養育費獲得の完全ガイド|増額や支払いを続けてもらう知識

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2015.11.17

養育費獲得の完全ガイド|増額や支払いを続けてもらう知識

Youikihi

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離婚した後の養育費の支払い状況が非常に悪い事をご存知でしょうか?現在父親からの支払いが滞っている家庭は、2011年に厚生労働省が実施した「全国母子家庭等調査結果報告」によると、母子家庭における元夫からの養育費の支払いを受けているのは、全体の19.7%(平成23年度時点)。

総母子家庭世帯123万世帯のうち、80.3%もの家庭が養育費の支払いを受けていないというのが、今の日本の養育費事情です。


養育費の受給状況

参考:「厚生労働省|養育費の状況

 

全国母子家庭等調査結果報告
・現在も受けている:  19.7%
・過去に受けたことがある:15.8%
・受けたことがない:60.7%
・不詳:3.8%


 
 



そこで、今回は「養育費を算定する方法」「養育費の請求を調停に求める手順」、そして「支払われなかった場合の対策」をご紹介しようと思いますので、参考にして頂ければ幸いです。

 

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 【目次】
養育費とは|正しく知るための基礎知識
養育費として請求できるもの
養育費は必ず支払うべきもの
負債などで支払えないは通用しない
養育費の相場と算定方法
養育費の相場
養育費算定表の見方
養育費の算定例
養育費の請求方法と手続き
話し合い(協議離婚)で決める場合
調停や審判で決める場合
裁判で決める場合
離婚後に養育費の請求をすることも可能
養育費の金額を変更する場合
養育費の支払いについて知っておくべき事
養育費はいつまで支払うのか?
養育費の請求には原則時効はない
支払い方法は一括または分割にできる
子供が浪人した場合の支払いはどうなる?
成人しているニートの子供に養育費を支払うべきか?
養育費の支払いが滞った場合の対策
なぜ養育費の支払いが滞るのか?
まずは内容証明郵便で催促をする
養育費請求調停を申立てる
離婚時に調停などで取り決めがあった場合
相手が支払わない場合は弁護士に相談
養育費の増額・減額を望んでいる場合
養育費の増額請求が可能な場合
養育費増額を行う場合の手順
養育費が減額となってしまうケースと減額の手順
養育者が再婚していた場合は養育費の返還請求が可能となることも
養育費の請求に関して知っておくべき事
養育費の請求をしたくても相手の消息が不明な場合
相手に子供を会わせないと養育費はもらえないのか?
再婚すると養育費はもらえないのか?
相手方の祖父母への養育費請求も可能
確実な養育費の獲得は事前準備が重要
養育費に関する相談を専門家にする場合
まとめ

 

養育費とは|正しく知るための基礎知識

養育費とは、衣食住にかかる費用のほか、学費、教育費、娯楽費など、未成年の子供が生活するために費用のことです。1人前の社会人に育てるためにかかるお金を負担するのは親の義務であり、子どもにはそれを受ける権利があります。
 
たとえ離婚をしても、親であることには変わらないのですから、親権の有無に関係なく、父母が分担すべき費用とされています。基本的には収入の多い親から少ない親へ、子どもと離れて暮らす親から養育している親へ、資力に応じて支払うのが一般的です。
 

養育費として請求できるもの

養育費はあくまで子供を育てる為にかかる費用なので、親権者の生活費は含まれません。

  • 1:衣食住にかかる費用

  • 2:保育園や小学校などの教育機関に通う為の交通費

  • 3:健康を維持する為の医療費

  • 4:幼稚園・保育園〜高校・大学までの教育費

  • 5:習熟・習い事の費用

  • 6:適度な娯楽費

  • 7:毎月の小遣い

  • 8:その他教育、自立した社会人として成長する為に必要な費用


養育費で問題になりやすいのは、やはり中学を卒業後の高校・大学入学までの期間でしょう。幼児の頃はそれほど負担も大きくない養育費も、高校〜大学までの期間に、

  • ・学習塾、特別講習などの受講料

  • ・家庭教師を雇うための講師代

  • ・進学のための予備校の授業料

  • ・私立・公立広高校(大学)の受験料

  • ・公立、私立を含めた学校等の授業料

  • ・テキスト、教材費

  • ・部活動・学校のクラブ活動費 など

 
などの費用がかかってきて、どの程度のレベルの教育を受けさせるかによって必要な教育費が変わってきますが、養育費として請求できるのは、支払う者の学歴水準と同程度とされています。
 

