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離婚したら親権は誰が持つ?決め方や裁判所の判断基準、NG行動まで解説

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離婚を考えたとき、こうした不安を抱える方は少なくありません。

親権は、子どもの生活環境や教育、財産管理に関する全ての決定権に関わる重大な問題です。自分は親権を取れるのか、何をすれば有利になるのかがわからないまま相手のペースに巻き込まれてしまうケースも少なくありません。

本記事では、離婚時の親権の決め方や裁判所が親権者を判断する基準、母親・父親どちらが有利かなどについて解説します。最後まで読めば、自分の状況で親権を獲得できる可能性があるかどうかを判断でき、今すぐ取るべき行動が明確になるでしょう。

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目次

離婚したら子どもの親権は誰が持つ?

婚姻中は、父母の両方が親権を持ちます。

一方で離婚した場合は、以下に挙げる2種類の選択肢からどちらをえらぶか決めなくてはなりません。

単独親権

父母のどちらか一方だけが親権を持つ

※父母、どちらが親権者になるか決める必要がある

共同親権

父母の両方が親権を持つ

パターン1:父母の一方が単独で親権を持つ

ひとつは、父母のうちいずれか一方が親権を持つ単独親権です。

単独親権では、親権を取得した親が子どもと同居し、進学先の選択や医療に関する方針、日常生活や教育、財産管理など、子どもに関わる重要な事項について決定する権利と責任を担います。

一方、親権を持たない親には、親権者が有する決定権や義務はありません。ただし、親権がなくても、面会交流を通じて子どもとの関係を継続することは可能です。

パターン2:父母が共同で親権を持つ

2026年4月1日に施行された改正民法により、離婚後であっても、父母の双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになりました。

共同親権は単独親権と違い、離婚後も父母の両方が親権を持ちます。そのうえで、日常的な身の回りの世話や緊急時の対応については、それぞれの親が単独で判断・実行できます。一方で、進学先の決定や手術など、子どもに大きな影響を与える重要な事項については、原則として父母双方の合意が必要とされます。

離婚の際には、単独親権か共同親権か、単独親権であればどちらが親権を持つかを夫婦で話し合って決定します。共同親権のメリット・デメリットや詳細については、以下の記事を参考にしてください。

離婚時に親権者を決める3つの流れ

未成年の子どもを持つ夫婦が離婚する場合は、離婚手続きの一環として親権者の決定をおこないます。話し合いで合意できればスムーズに解決できますが、折り合いがつかないときは調停、それでも決まらなければ裁判へと進みます。

それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。

1.夫婦間の話し合いで決定する

まずは夫婦間で話し合い、どちらが親権を持つかを決めるのが一般的な方法です。合意できれば、時間も費用も最小限で済みます。手続きも比較的シンプルで、親権者が決まったら離婚届の親権者欄を記入して役所に提出するだけで完了します。

ただし、話し合いが成立した場合でも、口約束だけで済ませるのは避けたほうがよいでしょう。後になって相手が「合意していない」と主張したり、養育費の支払いが滞ったりするおそれがあります。そのため、取り決めの内容は法的効力を持つ公正証書として残しておくことが望ましいといえます。

公正証書の費用やメリットについては、以下の記事を参考にしてください。

2.調停で合意を目指す

夫婦間の話し合いで意見がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

調停では、裁判官のもとで複数名の調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら話し合いを進めていきます。調停委員は男女各1名ずつ選任されることが多く、当事者同士が直接顔を合わせずに話し合えるため、感情的な対立を避けやすく、合意に至りやすい点が特徴です。

なお、「離婚自体には合意しているが、親権だけが決まらない」という場合、2026年4月施行の改正民法(第765条第1項第2号)により、家庭裁判所に親権者指定の審判または調停を申し立てさえすれば、親権者が決まる前でも先に離婚届を提出できるようになりました。DV被害者が早期に離婚を成立させたい場面などで特に有効な制度です。

調停でも合意に至らなかった場合には、最終的に裁判(離婚訴訟)へと進むことになります。

3.裁判の判決にて決定する

調停でも合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、判決によって親権者を決定してもらうことになります。

