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4つの離婚の方法と進め方|知っておきたいポイントも解説

4つの離婚の方法と進め方|知っておきたいポイントも解説

離婚に応じない相手と、どうやったら離婚できる?

できるだけ多く慰謝料や養育費を獲得して離婚したい

離婚に関して情報を集めている方や、離婚を検討している方の中には、上記のような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、離婚するための具体的な方法や流れ、離婚手続きを弁護士へ依頼するメリット・デメリットを解説します。

本記事を読めば、離婚するときに知っておくべき基本情報以外にも、手続きにおける注意点や交渉を有利に進めるための秘訣を徹底的に網羅できるはずです。

離婚に関する不安や疑問を解消したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

4つの離婚方法と一般的な離婚手続きの流れ

離婚をするときは、配偶者との話し合いや裁判所を通した所定の手続きが必要です。

離婚には4つの方法があり、どの手段を選ぶかによって、離婚を成立させるための流れは異なります。

ここでは、4つの離婚方法の概要や手続きの流れ、注意点や意識すべきポイントについて触れていきます。

スムーズに離婚の手続きを進めるためにも、離婚方法の基本的な概要をひとつずつ理解していきましょう。

4種類の離婚方法

離婚の方法には、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」という4つの種類が存在します。

日本全体における離婚事案の約9割が「協議離婚」で成立しますが、調停離婚や審判離婚、裁判離婚などの方法で離婚が成立するケースも少なくありません。

以下では、4つの離婚方法における特徴について簡単にまとめました。

離婚方法

概要

協議離婚

裁判所を利用せず、夫婦間の話し合いで合意し離婚について取り決める手続き

調停離婚

家庭裁判所において調停委員が夫婦の間に入り、離婚について話し合い合意を目指す手続き

審判離婚

些細な離婚条件について合意できず調停離婚が成立しなかった場合に、裁判所の判断(審判)により離婚について取り決める手続き。

裁判離婚

調停が不成立になったり審判に異議が申し立てられたりした場合に、裁判手続きにより離婚について取り決める手続き

一般的な離婚手続きの流れ

先に述べた4つの離婚方法は、おおまかには以下のような流れで進んでいきます。

離婚の流れ

次に、具体的な手続きの流れや注意点、ポイントについて、4つの離婚方法ごとに分けて解説していきます。

協議離婚の流れとポイント

協議離婚は、夫婦間の話し合いで進められる離婚方法です。

裁判所を介することがないため、ほかの方法に比べ時間やコストがかかりません

夫婦間で離婚条件などの合意ができない場合は、調停離婚や裁判離婚を目指すことになります。

協議離婚の流れ

協議離婚は、以下のような流れで進めていきます。

1、離婚の意思を伝える

まずは、離婚の意思を配偶者へ伝えるのが第一スタートです。

ただし、離婚を切り出すにあたっては十分な準備が必要です。

家庭の事情によってもちろん異なりますが、離婚の意思を伝える際は、以下の準備を進めておくとよいでしょう。

  • 離婚原因となった相手の行為を示す証拠を集めておく
  • 離婚後の住まいや仕事などをどうするのかを考えておく
  • 夫婦共有の財産にはどんなものがあるか明確にしておく
  • 相手に対してどんな離婚条件を希望するか考えておく