養育費は必ず支払うべきもの

養育費には婚姻費用分担(民法760条)、夫婦間の扶助義務(民法752条)、子の監護費用(民法766条1項)の三つがあり、養育費は基本的に子供が成人し、大人として自立できる年齢までに必要な費用など、子供を養育しない他方の親が支払うものであるとされています。

つまり、養育費の支払い義務がなくなることはありません親としての扶養義務の中には子どもに自分と同程度の生活を保障しなければならないという生活保持義務があり、子供と離れて暮らす親が支払う養育費も、この義務に基づいています。

この世に生を受けた子どもに親としてその生活を保障し、心の成長を支えることは、当然の責任であり最低の義務です。たとえ離婚をして別れて暮らすことになったとしても、子どもに対する責任がなくなるわけではありません。
 

負債などで支払えないは通用しない

親が失業、負債を抱えている、またはローンその他の理由で経済的な余裕がないから養育費が払えないというのは基本的には通用しません。親が経済的に困窮している場合に、具体的にどの程度の費用を負担させることができるのかは問題になりますが、単に無職、無収入、負債を理由に支払えないという言い訳は認められないと言えます。

 

養育費の相場と算定方法

養育費が一体いくら支払われるのかとう金額は、裁判所が定めた「養育費・婚姻費用算定表」という基準を使用するのが一般的とされていますので、ご紹介させて頂きます。
 

養育費の相場

司法統計年報3家事編平成22年のデータを参考にすると、離婚調停成立又は24条審判事件のうち、母を監護者と定めた場合の養育費が月払される場合の相場は、以下のようなものになっています。
 

子ども1人の場合

子どもが3歳、夫の年収500万円、妻の年収0円:5万円前後
子どもが5歳、夫の年収450万円、妻の年収100万円:5万円前
子どもが7歳、夫の年収400万円、妻の年収300万円:3万円前後
 

子ども2人の場合

子どもが3歳と5歳、夫の年収500万円、妻の年収0円:9万円前後
子どもが10歳と11歳、夫の年収450万円、妻の年収100万円:7万円前後
子どもが15歳と12歳、夫の年収400万円、妻の年収300万円:5万円前後
 

子ども3人の場合

子供8歳と12歳と13歳、夫の年収550万円、妻の年収0円:11万円前後

子供3歳と8歳と16歳、夫の年収400万円、妻の年収100万円:7万円前後

子供1歳と6歳と10歳、夫の年収550万円、妻の年収300万円:6万円前後

 

養育費算定表の見方

縦軸は養育費を支払う側(義務者)の年収、横軸は支払を受ける側の年収を示しています。縦軸の左欄と横軸の下欄の年収は、給与所得者の年収を、縦軸の右欄と横軸の上欄の年収は、自営業者の年収を示しています。
参考▶東京地方裁判所:養育費・婚姻費用算定表

養育費算定表
 

1:給与所得者の場合

源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。なお、給与明細書による場合には、それが月額にすぎず、歩合給が多い場合などにはその変動が大きく、賞与・一時金が含まれていないことに留意しましょう。
 

2:自営業者の場合

確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。なお「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(青色申告控除など)を「課税される所得金額」に加算して年収を決めます。
 

3:子の人数と年齢に従って使用する表を選択

養育費の受け取り権利者及び支払い義務者の収入欄を、給与所得者か自営業者かの区別に従って選び出します。縦軸で支払い義務者の年収額を探し、そこから右方向に線をのばして受け取り権利者の年収額を探して上に線をのばします。この二つの線が交差する欄の金額が、義務者が負担すべき養育費の標準的な月額を示しています。
 

4:使用例

例えば、権利者が2歳の子を養育し、権利者の年収は133万円、義務者の年収は510万円とした場合。子1人表(第1子0~14歳)を選択、権利者の年収に最も近い125と、義務者の年収に最も近い500の交差する欄を求めると、養育費は「4~6万円/月」の枠になります。
 

養育費の算定例

・父(40歳)と母(35歳)が離婚。
・母が子供2人を引き取る
・子1:10歳の女の子、子2:5歳の男の子
・父の基礎収入:30万円/月
・母の基礎収入:10万円/月
 
上記のモデルを例に挙げて養育費を算出すると・・・

子2人(第一子及び第二子の年齢:0~14歳)】が該当し、
父の支払う養育費:4〜6万円/1人
合計=8万〜12万円
母の支払う養育費:0円
 
となります。
 

 

