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離婚で父親が親権を取るには?親権者になるポイントや手続きを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
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離婚する時、子どもがいる家庭では親権を父親がもつのか、母親がもつのかで揉めるケースが多くあります。

しかし、一般論としては父親が親権を得られる可能性は低いといわれています。

その事実を裏付けているのが、裁判所が公表している2017年の司法統計です。

調停や審判による親権者の取り決めは20,588件ありましたが、父親が親権を獲得し、子どもと同居できているのは1,860件と10%にも満たない割合です。

一方、母親が親権者となった割合は19,160件とそのほとんどが母親であることがわかります。

【参考】「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち未成年の子の処置をすべき件数  親権者別  全家庭裁判所

子どもの将来を考えて「どうしても親権が欲しい」と考える父親も多いのではないでしょうか。

  • どうして父親は親権を得るのが難しいのか
  • 親権を父親が得るためにはどうすればいいのか

本記事では、離婚の際に親権を父親帰属となりづらい理由と父親が親権を得るために離婚調停を有利に進めるための方法を解説します。

離婚調停で母親と親権を争う父親の方は、ぜひ参考にしてみてください。

父親が親権を獲得するにはどうしたらいい?

離婚時に父親が親権を獲得するのはとても難しいです。

そのため、親権問題を得意とする弁護士に依頼することをおすすめします。

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弁護士に依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。

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離婚で親権を父親が取りにくい3つの理由

一度は将来を誓い合い結婚した夫婦が離婚に至るのは悲しいばかりですが、もっとも悲しい立場にあるのは子どもです。

離婚がどういうものかわからない年齢でも、父親や母親の仲の悪い姿を見ることは子どもにとっては相当なストレスとなります。

離婚をする際は、そんな子どもの親権をどちらがもつのかを必ず決める必要があり、親権でもめることは子どもの更なるストレスとなってしまうため、できれば揉めたくないところではあります。

しかし、離婚の際に親権が大きな闘いとなってしまい、泥沼の紛争となってしまうことも多いといわれています。

なお、親権争いとなった場合、統計上は母親が親権を得て、子どもを引き取るケースが全体の9割を超えているのが実情です。

とくに、まだ子ども幼い場合、母親に親権を与えることが子の養育上望ましいという伝統的な考え方は裁判所に根強く残っています。

結果、このような統計的数値が現れているのでしょう。

では、父親に不利な親権争いで、父親が親権を取るにはどうすればよいのでしょうか?