裁判では、父母それぞれが親権を主張し、主張書面や証拠、陳述書などを提出します。裁判所は、双方の主張内容に加え、提出された証拠や家庭裁判所調査官による調査報告書などを総合的に考慮し、どちらを親権者とするか判断します。

裁判にまで発展した場合、手続きは複雑になり、親権を判断するための主張や証拠の内容が結果に大きく影響します。親権裁判では、感情的な主張よりも、子どもの福祉の観点からどの事情が重視されるのかを踏まえた、法的に整理された主張が求められます。

この点、弁護士に依頼することで、裁判所が判断材料として重視するポイントを踏まえた主張立証が可能になります。また、不利になり得る発言や証拠提出を避けるなど、裁判上のリスクを適切にコントロールできる点も大きなメリットといえるでしょう。

親権の判断は、離婚後の生活や子どもとの関係に長期的な影響を及ぼす重要な問題です。そのため、裁判に進む可能性がある場合には、早い段階で弁護士に相談し、専門的な視点から対応方針を検討することが望ましいといえます。

単独親権の場合に裁判所が親権者を判断する6つの基準

単独親権の場合に裁判所が親権者を判断する6つの基準

裁判所が親権者を決める際に重視するのは、どちらを親権者にすれば子どもの利益につながるかという点です。

親のどちらが優れているかではなく、どちらのもとであれば子どもの健やかな成長環境が実現できるかを基準にします。これを子の利益の原則といいます。

6つの基準を詳しく見ていきましょう。

1.現状の養育環境を重視する継続性の原則

6つの基準のなかでも、特に重視されるのが継続性の原則です。

これは、「現在の養育環境に問題がない限り、子どもの生活環境を変えないほうが子どもの利益につながる」という考え方です。環境の変化は子どもに大きなストレスを与えるため、裁判所はできる限り現状を維持する方向で判断する傾向にあります。

そのため、これまで子どもと多くの時間を過ごし、日常的な世話を担ってきた親が有利になりやすく、別居中であれば子どもと一緒に暮らしている親が親権を得やすい傾向があります。

反対に、子どもと離れて暮らしている状況は不利に働くことがあります。親権を希望するなら、別居の際に子どもを置いて家を出ることは避けたほうがよいでしょう。

2.15歳以上の子どもの意思を尊重する原則

子どもが15歳以上の場合、どちらの親と暮らすことを希望しているかという本人の意思が、親権判断において重要な要素として尊重されます。

これは、家事事件手続法により、15歳以上の子どもについては必ずその意見を聴取しなければならないと定められているためです。また、15歳未満であっても、おおむね10歳前後からは、年齢や発達の程度に応じて子どもの意向が考慮される傾向にあります。

もっとも、子どもの希望が常にそのまま反映されるとは限りません。たとえば、親が自分に有利になるよう子どもの意思を誘導している場合や、その親の監護環境が子どもにとって適切でないと判断された場合には、子どもの希望と異なる結論に至ることもあります。

なお、子どもによっては、自分の気持ちを言葉でうまく表現できなかったり、親に気を使って本音を話せなかったりするケースも少なくありません。そのため、家庭裁判所では専門の調査官が子どもの心理状態や発達段階に配慮しながら、慎重に意思確認をおこないます。

3.兄弟姉妹を一緒に育てる不分離の原則

複数の子どもがいる場合、特別な事情がない限り、兄弟姉妹は離れ離れにせず、同じ親権者のもとで育てることが望ましいとする「兄弟姉妹不分離の原則」が、親権判断において重視されます。

離婚は、子どもの生活環境に大きな変化をもたらします。この原則は、兄弟姉妹が一緒に生活することで精神的な支えを維持し、子どもにかかる負担をできるだけ軽減し、情緒の安定を図ろうとする考え方に基づいています。

このため裁判所は、たとえば「長男は父親、長女は母親」といった形で兄弟姉妹の親権を分ける判断について、特別な理由がない限り慎重な姿勢をとる傾向にあります。

もっとも、すでに兄弟姉妹が別々に生活しており、それぞれの環境が安定している場合には、現状の養育環境が優先されることもあります。また、子どもの年齢が高くなるにつれて、個々の意思や生活実態がより重視されるようになり、不分離の原則が相対的に重視されにくくなる傾向もあります。