 

養育費の請求方法と手続き

養育費は途中で支払われなくなることが多い家庭も多いので、ここでしっかりと請求手順を確認しておきましょう。
 

話し合い(協議離婚)で決める場合

お互いの話し合いで決めていくケースです。いま、子どもを育てるのにかかっている費用、今後成長に従ってかかるであろう費用、お互いの財産の把握、今後の収入の増減または経済状態などを検討して決めていきます。あくまでお互いが納得していれば「養育費算定表」や「生活保護基準」を絶対に守らなければならないということはないため、1万円でも多くも貰いたい場合は、協議離婚中に相手を納得させる必要があります。

話し合いで内容がまとまったら、「離婚協議書」を作り、養育費の内容について決まった内容を残しておくことと、もし支払いが滞った場合を考えて、支払いのサイクルや支払い方法をきちんと決めて、公正証書にまとめておくと良いでしょう。
参考▶離婚する時に知っておきたい公正証書の効果と作成方法
 

調停や審判で決める場合

離婚後しばらくは養育費の支払いがすすんでいたとしても、時間が経つにつれて負担になっていき、支払いがストップするケースが非常に多くあります。もし協議で話し合いが進まない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて養育費の定めを決めてもらう必要があります。

通常は親権者になって養育している親が申立て人となりますが、扶養義務としての養育費請求の場合は、申立て人は子供本人となり、親権者が法定代理人として、片方の親に請求することになります。ただ、後者のケースはほとんどありませんので知識程度に留めておけば良いでしょう。

もし、養育費の支払いが滞っている場合は、「養育費の支払いが延滞した場合」をご覧ください。

 

養育費請求調停を申立てる際に用意するもの

  • ・養育費請求調停申立書及びその写し1通(申立書)(記入例)

  • ・子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)

  • ・申立人の戸籍謄本

  • ・元パートナーの戸籍謄本

  • ・申立人の収入に関する資料(源泉徴収、給与明細、確定申告など)

  • ・事情説明書(取り決めの文書、支払いに関する状況など)

  • ・連絡先等の届出書(申立人の住所や電話番号など)

  • ・進行に関する照会回答書(裁判所からの簡単な質問書)

  • ・その他、追記書類など(求められた場合)


申立てを行う裁判所は、相手方の所在地の裁判所または当事者が話し合って決めた裁判所になります。
 

養育費請求調停に必要な費用

・収入印紙(子供1人につき1200円)
・郵便切手(800円程度、裁判所の場所によって異なる)

審判で決める場合、調停前置主義といってまずは調停を申立てないと審判を行うことができないとされています。もし、調停でも当事者の合意が得られず、調停が不成立となった場合は、調停の申立ての際に審判の申立てもあったものとみなされ、自動的に移行しますので、その際は裁判所の調停員の指示に従ってください。審判が始まれば必ず結論が出され、申立てが徒労に終わることはありません。
 

裁判で決める場合

通常は審判の段階で養育費の問題は解決していますので、裁判で決めるケースは、養育費の他に離婚に関する請求をしている場合になります。従って、裁判で養育費の支払いを求める場合は、離婚請求の裁判に養育費の支払い請求を追加する形で申立てることになります。

裁判の場合、請求する内容によって費用が変わってくますので、詳しくは「離婚裁判の費用を最小限に抑えて有利に離婚する方法」をご覧いただければと思います。
 

離婚後に養育費の請求をすることも可能

離婚時の話し合いで、「親権を渡すから養育費をなしにしてほしい」などの取引をするケースがありますが、これは言語道断の話です。仮に親権者となった親が請求を放棄しても無効ですし、養育費は本来子ども自身に請求権がありますので、子どもから請求することも可能です。
 
もし、離婚時に養育費の話しをしていなかった場合は、家庭裁判所へ調停を申し立てれば養育費の請求は可能です。ただし、過去の分までさかのぼって請求できるかはケースバイケースでしょう。

 

養育費の金額を変更する場合

進学や物価の変動などを考慮して、「諸事情により養育費の額に変動が生じる場合には話し合いにより増減できる」という一文を加えておくと良いでしょう。ただ、養育費の増額・減額には正当な理由がある必要がありますので、それぞれの理由は「養育費の増額・減額を望んでいる場合」をご覧ください。
 

 

 

養育費の支払いについて知っておくべき事

見上げる子供
 

養育費はいつまで支払うのか?

