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母子家庭の生活保護は毎月いくら?受けるための4つの条件

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
母子家庭の生活保護は毎月いくら?受けるための4つの条件

離婚や死別など、さまざまな事情で母子家庭になったとき、持病や子供の障害などで働くことが難しい場合は生活保護を申請しましょう。不正受給などで、世間的に厳しい意見もありますが、子供に経済的に苦しい思いをさせたくないのであれば、利用することをおすすめします。

生活保護の申請をする際は、もらえる金額の目安や受給条件を知っておくことで、スムーズに申請ができるでしょう。

また、窓口で「あなたは受給できない。」と言われたときの対処法を知っておくことで、一度断られていても受給できる可能性があります。

この記事では、「生活保護ってどうやって受けるの?」「いくらくらいもらえるの?」「窓口で断られてどうしたらいいのかわからない…。」という疑問や悩みにお答えします。

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母子家庭で受けられる生活保護の基礎知識

そもそも生活保護とはどのようなものなのでしょう。ここでは、『生活保護』について分かりやすく紹介します。

生活保護とは

生活保護は、働けないなどの事情で生活に困った国民の

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

(引用:日本国憲法第25条)

という権利を侵害されないようにするための制度で、生活保護法によって規定されています。

生活の困窮の程度に合わせ、最低限度の生活の保障、そして自立の助長を目的としています。また、生活保護は受給条件を満たしている場合は、性別・年齢・既婚・未婚に限らず平等に受けることが可能です。

保護される『生活』の具体的な内容

生活保護では以下のようなことを『生活』とし、保護の対象になります。

  • 日常生活の費用:食費・高熱水道費・被服費
  • 家賃
  • 医療費
  • 介護費
  • 出産費
  • 就職に必要な資格・技術取得のための費用
  • 葬祭費

これらの費用が定められた範囲のなかから支給されます。

保護費の算出方法

生活保護で受給できる保護費は、厚生労働大臣が定める最低生活費から申請者の世帯収入を差し引き、最低生活費に満たない分が支給されます。

どのくらいもらえるのかの目安は、下の表を利用して自身で計算できます。

(引用:生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法|厚生労働省)

第1類は個人的経費で、食費・被服費、第2類は生体共通的経費で光熱水費のことを表しています。

計算式は『生活扶養基準②(第1類+第2類)×逓減率②+加算額(子供の数や障害の有無など)』になります。ここでは、算出方法についてもっと詳しく紹介します。

1:自分の地域の級を調べる

保護費は住んでいる地域によって変わります。地域は級で分けられていて、こちら『級地一覧|厚生労働省』から確認できます。例えば、東京の新宿区に住んでいる場合は1級地-1に該当します。

2:基準額②を計算していく

自分の級地を確認できたら基準額②を『生活扶養基準②(第1類+第2類)×逓減率②』という式に当てはめて計算していきましょう。

(引用:生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法|厚生労働省)

例えば、母(30)子供(3)の母子家庭で新宿区に住んでいた場合、以下のような式になります。

{38,430(母)+29,970(子供)}+ 50,180 (生活扶助基準第2類)× 0.8850(逓減率)

これを計算すると104,943.3円となり、10円以下を切り捨てると104,940円になります。基本的にこのような計算になりますが、同じように基準額①を計算し0.9をかけた金額が基準額②より高額になった場合、基準額①の金額が優遇されます

先ほどの計算を基準額①ですると以下のようになります。

{41,400 (母)+27,110 (子供)}+49,460(生活扶助基準第2類)×1.0000(逓減率) ×0.9

これを計算すると106,173円となり基準額②より2,000円近く高額になることが分かります。その場合こちらの金額が優遇されます。

3:加算の内容と金額

また、以下のようなものが加算されます。

母子家庭への加算

 

1級地

2級地

3級地

子供1人

22,790円

21,200円

19,620円

子供2人

24,590円

22,890円

21,200円

子供3人以上

920円

850円

780

子供が3人以上の場合は、2人分の金額にそれぞれ920円・850円・780円が人数分加算されていきます。例えば、1級地で子供が3人の場合は、24,590円+920円。4人の場合は24,590+920+920という式になります。

また、上の表とは別に母子家庭で中学卒業前の子供がいる場合、家庭単位で15,000円が支給されます。子供が3歳未満の場合は、子供1人につき受け取ることが可能です。

障害者への加算

子供や自分が障害を負っている場合は、以下のような扶助を受けられます。

 

1級地

2級地

3級地

1級・2級

26,310円

24,470円

22,630円

3級

17,530円

16,310円

15,090円

ただし、母子家庭への加算と併給することはできませんので注意してください。

妊婦への加算

産婦への加算もあります。

 

1・2級地

3級地

6ヶ月未満

9,140円

7,770

6ヶ月以上

13,810

11,740

産婦

8,490

7,220

級地と、状況によって変わることに注意しましょう。また出産時には別途出産扶助を受けることができます。

  • 施設:231,000円以内
  • 住宅:249,000円以内

生活保護を受けるための4つの条件

生活保護を受けるにはここで紹介する4つの条件をすべて満たす必要があります。

1:資産がないこと

資産がないとは、貯金などの財産はもちろん、不動産・車などがないことも意味します。もし、不動産・車など売却すると高額になるような資産を持っている場合は、受けることができません

ただし、どうしても車が必要な事情(仕事で必要・障害があり移動に必須など)がある場合は、福祉事務所に相談しましょう。資産を売却しても最低生活費に届かない場合のみ、受給することができます

