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養育費はいつまで支払うべき?成人年齢引き下げや減額できるケースを解説

養育費はいつまで支払うべき?成人年齢引き下げや減額できるケースを解説
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養育費の支払い義務を負っている方の中には「養育費をいつまで支払い続ければいいのか」と疑問に思っている方もいるでしょう。特に、養育費の支払いによりご自身の家計が苦しくなっている場合には尚更そういった思いが強くなるでしょう。

民法上の原則では、養育費は親の義務とされているため、一方的な意思のみで支払いをやめることはできません。支払をやめてしまうと、債務不履行状態が継続し、遅延損害金が発生します。

(令和2年4月1日に改正民事執行法が施行されたことで、強制執行による養育費の回収が容易に行える可能性が高くなったため、ご自身の判断で養育費の支払いを止めてしまうことはなおさら避けるべきと言えるでしょう。)

しかし、減額を請求することはできます。この記事では、養育費の支払いに負担を感じている方に向けて「養育費を払い続ける期間」「養育費が高いと感じた場合の対処法」などをご紹介します。

養育費を減額できる人って?

養育費の支払いは義務ですが、事情によっては【減額できる】かもしれません。

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養育費はいつまで払えばいい?支払い期間や義務

離婚後、養育費の支払いが必要な場合に気になるのが「養育費は一体いつまで支払うべきなのか?」ということではないでしょうか。

仮に親権者でなかったとしても、親の責任として子どもの生活を守るために養育費は支払わなければいけません。

とはいえ、子どもの養育には相当な費用がかかってくるのも事実です。

家計に余裕がなければ支払い期間が気になってしまうのも仕方ありません。

そこで、養育費の支払い義務とその期間について解説します。

養育費の支払い義務

親には未成熟の子どもを監護する義務があります。

離婚して子どもの親権者でなくなっても、子どもに対する扶養義務はなくならず、養育費の支払い義務があります。

また、養育費の支払い義務は生活保持義務であり、自分の生活に経済的な余裕がなかったとしても、自分と同程度の生活ができるよう保障しなければなりません。

たとえ破産したとしても、養育費の支払い義務は続くのです。

子どもが成人して経済的に自立するまで支払う

では、養育費の支払い義務はいつまで続くのかというと、子どもが成人して経済的に自立するまでです。

養育費の支払い終期は原則として20歳までが目安とされています。

しかし、これはあくまで原則であり、両親が合意すれば子どもの年齢を問わず支払い続けても問題ありません。

成人年齢の引き下げとともに支払い期間も18歳までに変わる?