4.相手の面会交流に対する寛容性

面会交流に対して、相手の親に協力的で寛容な姿勢を示しているかどうかは、親権者を判断する際の考慮要素のひとつとなることがあります。

その背景には、離婚後であっても、子どもが父母双方から継続的に愛情を受けることが、健全な心身の発達につながるという、いわゆるフレンドリー・ペアレント・ルールの考え方があります。

そのため、子どもへのDVや虐待がある場合など、面会交流を制限すべき正当な理由がないにもかかわらず、相手との面会交流を一方的に拒否したり妨害したりすると、親権者として適切でないと評価されるおそれがあります。

もっとも、日本の親権判断においては、面会交流に対する寛容性が決定的な要素になることは多くありません。実際には、監護の継続性や子どもの意思といった事情のほうが、より重視される傾向があります。

このため、面会交流には可能な範囲で前向きに対応することが望ましいものの、あくまで親権判断における複数の判断材料のひとつとして位置づけられている点を理解しておくことが大切です。

5.父母の心身の健康状態や経済力

親権者を決めるにあたっては、親の心身の健康状態や経済的な状況も、子どもの福祉を判断するための要素として考慮されます。親権者には、子どもの日常的な世話や養育を継続しておこなえるだけの、身体的・精神的な安定が求められるためです。

たとえば、重い病気や精神的な不調によって、日常的な子育てが困難であると判断される場合には、不利に評価される可能性があります。ただし、治療を受けながらでも安定した生活を送り、問題なく育児ができているのであれば、それだけで直ちに不利になるわけではありません。

また、経済面についても、単に収入の額だけで判断されるわけではありません。収入が多くなくても、養育費や児童手当、生活保護などの公的支援を活用し、子どもの生活を安定して維持できるのであれば、経済的に不利と評価されにくい傾向があります。

一方で、借金を繰り返している場合や浪費癖がある場合など、子どもの衣食住や教育環境に悪影響を及ぼすおそれがあるときには、親権者として適切でないと判断されることもあります。

6.親族や周囲のサポート体制

親自身が仕事などで忙しい場合であっても、祖父母や親族などによるサポート体制が整っていれば、養育環境の安定性を示す事情として、親権判断の際に考慮されることがあります。

急な病気や残業が生じた際に、子どもの世話を任せられる大人の存在があることは、子どもの生活の安定につながります。実家との距離が近いことや、祖父母が健康で育児に協力的であるといった事情は、養育を継続していくうえでの支えとして評価されることがあります。

もっとも、あくまで重視されるのは、親本人が日常的な監護を担えるかどうかであり、親族の支援はそれを補完する要素にすぎません。親族の協力があるからといって、それだけで親権者として有利になるわけではない点には注意が必要です。

なお、ファミリーサポートや保育施設など、地域の支援サービスを安定して利用できている状況も、子どもの生活に無理がなく、継続的な養育環境が整っていることを示す要素として評価されることがあります。

離婚時の親権争いでは母親・父親どちらが有利?

離婚時に子どもの親権をめぐって悩む方の多くが、「母親と父親のどちらが有利なのか」と疑問に思うのではないでしょうか。

裁判所が公表する「令和6年 司法統計年報」によると、令和6年中に調停・審判において母親が親権を獲得した割合は9割を超えていることがわかります。

もっとも、これは全てのケースで母親が有利になるという意味ではありません。親権の判断は、子どもの生活状況や監護の実態など、個別の事情を踏まえて総合的におこなわれます。そのため、父親だからといって、親権取得を最初から諦める必要はありません。ここでは、母親・父親がそれぞれ有利・不利とされる理由を解説します。

親権獲得においては母親が有利な傾向がある

親権の判断においては、一般的に父親よりも母親が有利になるケースが多いとされています。

その背景にあるのは、「母親だから」という理由そのものではなく、乳幼児期の子どもにとって、日常的な養育を継続して担ってきた親の存在が重視されるという考え方です。日本では、実際に母親が主として育児を担ってきた家庭が多く、これまでの監護実績が継続性の原則の観点から評価されやすい傾向にあります。

