離婚の切り出し方に悩んでいる方へ|ケース別の例文と話し合いのポイントを解説

夫婦関係の継続が難しくなっても、離婚の切り出し方がわからず、1人で悩みを抱えていませんか?
離婚を切り出すと夫婦の関係修復が難しくなる可能性もあるため、何から話せばよいのか迷っている方もいるでしょう。
相手が激高するタイプであれば、まともな話し合いすらできない恐れもあります。
しかし、相手の存在が大きなストレスになっており、子どもにも悪影響を及ぼす場合は、早めに離婚を切り出さなければなりません。
本記事では、相手とスムーズな話し合いができるよう、離婚の切り出し方やケース別の例文などをわかりやすく解説します。
離婚を切り出すタイミング
離婚の切り出し方に迷っている方は、タイミングを考慮しておくとよいでしょう。
思い付きで離婚を切り出すと、相手の感情を逆なでし、自分自身も損をしかねないため、以下のタイミングを参考にしてください。
お互いが十分な時間を取れるとき
離婚を切り出すときは、お互いが十分な時間を取れるタイミングを選んでください。
たとえば、夫婦の休暇が同じ日であれば、来客や電話による中断が少ない「前日の夜間」がおすすめです。
時間を合わせにくいときは、自分が有給休暇を使ってもよいでしょう。
相手が用事や外出を控えており、時間が限られているタイミングで離婚を切り出すと、話に集中してもらえない可能性があります。
離婚は相手にとってもショックが大きいので、話を短時間で終わらせないように注意してください。
パートナーの退職が近いとき
離婚の切り出し方は財産分与に影響するため、パートナーの退職が近いときに話し合ってみましょう。
退職後に離婚を切り出すと、相手が退職金を受け取っているため、「財産分与で多くもらえる」と考えがちです。
しかし、相手に離婚する気がない場合、夫婦の共有財産が増えても自由には使えません。
仕事一筋だった夫が退職する場合、ご近所付き合いも少なく、家事も苦手であれば、簡単には離婚に合意しないでしょう。
また、別居中の妻に夫が婚姻費用を支払っている場合も、離婚を切り出すタイミングは退職前がおすすめです。
生活費となる婚姻費用は夫の収入も考慮されるため、年金収入しかない退職後よりも、十分な給与をもらっている退職前のほうが多く受け取れます。
高額な婚姻費用を今後も支払うのであれば、相手は「退職を機に離婚しよう」と考える可能性もあります。
子どもが自立したとき
離婚を切り出すときは、子どもの自立も考慮してください。
子どもが社会的・経済的に自立している場合、親権や養育を考える必要がないため、スムーズに離婚できる場合があります。
年齢とともに子どもの理解力も高くなるので、大人の事情を察してくれるでしょう。
一方、子どもが幼いケースでは、冷え切った夫婦関係を長く見せないよう、相手も「早いうちに離婚したほうがよい」と考えてくれるケースもあります。
ただし、非監護親とのコミュニケーション不足から、子どもの精神的成長に悪影響を及ぼす可能性もあるため、慎重に検討しなければなりません。
ケース別の離婚の切り出し方と例文
離婚の切り出し方はケース別に異なるため、なぜ離婚を考えたのか、相手に理由を伝える必要があります。
「どうやって切り出そうか?」と悩んでいる方は、以下の例文を参考にしてください。
性格の不一致で離婚する場合
離婚原因が性格の不一致だった場合、相手に明確な落ち度があるわけではないため、離婚の切り出し方には十分な配慮が必要です。
離婚したい理由が不明確にならないよう、以下の例文を参考にしてください。
-
結婚してから○年間、いつも家族のために頑張ってくれてありがとう。
でも、時間が経つほど価値観の違いを感じてしまい、子どもの育て方やお金の使い道など、意見の対立ばかりが続いています。
夫婦共通の話題も減っているし、最近では一緒に趣味を楽しんだり、出かけたりすることもなくなったよね。
価値観が違うまま一緒に暮らしても、お互いが幸せになれるとは思えないので、離婚を考えるべきかなと思っています。
今後のことはじっくり話し合いをしたいし、あなたの意見も聞きたいです。
相手のDVやモラハラが離婚原因の場合