2、離婚条件を話し合う

配偶者へ離婚の意思を伝えた後は、以下の離婚条件を話し合いで取り決めます。

【子どもの有無に関わらず決める離婚条件】

  • 財産分与
  • 慰謝料

【未成年の子どもがいる場合に決める離婚条件】

  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

3、離婚協議書を作成する

話し合いで合意した離婚条件を離婚協議書として書面にまとめます。

離婚協議書がなくても離婚はできますが、口頭だけで離婚条件を取り決めても「言った言わない」の水掛け論によるトラブルがおこりやすいです。

後々の面倒なトラブルを避けるためにも、離婚協議書を作成しておくことを強くおすすめします。

4、離婚届を提出する

離婚届を役所へ提出して受理されたら、協議離婚は成立します。

離婚届は、夫婦の本籍地、またはどちらかの所在地の役所へ提出します。

離婚届の提出時に注意すべき点は、提出するタイミングです。

離婚を急ぐあまり、離婚に合意でき次第すぐに離婚届を提出すべきだと考える方も多いかもしれません。

しかし、離婚が成立してから離婚条件を元配偶者と話し合おうとしても、連絡がつかず、話し合いに応じてもらえないケースも少なくありません。

この場合、結果的に調停や裁判で解決せざるを得なくなります。

このような事態を避けるためにも、離婚条件について合意できた後に離婚届を提出すべきです。

協議離婚で決めておくこと

協議離婚を進める際は、以下のポイントについて配偶者としっかり話し合っておきましょう。

  1. 親権者はどちらにするか
  2. 養育費はいくら支払うのか
  3. 面会交流の頻度はどうするのか
  4. 慰謝料はいくらにするのか
  5. 財産分与はどのようにすすめるか
  6. 年金分割の有無、何割ずつ分けるか

未成年の子どもがいる場合は、上記のうち1~3を決めておかなくてはなりません。

なかでも親権者が決まっていないと、離婚届を提出できないので注意しましょう。

そのほかの項目についても離婚届を出す前に取り決めておかないと、前述のとおりトラブルに発展する可能性があります。

離婚協議書は公正証書にしておくのが望ましい

離婚協議書は、公正証書にしておくことが推奨されます。

公正証書とは公務員である公証人が、その権限によって作成する公文書です。

離婚協議書を公正証書にしておくことで、信頼性の高い証拠としてみなされます。

また強制執行認諾条項付き公正証書にしておくことで、訴訟を経ず強制執行を申し立てることが可能です。

公正証書になっていない場合、慰謝料などが支払われず強制執行をおこないたいときは、裁判を起こさなくてはなりません。

DVやモラハラを受けている場合の対応策

配偶者からDVやモラハラを受けている場合には、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらうことを推奨します。

自分だけで離婚を切り出した場合、相手に逆上され、あなたの身に危険が及ぶ恐れがあるためです。

仮にひとりで話し合いに臨むにしても、カフェやファミレスといった人目がある場所を利用しましょう。

なお、相手に脅されて不利な離婚条件を受け入れてしまったり、協議離婚が成立したりした場合などは、協議離婚を取り消せる可能性があります。

ただし、この際は裁判所の手続きが必要になりますので、大前提として自分ひとりで抱え込まず、まずは弁護士に相談するのを強くおすすめします。

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調停離婚の流れとポイント

調停離婚とは、夫婦間の話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停委員が間に入って話し合いを進め、離婚条件の合意を目指していく方法です。

協議離婚よりもスムーズに話し合いを進めやすい一方で、合意に至るまで何度も裁判所へ行かなければならず時間がかかるというデメリットがあります。

さっそく、調停離婚の具体的な流れ、押さえておくべきポイントについて解説します。

調停離婚の流れ

調停離婚は、以下のような流れで進めていきます。

  1. 離婚調停の申し立て
  2. 第1回の離婚調停
  3. 2回目以降の離婚調停
  4. 離婚調停の終了(調停調書の作成、離婚届の提出など)

調停が不成立となった場合は、審判や裁判へ移行します。

調停離婚の流れをさらに知りたい方は、「離婚調停の流れをわかりやすく解説!有利な進め方と訴訟移行するケース」も参考にしてみてください。

調停で聞かれること

調停を申し立てた側は、申立書のみでは把握できないことや、特に調停委員が掘り下げたい内容を質問されます。

受け答えをする際に意識すべきポイントも含めて、具体的にみていきましょう。

質問例

ポイント

結婚した経緯

・調停で必要と考えられる情報のみ簡潔に話す。
・思い出を話す必要はない。

離婚を決意した理由

・結婚から調停を申し立てるに至った流れや理由を、時系列に沿って簡潔に話す。
・配偶者の不貞行為などの離婚事由があれば伝える。

現在の夫婦関係の状況

※主に生活面や経済面など

・DVを受けている、別居しているなど事実を簡潔に話す。

夫婦関係が修復できる可能性

・回答によっては、調停委員が夫婦関係の修復を勧めることもある。
・修復が難しいと考えている場合は、その旨や理由を簡潔に説明する。

離婚後の生活について

・離婚後の住まいや仕事が決まっているなど、離婚後の生活について話す。
・親権獲得を目指している場合、離婚後に頼れる親族がいるかなども聞かれる。

離婚に伴う財産の分配について

※親権・養育費・財産分与・慰謝料

・相手に請求する場合は、希望額やその根拠について伝える。
・資料があれば準備しておく。

調停委員を味方につけることが大切

調停委員は感情論を挟まない中立的な立場ですが、こちら側の主張をうまく汲み取ってもらえなければ、離婚調停において納得のいく判断はしてもらえません。

以下のポイントを意識し、調停委員をうまく説得し、味方につければ交渉が有利に進みやすいはずです。

  • 伝えたいことをまとめておき、主張を一貫させる
  • 常識的な身なりや言葉遣いを心掛ける
  • 感情的になりすぎずなるべく冷静に話す
  • 不貞行為などの離婚原因がある場合は証拠を集める