とくに乳幼児の場合には、生活リズムや情緒の安定を保つ観点から、これまで密接に関わってきた親との生活を継続することが、子どもの利益にかなうと判断されやすく、その結果として母親が親権者となるケースが多く見られます。

もっとも、母親であれば無条件に親権を取得できるわけではありません。育児放棄や虐待がある場合など、子どもの福祉に反すると判断されれば、母親であっても親権を得られないことがあります。

父親は親権判断で不利になりやすい傾向がある

一般的に、父親は親権をめぐる判断において、母親に比べて不利になりやすい傾向があるといわれています。その主な理由は、これまでの監護実績の差にあります。

日本では依然として、父親が仕事を中心に担い、母親が家事や育児を主に担当してきた家庭も多く見られます。その結果、日中に仕事へ出ている父親は、日常的な育児への関与が希薄になりがちなケースが少なくありません。

親権者を決定する際、裁判所は、どちらがより継続的に子どもの日常生活を支えてきたかを重視します。そのため、長時間労働になりやすい父親は、監護の継続性という観点から不利に評価されることがあります。

また、子どもが乳幼児の場合には、これまで主として養育を担ってきた親との生活を維持することが、子どもの情緒の安定につながると考えられやすく、結果として父親にとっては親権獲得のハードルが高くなる傾向があります。

もっとも、父親であること自体が不利に扱われるわけではありません。親権判断では、性別ではなく実際の育児への関与度や監護の実績が重視されます。日頃から積極的に育児に関わり、子どもの生活を支えてきた実績があれば、父親であっても親権を獲得できる可能性は十分にあります。

父親が親権を獲得できる可能性があるケース

父親であっても、すでに主たる監護者として子どもの世話を担っている場合や、母親側に親権者として問題となる事情がある場合には、親権を獲得できる可能性があります。たとえば、次のようなケースが挙げられます。

  • 父親が専業主夫や在宅ワークなどの形態で、日常的・主体的に育児を担ってきた場合
  • 母親が子どもを残して別居し、父親が単独で子育てを継続している場合
  • 母親に虐待、ネグレクト、DVなど、親権者として不適切と判断され得る事情がある場合
  • 子どもが父親との生活を明確に希望している場合(特におおむね10歳以上)

いずれのケースにおいても重要なのは、父親自身の監護実績や、現在の生活環境が安定していることを、具体的な事実として示せるかどうかです。また、祖父母などによる支援体制が整っている場合には、養育環境の安定性を補強する事情として、有利に考慮されることもあります。

父親が親権を勝ち取る方法については、以下の記事を参考にしてください。

親権から監護権のみ分けて子どもと関わり続ける選択肢も

親権には、子どもの身上を監護する権利と、財産を管理する権利の両方が含まれています。このうち、身上監護の部分だけを切り分けて「監護権」とし、親権と監護権を別々の親が持つというかたちも、法的には認められています。

たとえば、父親が親権者として財産管理を担い、母親が監護権者として子どもと同居し、日常的な世話をおこなうといった役割分担のケースがあります。双方が親権を譲らず離婚協議が長期化している場合に、当事者間の合意によって成立する選択肢のひとつとして検討されることがあります。

もっとも、親権と監護権を分けることにはデメリットもあります。進学や医療行為への同意、再婚相手との養子縁組など、重要な判断の場面では親権者の同意が必要となるため、父母間の関係性が良好でない場合には、連絡や調整の負担が大きくなるおそれがあります。

また、家庭裁判所は、親権と監護権の分離について慎重な姿勢を取る傾向があり、常に認められるわけではありません。子どもの利益にかなうと判断される事情が必要となるため、安易に選択するのではなく、メリット・デメリットを踏まえたうえで慎重に検討することが重要です。

親権獲得に影響するケース・しないケース

親権者決定の判断に与える影響は、一般的なイメージとは異なることがあります。ここでは、親権獲得に影響するケース・しないケースを見ていきましょう。

1.父母の不倫は親権問題に直接関係しない

父母の不倫(不貞行為)は、原則として親権の判断に直接影響するものではありません。不倫はあくまで夫婦間の問題であり、親権は「子どもの利益」を最優先に判断されるため、法的には切り離して考えられます。