まずは、父親が親権を得づらい3つの理由をみていきましょう。

1.父親はフルタイムで働いていることが多いため子どもの面倒をみることは難しいから

父親はフルタイムで仕事をしていることが多です。

そのため、子どもの世話に手が回らない可能性が高いと考えられてしまうことが理由のひとつです。

6歳以下は保育園、6歳以上は学童や民間の保育施設に預けることである程度の時間帯までは面倒をみてもらえるかも知れません。

しかし、父親が必ず毎日施設の最終時刻までに迎えに行けるのかははっきりしない場合も多いです。

このような場合、施設以外に子どもを十分に養育できる環境が整っていないと、子どもの養育には適していないと評価されてしまう可能性があります。

保育園を例に取ると、通常は17時が子どもの保育ができる最終時刻とされている場合が多いです。

父親の仕事が18時定時であれば間に合いませんし、必ず定時で仕事を終われるかどうかもわかりません。

また、父親はそもそも育児の経験が乏しく、単独での養育には不向きであると評価される可能性があります。

2.子ども自身が母親と暮らすことを選ぶ傾向がある

親権を決定する際、子どもがある程度の年齢以上であれば、子どもの意見もある程度尊重されます。

一般的に父親は仕事に専念し、子育ては母親がやるという役割分担が一般的な家庭モデルと考えられています。

このような家庭モデルの場合、当然子どもは父親よりも母親と一緒に過ごす時間が長くなり、父親よりも母親に愛着をもつ傾向が強くなります。

このような場合、親権ついて子どもが父親よりも母親を選択するケースが多いといえます。

なお、子どもの意見はあくまで参考意見に過ぎず、通常は、親権の帰属を子どもに選択させることはむしろ避けるべきと考えられています。

子どもの意見がすべてではないことについて十分留意してください。

3.「母親を親権者とする」という先例が多い

裁判所は、判断をくだす場合、先例を重視します。

日本では伝統的に離婚時の親権者を母親とするケースが一般的であり、そのような先例が多いことも事実です。

そのため、裁判所が過去の先例を参照した結果、親権を母親者と判断する可能性が相対的に高いということはいえそうです。

離婚で父親が親権を得る際のポイントは「子どもの幸せ」

離婚時の親権を父親か母親のどちらに渡すべきかという明確な基準はありませんが、判断の指針となる考え方はあります。

この「考え方」がどういうものであるのかを理解することも、父親が親権者となるためには重要ではないでしょうか。

もっとも重視するのは子の福祉

親権者を判断するうえで、最重視される考え方が「子の福祉」です。

砕いて言えば「子どもの親権をどちらに預けたら子どもの幸せに繋がるのか」という観点が親権者を考えるうえで重要であるということです。

母親が有利であるということも「子の福祉」に基づくもの

親権帰属の判断では父親よりも母親の方が有利であることは上記でお伝えのとおりです。

上記であげた3つの理由も突き詰めれば「子の福祉」の観点から母親を親権者とすべきという判断にいきつきます。

たとえば、父親が養育に適さないという一つ目の理由は、養育に適さない父親よりもこれに適する母親の方が「子の福祉」になるであろうという観点から、母親有利の理由になります。