仕事とはいえども、調停委員も私たちと同じ人間です。

常識的でない人や、感情的に話してばかりの人の味方にはつきたくないというのが本音です。

あなたにとって少しでも有利な状況下で離婚調停を進めるためにも、調停員から信頼を得られるように意識してください。

不貞行為など不法行為がある場合は証拠を準備

不貞行為やDVなどの不法行為があった場合は、証拠を残しておけば、慰謝料請求を有利に進められます。

以下は、不法行為を証明するための証拠の一例です。

  • メールやLINEのやり取り
  • 写真
  • 録音
  • 目撃者の証言

これらの証拠は、調停を申し立てる前に確保しておきましょう。

具体的な証拠がなければ、相手方が不法行為を認めない限り、慰謝料の請求は難しくなります。

証拠を集める前に相手方へ離婚を考えているのがバレてしまうと、必要以上に警戒されてしまい、十分な証拠を確保できない可能性があるため、注意が必要です。

審判離婚の流れとポイント

審判離婚とは、調停中にどちらかが急に来なくなった場合や、些細な問題で揉めてしまった場合に、裁判官が離婚の判決や離婚条件を職権によって決定する方法です。

実は、国内における離婚事件では審判離婚が利用されるケースはほとんどありません

政府の2022年の統計※によると、離婚全体で占める審判離婚の割合はわずか2%となっています。

次に、具体的にはどのようなケースで審判離婚が成立するのかと、注意すべきポイントについて解説します。

審判離婚の流れ

審判離婚は、おおまかには以下のようなステップで進んでいきます。

  • 調停を申し立てる
  • 話し合いでおおよそ合意する
  • 些細な点で争いとなり、合意に至らない
  • 裁判官が判断(審判)をおこなう

審判離婚における具体的な流れや手続き方法などは、「審判離婚とは?調停不成立時の離婚条件・手続き方法・必要書類まとめ」で詳しく解説しています。

審判離婚が成立するケース

審判離婚が成立するケースは、以下のような状況に当てはまる場合です。

  • 双方が離婚に合意しているが、病気などで調停に出頭できない場合
  • 離婚合意後であるにもかかわらず、相手が一方的に意見を覆した場合
  • 離婚合意後に当事者が行方不明になった場合
  • 早急に結論を出したほうがよいと判断された場合(子どもの親権など)
  • 双方が審判離婚の実施を希望した場合
  • ほとんど合意はしているが、感情的な反発が強いため合意しない場合
  • 片方がわざと調停を引き延ばしている場合