そのため、不倫をした親であっても、これまで主たる監護者として子どもの世話を適切におこなってきた実績があれば、それだけを理由に親権が否定されるわけではありません。監護の継続性や養育環境の安定性が重視される点は、不倫の有無によって変わらないのが原則です。

もっとも、不倫に関連する行動が育児に悪影響を及ぼしている場合には、話は別です。たとえば、不倫相手との密会を優先して子どもを長時間放置しているなど、育児放棄と評価され得る事情がある場合には、親権判断において不利に考慮される可能性があります。

また、不倫による慰謝料請求の問題と親権の問題は、判断基準も目的も異なるため、別の問題として対応する必要があります。感情的に問題を混同せず、それぞれを切り分けて冷静に進めることが重要です。

2.母親は無職や専業主婦でも不利になりにくい

親権の判断においては、母親が無職や専業主婦であっても、それだけで不利に扱われることは通常ありません。裁判所は、親の収入額そのものよりも、これまでの監護実績や子どもとの生活の継続性、情緒的な結びつきをより重視するためです。

そのため、現在の収入が少ない、あるいは収入がないという事情のみを理由に、直ちに親権判断で不利になるわけではありません。

離婚後の生活についても、相手方からの養育費や、児童扶養手当などの公的支援を含めて、子どもとの生活を安定して維持できる見通しが立つかどうかが重要視されます。収入が多くなくても、生活設計が現実的であれば、問題視されにくい傾向にあります。

また、実家の協力など、親族によるサポート体制が整っている場合には、養育環境の安定性を補強する事情として考慮されることがあります。さらに、就職活動を始めている、資格取得を目指しているなど、将来的な自立に向けた具体的な計画を示せる場合には、前向きな要素として評価されやすくなります。

3.母親でも虐待やネグレクトのような重大な問題があると不利になる

どれほど監護実績があったとしても、子どもの養育に重大な問題があると判断された場合には、母親であっても親権者として適切でないと評価されることがあります。親権の判断では、性別ではなく「子どもの福祉に反していないかどうか」が重視されるためです。

代表的な例としては、食事を十分に与えない、不衛生な環境に置くといったネグレクト(育児放棄)や虐待が挙げられます。これらが認められる場合、親権判断において大きく不利に働きます。

また、虐待やネグレクトに限らず、次のような事情がある場合にも、不利に評価される可能性があります。

  • 子どもに対して相手の親の悪口を繰り返し伝えるなど、心理的に悪影響を与えている
  • 生活が著しく不安定で、住居や就学といった基本的な生活基盤を維持できていない
  • 医療や教育への配慮が欠けており、子どもの健康管理や生活リズムが著しく乱れている

このように、親権の判断では、これまでの監護実績だけでなく、現在および将来にわたって子どもを安全かつ適切に育てられる環境が整っているかどうかが、総合的に判断されます。

4.相手のモラハラやDVは親権判断において重要な考慮要素となる

相手からのモラハラやDV(家庭内暴力)があった場合、それが事実として認定されれば、子どもの健全な養育環境を損なう事情として、親権判断において重要な考慮要素となります。

とくに、子どもに対する直接的な暴力や暴言が認められる場合には、その親が親権者として適切でないと判断される可能性が高くなります。また、配偶者に対する暴力であっても、子どもがその場に居合わせていた場合(いわゆる「面前DV」)には、子どもに深刻な心理的影響を与えるとして、心理的虐待に該当すると評価されることがあります。

このようなDVやモラハラが確認された場合、たとえ主たる監護者であったとしても、親権者として不利に扱われる可能性があります。ただし、親権判断では事実認定が重視されるため、主張する側には客観的な証拠をもって状況を示すことが重要です。