また、子が母親を選択するという二つ目の理由も、子どもの意見を尊重することが「子の福祉」に資するという観点から、母親有利の理由になります。

さらに、先例が母親に親権を認めてきたということは、先例では母親を親権者とすることが「子の福祉」に資するという判断をしたということです。

この判断を踏襲することが「子の福祉」に資するということになります。

夫婦関係を破綻させた責任は子どもの親権とは無関係

親権の判断は「子の福祉」という考え方が最重要です。

離婚に至った経過について「夫婦のどちらが悪いか」を指摘することにはあまり意味がありません。

婚姻生活において、夫婦のいずれかに落ち度があったかどうかは、子どもの養育には直接は関係しないことです。

したがって、いずれの配偶者が離婚について有責かという事情は、直接マイナスとなることはないとされています。

もちろん、その有責の内容によっては、子の養育者としてふさわしくないという間接的評価がされる可能性は否定できません。

当事者からすればたとえば「妻の不倫が原因で離婚したのにどうして親権まで取られるのか?」と納得いかない気持ちもあることは理解できます。

しかし、有責配偶者であることが、子の養育に不適格ということには直ちにならないことはご理解いただけると思います。

親権はあくまで子どものための権利であり、配偶者間で奪い合うようなものではないのです。

配偶者の有責性が親権の判断に影響するケースもある

一方配偶者の有責性が、この養育に適するかどうかの判断に間接的に影響することがあります。

具体的には「相手の有責な行為」と「子どもの養育」について一定の関連性がある場合です。

  1. 相手配偶者を殴るなど暴力的傾向がある
  2. 配偶者が子どもの養育よりも不貞相手との交際を優先する傾向がある

前者は相手配偶者に対する暴力行為として離婚について有責な行為ですし、後者は不貞行為としてやはり有責な行為です。

前者は、子どもに対しても暴力的な言動・行動に及ぶ可能性をうかがわせるものであり、子の養育にふさわしくない可能性があるという判断がありえます。

後者についても子の利益よりも自身の利益を優先させる傾向があると評価され、子の養育にふさわしくない可能性があるという判断がありえます。

このような判断に至った場合、「子の福祉」の観点から親権者としてふさわしくないという評価はありえます。

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離婚前に親権を父親か母親に決める手続きと離婚までの流れ

子どもがいる場合、父親か母親のどちらかに親権を決めなければ離婚をすることはできません。

まずは離婚までの流れをご覧ください。

父親が親権を得る方法はある?親権者になるための重要なポイント

母親有利の親権問題で、父親が親権を取るにはどうすればよいか、重要なポイントを解説します。

監護実績(養育実績):子どもの養育を安定しておこなっている実績があるか

子の親権者としてふさわしいかどうかの判断に、子を安定して養育してきた実績は極めて重視されます

そのような実績があるということは、将来的にも安定して養育をおこなうことができる可能性が高く、「子の福祉」に資すると考えられるからです。

たとえば、同居期間中であれば、単独でまたは母親と共同して子どもを養育してきた具体的事実を証明することが重要です。

その立証手段としては、自身の日記、スケジュールや場合によっては保育施設や友人の「陳述書」などが考えられます。

もっとも、通常人は他人の離婚事件に介入することを嫌がりますので、このような陳述書の取得は容易ではありません。

また、別居期間中であれば、子どもと同居する期間が相当程度継続しており、かつ単独での養育も安定しているという実績は、非常に重要です。

裁判所は、離婚に際して子どもの生活環境や養育環境が変更されることを避ける傾向にあります

別居後、父親が子どもと安定して生活できているという実績があれば、それを無理に変更して母親を親権者にするという判断を回避する可能性はかなり高いです。

周囲にサポートをしてくれる人物がいることも大切

父親が自ら率先して、子どもを養育していることは重要です。

しかし、仕事などもありなかなか時間を得るのが難しいこともあるでしょう。

このような場合、必ずしも父親が自ら単独で子を養育している必要はなく、父親の両親など継続的な協力が期待できる人物によるサポートを受けていることもプラスに働きます。

単独での養育はリスクが大きいですが、このように複数名による手厚いサポートがあればリスクが低減されるからです。

子どもの意思:子どもが母親より父親との生活を望んでいるか

子どもが12歳以上など相当程度の年齢に至っている場合、親権者の判断において子どもの意思もある程度尊重されます。

たとえば、離婚に至る過程で妻が家を出ていってしまい、父親と子どもとで相当長期間生活しており、子どもも母親との生活より、現在の父親との生活を希望しているというようなケースが考えられます。

もっとも、子どもの意見はあくまで参考意見であり、この意見が決め手となるものではありません。

裁判所は子どもに親を選ばせるようなことを基本的には避けます

子どもの年齢が低ければ低いほどそのような傾向は強いです。

したがって、子どもが17歳、18歳と成人に近い年齢であり自我や価値観が相当程度確立されている場合はともかく、そうでない場合は子どもの意見は参考値です。

子どもに一方の親を選ばせるということは、一方の親を捨て去ることを決断させることであり、ときに非常に残酷であって、子どもの心の傷になり得ます。

両親も、このことを十分に理解し、子どもに親を選ばせるように仕向けたり、子に親権者を決定する責任を押し付けるようなことは絶対にやめましょう。

現状維持の原則:離婚後も子どもの生活が変わらないで負担が少ないか

親権者の判断には、安定した現状を維持すべきという考え方(現状維持の原則)があります。

これは、離婚という家庭環境の変化があっても、子どもの生活環境については、安定した状態を維持するほうが子どもの精神的、経済的安定に資するという考えによるものです。

たとえば、母親を親権者とした場合は、転居や転校が必要となるが、父親を親権者とした場合は現在の住居・学校での生活を維持・継続できるという場合は、現状維持の観点からすれば父親のほうが親権者にふさわしいということになります。

しかし、これはあくまで「子の福祉」の判断のための一つの要素に過ぎません。

現状維持が絶対的なものであるわけではない点は留意してください。

母親の監護能力に具体的問題がある

一般的には、親権者の判断では母親が有利と言われています。

しかし、母親による子どもの養育・養育能力に具体的問題がある場合は、当然、そのような事情は母親に不利(父親に有利)に働きます。

たとえば、次のようなケースが挙げられます。

  1. 母親が子どもに対して日常的に暴力を振るっていたり、暴言を吐いている
  2. 母親に浪費癖があり、子どもの経済的安定が阻害される可能性が高い
  3. 母親が精神疾患や薬物依存などで正常な判断を維持する能力が喪失・減退している