相手のDVやモラハラが原因で離婚する場合、離婚の切り出し方は手紙やメールがよいでしょう。
直接会って離婚を切り出すと、相手が激高する可能性があるため、以下の例文を参考にメールなどを送ってください。
-
あなたと結婚してからずっと暴力に悩まされたため、真剣に離婚を考えています。
このままでは子どもに危害が及ぶ恐れもあるので、私が親権者になることを前提に、あなたと離婚について話し合いたいです。
-
突然だけど、あなたとの離婚を考えています。
あなたの言動は私を責めるものばかりで、モラハラに該当します。
一緒にいても心が安らぐ日はないし、いつも恐怖ばかり感じながら暮らしてきました。
もうこれ以上は耐えられないので、今後のことを話し合ってから離婚したいです。
相手の金銭感覚に問題がある場合
相手に浪費癖があり、金銭感覚が問題で離婚するときは、以下の例文を参考に離婚を切り出してください。
-
あなたは仕事を頑張ってくれてるけど、給料のほとんどをパチンコや飲み代に使っているよね。
それだと生活費が足りないから、今までは私の給料で何とかしてきました。
でも、子どもが大きくなって食費や衣服代もかかるようになったし、このままでは給食費も払えなくなると思います。
あなたがお金の使い道を改めてくれない限り、離婚したほうがよいと思うので、一度じっくり話し合いましょう。
相手の不倫が離婚原因の場合
相手の不倫が離婚原因であれば、証拠に基づく離婚の切り出し方がよいでしょう。
事実を突きつけると相手の反論を封じ込められるので、以下の例文を参考にしてください。
-
あなたは不倫していないと言っていたけど、相手とのデートがドライブレコーダーに映っていました。
車中の会話やラブホテルに入るところも、すべて音声や映像が残っています。
言い逃れできない証拠があるし、私たち夫婦の信頼関係は崩れているから、離婚すべきだと思っています。
今後は慰謝料の請求も含めて、じっくり話し合いをしましょう。
自分に好きな人ができた場合
自分に好きな人ができた場合、法定離婚事由にならないため、離婚の切り出し方には細心の注意が必要です。
気持ちを正直に伝えると、相手を傷付けてしまうので、以下の例文を参考に離婚を切り出してください。
-
あなたと一緒にいても愛情を感じなくなってしまい、夫婦関係に疑問を持つようになりました。
このままでは二人の関係がもっと冷え切ってしまうので、離婚を前提に話し合いたいです。
セックスレスの場合
セックスレスも相手に明確な非があるとはいえないため、「自分から誘ってもまったく応じてくれない」といった状況が必要です。
離婚を切り出すときは、以下の例文を参考にしてください。
-
あなたにセックスを求めても拒否され続けたため、愛情も冷めてしまいました。
結婚生活にも意味を感じなくなってしまい、精神的にも苦しんでいるので、離婚したほうがよいと思っています。
あなたの意見も聞きたいから、近いうちに話し合いをしたいです。
離婚を前提に別居する場合
離婚を前提に別居するときは、同居している間に離婚を切り出してください。
正当な理由なく別居すると「悪意の遺棄」になってしまうため、裁判所も離婚を認めないでしょう。
離婚の切り出し方は別居する理由にもよりますが、相手のDVやモラハラから逃れるためであれば、以下の例文を参考にしてください。
-
あなたと一緒にいると、いつも暴言や暴力に怯えてしまいます。
ずっと我慢してきたけど精神的な限界を超えてしまい、子どもにもよい影響はないので、別居することにしました。
離婚も真剣に考えているので、今後のことは話し合いで決めましょう。
子どもがいる場合
夫婦に子どもがいる場合、監護や養育を優先的に考えなければなりません。
自分の都合だけど離婚理由にすると、相手の合意を得にくいため、以下の例文を参考に離婚を切り出してみましょう。
-
今までずっと夫婦関係について考えてきましたが、子どもの将来を見据えると、離婚が最善策だと思います。
親権や養育費も決めなければならないので、あなたの意見も聞かせてください。
離婚しても子どもの成長に影響がないよう、今後のことをじっくり話し合いましょう。