2:働くことができないこと

持病や重いうつなどで就労が難しいと判断される必要があります。働くことが難しいと証明するためには、医師の診断書などがあった方がよいでしょう。

また、子供に障害があり就労が難しい場合も受給できる可能性が高くなります。子供に障害がある場合は『特別児童扶養手当』の受給も可能ですので、受けていない方は住居地の市区町村役場へ相談してみましょう。

3:他の制度を受けても生活が難しいこと

母子家庭を支える手当は児童手当の他に『児童扶養手当』などがありますが、それらを受け取っても最低生活費に満たない場合に受給が可能です。

4:扶養者からの援助を受けられない

親族や元夫から生活の援助を受けることができ、援助やその他手当などにより最低生活費を超える場合、受給することができません。

援助が受けられないもしくは、受けても最低生活費に満たない場合のみ受給することが可能です。

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生活保護の申請方法

自身が条件を満たしている場合は申請を行いましょう。ここでは、申請方法について詳しく紹介します。

申請先

申請先は住居地を管轄する福祉事務所(福祉事務所一覧表)の生活保護担当課です。市区町村役場でがありませんので間違えないように注意しましょう。

ただし、福祉事務所がない町村に住んでいる場合は、町村役場での申請が可能です。

必要書類

現在の世帯収入の総額や資産の状況を説明できるように、通帳や給与明細を持って行くとよいでしょう。また、働けない理由が分かる資料(医師の診断書や子供の障害者手帳など)を持って行くことをおすすめします。

申請の流れ

事前相談

申請する前に生活保護制度についての説明や、自分が受給条件を満たしているかなどの相談を行います。

またこの説明では、生活保護以外の手当や各社会保障の活用で最低生活費を満たせないかなどの検討や相談もします。

受給の可否を判断するための調査

生活保護は申請しただけでは受給することができません。受給の可否を診断するために、以下のような調査を行います。

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

(引用:生活保護の手続きの流れ|厚生労働省)

この調査で、生活保護がないと最低生活費に満たないと判断された場合、受給が可能になります。

申請から受給できるまでの期間

申請後に調査を行いますので、原則として申請から14日以内に受給できるかどうかが決まります。ただし、調査に時間がかかる場合、最長で30日まで延びる可能性があります。

また、受給可否が決まるまでの生活費がない人は『臨時特例つなぎ資金貸付制度』を利用できる可能性がありますので、各都道府県の社会福祉協議会(都道府県社会福祉協議会)に相談してみましょう。

窓口で申請できないと言われた場合

受給条件を満たしていても、申請の際に仕事を探すように説得されたり、ときには高圧的な態度で門前払いをされるケースもあるようです。

しかし、生活保護法では『すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。』と定められているため、条件を満たしているのに受給してもらえないのは法律に違反しています。

そのような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。無料相談を行っている弁護士事務所もありますので、積極的に利用しましょう。弁護士と一緒に申請に行くことで受けられる可能性が高まります。

また『法テラス』では、無料相談や弁護士費用の立替えを行っていますので、経済的に支払いが難しい場合は弁護士費用のことも含め、相談するとよいでしょう。

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生活保護を受ける場合の3つの注意点

生活保護を受ける際は、いくつかの注意点がありますので注意してください。

1:貯金ができなくなる

生活保護を受けると『貯金』は余分なものとみなされます。そのため生活保護をしている間は貯金をすることができません。そのため、子供が大きくなった場合に十分な教育費を捻出できない可能性があります。

また、子供が18歳になると減額の対象になるので、将来的に生活が厳しくなる可能性があるでしょう。お金がないということは精神的に大きなストレスになりますし、子供にも悪影響を与えます。

生活保護を受ける際は、あらかじめ貯金できないことを頭に入れ、今後の働き方などを考える必要があります。

2:ケースワーカーと揉める可能性がある

ケースワーカーとは、生活保護について説明をしてくれたり受給の調査を行ってくれたりする人です。また、定期的な訪問調査などを行います。

ケースワーカーとして働いている人のなかには、生活保護を受けている人や相談者に対し、暴言を吐いたり高圧的な態度を取ったりする人もいるようです。

大声で「あと、生活費を何に使ったんだよ!!」「今度、また同じ事で相談してきたら許さねーからな!」「それに、貴女さあ猫の毛付けて役所に来ないでくれる?迷惑なんだよ、猫臭いし凄い臭うよ!」と娘の私がいる前で平気で嫌味ばかり言われました。

(引用:相談者者に対して、暴言を吐く福祉のケースワーカーは問題でしょうか?|Yahoo!知恵袋)

このようにトラブルが発生してしまったり、ケースワーカーに対し恐怖を感じてしまったりするケースがあります。

あまりにもひどい言葉や態度の場合は、日本弁護士連合会が行っている『人権擁護委員会』に申し立てを行いましょう。まずは、無料相談を行っている弁護士事務所または法テラスにご相談ください。

3:世間体や周囲の目に精神的なストレスを受ける

生活保護は、子供に貧困な生活をさせないためにも受けるべき制度です。しかし、生活保護の不正受給など悪いイメージばかりがメディアで取り上げられているため、「生活保護は減らすべき!」「生活保護してもらわないで働け。」などと考えている人も少なくないでしょう。

そのため『生活保護を受けている』ということ自体が精神的なストレスになる可能性があります。また、心ない言葉をかけられることもあるかもしれません。生活保護を受ける場合、そのようなことに対して負けない覚悟をする必要があります。

まとめ

生活保護を受けようとしても、門前払いをされてしまうことも多々あるでしょう。もし、まだ離婚する前でしたら、しっかりと財産分与や養育費を請求すると同時に、職場を探しておくことをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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