審判離婚を成立させるためには、「夫婦が離婚に合意している状況」でなければなりません。

また、争いの内容や食い違いが「些細なもの」である必要もあります。

言い換えると、どちらか一方が離婚を反対している場合や、重要な離婚条件の折り合いがついていない場合は、そもそも審判が利用されることはありません

不服がある場合は異議申し立てができる

審判の結果に対して、当事者に何らかの不服があれば異議の申し立てが可能です。

審判には裁判の確定判決と同様の法的効力がありますが、当事者のどちらか一方が異議申し立てをすると、その効力は失われます。

異議申し立てをおこなう際は、審判書を受け取った日から2週間以内に、家庭裁判所に対して「審判に対する異議申立書」という書類を提出します。

異議を申し立てる理由の記載は不要ですので、「異議を申し立てます」と書いておけば問題ありません。

書面へ審判の事件番号と日付を記載し、署名・押印をすれば完成です。

なお、審判に対する異議申し立てにおいては、審判書を受け取った2週間以内に、家庭裁判所へ「必着」する必要があります。

そのため、審判に対して何らかの不服がある場合は、なるべく早めに手続きを進めましょう。

裁判離婚の流れとポイント

裁判離婚とは離婚を成立させるにあたって最終的な手段にあたる手続きです。

裁判離婚では裁判所が法律の定める離婚事由がみとめられるか確認した上で、判決によって離婚を成立させます。

判決後、2週間の控訴期間に控訴されなければ判決が確定し離婚が成立するのです。

なお日本には「調停前置主義」があり、原則として最初から離婚を求める裁判がおこなわれることはありません。

調停による離婚が成立しなかったり、審判に対して異議が申し立てられたりした場合のみ離婚裁判の手続きが開始されます。

裁判離婚の流れ

裁判離婚は、具体的には以下のようなステップで進んでいきます。

  1. 裁判所に離婚訴訟の訴えを提起する
  2. 第1回口頭弁論期日の通知を受け取る
  3. 被告の反論を記載した答弁書を提出する
  4. 第1回口頭弁論がおこなわれる
  5. 尋問がおこなわれ、裁判官の前で証言をする
  6. 場合によっては裁判所から心証が開示され、和解勧試がなされる。
  7. 判決が下される
  8. 2週間の控訴期間中に控訴がおこなわれなければ離婚が成立する。
  9. 判決謄本などを添えて離婚届を提出する

裁判離婚における具体的な流れは、「離婚裁判の流れ|離婚裁判を進める際の流れと進め方の全手順」でも解説しています。

裁判離婚においてよくある争点

離婚裁判では、夫婦がいずれも他方の主張を否定しあい争いとなることが少なくありません。

なかでも、以下にあげるような争点において激しく争われるケースがよく見られます。

  • 夫婦の一方が不倫していたか否かで争われるケース
  • 不倫をしていた側から離婚を求めるケース
  • 親権の獲得を互いに求めるケース
  • 一方がDVやモラハラを受けたとして慰謝料を請求するケース
  • DVや虐待があったなど、一方が「婚姻を継続し難い重大な事由」を主張するケースなど

