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「離婚したら子どもの戸籍や姓はどうなる?」
「子どもの戸籍は離婚後もそのままにしておいてもよいの?」
夫婦の間に子どもがいる場合、離婚後に戸籍や姓をどうするかは悩むところでしょう。
本記事では、離婚すると子どもの戸籍や姓はどうなるのか、子どもの戸籍をそのままにするメリット・デメリットなどを解説します。
子どもの戸籍や姓を変える手続きの方法も紹介するので、気になる方はぜひ参考にしてください。
まずは、離婚した場合に戸籍や姓はどうなるのかを解説します。
戸籍という言葉はよく耳にしますが、何かと聞かれて正確に答えられる方は意外と少ないのではないでしょうか?
戸籍とは、日本国民の出生・死亡、親子・夫婦関係などを公的に証明する文書のことです。
戸籍には、主に以下の項目が記載されています。
戸籍では、夫婦と未婚の子どもをひとつの単位とします。
妻が夫の姓に改姓した場合は、夫が戸籍の筆頭者となり、そこに妻と未婚の子どもが入ります。
未婚の子どもが結婚した場合は、父母とは別の戸籍に入ることになります。
なお、同じ戸籍に入っている人は、必ず同じ姓を名乗らなければなりません。
「離婚すると子どもの戸籍や姓はどうなるの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
結論を述べると、離婚したからといって子どもの戸籍や姓が自動的に変わることはありません。
子どもの戸籍や姓を変えたい場合は、変更手続きをおこなう必要があります。
変更手続きをおこなわないと、子どもは夫の戸籍に入ったままとなってしまうので注意しましょう。
結婚により改姓した人は、原則として結婚前の姓に戻ります。
自分が子どもの親権を取った場合、子どもを同じ戸籍に入れるには子どもも結婚前の姓に変わることになります。
しかし、「姓が変わったことで、学校でいじめられたらどうしよう」「名前を途中で変えるのは子どもがかわいそう」と思う方もいるでしょう。
このように、子どもの生活への影響を考えて姓を変えたくない場合、「婚氏続称」の手続きをおこなえば、離婚後も元配偶者の姓を名乗り続けることができます(民法767条2項)。
婚氏続称の手続きは、離婚の日から3ヵ月以内に自分の本籍地の役所・役場でおこなう必要があります。
手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
なお、婚氏続称の手続きをするのに元配偶者や親族などの許可は必要ないため、手続きをおこなうかどうか自由に選択できます。
戸籍の筆頭者でない場合は、もとの戸籍に戻ります。
ただし、もとの戸籍に入っていた人が全員亡くなっていて戸籍が除籍されている場合は、新しい戸籍を編製することになります。
なお、筆頭者は戸籍を戻す必要はありませんが、身分事項欄に離婚の事実が記載されます。
ここでは、子どもの戸籍をそのままにした場合のデメリットを6つ紹介します。
元配偶者からDVを受けていた場合、子どもの居場所を知られたくないはずです。
しかし、戸籍をそのままにしていると、戸籍の附票によって元配偶者が居場所を特定してしまう可能性があります。
戸籍の附票とは、本籍地の市区町村で戸籍の原本と一緒に保管されている書類で、その人の配偶者・父母などが交付請求できます。
同じ戸籍のままにしていた場合、元配偶者が子どもの居場所を突き止めるのは容易です。
元配偶者に住所を特定されたくない場合は、別の戸籍に移したほうが安全でしょう。
戸籍法の改正にともない、2024年3月1日より、戸籍謄本等の広域交付制度が始まりました。
この制度が開始されたことで、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本の取得が可能となりました。
加えて、取得したい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1ヵ所の市区町村の窓口でまとめて請求できるようになりました。
ただし、この制度を利用するためには戸籍証明書等を請求する本人が、市区町村の戸籍担当窓口に出向いて請求しなければなりません。
そのため、代理人や郵送で請求したい場合は、これまでと同じく本籍地の窓口へ出向かなければなりません。
また、戸籍抄本、戸籍の附票を取得する場合も対象外となります。
戸籍謄本は、本籍地がある市区町村の役所・役場で取得します。
子どもと自分の本籍地が異なる場合、それぞれの本籍地の役所に対して交付申請をおこなわなければなりません。
同じ戸籍であれば1回の交付申請で取得できるところを、戸籍が別であるために2回も交付申請をする必要が生じるのです。
戸籍を変えておいたほうが、戸籍を取る際の煩わしさを抑えられるでしょう。
子どもの戸籍をどうするか、元配偶者と話し合わずに離婚する場合もあるでしょう。
離婚後、なんとなく子どもの戸籍をそのままにしておくこともあるかもしれません。
その場合、元配偶者が何かのタイミングで戸籍謄本を取得した際に、子どもが自分の戸籍に残っていることに気付きます。
「自分は親権から外れたのに、なぜ子どもの戸籍がまだ残っているんだろう?」と疑問に思い、元配偶者から連絡が来るかもしれません。
子どもの戸籍を移すかどうかを離婚後に話し合わなければならず、お互いに負担に感じるおそれがあるでしょう。
場合によっては、トラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。
再婚した場合、子どもの戸籍に再婚後の住所、再婚相手の氏名が記載されます。
そのため、子どもの戸籍を通じて元配偶者に再婚後の住所や姓を知られてしまう可能性があるでしょう。
元配偶者と不仲であったり暴力を受けたりしていた場合、再婚後も元配偶者の存在におびえることになりかねません。