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離婚時に親権を得るためのポイント4つ

親権を獲得するためには、裁判所にアピールできる実績と証拠を積み上げていく必要があります。

ここでは、親権を得るためのポイントをそれぞれ解説します。

1.子どもとの同居を継続し育児実績を作る

親権獲得において重要なのは、子どもと同居し続け、育児の実績を作ることです。

継続性の原則により、別居後に子どもと同居している親が有利になるためです。別居を予定している場合は、相手の同意を得たうえで子どもと家を出ることを検討しましょう。

日々の食事作りや通園・通学の送迎、学校行事への参加など、育児の実績を地道に積み重ねることが親権獲得へとつながります。

あわせて、育児実績を証明できる記録を残しておくことも重要です。たとえば、以下が有効な証拠になります。

  • 育児日記・連絡帳
  • 母子手帳への記録
  • 子どもとのツーショット写真(日付入り)
  • 通院・予防接種の記録
  • 学校行事への参加記録

2.子どもの養育環境を整える

離婚後の住まいや仕事、協力者の存在など、子どもが安心して暮らせる環境を整えておくことが重要です。

離婚後も問題なく子どもを育てられる環境が整っているかどうかは、親権者の決定に大きく影響します。

フルタイムで働く場合は、実家の両親や保育施設などのサポートを受けられるよう準備しましょう。また、転校を避けるために学区内の住居を確保するなど、子どもの環境変化によるストレスを最小限に抑える配慮も、裁判所からプラスの評価を得やすいポイントです。

3.相手の育児放棄や虐待などの証拠を集める

相手に育児放棄や虐待の事実がある場合、相手が親権者として不適格であることを客観的に証明する必要があります。

有効な証拠としては、以下が挙げられます。

  • 日時や状況を記録した日記・メモ
  • 相手の暴言・暴力を記録した録音・録画データ
  • LINE・メールなどのやり取りのスクリーンショット
  • 医師の診断書
  • けが・生活環境を撮影した写真

注意が必要なのは、証拠集めのタイミングです。別居や離婚をしたあとでは証拠を集めることが難しくなるケースが多いため、同居しているうちに準備を進めておくことをおすすめします。

モラハラ・DVの証拠については、以下の記事も参考にしてください。

4.自身が親権者にふさわしいことを調停委員にアピールする

調停では、これまでの育児実績や将来の養育計画を、冷静かつ論理的に調停委員へ伝えることが重要です。

調停委員は双方の話を聞いて判断するため、感情的になって相手を非難すると逆効果になりかねません。自分なら子どもを幸せにできると言えるポジティブな理由を、具体的に提示しましょう。

また、陳述書や資料は整理してわかりやすくまとめておくことも有効です。陳述書とは、調停委員に対して自分の主張や育児実績、相手の問題点などを伝えるための文書です。必須ではありませんが、口頭での説明を補強する役割があります。

弁護士に依頼すれば、陳述書や資料の作成はもちろん、主張の組み立てもサポートしてもらえます。自分で陳述書を作成する場合は、以下の記事を参考にしてください。

離婚時の親権争いで避けるべきNG行動4つ

良かれと思った行動が、親権争いでマイナス評価を受けることがあります。

裁判所は親の身勝手な行動を厳しくチェックします。法的なルールを逸脱する行為は、これまで積み上げてきた育児実績を無駄にしかねません。

ここでは、親権争いで避けるべきNG行動をひとつずつ紹介します。

1.同意なく子どもを連れ去り別居する

相手の同意を得ず、無断で子どもを連れて別居するのはやめましょう。

相手の同意なく子どもを連れて別居すると、違法な連れ去りとみなされるおそれがあるためです。また、相手から子の引き渡し請求などを起こされるリスクもあり、争いがさらに激化する可能性があります。

ただし、相手のDVから逃れるための避難など、正当な理由がある場合は例外として認められます。自己判断で動く前に、弁護士や警察に相談したうえで行動することが重要です。

2.相手からの面会交流の要求を不当に拒絶する

正当な理由なく面会交流を拒否すると、子どもの福祉の視点から親権争いで不利になる可能性があります。

面会交流は、親ではなく子どものための権利です。また、裁判所は、子どもにとって害があるケースでない限り、原則として面会させるべきと考えています。

そのため、相手への嫌悪感や子どもと会わせたくないとの思いから面会を拒絶する行為は、かえって自身の評価を下げる結果になりかねません。

なお、相手から監護親へのDVがあっても、子どもに被害が及ばないなら基本的に面会交流は拒否できません。以下のように、特別な事情があるときに限って制限・拒否できる点に注意しましょう。