判決までには時間がかかる

離婚裁判は訴えが起こされてから、判決や和解などで終局するまで1~2年ほどの時間がかかることも少なくありません。

裁判所の統計(「人事訴訟事件の概況 令和5年1月~12月」)によれば、令和5年における離婚裁判の平均審理期間は15.3ヵ月でした。

なお、このデータには夫婦いずれか一方が欠席し早期終了したケースも含まれています。

夫婦双方が最後まで裁判に出席したケースに限ると、平均審理期間は19.9ヵ月(約1年8ヵ月)まで伸びます。

裁判は週1回など短い間隔で開かれるわけでなく、月1回の口頭弁論が繰り返されるので長期化するのが一般的なのです。

特に互いの主張を裏付ける決定的な証拠が欠ける場合や、慰謝料など離婚条件が激しく争われる場合は裁判が長引きやすいでしょう。

ただ、裁判にどのくらいの期間がかかるかは事案によるので半年ほどで終局するケースもあれば、3年かかるケースもあります。

和解離婚と認諾離婚で早期終結できる可能性も

裁判離婚においては、離婚が成立するかの判決を待つ必要がありますが、「和解離婚」と「認諾離婚」によって判決が出る前に裁判を終結できる可能性があります。

これらの方法は、平成16年に定められた新しい離婚裁判の解決方法です。

次に、「和解離婚」と「認諾離婚」の特徴とそれぞれの違いについて解説します。

和解離婚|離婚裁判中に互いに和解して成立する離婚

和解離婚とは、離婚訴訟中に夫婦双方が互いに歩み寄り和解することで成立する離婚です。

以前は和解離婚が認められておらず、裁判中に両者が和解して離婚する際の手続きが複雑でした。

これによって裁判離婚が成立するまで、時間がかかってしまうことも少なくなかったのです。

和解離婚が認められることによって、互いが和解に至るケースでの離婚にかかる期間が短くなりました。

認諾離婚|離婚裁判中に被告が原告の訴えを全面的に受け入れ成立する離婚

認諾離婚とは、被告が原告からの離婚請求を全面的に受け入れて離婚をする方法です。

なお、認諾が可能なのは離婚することのみである点は注意しなくてはなりません。

親権を決める必要がある場合や財産分与が争われる場合など離婚条件を争う場合は、認諾離婚はできないことになります。

このような事情もあり、認諾離婚が成立するケースは非常に少ないです。

離婚に際して請求できるお金

離婚は、夫婦双方にとって人生における大きな節目です。

円満な離婚を実現するためには、法的な手続きだけではなく、お金に関する問題も適切に解決させる姿勢が必要です。

ここでは、離婚時に請求できるお金の種類として代表的な5つについてわかりやすく解説します。

財産分与|婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分配する

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に夫婦間で分配する制度です。

主に対象となる財産は、預貯金や不動産、車などの夫婦間で共有していた財産です。

財産を分配するときは、まずは当事者間の協議によって金額を決めるのが前提となります。

当事者間で協議が進まない場合や協議自体ができない場合、家庭裁判所への調停又は審判を申し立て可能です。

なお家庭裁判所の審判においては、夫婦が共働きをしている場合だけでなく、どちらかが専業主婦(夫)である場合も、お互いの財産を半分ずつ分けるように命じるケースが多い傾向です。

慰謝料|離婚による精神的苦痛に対して請求できる

離婚における「慰謝料」は、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるお金を指します。

なお、慰謝料は離婚する際に必ず支払われるものではありません。

離婚に至る原因を生んだ配偶者に対して、精神的苦痛を被ったもう一方の配偶者が請求できるものです。

「価値観の相違」や「性格の不一致」などのように、お互いに何らかの原因がある離婚理由の場合は、慰謝料の請求ができない可能性があります。

婚姻費用|別居中なら分担請求ができる

婚姻費用とは、家族(夫婦と未成熟の子ども)が収入や財産、社会的地位などに応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費です。