親権判断に影響するのはこのように養育に悪影響となる具体的事情です。

これに至らない抽象的な事情(母親の生活状況がだらしないとか、母親の価値観が若干個性的であるなど、人間の個性の範囲内にあるような事情)は、親権者の判断にはあまり影響しないのが通常です。

場合によっては、このような抽象的事情をあげつらう行為が母親に対する誹謗中傷と受け止められかねません。

母親に対して敵意があって、子どもの養育者としてふさわしくないと判断されてしまうこともあるかも知れません。

したがって、母親の問題点を指摘するかどうかは、慎重に判断するべきでしょう。

子どもの養育に関する具体的展望を有している

親権者の判断において、親権者となった場合に子どもの養育をどのようにおこなっていくか、具体的かつ現実的なプランを持っているかどうかも重視されます。

どのようなプランがよいかは、それぞれの家庭環境・生活環境に応じてケース・バイ・ケースで決めるべき問題ですが、親権者が非親権者による子の面会交流をどのように考えいているかは重要な要素とされています。

そのため、親権者となることを望むのであれば、子の面会交流について消極的な姿勢は控えるべきです。

離婚後も子が非親権者と共に健全に生育できるような面会交流について積極的に検討することが望ましいと言えます。

面会交流についての詳細は以下に記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。

面会交流の重要性:子どものための面会交流に積極的かどうか

面会交流とは、子どもを養育・監護していない親と子どもとの間の面会を含む交流の一切をいいます。

たとえ別居・離婚していたとしても、子どもにとっては親であり、親子間の交流は子どもの健全な育成には不可欠であると考えられています。

面会交流は、「子の福祉」の観点から認められる子どもの権利という側面もあり、親権者・監護者の一方的都合でこれを制限することは原則として許されません

面会交流では非親権者の有責行為に関わらずおこなうことが大切

たとえ非親権者・非監護者である一方配偶者が不倫などの有責な行為をおこなったことが離婚原因となったという場合でも、それのみを理由に面会交流を阻止することは許されないのです。

夫婦間の責任問題と、子どもの養育は別の問題です。

そのため、裁判所は親権帰属の判断をするにあたり、子どもの面会交流が適切に確保されているかどうかを重視します。

したがって、親権者となることを望むのであれば、子どもの面会交流をどのようにおこなっていくかについて、現実的かつ具体的な検討を積極的におこなうことが望ましいと言えます。

面会交流は子の幸せを考えて実施

面会交流は子ども自身の意思も尊重されるべきであるため、子どもが「会いたくない」と言っている場合でも無理やりに面会交流を実施しなければならないわけではありません。

しかし、子どもは親が思うよりもはるかに物事を理解していると言われており、このような発言は同居する親を気づかっての発言である可能性もあります

したがって、同居する親としては、子どものそういった発言をことさらあげつらえて面会交流を拒むのではなく、子どもに別居する親に会うことは何ら悪いことではないこと、自分の素直な気持ちを表明してよいことを理解させ、それでも面会を拒むのであればその具体的理由を尋ねて解決の途を模索するのが正しい対応です。

結果、面会を拒む理由がやむを得ないものであるような場合は、面会交流の一時停止もやむを得ないことです。

よくあるケースとして、親権を得た親が子どもが非親権者と面会することをよしとせず、これを察知した子どもが面会交流に消極的となり、これ幸いと親権者が面会交流中止の理由としてことさら主張するという事例があります。