再婚したことや再婚後の居場所を元配偶者にバレたくない場合は、子どもの戸籍を変えておくことをおすすめします。
自分が親権を取ったにもかかわらず、子どもと戸籍が別であることに違和感を覚えたり悲しさを感じたりする可能性もあるでしょう。
「毎日一緒に生活しているのに戸籍が違うなんて…」と、子どもとの間に壁を感じてしまうかもしれません。
子どもの戸籍をそのままにするとさまざまなデメリットがありますが、メリットも少なからずあります。
ここでは、2つのメリットを紹介します。
元配偶者と子どもが同じ戸籍に入っていれば、元配偶者の居場所を知ることができます。
元配偶者が養育費を払わずに逃げても、居場所をすぐに突き止めることができるでしょう。
また、財産分与や慰謝料を請求する場合、相手の住所を把握しておく必要があります。
戸籍を通じて元配偶者の住所を知ることができれば、スムーズに請求手続きをおこなえます。
元配偶者の居場所がわからなくなると困るようであれば、子どもの戸籍をそのままにしておくのもひとつの手です。
子どもの姓を変える必要がない点も、メリットのひとつといえるでしょう。
子どもを自分の戸籍に移すとなると、子どもが学校で新しい姓を名乗らなければならなくなります。
その場合、子どもが「違う名前を名乗るのは恥ずかしいな」と思ったり、友だちに「どうして苗字が変わったの?」と聞かれたりする可能性があるでしょう。
元配偶者の戸籍に入れたままにしておけば、子どもは変わらず同じ名前を名乗ることができます。
婚氏続称の手続きを取れば、新しい戸籍に移しても離婚前の姓を名乗ることができますが、手間がかかるのがネックです。
その点、戸籍を別々にしておけば、特別な手続きをすることなく子どもは同じ名前を名乗ることができます。
手間をかけずに、離婚による子どもへの影響を少なくしたい場合は、戸籍をそのままにしておいてもよいでしょう。
離婚しても、手続きをしない限り子どもの戸籍や姓は変わりません。
それでは、子どもの戸籍や姓を変えたい場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
3つのステップに分けて、大まかな流れを解説します。
妻の戸籍に子どもが入る場合は、妻を筆頭者とする戸籍を新たに作ります。
離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄にある「新しい戸籍をつくる」にチェックをつけ、新しい戸籍の本籍地を記載すれば、新しい戸籍が作られます。
子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申し立てをおこないます。
子どもが15歳未満の場合は、法定代理人である親権者が15歳以上の場合は子ども自身が申し立てをします。
申し立てに必要な書類は、以下のとおりです。
申し立てには、子ども1人につき収入印紙代が800円かかります。
郵送で手続きをする場合は、切手代も別途かかる点は覚えておきましょう。
変更許可は申し立ての当日に下りることが多いものの、場合によっては1週間程度かかることもあります。
裁判で子どもの姓を変えてもよいと判断されたら、入籍手続きをおこないましょう。
自分の住所地または本籍地がある役所・役場へ入籍届を提出します。
入籍届の提出に必要な書類は、以下のとおりです。
なお、本籍地で入籍手続きをおこなう場合、戸籍謄本を提出する必要はありません。
入籍手続きが受理されると、その日から子どもは新しい戸籍と姓で生活していくことになります。
ここからは、離婚後の子どもの戸籍や姓についてよくある質問をまとめています。
子どもの戸籍や姓についての不安がある方はぜひチェックしてください。
婚氏続称の手続きを取れば、離婚前の姓を名乗り続けることは可能です。
離婚してから3ヵ月以内に婚氏続称届を役所に提出すれば、苗字を変えずに済みます。
なお、離婚前と同じ姓を名乗りつつ、自分の戸籍に子どもを入れたい場合は、子の氏の変更許可を家庭裁判所に申し立てなければなりません。
同じ戸籍に入る人は同じ姓を名乗る必要があるため、自分が婚姻中の姓を名乗り続けるなら、子どもも婚姻中の姓を名乗ることになります。
自分と子どもを同じ戸籍にしたい場合は、裁判所への変更許可申し立てを忘れずおこなうようにしましょう。
子どもの戸籍を残したまま再婚することは可能です。
ただし、子どもの戸籍に再婚相手の氏名や再婚後の住所が記載されるので、元配偶者に再婚後の居場所がバレる可能性があります。
元配偶者に居場所を知られたくない場合は戸籍を移しておいたほうがよいでしょう。
元配偶者が再婚しても、子どもは元配偶者の戸籍に残ることになります。
この場合の選択肢としては、子どもを自分の戸籍に入れるか、元配偶者の再婚後の戸籍に入れるかの2つが挙げられます。
しかし、いずれにしても子の氏の変更許可申し立ての手続きが必要となるので注意が必要です。
元配偶者の再婚後の戸籍に入る場合、再婚相手の同意を得る必要もあるため、手間と時間がかかるおそれもあります。
離婚する際、子どもの戸籍や姓をどうするかは大きな問題のひとつです。
ほかにも「相手が離婚に応じてくれない」「離婚したいと言うと暴力を振るわれる」など、離婚に関するお悩みを抱えている方は多くいるかもしれません。
離婚問題について悩んでいるなら、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
離婚に関するトラブルに詳しい弁護士なら、今の状況や配偶者との関係性を理解したうえで的確なアドバイスをしてくれます。
配偶者と代わりに話してもらうこともできるので、お困りなら頼ってみるとよいでしょう。
その際、離婚問題が得意な弁護士は「ベンナビ離婚」で簡単に検索できます。
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