養育費が必要とされる年齢として、高校卒業の18歳までか、4年制大学卒業時の22歳または成人する20歳までが一般的です。子供がまだ幼い場合は、大学へ進学するかどうかは判断がつかず、22歳までの支払い期限とした場合でも、高校卒業とともに就職をした場合、養育費の支払いで後々トラブルになる可能性があります。
 
逆に18歳までの養育費しか請求していない場合、大学の入学費や授業料などもはねあがりますのでこれは大きな痛手です。こんな場合は、公正証書にまとめる文書内に「養育費の支払いは18歳までとするが、大学進学時は22歳までの期間延長に同意する」という文言を付け加えておくと良いでしょう。
 

養育費の請求には原則時効はない

慰謝料や財産分与とは異なり、養育費には時効は設けられていません。子供を養育中であればいつでも請求することができますし、相手が応じなければ、家庭裁判所へ申し立てをすれば、子供からでも請求することができます。
詳しい手順は「調停や審判で決める場合」をご参照ください。
 

支払い方法は一括または分割にできる

一般的なものは「定額」で支払う方法です。月末までに銀行振込など、「いつ」「どこに」振り込むなどを決めておきましょう。この時、振込先を親の講座よりも子供名義の講座にしておくなど、相手の気持ちにちょっとした配慮を行うことで、子供のために支払っているという気持ちが強くなる傾向にあります。

一括請求の場合は相当な額になりますので、本来もらえる額よりも少なくなる可能性がありますので、おすすめできません。
 

子供が浪人した場合の支払いはどうなる?

仮に子供が大学受験に失敗し浪人生になった場合、単純に22歳までという規定の場合では3年生になった段階で養育費の支払いはストップしてしまいます。しかし、「大学卒業まで」という書き方では浪人生問題や留年、大学院生の場合なども明確ではありません。合意のもとで決められているなら問題はないのですが、終期が定まっていないと、強制執行(後述)の際に問題が生じますので、不測の自体に対して、どう対処するのかも決めておいたほうが良いでしょう。
 

成人しているニートの子供に養育費を支払うべきか?

養育費は一般的に子供が成人するまで支払われるものですので、原則、成人していれば養育費を支払う必要はありません。働いていない状態を成人した社会人として認めるのかという論議は出てくるかもしれませんが、大人として自立すべき年齢に達しているため、親として養育、保護するよりも、独立を促す方が子供のためでしょう。
 

 

 

養育費の支払いが滞った場合の対策

養育費の支払いをしない相手からきちんと支払ってもらうには、どのような手段があるのか、現在進行形で困っている方、今後の同じようなケースでトラブルになりそうな方は参考にしてみてください。
 
そもそも養育費について取り決めをしていなかった場合は、「1:離婚調停を申し立てる」か「2:弁護士に依頼する」という手段を検討してみるのが良いかと思います。また、法的な手段にでる場合には段階的に進めるのが良いため、その際の参考にしていただくのが良いでしょう。
 

なぜ養育費の支払いが滞るのか?

養育費の支払いは、子供が小さければ十数年にも及ぶ可能性があります。最初のうちは「きちんと払おう」と思っていても、時間がたつに従って負担にもなってきます。上記の統計からもわかりますが、取り決めがない以上、「支払わなくても良いか」と持っている方も多いように感じます。
 
養育費取り決め状況
 参考:「厚生労働省|養育費の状況


また、再婚をして他に子供ができれば、新しい家族を優先したいという気持ちもわからなくはありません。こうなれば支払いの遅延などが徐々に発生していくことになり、養育費をもらえず生活が困窮するといったケースが出てきます。この状況をなんとかできるのは、養育費を受け取る側の行動しかありません。養育費の支払いは義務ですが、統計のような結果となる背景には、支払わなかったところで罰則もないという点です。

 
取り決めがない理由養育費支払いの取り決めをしない理油
・相手に支払う意思や能力がないと思った:48.6%
・相手と関わりたくない:23.1%
・交渉をしたがまとまらなかった:8.0%
・交渉がわずらわしい:4.6%

参考:「厚生労働省|養育費の状況




 

養育費の支払いがなくて困るのは他でもないあなたです。だからこそ、養育費の支払いが止まらないような行動を、あなた自身が行う必要があるのです。
 
 

