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離婚時に子どもの苗字を変えないと戸籍はどうなる?手続きや注意点も解説

離婚時に子どもの苗字を変えないと戸籍はどうなる?手続きや注意点も解説

離婚後の子どもの苗字について悩んでいる場合、どうすれば苗字を変えずに済むか、戸籍はどうなるかなど疑問点は少なくないでしょう。

どのような手順でどこに申請すればいいかなど、必要な手続きを把握しておくことで問題解決に繋がる可能性は高まります。

本記事では、離婚時に子どもの苗字を変えない場合に戸籍がどうなるかを解説します。

また、子どもを戸籍に入れる手続きについても説明するので、ぜひ参考にしてください。

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離婚後に子どもの苗字を変えないで戸籍だけを変えられるか?

結論からお伝えすると、子どもの苗字を変えないで戸籍だけ変えることはできません。

戸籍は、特定の市区町村に本籍を定める夫婦、および同じ氏の子ごとに作られるため、子どもの苗字をそのままに戸籍だけを変えることはできません。

戸籍法6条では、戸籍について以下のように定められています。

<引用>

第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。

引用元:戸籍法 | e-Gov 法令検索

なお、離婚後に親権者が旧姓に戻った場合でも、手続きをしなければ子どもは婚姻中の苗字のままとなります。

また、親権者が婚氏続称の手続きをおこなった場合も、婚姻中の苗字と続称の手続きをおこなった苗字は、法律上、別の苗字となります。

たとえば、夫婦の苗字が「佐藤」だった場合、離婚後に続称手続きをおこなって同じ「佐藤」を名乗ることになったとしましょう。

その場合は、表記は同じ「佐藤」でも、戸籍上は別の「佐藤」という苗字として扱われることになるのです。

離婚後に子どもの苗字を変えたくない場合に考えられる2つの方針

子どもの苗字を婚姻時のままにしておきたい場合、どのような方法があるのでしょうか。

ここからは、メリットやデメリットも踏まえたうえで、考えられる2つの方法について解説します。

1.自分は旧姓に戻し、子どもの戸籍は筆頭者の戸籍に残したままにする

子どもを戸籍に残したまま自分の苗字を旧姓に戻すことで、子どもは婚姻中の苗字を使えます。

この場合のメリットは、子どもが元夫の戸籍に入っているとき、母親は子どもの戸籍や附票を取得することができることです。

また、子どもと同じ戸籍内の元夫の戸籍や附票も同様となります。

たとえば、元夫が養育費を支払わずに逃げてしまった場合、戸籍の附票に記載されている現在住所を知ることができます。

つまり、財産分与請求や慰謝料請求をする際にも新しい住所がわかるため、請求手続きがしやすくなるのです。

なお、元夫も子どもの附票を取得できます。

離婚後の夫婦は他人同士となるため、相手の戸籍や住民票を取得することはできません。

しかし、戸籍に入っている子どもの附票には住所履歴が残っていることから元夫に所在がバレてしまいます。

そのため、不仲や何らかの事情により住所がバレたくない場合は大きなデメリットになるでしょう。

2.自分が婚姻時の苗字を名乗り、子どもの戸籍を自分の戸籍に移動させる

離婚後も苗字はそのままで、子どもを自分の戸籍に移す方法もあります。

親権者となったとき、自分の子どもは自分の戸籍に入れておきたいという方もいるでしょう。

仮に元夫が再婚した場合、手続きをしなければ再婚相手も子どもと同じ戸籍になってしまいます。

この場合、母親は自分を筆頭者とした新しい戸籍を作る必要があります。

離婚後に母親は実家の戸籍に戻れますが、子どもは実家の戸籍に入れることができません。

その理由は、戸籍は夫婦と子どもの二世代で構成されるため、実家の戸籍には孫を入れることはできないためです。

事情があり実家の戸籍に入れたい場合は、祖父母と子どもが養子縁組をする必要があります。

なお、一般的には子どもを自分の戸籍に入れたい場合、新しい戸籍を作るケースが多いです。

婚氏続称の手続きから子どもの戸籍を移すまでの大まかな流れ|3ステップ

ここでは、婚氏続称の手続きや子どもの入籍届を提出するまでの流れを3つに分けて解説していきます。

1.役所に離婚の際に称していた氏を称する届を提出する

子どもの戸籍を移すには、まず離婚届けとは別に婚氏続称届を役所に提出します。

申請期間は離婚した日から3ヵ月以内で、離婚届けと同時に提出することも可能です。

なお、提出する際は届出書、届出人の署名、本人確認ができる証明書が必要となります。

証明書は官公署が発行する写真付きのものであれば1点、健康保険証など写真のないものは2点必要です。

2.家庭裁判所に対して子の氏の変更許可の申立てをする

次に、家庭裁判所で子の氏の変更許可の申し立てをします。

申し立ての際には、裁判所で交付される次のものが必要です。

  • 申立書
  • 申立添付書類
  • 収入印紙
  • 郵便切手
  • 認印

