかし、離婚を切り出された原因がお互いの努力で改善できるものであれば、離婚を回避し夫婦関係を修復できる可能性があります。
少しでも「離婚をしたくない」と思っているのであれば、気持ちが落ち着くまで応じない方がいいでしょう。
気持ちが残ったままだと、あのとき応じなければよかったと後悔する可能性があります。
本記事では、離婚したくない人が今すぐすべきことや反対に絶対に避けるべきことなどを紹介します。
一般的に離婚する・しないは夫婦間の話し合いによって解決することが求められます。
そのため離婚したくないのであれば、話し合いのなかで離婚を拒否し続けることが大切です。
なお、日本の法律では以下のケースに該当する場合に離婚を回避できる可能性が高まります。
離婚したくない人は、はじめに以下の2つのケースに当てはまるか確認しましょう。
日本の法律では、離婚の原因をつくり結婚生活を破綻させた配偶者を「有責配偶者」とよび、有責配偶者からの離婚請求による裁判で離婚が認められることは原則ありません。
ここでいう「離婚の原因」とは、以下のような行為を指します。
離婚の原因 |
内容 |
不貞行為 |
配偶者以外の人と自由意思で性行為をすること(不倫など) |
悪意の遺棄 |
配偶者と生活の協力や扶助、同居をしないこと(同居の拒否・生活費の不払いなど) |
生死が3年以上不明 |
最後の音信、消息があった時から起算して3年経過しているか、生死不明であるという客観的な証拠があること |
強度の精神病にかかり、回復の見込みがない |
早発性痴呆、麻痺性痴呆、偏執病、初老期精神病などにかかり、回復の見込みがないこと |
その他婚姻を継続しがたい重大な理由 |
DV、長期間の別居、犯罪での服役など |
出典:民法e-gov
上記のような離婚原因をつくったうえに自分勝手な離婚請求は、被害者側の配偶者を思えば、人道上認められるものではありません。
以下のような状況の夫婦は、例外的に離婚が認められる可能性があります。
離婚したい原因が「性格が合わない」「喧嘩が多い」など、どちらも有責配偶者に該当するような離婚原因がない場合、裁判では「客観的に見て夫婦関係が破綻しているか」が離婚できるか否かのカギです。
客観的とは、「口をほとんど聞いていない」など仲の悪さだけでは一概に判断できません。
たとえば、夫婦間の会話は少ないが週末に家族で旅行していたり、夫婦関係はよくないものの別居に至らず妻のほうが夫の家事をおこなっていたりした場合、破綻しているとまで判断されない可能性があります。
事務的な話以外は一切しない、お互いに修復する意思がないことを客観的に証明しなければなりません。
万が一裁判になった場合を考え、SNSやLINE、メールなど形に残る方法で相手に「夫婦関係を修復したい」「離婚したくない」など、離婚の意思がなく夫婦関係を修復したい意思を伝えましょう。
離婚をしたくない人は離婚する・しないを本格的に話し合う前に、以下の3つの行動を起こし、離婚を回避する対策を講じましょう。
離婚届を勝手に出されて役所に受理されてしまうと、形式上、離婚は成立してしまいます。
そのため、知らないうちに離婚届を出されることを考えて、お住まいの役所に「離婚届不受理申出書」を提出しておきましょう。
こうすることで、相手が離婚届を出したとしても受理されることを防げます。
相手がなぜ離婚したがっているのかその原因を探りましょう。
離婚したい原因を知ることができれば、夫婦間の問題を探るきっかけとなります。
まずは、感情的にならず根気強く尋ねてみるようにしましょう。
そして相手が離婚したい理由について話してくれた場合には、冷静に相手の言い分を聞いて解決策を見つける努力をしましょう。
ただし、相手が浮気していた場合には離婚したい理由について正直に話してくれないかもしれません。
もし、相手の浮気が疑われるような場合には、裁判になった際に離婚を回避する手段として証拠をしっかり集めておくことが大切です。