まずは内容証明郵便で催促をする

養育費の支払いがなかった場合、まずは早めに電話やメールで催促をしましょう。そのままにすると相手も気に留めなくなる可能性もあります。その場合には内容証明郵便を送ることを強くおすすめします。内容証明郵便を送ったからといって法的な効力が発生する訳ではありませんが、相手にプレッシャーを与える効果が期待できますので、やっておいて損はないでしょう。
 

養育費請求調停を申立てる

養育費請求調停の申し立て方は「調停や審判で決める場合」で解説している通りです。そちらを参考にして頂ければと思います。
 

離婚時に調停などで取り決めがあった場合

離婚調停や審判、あるいは離婚裁判などで養育費についての取り決め行われている場合、家庭裁判所に電話をするだけで相手に対して履行勧告、履行命令を出してもらえます。
 

履行勧告で請求する

・履行勧告とは

調停や審判で決めた養育費は、裁判所に電話で申し出るだけで、相手に支払催促や指導を行ってくれます。相手がのらりくらりと免れようとした場合、法的な強制力はありませんが、裁判所からの指導ですので、相当なプレッシャーを与えることもできるでしょう。
 
・履行命令とは

履行命令も、強制的とは言い切れませんが、正当な理由もなく履行命令に従わない場合、10万円以下の過料を科されることもあります。こちらも家庭裁判所に申し出ることで履行命令を行ってくれます。

こちらは家庭裁判所が行うアフターサービスのようなものですので、上手に利用すると良いでしょう。
 

強制執行を行い回収する

通常の感覚の持ち主であれば、内容証明郵便や裁判所からの履行勧告などで支払いに応じる可能性は高いですが、これらには強制力がありませんので、必ずしも従うとは限りません。その場合に行うのが「強制執行」です。
 

・強制執行とは
地方裁判所が行うもので、相手の給料や貯金額などの一部を差し押さえて、強制的に支払わせる制度です。強制執行は通常未払い分に対して行われますが、法改正によって養育費には特典が付き、将来分についても差し押さえが可能になりました。また、給料などの継続的な収入に対し、原則は4分の1でしたが、最高2分の1まで差し押さえることができます。

さらに、相手が給料などの財産を隠し持っている場合でも対応できるように、財産開示が申請できるのも大きな魅力の一つです。

・強制執行の手続き
強制執行で差し押さえが可能なものは以下の6つになります。
1:給与または賞与
2:預貯金
3:動産(家財道具、自家用車など)
4:不動産(土地、建物)
5:会社の売り上げ(自営の場合)


・​申立てに必要な書類
・債権差押命令申立書(記入例)
・調停調書、審判書、判決書、公正証書などの公的文書
・証書などを相手方に送ったという送達証明書(申立書)
・債務者の勤務先の商業登記簿謄本や金融期間の資格証明書
 

・関係者についての証明書
法人の資格証明書(法人の登記事項証明書又は代表者事項証明書)

第三債務者(給料を差し押さえる場合、債務者を雇用している会社が第三債務者となります。)が法人の場合に必要です。入手については最寄りの法務局でお尋ねください。(発行日から3か月以内のものを提出してください。)

住民票
債務名義記載の住所から転居して現住所と債務名義に記載された住所とが異なっている場合に、その住所のつながりを証明するために必要です。

戸籍謄本(債務名義記載の氏名と現在の氏名とが違っている場合)
債権者または債務者の債務名義上の住所が現在の住所と異なる場合に、その住所のつながりを証明することもできます。住民票、戸籍謄本(附票)は、発行日から1か月以内のものを提出してください。

・当事者目録(サンプル
・請求債権目録(サンプル
・差押債権目録(サンプル

これらを用意し、相手の勤務する会社の所在地の家庭裁判所の執行係に提出します。
 

・養育費請求の強制執行にかかる費用
・収入印紙:4,000円
・郵便切手:800円程度

 

相手が支払わない場合は弁護士に相談

もし何をしても相手が支払わなかった場合や無視をされているような場合は、専門家である弁護士に相談してみましょう。離婚問題に長年携わる方であれば、必ずアドバイスをしてくれたり、有効な手段を示してくれます。
参考▶︎離婚問題を得意とする弁護士を探す
 

 

 

養育費の増額・減額を望んでいる場合

親権者となった母親としては、子どもの為にちゃんと払って欲しい、できれば1万円でも多く欲しい。支払う方としてはちょっとでも安くしたいと考えるのが養育費です。そこで、どんな場合に増額や減額されるのかご紹介しようと思います。たかが1万円ですが、積み重なればやはり金額的には大きくなり、無視できない要素になってきます。
 