具体的には、居住費や食費、医療費、子どもの学費など生活に必要となる費用全般が婚姻費用に該当します。

法律上、婚姻費用は配偶者それぞれの収入の大小に応じて、両名が負担するのが義務付けられています。

この義務は法律上の夫婦である限り、仮に別居していても適用されるものです。

また、未成熟の子どもがいないケースでは、妻よりも収入の高い夫が別居中の生活費を支払ってくれない場合に、婚姻費用分担請求ができます。

年金分割|婚姻期間中に納めた保険料に応じて年金を分割する

年金分割とは、夫婦が婚姻期間中に加入した厚生年金を共有財産として扱い、離婚時にそれぞれ分割させる制度です。

分割時の按分割合は、夫婦間の協議や合意によって決められます

専業主婦(主夫)の第3号被保険者だった方は、3号分割によって婚姻期間中の5割を按分できます。

ただし、3号分割の対象となる期間は2008年4月1日以後の第3号被保険者期間のみとなるため、注意が必要です。

また、年金分割が請求できる期間は離婚成立後の2年間のみとなります。

離婚と子どもの親権・養育費

離婚は、夫婦にとってだけでなく、子どもにとっても人生における大きな節目です。

円満な離婚を実現するためには、子どもたちの将来を第一に考え、親権と養育費に関する正しい知識を身に着ける必要があります。

ここでは、親権と養育費について、わかりやすく解説します。

親権|どちらが親権を獲得するか決めないと離婚できない

親権とは、未成年の子どもの養育・教育・保護をおこなうための権利です。

離婚届には、子どもの親権者が夫婦どちらかを記入する箇所があります。

親権をどちらが獲得するか決まっていないと離婚はできません

夫婦の協議で親権をいずれが持つか決められない場合は、調停や裁判で決めることになります。

なお裁判では、子どもの世話をしている時間の長い母親に親権が認められることが多いです。

しかし母親が育児放棄や虐待をしていたケースや精神疾患で育児が難しいケースなどでは、父親に親権が認められます。

また子どもが15歳以上である場合は、物事の判断能力がある程度備わっているとみなされ、子ども自身の意思が尊重されます。

親権者の決まり方などは、以下記事でより詳しく解説しているので、興味があれば参照ください。

面会交流|離婚後の子どもとの面会について決めておく

面会交流とは、親権者ではない親が離婚後も子どもと面会するなどして定期的に交流をすることです。

面会交流権は親に対して認められるものですが、子どもの権利でもあります

離婚したあとでも、親に会いたいと考えるのは自然なことでしょう。

子どものためにも、離婚する際は面会交流について決めておく必要があります。

具体的には、面会交流をおこなう頻度や子どもの学校行事に参加するかなどを決めておくとよいでしょう。

細かい日時や面会場所などは、その都度協議して決めることが多いです。

面会交流の取り決め方や方法などは、以下記事で詳しく解説しているので興味があれば参照ください。

養育費|金額は、原則、夫婦の話し合いで決める

養育費とは、親権者が子どもを養育するために必要な費用を指します。

離婚後も子どもと一緒に生活し、世話をする側の親は、離れて暮らす方の親に対し、毎月一定の金額の養育費を請求できます。

養育費については、両親の協議によって決めるのが原則です。

養育費の金額や支払期間、支払時期、振込先などを取り決めましょう。

また養育費の取り決めは口約束にとどめるのでなく、後からトラブルにならないよう書面にまとめておくことが推奨されます。

公正証書にしておけば、未払いが続いた際に強制執行の手続きを速やかにおこなうことも可能です。

両親の協議によって養育費に関し合意できない場合、調停や裁判で決定します。

養育費についてより詳しい内容は以下記事にまとめておりますので、興味があればあわせて参照ください。

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弁護士に依頼する5つのメリット

離婚は、人生における大きな節目であるからこそ、さまざまな不安や葛藤を抱える方も多いでしょう。

無事に離婚し、人生をリスタートするためには、離婚手続きを正しく踏むことが重要です。

しかし、離婚には多くの複雑な問題が絡むことから、弁護士に頼るべきケースが少なくありません。

ここでは、離婚問題を弁護士に依頼する5つのメリットを解説します。

詳しくみていきましょう。

1.早急に離婚が成立する可能性が高まる

協議離婚の段階では、相手と合意さえすれば離婚が成立します。

この段階から弁護士へ依頼することで、相手にプレッシャーを与えることが可能です。

弁護士を通して離婚請求をすることによって、それまでまともにとりあってくれなかった相手も無視ができなくなります。

話し合いに応じるようになったり、離婚に合意できたりするのです。

なかには依頼後1ヵ月などの短期間で離婚が成立するケースもあります。

また弁護士に依頼すれば離婚成立にかかるおおよその期間を教えてもらえるので、見通しが立てられるのもメリットと言えるでしょう。

2.相手と直接かかわらずに済む

離婚について夫婦と話し合う際は、どうしても感情的になりやすく、想像以上に話がこじれてしまうケースも少なくありません。

配偶者の顔すら見たくない方や、DVなどを受けていて相手と会うのが怖い方などは、弁護士に依頼することを特におすすめします。

弁護士に依頼すれば、相手方とのやり取りを全て任せられるため、配偶者とかかわることで生じる精神的なストレスから解放されるでしょう。

3.有利な条件で離婚できる可能性が高まる

配偶者からDVなどを通じて、精神的恐怖を与えられている方の場合、恐怖心が勝るあまり、自分にとって不利な条件で離婚条件を成立させてしまうケースがあります。

弁護士が仲介となれば、協議離婚における不平等さは起きませんし、依頼者にとって有利な状況で協議が進む可能性も上がります。

弁護士は、離婚問題における法律の知識や交渉経験に基づき、依頼者が有利な条件で離婚できるように交渉を進めてくれるでしょう。

4.調停や審判、裁判を有利にすすめやすくなる

離婚問題が調停や裁判などに発展した場合も、弁護士は豊富な経験と法律知識を活かして、あなたの主張を立証するために力となってくれます。

裁判手続きは複雑かつ時間がかかるものですが、弁護士に依頼すれば、調停や審判、裁判が有利に進みやすい状況をつくってくれるはずです。

5.複雑な裁判手続きも任せられる

多くの場合、離婚においては財産付与や子どもの親権などのさまざまな問題が絡んでいます。

特に、子どもの親権や養育費、不貞行為などによる慰謝料が絡んだ場合、裁判を進めるためにさまざまな証拠や書類の準備などが必要になってきます。

弁護士は、さまざまなパターンの離婚事案にも対応しているため、複雑な裁判手続きも安心して任せられるでしょう。

弁護士に依頼したことで有利に解決できた事例

最後に、弁護士に相談したことで、離婚問題を有利に解決できた5つの事例を紹介します。

詳しい調査による財産分与で2,000万円を取得して離婚

<相談内容>

この方は、別居する前から夫の行動に不審な点に気がついていました。

約半年をかけて生活費を徐々に減らされた相談者が夫の行動を調査したところ、夫は別の女性のために家を購入し、そこで生活中であるという事実が判明しました。

<最終的な結果>

約2000万円の財産を受け取り、和解(約2年かけて成立)