また自分が離婚したくない理由について、もう一度整理して考えることは重要です。
相手に対して愛情があるならば、まだ気持ちがあることを相手に伝えましょう。
一方で自分の気持ちを整理したときに世間体や子どもの存在、経済的な理由など自分の気持ち以外の面で離婚したくないことに気付くことがあります。
このような場合には、改めて今まで連れ添ってきたパートナーの存在が今の自分にとってかけがえのない存在であるか、考え直してみる必要があるでしょう。
次に離婚したくない人が絶対に避けるべき3つのことについて見ていきます。
特に以下の行動は、離婚を助長することにつながるため、絶対にやめましょう。
離婚の話題が出るとき、「離婚したい」「離婚したくない」という押し問答が繰り広げられる場合がほとんどです。
そのようなとき、「お互い冷静になるために一旦距離を置こう」と冷却期間を置くための別居が提案される場合があります。
しかし、安易な気持ちで別居に同意してしまうと、結果的に離婚してしまう可能性が高くなります。
相手が別居を提案する理由には、別居中に離婚の準備を進める目的もあるからです。
実際のところ、長期間の別居は裁判が提起された際に、婚姻関係は破綻していると判断されやすくなります。
一緒に住むことは離婚回避のためのアプローチになるので、別居は絶対に避けるのが得策です。
一方的に離婚を切り出されたら、自分の何が悪かったのかなど感情的に相手を責めてしまう方もいます。
自分勝手な離婚の申し出に対し、責められるのは当然です。
しかし、感情に任せて相手を過度に責めたり否定したりしてしまうと、余計に気持ちが冷めてしまうことが考えられます。
また、モラハラとしてあなたの落ち度になる可能性があります。
あくまで夫婦ゲンカの域を超える過度な暴言が該当しますが、モラハラとしてDVの一種に分類されると、離婚事由や慰謝料の対象になる場合があるのです。
また過度な暴言がそのとき1回だけでも、あなたが毎日モラハラをしていたように(ぐちゃぐちゃな部屋の写真があった、夫婦喧嘩の際に一方的にいった過度な悪口が残されていたなど)証拠を作られる可能性もあります。
あなたが「離婚したくない」といっても、証拠が残ってしまうと裁判では不利になるので注意しましょう。
離婚する・しないについて、不用意に周囲に公言することはおすすめできない一方で、一人で抱え込んでしまうのも精神的に憔悴してしまう原因となります。
もし自分で何も考えられない状況に陥っているのであれば、匿名相談やカウンセリングを利用して、第三者からアドバイスをもらうのがおすすめです。
また離婚を切り出されて、自分ではうまく対応できない場合には、離婚問題の得意な弁護士に相談するのもよいでしょう。
離婚問題は法律が関与しているため、あなた側が不倫していたり、DVをしていたなどの理由がなければ、拒否できる可能性が高いからです。
ここまで離婚をするために今すぐすべきことと、絶対に避けるべきことについて見てきました。
離婚したくない場合には夫婦関係そのものを改善していく努力も必要です。
ここでは夫婦関係を改善するための方法を6つ紹介します。
考え方やものの見方、捉え方は人の数ほどあります。
夫の述べていることに共感できなくても「そういう考え方もあるのね」と、価値観の多様性を認めてみることが夫婦関係を改善する第一歩です。
「絶対にこうでしょ!」という視野の狭い考え方はなくして、もう少し柔軟性を持って価値観の違いを受け入れましょう。
妻(特に主婦)は仕事に追われ、子育てに追われ、大変な毎日を過ごしています。
しかし同時に、夫がいてくれるからこそできることも沢山あるはずです。なにより夫も同じようにいろいろなものに追われて日々を過ごしています。
不満ばかりを口にしていないか、今一度確認してみましょう。
何かしてくれたら必ずお礼をいい、相手の悪口をいわず、ほんの少し立てるだけでもバチは当たらないと思いませんか?