月3万円の養育費の場合

月4万円の養育費の場合

1年間

3万円×12ヶ月=36万円

1年間

4万円×12ヶ月=48万円

10年間

36万円×10年=360万円

10年間

48万円×10年=480万円

20年間

36万円×20年=720万円

20年間

48万円×20年=960万円


1万円の違いで240万円もの増額が見込めるのです。逆に言えば、1万円違うだけで、債務者は240万円の減額が望めるということになります。
 

養育費の増額請求が可能な場合

もし変更したい正当な理由がある場合は、基本的には話し合いで決めていきますが、合意ができなければ家庭裁判所に申立てることになります。一括で支払っていた場合でも追加請求が出来、調停や審判で増額や減額が認められれば、請求した時点までさかのぼって変更することも可能になります。
 
養育費変更の正当な理由として、以下のようなものがあげられます。
 
・子どもの進学、授業料などの値上げで教育費が増加した場合
・塾や習い事を始めた場合
・子どもが病気や怪我をして多額の医療費が必要になった場合
・受け取る側の収入が病気や怪我、あるいは倒産・リストラで減給した場合

 

養育費増額を行う場合の手順

少しでも養育費の増額を狙う場合は、どうしたらよいのでしょうか。
 

相手の収入を正確に把握する

養育費算定表によると、相手の収入が多ければ多いほどもらえる養育費は多くなりますので、相手が自分の収入を過少に申告してきた場合でも適正な養育費を獲得できるよう、相手の収入を正確に把握でしておく必要があります。同居をしていた時点から、相手の給与明細を確認しておくことなどが重要となってきます。
 
もし、給与明細などが確認できない場合は、相手の会社から源泉徴収をもらうという手段もあります。
 

今後の教育方針を明確化して主張する

まだ子どもが小学校の低学年である場合など、今後どのような教育を受けさせるかなどは決まっていない場合でも、中学受験や高校受験で学習塾に通わせたる予定があること、私立学校に通わせたい旨を伝えるとよいでしょう。
 
余裕のある教育費を請求する為には、現時点で分かっている範囲で学習計画を立ててみて、その計画に基づいて交渉するのをお勧めします。
 

  • ・小学校4年生から学習塾に通わせる

  • ・高校から国公立の学校に通わせる

  • ・高校2年生から家庭教師を雇う など

 
もし学習塾の受講料や私立学校の授業料について相場がわかっている場合は、それぞれ3万円/月、5万円/月など、交渉前にあらかじめ計画に盛り込み、計画書として紙に書いておくのも有効な手段です。
 

増額請求を行う場合手続き

調停に、養育費請求申立書(書式)を書いて相手方の所在地か、合意の上で決めた家庭裁判所に申立て、自分で増額請求を行う必要があります。弁護士に依頼してもよいのですが、着手金で30万円ほどかかります。相談に乗ってもらう分には無料のところもあるので大きな戦力ですが、そんな費用があったら養育費に回したほうがよいでしょう。
 

養育費が減額となってしまうケースと減額の手順

養育費の減額に関して、具体的な方法を見ていきましょう。
 

相手の再婚相手に経済的な余裕がある場合

この場合、再婚相手に養育費を支払ってもらうという選択肢もあるため、養育費の減額請求が認められる可能性があります。
 

離婚後、相手が再婚するまでの間に収入が減った場合

養育費は支払う者の年収も考慮して決められることとなりますので、養育費を決めた段階から年収が減っているような場合には、養育費の減額請求が認められる可能性は高いでしょう。
 

養育者の収入が離婚時に比較して増えている場合

養育費を決めた段階と比べて年収が増えているような場合、養育費の減額請求が認められる可能性は大いにあります。
 

養育費を支払う側が再婚し扶養家族が増えた場合

この場合、可処分所得が減り養育費を支払う金銭的余裕がなくなりますので、養育費の減額請求が認められる可能性があります。
 

養育者が再婚していた場合は養育費の返還請求が可能となることも

仮に、元妻が再婚したことを知らなかった場合、告知の義務はありませんので再婚を知らないのは当然かと思いますが、再婚を知らずに今まで通りの養育費を払い続けていた事に、納得ができないという気持ちもわかります。ここも基本的には話し合いによって決めていく事になりますが、「不当利得返還請求」などの法的手段に出ても支払った金額が返ってくる可能性は低いと思います。
 