新婚の場合
新婚の夫婦であれば、将来を見据えた離婚の切り出し方にしてください。
破たんした夫婦関係を続けるよりも、早めに離婚したほうが得なケースもあるので、以下のように離婚を切り出してみましょう。
-
私たち夫婦は結婚して間もないけど、お互いの将来を考えると、離婚がベストな選択だと思っています。
まだ子どもがいないし、今だったら財産分与で争うこともないと思うので、離婚の話し合いをしたいです。
あなたの考え方も聞かせてください。
離婚を切り出す前にやるべきこと
夫婦が離婚する場合、財産分与や子どもの親権などを決める必要があります。
状況によっては慰謝料請求も発生するので、離婚を切り出す前に以下の準備を整えておきましょう。
夫婦の財産を把握する
離婚を切り出すときは、事前に夫婦の財産を把握してください。
婚姻期間中に築いた財産は夫婦共有になるため、原則として別居時の夫婦共通財産の2分の1をもらえます。
ただし、別々に生活すると相手の財産を調べにくくなり、預貯金などを隠されてしまう恐れがあります。
不動産の登記情報は誰でも取得できますが、預貯金や株式などの金融資産は同居している間しか調べられません。
経済的価値のある財産を把握しておけば、財産分与で損をすることはないでしょう。
離婚後の生活を想定しておく
離婚すると生活に大きな変化が生じるため、以下の項目を想定しておく必要があります。
- 子どもの親権と養育費
- 面会交流
- 子どもの監護環境
- 転職または就職
- 財産分与
- 慰謝料請求
子どもの親権を獲得したい場合、養育や監護に適した環境を整備しなければなりません。
養育費だけでは生活が成り立たないため、監護親の収入が低い、または無収入であれば、離婚前から転職や就職の準備が必要です。
一時的な感情で離婚すると、生活が破たんしやすいので注意しましょう。
また、将来の年金について、年金分割の請求も検討しておくべきです。
不倫などの証拠を集めておく
相手が不倫している場合、離婚を切り出す前に証拠を集めてください。
性交渉の証拠がなければ相手の不倫は立証できませんが、自宅や車を調べると、以下のような手掛かりが見つかるケースもあります。
- ホテルのメンバーズカードや領収書
- メールやLINEのやりとり
- カーナビの履歴
- ドライブレコーダーの映像
- クレジットカードの明細
不倫を裏付ける手掛かりがあれば、離婚交渉を有利な展開にできます。
決定的な証拠が必要になる場合は、興信所への調査依頼も検討しておきましょう。
自分の気持ちを整理しておく
相手に離婚を切り出すときは、まず自分の気持ちを整理してください。
感情論だけでは判断を誤ってしまうため、以下の項目を自己チェックしておきましょう。
- 離婚しても生活に困らないか
- 親権獲得に有利な状況かどうか
- 夫婦関係を修復できるかどうか
- 子どもを養育できるかどうか
- 調停や裁判が必要かどうか
今後の生活を十分に考えた結果、不安や迷いがなければ離婚を切り出すタイミングといえます。
離婚を切り出すときのポイント6つ
離婚の切り出し方はメールや手紙でも構いませんが、最終的には夫婦の話し合いが必要です。
話し合いの際には、弁が立つ相手に言いくるめられたり、暴力を振るわれたりする可能性があるので、以下のポイントを意識しておきましょう。
密室での話し合いは避ける
離婚を切り出す場合、密室での話し合いは避けてください。
相手のDVやモラハラが離婚原因であれば、その場で暴力・暴言の被害に遭う可能性があります。
適当な場所がないときはメールやLINEで離婚の意思を伝え、自宅で話し合う際に弁護士を同席させてもよいでしょう。
密室かつ二人きりで話し合った場合、暴力・暴言があっても証拠が残りにくいので注意が必要です。
また、DVやモラハラは相手が自覚していないケースもあるため、けがを治療した際の診断書やカウンセリングの記録など、証拠も準備してください。
冷静に話し合いを進める
離婚を切り出したあとは、冷静に話し合いを進めてください。
感情が高ぶっている状態で話し合うと、相手に「一時的な感情で離婚したくなったのだろう」などと思われてしまいます。