2020年に明治安田生命が行った夫婦に関するアンケート調査によると、「配偶者から言われたい一言」の全体1位が「ありがとう」(52.7%)、2位が「おつかれさま(ご苦労さま)」(31.6%)になりました。
夫婦が配偶者に最もいわれたいのは感謝の言葉であり、円満な夫婦ほど感謝を表現することを大切にしているのがわかります。
離婚したくない場合は、自分の何がいけなかったのかと「悪い部分」を探そうとしますが、振り返るべきはそこではありません。
「何が悪かったのか」一部分を指すのではなく、極論ですが「全部悪かった」のです。
一定期間の結婚生活のなかで小さなことから大きなことまでを含めたさまざまな要因が積もり積もって「離婚したい!」となります。
ここが悪いから直そう、あそこが悪いから改善しようではキリがなく、あなたのほうがストレスを抱えてしまいます。
「良いところを伸ばす」ことを意識してみてください。
あなたの負担も少なく、大きな関係回復を望める可能性があります。
「離婚したくない」と思えば思うほどそれは行動として現れ、結果的に夫を束縛するような行動をとってしまいます。
特に悪い部分が無くても、相手を許せなくなり、完璧であろうと自分を追いつめる傾向にあります。
その際は「離婚したくない」という想いをいったん手放して、目の前にある日々を大切にしてみてはいかがでしょうか。
過去を振り返ったときに、夫婦で過ごした歴史が楽しい思い出となるかもしれません。
お互い相手のことをよく知っているがゆえに、心のなかで相手のダメな部分を責めたくなる気持ちが芽生えてきます。
そのため、二人が信頼して相談できる第三者を間に立てることが、二人の関係を円滑なものにします。
話し合いで問題を解決することができなかったとしても、仲介役を立てることで問題を客観的に捉えることができるからです。
明治安田生命の「いい夫婦の日」に関するアンケート調査によると、「円満である夫婦」と回答した夫婦の平日・休日の平均会話時間は146分・273分であるのに対し、「円満でない夫婦」では53分・83分といずれも約倍の差が開いています。
会話量が多いほど夫婦関係が円満であるとの調査結果が出ています。
このことから円満な夫婦ほど、会話の時間が長いことがわかります。
また会話の内容では、夫婦の円満度に関わらず「子どものこと」を話す割合が上位にあります。
また、「円満である夫婦」は「ニュース」(75.8%)、「休日の予定」(53.4%)、「夫婦のこと」(50.7%)についても話す割合が高い傾向が見られました。
会話の機会が増えるほど夫婦の仲がよくなり関係が円満な夫婦ほど、ニュースや休日の予定についてなど、幅広い話題について会話をしていることがわかります。
円満調停(夫婦関係等調整調停)とは、離婚したくない側が離婚回避のために、夫婦関係の修復を求める目的で開く調停のことです。
相手から離婚を請求されている場合で使えるほか、下記のような場面で利用することができます。
このような夫婦問題を解決するための話し合いの場として、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
調停手続では当事者双方から事情を聞いて、夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、そしてその原因はどのように努力すれば改善されるのか、など、解決するために必要な助言を与える形で進められます。
なお、この調停手続は離婚したほうがよいか迷っている方も、利用することが可能です。
では実際に円満調停を申し立てる手順を紹介します。
調停はあくまで調停委員という第三者を含めた話し合いの場のため、夫婦のみでは話し合いすらできない場合には有効な手段です。
ただし、円満調停は手数料がかかったり、裁判所に出席する必要があるなど、負担も多く、あくまでも最後の手段と考えた方がよいでしょう。
円満調停を申し立てる前に夫婦関係を修繕できるように、今回の内容を実行してみましょう。
あらゆることをしても、あなたの「離婚したくない」という想いが伝わらず、夫の離婚したい意思が変わらない場合、残された手段は話し合いで進める「協議離婚」か「調停離婚」しかありません。
調停離婚に関する詳しい流れは「離婚調停の流れを詳しく解説|5分で分かる離婚調停の進め方ガイド」で解説しています。
夫の離婚したい意思が固い場合、あなたがその夫と一緒にいる意味を考えたほうがよいでしょう。
人生は一度しかありませんし、一緒にいたくない配偶者と無理に一緒にいると必ず今後の生活に支障をきたします。
辛い選択かもしれませんが、一度よく考えて、検討してみることをおすすめします。
離婚したくないと思っていても、ただ待っているだけで解決することはまずありません。
すでに紹介した離婚を回避する方法を試してみたが、自分だけでは離婚を回避できそうにないと感じたときは、弁護士への相談も視野に入れてみましょう。
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