  • 子どもが虐待を受けていた場合
  • 子どもが面会を拒否している場合
  • 相手に接近禁止命令が出ている場合

3.子どもに相手の悪口を言い聞かせる

子どもに対して、「お父さん(お母さん)は浮気をしていた」「お父さん(お母さん)はあなたのことを大切にしていない」などと、相手を一方的に否定する言動を繰り返すことは、親権者として適切でない行為と評価されるおそれがあります。

親権を得たいという思いから、子どもに特定の見方を植え付け、相手に対して否定的な感情を抱かせる行為は、子どもの心情に悪影響を及ぼし、心理的虐待に該当すると判断される場合があります。また、家庭裁判所の調査官による聴取や調査を通じて、こうした言動があった事実が判断材料とされることも少なくありません。

親権の判断においては、子どもの健全な心身の成長を最優先に考えているかどうかが重視されます。子どもの前で相手を否定せず、子どもが安心して両親との関係を保てるよう配慮する姿勢を示すことが、裁判所からの評価につながります。

4.子どもに親権者を選ばせる

「パパとママ、どっちについていく?」などと、子どもに対して親権者の選択を迫る行為は、子どもに過度な精神的負担を与えるため、望ましくない対応とされています。

どちらか一方を選ぶことは、もう一方の親を傷つけてしまうという罪悪感を子どもに抱かせかねません。このような状況は、子どもの心情や健全な発達に悪影響を及ぼすおそれがあり、「子どもの利益」の観点からも問題視されます。

確かに、15歳以上の子どもについては、その意思を聴取し尊重することが法律上求められています。しかし、それは家庭裁判所の調査官などの専門家が、子どもの心理状態に十分配慮しながら慎重に確認するものであり、親が直接選択を迫ることとは根本的に性質が異なります。

親権の判断においては、子どもを紛争の当事者にしない姿勢も重要な評価ポイントとなります。子どもの前で親権争いや離婚の対立を持ち出さず、安心して日常生活を送れる環境を守ることが、裁判所からの評価にもつながるといえるでしょう。

親権獲得を目指すなら弁護士に依頼すべき理由3つ

親権獲得を目指すなら弁護士に依頼すべき理由3つ

親権の獲得を目指すなら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

親権問題は複雑な法的基準と心理戦が絡み合うことから、自力での解決が難しいケースも少なくないためです。

弁護士に依頼すべき理由について、順番に見ていきましょう。

1.親権を獲得できる見込みがあるか判断してもらえる

弁護士に依頼すれば、自分のケースで親権を獲得できる見込みがあるのかを、プロの視点から判断してもらえます。

これまでの監護実績や経済力、居住環境などを弁護士が総合的に分析し、自分の状況が裁判所の基準にどう当てはまるかを客観的に示してくれます。

また、無職や別居中など一見不利に思える要素がある場合でも、手続きを有利に進めるための戦略を提案してもらえるでしょう。見通しが立つだけで、精神的な不安や焦りは軽減されるはずです。

2.親権獲得に有利な証拠集めをサポートしてもらえる

弁護士に依頼することで、裁判所を納得させるための有効な証拠の集め方や、日記・メモの書き方について的確な指導を受けられます。

素人判断で証拠を集めると、法的に無効になったりかえって不利になったりする可能性があります。相手のモラハラや育児放棄の証拠、自身の監護実績を証明する書類など、何が決定打になるかを具体的に指示してもらえるのは大きなメリットといえるでしょう。

なお、相談が遅れると同居期間中に確実な証拠を確保しにくくなるため、早めの相談がおすすめです。

3.相手との交渉や調停、裁判の手続きを任せられる

弁護士には相手との交渉や調停、裁判の手続きを代理でおこなってもらえます。

相手と直接話す必要がなくなるため、モラハラや威圧的な態度に怯えることなく主張を通せます。また、調停や裁判に必要な書類作成を一任できるほか、調停に同席して調停委員への説明をサポートしてもらったり、自分の代わりに裁判に出廷してもらったりといったことも可能です。

離婚時の親権に関するよくある質問

ここからは、離婚時の親権に関するよくある質問に回答します。

親権は子どもが何歳になるまで続きますか?

