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審判離婚とは?調停不成立時の離婚条件・手続き方法・必要書類まとめ

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審判離婚(しんぱんりこん)とは、夫婦が離婚に同意しており、ほかの条件面でもほとんど合意ができていて、調停を不成立にすると不経済な場合に、裁判官が決定する離婚の方法です。実際にはほとんど利用されていないのが実情です。

調停でほとんど合意ができていても、最終局面になって当事者が些細なことで揉め始めたり、当事者が出頭しなくなったりしたときには、調停を成立させることができません。しかしこのようなケースで調停を不成立にすると離婚訴訟が必要となり、時間も費用も労力もかかってしまうので、当事者のためになりません。

また、裁判所にとっても不経済です。そこで、裁判官が当事者の申し立ての趣旨に反しない限度で、離婚の可否に加え、例えば、離婚にあたっての親権者や、場合によっては慰謝料、さらに親権が取得できない親が負担することになる養育費などの金額を決定します。

具体的にどのようなケースで審判離婚が認められるのか、またその効果について、この記事で解説します。

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この記事に記載の情報は2023年11月14日時点のものです

審判離婚とは

審判離婚(しんぱんりこん)とは、離婚調停の最終期日に当事者が来られなくなったり、ほとんど合意ができているのに些細なことで揉めてしまったりした場合に、裁判官が離婚することや離婚の条件を職権で決めてしまう離婚方法です。

審判離婚は、協議離婚調停離婚などと同様に、離婚手続きの一種です。協議や調停では当事者が話し合いによって離婚しますが、審判離婚の場合には裁判官が離婚方法を決定してしまいます。

調停をせずに初めから審判離婚を申し立てることも可能ですが、たいていは調停の最終局面で、そのまま不成立にするのが望ましくない場合に、裁判官が職権で審判離婚を決定します。

実は、日本における離婚事件では、ほとんど審判離婚は利用されていません。政府の2017年の統計によると、離婚全体にしめる審判離婚の割合は0.3%となっています。

審判離婚が成立する条件

審判離婚が成立するのは、以下のような状況のときです。

  • 双方が離婚に合意しているが、病気などで調停に出頭できない場合
  • 離婚合意後に一方が意見を覆した場合
  • 離婚合意後に当事者が行方不明になった場合
  • 早急に結論を出したほうがよいと判断された場合(子どもの親権など)
  • 双方が審判離婚を求めた場合
  • ほとんど合意はしているが感情的な反発が強いため合意しない場合
  • 片方がわざと調停を引き延ばしている場合

審判離婚が成立するには「夫婦が離婚に合意している(いた)」ことが必要です。そして争いの内容や食い違いが「些細なこと」である必要もあります。

そもそも離婚することに一方が反対していたり、重要な離婚条件について折り合いがついていなかったりする場合には、審判離婚はできません。

審判離婚の流れ

①調停を申し立てる

当初から審判を申し立てることも可能ですが、多くの審判離婚は調停が不成立になりそうなときに行われます。そこで、まずは当事者が調停を申し立てるところから始まります。

②話し合いでおおよそ合意する

調停で話が進み、離婚することをはじめとしてほとんどの点で合意することが必要です。

③どちらかが来なくなったり些細なことで揉めたりする

調停が成立しそうであるのに、突然どちらかが調停に来なくなったり、直接本筋とは関係のないところで揉め始めたりして、調停成立が難しくなります。

④裁判官が審判を行う

そうすると、裁判官の判断で、職権によって離婚をさせる審判離婚の決定が下されます。なお、初めから「離婚審判」を申し立てることも可能ですが、その場合、裁判所の決定で調停に付されて、離婚調停から始めることになる可能性が高いです。

審判に対して異議申し立ても可能

審判が出たとき、当事者に不服があれば異議申し立てをすることができます。異議申し立てをするときには、審判書を受け取ってから2週間以内に、家庭裁判所に対して「審判に対する異議申立書」という書類を審判書の謄本を添えて提出します。

異議を申し立てる「理由」の記載は不要で、「異議を申し立てます」とだけ書いておけば足ります。審判の事件番号を書いて、日付を入れて署名押印をして、作成しましょう。

審判に対する異議申し立ては、審判書の受け取り後、2週間以内に家庭裁判所に「必着」する必要があります。発送が2週間後では間に合わないので、不服があるなら急いで手続きしましょう。