この場合は、再婚した日から減額の再計算をし、期限までに支払う養育費の総額を見直すのがベターな選択かもしれませんが、このような問題の場合は弁護士などの専門家に相談されるのが一番かと思います。
 

減額請求を行う場合の調停手続き

  • ・養育費調停申立書

  • ・事情説明書

  • ・調停に関する進行照会書

  • ・未成年者の戸籍謄本

  • ・申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、給料明細、確定申告書等の写し)

  • ・収入印紙(子ども一人につき1200円)

  • ・郵便切手代(800円前後)

 
これらを用意し、相手方が現在住んでいる地域の家庭裁判所か、離婚時に申立てをした家庭裁判所に申し立てることになります。基本的に調停を申立てる方法はどの場合でも同じです。
 

 

 

養育費の請求に関して知っておくべき事

養育 

養育費の請求をしたくても相手の消息が不明な場合

信じられない事かもしれませんが、養育費が振り込まれないので連絡を取ろうとしたら電話も繋がらず、会社も退職して消息不明になるケースもあります。相手の住所が分からなければ催促も調停の申立てもできないので、実家や友人に問い合わせるという方法がありますが、それができない場合は「自分で探す」しかありません。
 
具体的には、前の住民票か、戸籍の附票(ふひょう)を取り寄せてみましょう。除かれた住民票には転居先住所が記載されており、5年間は保存されていますので、現在はどこに住民登録があるかがわかります。この時、住民票を全く移していないズボラな相手だった場合、人探しのプロに頼むか、弁護士に事件依頼をすれば「弁護士照会」という特権で探してくれます。
 

相手に子供を会わせないと養育費はもらえないのか?

養育費と面会交流会とは全く別の問題なので、子供に合わせなくても養育費を受け取る権利はあります。しかし、養育費請求の調停を申立てられた場合は、面会交流を問われる事になる可能性が高くなります。もし、暴力や虐待などの危害があるケースを除き、面会が養育費の支払いに影響するなら、前向きに検討すべきかと思います。
 

再婚すると養育費はもらえないのか?

養育費の支払い義務が消える事はないので、もらえないという事はありません。ただ、再婚をする事で経済状況が変わりますので、減額される可能性はあります。
 

相手方の祖父母への養育費請求も可能

相手の収入が少なかったり、無収入だったりして、十分な養育費を請求できない場合は、相手方の両親、つまり子どもの祖父母に養育費を請求することも可能です(孫に対する扶養の義務)。ただし、第一次的な扶養義務はあくまで親にありますので、あくまで祖父母の生活に余裕がある場合のみ、認められると考えるのが妥当でしょう。
 

確実な養育費の獲得は事前準備が重要

養育費は実際に支払われるようにすることが最も重要なことです。そのためには、離婚時に夫婦間で取り決めた養育費の額や期間に関する内容を、離婚協議書にまとめて、公正証書にするのがおすすめします。
 
そうすれば、万が一養育費の支払いが滞った場合に裁判をせずとも、相手の財産に対して強制執行を行うことができます。離婚協議書や公正証書に関する内容は「離婚協議書の書き方と公正証書にして効力を最大にする方法」を参考にして頂ければと思います。
 
 

養育費に関する相談を専門家にする場合

今現在養育費の支払いについて困っていらっしゃる方は、今回お伝えしたような内容を実践していただき、それでも無理な場合は下記のような専門家に相談をしてみましょう。

養育費問題を得意とする「弁護士」
養育費相談支援センター

養育費の支払いは法律でもきていのある親の義務であるのに、現実は支払わない親が多く、養育費を含めたトラブルが後を絶ちません。繰り返しになりますが、特に多いのは離婚時に養育費について話し合っていないケースです。これから離婚を検討している場合は良く話し合って下さい。
 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
 
養育費の不払いは一度発生するとずるずると間延びしていく可能性の高いものです。あらかじめ養育費の不払いが起きないようにしておくことが最も大事ではありますが、養育費の支払いが滞った場合の対策も参考にして頂ければ幸いです。
 

 

弁護士へのご相談で慰謝料などの増額が見込めます


離婚問題に関する専門知識もつ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・慰謝料を獲得したい
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など、離婚に関わる問題でお困りの事を、【離婚問題を得意とする弁護士】に相談することで、離婚に有利な結果となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

編集部

本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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