なお、添付書類として子どもと父・母の戸籍謄本が必要で、離婚の場合は離婚の記載があるものを提出します。

申立人は子どもが15歳以上の場合は本人、子どもが15歳未満の場合は親権者、または法定代理人となります。

3.家庭裁判所から許可を得たら役所に子どもの入籍届を提出する

家庭裁判所から許可がおりると、役所で交付される入籍届を提出できます。

その際の必要書類は、入籍届、氏の変更許可の審判書の謄本です。

届出先は入籍する子ども、もしくは入籍先の親いずれかの本籍地、または所在地の役所に提出してください。

なお、入籍届は届けた日から有効となり、申立人は子どもが15歳以上の場合は本人、子どもが15歳未満の場合は親権者となります。

入籍届は入籍する子どもが複数人いる場合、ひとりにつき1枚必要です。

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離婚後の子どもの苗字に関するよくある質問

ここでは、子どもの苗字に関する3つの質問に対して、詳しく解説します。

Q.子どもの苗字を変えない場合のメリットには何があるか?

子どもの苗字を変えないメリットとして、次のものが挙げられます。

  • 子どもの精神的負担を少なくできる
  • 名義変更など面倒な手続きがない

子どもにとって両親の婚姻時の苗字は、慣れ親しんだ愛着のあるものです。

両親の離婚によって急に苗字が変わると、子どもは精神的に動揺してしまう可能性があります。

苗字の変更により学校の友人やクラスメイトなどにからかわれたり、いじめに発展することもあるかもしれません。

子どもの苗字を婚姻時のままにしておくことで、このような精神的負担を避けることに繋がるかもしれないのです。

また、苗字を変更すると、銀行口座やスマートフォンなど、さまざまなものの名義変更をしなければなりません。

幼い子どもなら名義変更が必要になるケースはほとんどないかもしれませんが、中高生以上となると名義変更が必要な場面は少なくないでしょう。

その点、苗字がそのままであれば面倒な手続きをする必要はありません。

Q.子どもの苗字を変えない場合のデメリットには何があるか?

子どもの苗字を変えないデメリットとしては、次のものが挙げられます。

  • 子どもと母親が別の苗字になる
  • 子どもと母親が別の戸籍になる

離婚したと同時に母親は旧姓に復すため、学校や習い事で必要な書類に名前を記入する際、子どもは母親と異なった苗字に違和感を覚えるかもしれません。

また、父親がいない寂しさや周りの同級生と家庭環境が違うことに劣等感を感じる可能性もあります。

離婚は夫婦の問題とはいえ、子どもがいる場合は先を見据えて、負担がかからないようどのような方法が最善かを考える必要があるでしょう。

なお、子どもが母親と別の戸籍になったとしても日常生活に支障はありませんが、離婚後に母親と子どもが遠方に引っ越した場合、子どもの戸籍謄本が必要な場面で不便に感じることがあります。

戸籍謄本が必要な場面には結婚やパスポート申請、相続をするときなど、人生において一度は取り寄せる機会があると考えられるため、手間と出費は避けられないかもしれないのです。

しかし、現在は自治体によってマイナンバーカードを取得していればコンビニで戸籍謄本を受け取れます。

マイナンバーカードが今後さらに普及すれば、戸籍謄本の取得に関するデメリットは軽減されるでしょう。

Q.婚氏続称の手続きをした場合でもあとから旧姓に戻すことはできるのか?

婚氏続称の手続きをしても、旧姓に戻すことは可能です。

しかし、その場合は家庭裁判所で氏の変更許可申立をしなければならず、理由が正当と認められた場合のみ旧姓に戻せます。

具体的には、やむを得ない事情があり思いつきで申請したわけではないこと、婚氏続称後にその苗字が社会的に定着する前に申し立てられたものなどの事情があれば変更可能です。

さいごに|離婚する際は子どもの苗字や戸籍についても考えておこう

本記事では、離婚時に子どもの苗字を変えない場合に戸籍はどうなるか、そして子どもを戸籍に入れる手続きなどについて解説しました。

離婚をすると本人のみならず子どもにも影響が出てきます。

戸籍を変更したい場は所定の手続きが必要となり、子どもを自分の戸籍に入れたい場合には新しい戸籍を作る必要があるので注意しましょう。

また、離婚後も子どもの苗字を変えない場合には、メリットやデメリットを踏まえたうえでよく検討しながら、子どもにとっての最善策をじっくり考える必要があります。

なお、自分だけでは判断できない、あるいは複雑な問題を抱えている場合は、離婚問題が得意な弁護士に相談することをおすすめします。

さまざまな事案を経験している弁護士に相談することで、最適な方法を提案してくれるでしょう。

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この記事の監修者
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阿部 洋介 (札幌弁護士会)
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