しかし、このようなことを繰り返すと、子どもには「自分が親を捨てた」という罪悪感が生じてしまい、心の傷となってしまうこともあります

子どもは非常に繊細です。

いくら相手配偶者が憎かったとしても、自分の憎悪を子どもにも強制するべきではないことは当たり前のことです。

夫婦間の問題と子どもの養育が別問題であることを理解することが何より重要ですね。

面会交流の重要性を理解し、面会交流について現実的かつ具体的なプランを積極的に検討している姿勢は、裁判所において親権帰属の判断にプラスに働くことが予想されます。

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家庭裁判所の調査に対する対応

離婚調停中に家庭裁判所の調査官が子どもの現状を見に家庭訪問をすることがあります。

家庭裁判所調査官の判断は、親権者の判断に大きく影響します。

調査官の調査に対してことさら日常と異なる対応をするべきではありませんが、社会常識をもって対応するべきは当然です。

1:社会常識のある態度で対応する

シンプルに、礼儀正しく調査官調査に協力することです。

  • ・調査官との約束の時間を守る
  • ・調査官が家庭訪問に来る前に部屋を片付ける

社会人として当然の行動ですので、最低限のマナーは心得ておきたいところです。

2:調査官の調査には真摯に対応する

調査官は、子どもの養育に適しているかどうかを確認するため、日常生活についての事柄について質問する形で調査します。

このような調査に対して嘘をついたり、ことさら自分に有利な事情を過剰に主張したり、相手配偶者の誹謗中傷や非難を繰り返すことは当然マイナスです。

調査に対しては、真摯に応じ、聴かれたことについて具体的かつ明確に回答しましょう。

なお、調査官による調査の過程で日常生活のタイムテーブルの提出を求められることもありますので、これについても真摯に応じましょう。

母親のこんな行動に注意|親権が母親有利になる「蒸発」

親権者の判断に、夫婦の別居期間中に子どもと同居する親が安定した養育を実施てきているかどうかは重視されます。

この点を逆手にとり、よくある事例として、母親が父親が仕事に出かけている間に子どもを連れて出ていってしまうというケースです。

このような対応を推奨するインターネットの記事も多分にあります。

実際、このような実力行使は親権を得るために有効な手段であるのかと問われれば、Noとは言いづらいところです。

始まりがどのような形であれ、母親が単独で子どもを養育できる環境を作り上げ、その実績を積んでおり、実際に子どもが安定して生活できているという事実は重く、裁判所もこれを無視することはありません。

また、このような行動に及ぶことが法に触れるかと問われれば、民事的な問題はともかく刑事的な問題にはなりませんので、リスクもあまりないというのが実際のところです。

もちろん、このような手法は母親だけが可能なものではなく、父親にも実行する機会があります。

したがって、父親がどうしても親権者となりたいという場合、父親が子どもを連れ去って強制的に母親との引き離し、父親との同居という形を作ってしまうということもなくはないのかもしれません。

しかし、このような強制的な行為は、まさに子どもを奪い合う行為であって、子どもにとっては百害あって一利なしです。

子どもは突然わけもわからないまま一方の親と引き離され、自分の意思は全て無視され、大きな心の傷を負う事になります。

結局一番の被害者は子どもです。

子どものことを真に大切に思っていれば、このような行為に及ぶことが許されないことは容易に理解できるはずです。

まずは冷静になりましょう。

なお、このような実力行使は、単独で子どもを安定して養育できることが当然の前提です。

無理やり家を出たはいいものの、経済的に独立できておらず、子どもの面倒も十分に見られないという状況は逆に親権判断では不利となります。

また、そのように無理やりに開始した子どもとの同居期間が短すぎても、あまり意味はありません。

一時的に養育できたとしても、継続的に養育できるかはわからないからです。

さらに、子を無理やり連れ去る行為は、夫婦間に深刻な溝を作ることになり、離婚問題が泥沼化してしまい、数年にも及ぶ長期的な紛争を覚悟しなければならない可能性もあります。

このような事態は、自分や子どもの人生にも深く影響し、一生の問題になってしまうこともありますので、慎重な判断が必要です。

親権者がどちら(父親・母親)でも子どもの幸せを考えよう

あなたはどうして親権者になりたいのでしょうか?

父親が親権を得るのは簡単ではありません。

ただ、親権者であることがそれほど重要なのかという観点も必要です。

親権があろうがなかろうが、子どもにとってはどちらも大切なお父さん、お母さんです。

また、親権がなくても、子どもとの面会交流の機会を設けることができます。

親権にこだわりすぎるよりも、離婚後も子どもを幸せにしてあげるためにはどうすべきかを検討する方が、親としては望ましい姿勢ではないでしょうか。

この記事を読んでいるあなたが、「子どもの幸せ」のためにもっともよい形で解決してくれるのを、切に願うばかりです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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