落ち着いて話せば本気度が伝わりやすいので、相手も真剣に受け止めてくれるでしょう。
相手の言い分はメモや録音をしておく
離婚について話し合うときは、相手の言い分をメモしてください。
メモや録音をしながら話し合いを進めると、相手は不用意な発言ができなくなるため、暴力・暴言を封じ込める効果があります。
話し合いが一回で終わらず、次回に持ち越すときも、メモや録音があれば言った・言わないの水掛け論になりません。
その場で離婚届にはサインしない
離婚の話し合いがある程度進んでも、その場で離婚届にサインすると、不利な状況になる可能性があります。
その場の勢いで離婚届にサインした場合、面会交流を決めていなかった、相手の財産をよく調べていなかったなど、あとで後悔する羽目になりかねません。
話し合いで離婚する場合は離婚協議書を作成し、お互いの合意を確認したあとで離婚届にサインしてください。
すぐに結論を出さない
離婚は今後の人生に大きく影響するため、じっくり考えた上で結論を出しましょう。
相手と建設的な話し合いができれば、夫婦関係を修復できる可能性もあります。
未成年の子どもがいる場合は、大人の都合だけで結論を出さないように注意してください。
相手が逆ギレしたら話し合いを中断する
相手が逆ギレしたときは話し合いを中断し、身の安全を確保しましょう。
激高しやすい相手であれば、実家やホテルなどに避難できるよう、数日分の現金や衣類を準備してから離婚を切り出してください。
話し合いの再開が難しいときは、弁護士に代理人を依頼しておきましょう。
離婚の切り出し方に関するQ&A
離婚の切り出し方に迷ったときは、以下のQ&Aを参考にしてください。
夫婦で話し合うきっかけさえできれば、その後の流れがスムーズになるケースもあります。
離婚の切り出し方はどんな方法がよい?
離婚の切り出し方には以下の手段があるので、メリット・デメリットを比較してください。
切り出し方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
口頭 | お互いが気持ちを伝えやすく、相手の考え方もすぐにわかる | 感情論になりやすい 相手によってはDVやモラハラがエスカレートする |
電話 | 暴力の恐れがない 情報が音声だけになるため、話に集中しやすい | お互いの表情が見えないため、反応がわかりづらい 言葉の選択によっては誤解を招く |
LINEやメール | 口頭で切り出す前に送信するとワンクッションになる | 文字ベースになるため感情を伝えにくい |
手紙 | 書きながら自分の気持ちを整理できる 相手に「真剣度」が伝わりやすい | 言葉の選択によっては誤解を招く 相手の反応がわかるまでに時間がかかる |
離婚原因や相手の心境を踏まえ、意思疎通しやすい手段を選んでおきましょう。
相手が話し合いに応じないときはどうしたらよい?
離婚を切り出しても相手が話し合いに応じないときは、弁護士にサポートを依頼してください。
話し合いの場に友人や親を同席させるケースもありますが、養育費や慰謝料が関係する場合、専門知識がなければ結論を出せません。
協議離婚がまとまらず、調停や裁判に発展する場合も、弁護士の協力が必要になるでしょう。
弁護士の多くは初回相談を無料にしているので、離婚できるかどうかの判断も含め、まずは相談からスタートしてみましょう。
さいごに|離婚の切り出し方に悩んだときは弁護士に相談してみましょう
離婚の切り出し方はケースバイケースになるため、場所や時間帯、相手の都合などを考慮してください。
冷静な話し合いができれば、夫婦関係を修復できる可能性があります。
ただし、離婚理由が相手の不倫やDVなどの場合、離婚を切り出す前に証拠を確保しておかなければなりません。
準備不足で離婚すると、慰謝料や養育費請求に応じてもらえず、不利益を被る場合があるので要注意です。
離婚の切り出し方に迷ったときや、相手が話し合いに応じてくれないときは、弁護士に相談しておきましょう。


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