自分が異議を申し立てなくても、相手が異議を申し立てたら審判は失効します。なお、現実には異議申し立てをする人は少ないです。

審判離婚成立後の手続きに必要な書類

離婚届

市町村役場で用紙をもらい、必要事項を記入して提出します。相手方の署名押印や証人は不要で、届出人一人で離婚届を提出することが可能です。

審判書謄本

審判離婚後、家庭裁判所から届いた審判書の謄本を持参する必要があります。

審判確定証明書

審判が当事者双方に送達されてから2週間が経過すると、審判が確定します。その段階で家庭裁判所に申請して「審判確定証明書」を取得する必要があります。

戸籍謄本

本籍地以外の役所で離婚届を出す場合には、本人と相手方の夫婦関係、本籍地などを確認するために戸籍謄本が1通必要になります。本籍地のある役所から取得しましょう。

審判離婚にかかる費用

申し立て費用

審判離婚にかかる費用は、基本的に離婚調停と同じです。申し立て時に1,200円の収入印紙と、連絡用の郵便切手が必要です。

調停から審判に移行する際には郵便切手が足りなくなるので、不足分数千円程度の郵便切手を追加で納めなければならないケースが多いです。

弁護士に依頼した場合の費用

離婚審判が行われる場合、通常は離婚調停から移行するので、弁護士にも離婚調停から就いてもらうことになります。

そこで、弁護士費用の金額も、離婚調停を依頼した場合とほぼ同じになります。審判になったからといって、通常、追加費用は発生しません。

多くの法律事務所において、着手金は20~30万円程度報酬金は30~50万円程度となるでしょう。財産分与や慰謝料などを獲得できた場合には、報酬金はその10~16%程度になる可能性があります。

弁護士に依頼するメリット

審判内容が妥当かどうか判断できる

自分一人で対応していると、審判が出たときに、その内容が有利なものなのかどうか判断できません。異議を申し立てるべきか悩んでしまうこともあるでしょう。

弁護士に依頼していれば、審判内容が妥当かどうかを客観的に判断できるので、受け入れるべきか適切に判断できます。

異議申し立てやその後の離婚訴訟を依頼できる

審判に不服がある場合、異議申し立てをしなければなりませんし、その後には離婚訴訟が待っています。

自分一人では、確実に異議を申し立てたり、訴訟を起こしたりするのは不安が大きいですが、弁護士に依頼していれば、そうした手続きを確実に進めてくれるので安心です。

有利な結果になりやすい

調停段階から弁護士に依頼していると、調停自体が有利に進んできているはずです。審判は、基本的に調停で話し合った内容に沿ったものとなるので、調停が有利に進んでいれば、審判結果も有利になりやすいです。

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審判離婚にかかる弁護士費用を抑える方法

なるべく安い法律事務所を探す

弁護士費用は、同じ事件であっても弁護士事務所によって費用が大きく異なります。そこで、依頼前にいくつかの法律事務所をあたり、なかでももっとも安い事務所を選べば、かなり費用を抑えられる可能性が高くなります。

最近では多くの法律事務所で無料の離婚相談を受け付けており、詳しく話を聞きやすい環境が整っています。複数の事務所で無料相談を受けて見積もり書を出してもらい、安い事務所を探してみるのが賢い弁護士選びの方法です。

分割払いなどを利用する

費用を抑える方法ではありませんが、手元にまとまったお金がない場合には、分割払いを利用するのも一つの手です。例えば、着手金や報酬金が30万円かかるケースでも、毎月6万円×5回の分割払いであれば支払える方がいるでしょう。

分割払いに対応している法律事務所もたくさんあるので、相談する際に分割払いにしてもらえるかどうか、確認してみましょう。

法テラスを利用する

審判離婚にかかる弁護士費用を安く抑えたいならば、法テラスの利用を検討してみてもいいかもしれません。法テラスで「民事法律扶助」を利用できれば、弁護士費用には「法テラス基準」が適用されるので、一般的な弁護士事務所の基準より大幅に安くなるからです。

法テラスの事務所で相談する以外にも、法テラスに対応している弁護士であれば民事法律扶助を使って依頼できるので、一度相談先の弁護士に法テラス基準を適用できないか、確認してみましょう。

関連リンク
法テラス

まとめ

審判離婚は、割合的には全体の1%にも満たない、比較的マイナーな離婚手続きです。裁判所が離婚することや離婚の条件等を職権で決定してしまうため、当事者は突然のことに戸惑ってしまうケースもあります。

審判離婚となった場合、受け入れるかどうかの判断が重要で、不利な内容であればスピーディに異議を申し立てる必要があります。迷ったときには、法律知識を持った弁護士に相談し、その力を借りましょう。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤 健博 (東京弁護士会)
男女問わず不倫問題全般を得意とし、円満解決の実績もあり。不倫が原因の男女トラブル、離婚慰謝料の請求や親権獲得など、幅広い相談に対応している。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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