2022年4月の民法改正により、成年年齢は20歳から18歳に引き下げられました。これに伴い、親権が行使できるのは、子どもが18歳に達するまでとなっています。子どもが18歳になると法律上は成人となり、親の身上監護権や財産管理権といった親権は終了します。そのため、進学や就職、財産の管理などについて、親が法的に決定する権限はなくなります。

ただし、親権の終了と養育費の支払いは別の問題です。養育費については、当事者間の合意や調停・審判などによって、18歳以降も「20歳まで」や「大学卒業まで」と定めることが可能です。その場合、親権がなくなった後であっても、取り決めた期間までは養育費の支払い義務が続きます。

養育費の支払期間や金額については、後のトラブルを防ぐためにも、離婚協議書や公正証書などの書面で明確に定めておくことをおすすめします。

親権を取られても、あとから取り返すことは可能ですか?

一度決まった親権者を変更できる場合もありますが、実務上は認められるハードルが非常に高いのが現状です。

離婚後に親権者の変更を求める場合には、家庭裁判所に「親権者変更調停」を申し立てることになります。ただし、単に環境が良くなった、状況が変わったという程度では足りず、親権者を変更しなければ、子どもの利益が著しく害されるといえる事情が必要とされます。

たとえば、現に親権者となっている親による虐待やネグレクトが認められる場合など、子どもの安全や健全な成長に重大な支障が生じているケースでなければ、変更が認められることは難しいのが実情です。

親権者の変更を目指す場合には、子どもに生じている具体的な不利益や問題点を、客観的な証拠によって示すことが不可欠です。そのため、早い段階で弁護士に相談し、方針の検討や証拠収集について専門的な助言を受けることが重要になります。

離婚で親権を獲得した場合、相手から養育費はもらえますか?

子どもと一緒に生活し、実際に養育を担う親は、相手方に対して養育費を請求することができます。養育費は、子どもが適切な生活水準を維持するために必要な費用であり、離婚後も父母双方に子どもを扶養する義務があるためです。

そのため、親権を持たない親であっても、養育費の支払い義務を免れるわけではありません。ただし、親権を獲得したからといって、養育費が自動的に支払われるわけではない点には注意が必要です。実際には、養育費の未払いトラブルは非常に多く、口約束だけで済ませた結果、支払いが滞ってしまうケースも少なくありません。

養育費を確実に受け取るためには、支払額や支払方法、期間などを明確に定めたうえで、強制執行認諾条項付きの公正証書を作成しておくことが有効です。この条項が付いていれば、支払いが滞った際に、裁判を経ることなく強制執行をおこなうことが可能になります。

また、すでに養育費の未払いが生じている場合でも、内容証明郵便による請求や、調停・強制執行などの法的手段が用意されています。状況に応じて弁護士に相談することで、適切な回収方法を検討することができるため、「もう払ってもらえない」と諦める必要はありません。

妊娠中に離婚する場合は誰が親権者になりますか?

妊娠中に離婚した場合、出生と同時に母親の単独親権となるのが原則です(民法第819条第3項)。離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子と推定されますが、親権は母親が持ちます。

ただし子どもの出生後、父母の協議によって父親または父母双方を親権者と定めることも可能です。

離婚した子どもに相続権はありますか?

親権の有無にかかわらず、子どもは親の財産に対する相続権を持ち続けます。法的な親子関係は両親が離婚したあとも一生続くため、相続権には影響しません。

たとえば、離れて暮らす親が再婚したり新しい子どもができたりしても、前妻(前夫)との間の子どもは常に第一順位の法定相続人です。

また、子どもから親への扶養義務も発生する可能性があります。

さいごに|離婚時に親権を獲得できるか不安なら弁護士に相談しよう

親権は子どもの一生を左右する、非常に重要な問題です。

ここまで解説してきた法的基準やNG行動をひとりで全て理解し実践するのは、精神的にも物理的にも大きな負担がかかります。相手のペースに巻き込まれる前に、一刻も早く弁護士を味方につけることをおすすめします。

まずは、無料相談から始めてみてください。現在の状況を弁護士に話すことで親権獲得の見通しや取るべき行動が明確になり、精神的な負担が軽減されるでしょう。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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