<弁護士の対応>

この事例において弁護士は、相談者へ夫の不貞の証拠を得る方法についてアドバイスしました。

アドバイスに従い依頼者は、夫がほかの女性と生活中である証拠を写真に収めた段階で、離婚調停へとコマを進めました。

相談者の方としては、生活費が何より大切であったため、婚姻費用の確保をおこないました。

財産分与に関して、相手方と真っ向から争わなければならないため、調停のみでは解決できず、最終的に進んだ交渉の場は裁判所でした。

相談者は、確定申告書などを始めとした夫の収入がわかる情報源を徹底的に調査し、何度も交渉を重ねました。

配偶者と不倫相手から数百万円の慰謝料を回収

<相談の背景>

依頼者の性別:女性(20代)

居住エリア:石川県

<相談内容>

この方は夫が不倫中であることが判明し、別居を開始しました。

不倫の証拠は揃えてあり、決して言い逃れができない状態でしたが、、夫は慰謝料の支払いを固く拒否しました。

<最終的な結果>

夫・不倫相手からそれぞれ数百万円の慰謝料を回収

<弁護士の対応>

この事例で弁護士は、依頼者の夫に対する離婚調停を申し立てました。

そのうえで、夫および夫の不倫相手に対して不倫の証拠を提出し、慰謝料の支払いを請求しました。

離婚に応じない相手と、裁判の結果、離婚成立

<相談の背景>

依頼者の性別:女性(40代)

居住エリア:東京都

婚姻期間:20年

<詳細>

この依頼者には、性格の不一致で長期間別居している夫がいました。

「離婚をしたい」と伝えても、相手は一向に応じず、藁にも縋る思いで弁護士への相談に至りました。

<最終的な結果>

無事に離婚が成立

<弁護士の対応>

弁護士は、離婚裁判を申し立てました。

結婚生活の中で、長期間別居している事実があるにもかかわらず、相手は調停にも応じなかったため、離婚裁判に至りました。

裁判において弁護士が特に強く主張したポイントは、依頼者が家を出て行った経緯などです。

20歳の子の私立大の学費を獲得して離婚

<相談の背景>

依頼者の性別:女性(50代)

居住エリア:東京都

職業:専業主婦

婚姻期間:20年以上

子ども:あり

<詳細>

続いて紹介するのは、相談者が夫より子どもが成人するにあたって、急に離婚調停を申し立てられた事例です。

相談者は、夫から「今後20歳になった子どもには養育費を出さない」という主張を受け、私立大学の学費を捻出できなくなった点に頭を抱えていました。

<相談の結果>

2,000万円の養育費を回収(財産分与・慰謝料・婚姻費用を合わせて)

<弁護士の対応>

この案件においては、弁護士が一緒に全調停に出廷しました。

依頼者は弁護士と相談しながら書面を作成し、調停委員に対して主張を続けました。

終始一貫して高飛車な態度である調停委員に対して、弁護士から反論を継続したことで、相談者が望む結果で離婚調停は着地しました。

財産開示を拒否する夫から2,000万円以上の財産分与を得て離婚

<相談の背景>

依頼者の性別:女性

職業:主婦

婚姻期間:25年以上

子ども:あり

<詳細>

最後に紹介する事例は、財産分与にかかわる離婚問題です。

相談者は、夫の浪費癖が激しすぎるあまり、別居に至りました。

しかし、夫は莫大な財産を持っている点を知っていた相談者は、具体的な財産額を明らかにし、適正な財産分与を受けるために弁護士へ相談しました。

<相談の結果>

2,000万円を超える財産分与金を獲得

<弁護士の対応>

弁護士は離婚調停を申し立てて対応を進めたが、夫は任意の財産開示を拒否したため、離婚訴訟を提起しました。

夫が財産を有している証拠を基に立証したところ、裁判官が夫に対して財産開示を強く促したのが功を奏し、ようやく夫の財産が明らかとなりました。

さいごに

離婚は、夫婦として誓いを立てた者同士だからこそ、精神的にも肉体的にもストレスがかかる人生の大きな決断です。

離婚をできる限りスムーズに進めるには、互いの気持ちを尊重し、冷静に話し合う姿勢が大切です。

もちろん、必要に応じて弁護士に相談するのも有効です。

弁護士はあなたの状況を客観的に判断し、最適な提案をしてくれます。

離婚は決して1人で抱え込まず、周囲に相談しながら、あなたにとって最善の道を見つけましょう。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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