民法の一部改正により、2022年4月1日より成人年齢が18歳に引き下げられました。

しかし、養育費の支払い期間は変わらず、原則として20歳までとされています。

なぜ20歳までかというと、養育費は子どもが経済的に自立するまで支払われるべきものだからです。

そのため、民法上、成人年齢が18歳に引き下げられたからといって、養育費の支払い期間も18歳までとなるわけではありません。

ただし、不要な混乱やトラブルを生まないためにも、離婚する際に子どもが何歳になるまで養育費を支払うのかを明確に定めておくのが望ましいでしょう。

成人後も支払い義務が発生する場合

子どもが成人しても本人が経済的に自立していなければ、養育費を支払い続けなければなりません。

20歳以上であっても、大学に在学していたり、病気や障害などで就労が困難だったりする場合は、経済的に未成熟であるため、養育費の支払い義務は続きます。

この場合の支払い終期は、両親の話し合いによって決めるのが一般的です。

一方、子どもが中学や高校を卒業後に就労し、経済的に自立していれば、20歳に達していなくても養育費の支払い義務はなくなります。

相手方が再婚した場合

相手方が再婚しても、子どもとの親子関係が消滅するわけではないため、養育費の支払い義務は続きます。

ただし、子どもが相手方の再婚相手と養子縁組をすれば、再婚相手が子どもの扶養義務を負うことになります。

そのため、再婚相手の収入によっては減額や免除となる可能性があるでしょう。

一方、養育費を支払う側が再婚しても、基本的に養育費は減額にも免除にもなりません。

ただし、再婚相手との間に子どもができたり、再婚相手の子どもと養子縁組をしたりすれば扶養家族が増えるため、子ども一人あたりの養育費が減額となる可能性があります。

養育費の算定方法

適正な養育費の金額が気になる方も多いでしょう。

ここでは、養育費の算定方法を紹介します。

算定方法①標準的算定式

養育費は、支払う側と受け取る側の収入状況に応じて決まります。

計算方法は以下のとおりです。

  1. 親の基礎収入を計算する
  2. 子どもの生活費指数を確認する
  3. 子どもの生活費を計算する
  4. 負担する養育費の金額を求める

①親の基礎収入を計算する

基礎収入は以下の計算式で求めます。

「基礎収入=総収入×基礎収入割合」

総収入とは、給与所得者の場合は源泉徴収票の支払金額のことです。

基礎収入割合は親の総収入に応じて、下表のとおり決められています。

【給与所得者の基礎収入割合(令和元年)】
総収入 基礎収入割合
~75万円 54%
~100万円 50%
~125万円 46%
~175万円 44%
~275万円 43%
~525万円 42%
~725万円 41%
~1,325万円 40%
~1,475万円 39%
~2,000万円 38%
【事業所得者の基礎収入割合(令和元年)】
総収入 基礎収入割合
~66万円 61%
~82万円 60%
~98万円 59%
~256万円 58%
~349万円 57%
~392万円 56%
~496万円 55%
~563万円 54%
~784万円 53%
~942万円 52%
~1,046万円 51%
~1,179万円 50%
~1,482万円 49%
~1,567万円 48%

※司法研修所編『養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究』35ページ参照

②子どもの生活費指数を確認する

「子どもの生活費指数」とは、成人の生活費を100とした場合に、子どもにかかる生活費の割合のことです。

具体的な数値は、以下のように定められています。

子どもの年齢 生活費指数
0~14歳 62
15歳以上 85

③子どもの生活費を計算する

子どもの生活費は以下の式で計算します。

「子どもの生活費=親の基礎収入×(子どもの生活費指数÷(100+子どもの生活費指数))」

式中の「子どもの生活費指数」は子どもが複数人いるなら、それぞれの子どもの分を合計します。

たとえば、17歳の子が1人、13歳の子が1人いる場合の子どもの生活費を求める計算式は、「親の基礎収入×((85+62)÷(100+85+62))」となります。

④負担する養育費の金額を求める

支払うべき養育費の金額は次の式で算出します。

「養育費(年額)=子どもの生活費×(支払う側の基礎収入÷(受け取る側の基礎収入+支払う側の基礎収入))」

この式で求められる金額は年額です。

この値を12で割れば、1ヵ月当たりの金額を求められます。

算定方法②養育費算定表を利用する

より簡単に養育費を求めるには、裁判所が発表している養育費算定表を参照する方法があります。

実際にはこの表を参照して決めることも多いでしょう。

算定表を使って養育費を確認するには、まず裁判所の養育費算定表の掲載ページでご自身のケースに該当する算定表を選びます。

算定表の見方は以下のとおりです。

  1. 縦軸で義務者の年収を探す
  2. 横軸で権利者の年収を探す
  3. 交差したマスの数字が相場

算定表に既済された金額には幅がありますから、この幅をめぐって争うことになります。

養育費の支払いが減額されるケース

以下に紹介するケースでは、養育費の金額が減額される可能性があります。

当てはまる場合は、相手方と交渉してみるとよいでしょう。

1.義務者の事情が変更した場合

『義務者の事情が変更する』とは、主に給料の減額・扶養家族の増加などを指します。

養育費の支払い義務自体はどのような事情があっても続きますが、減額の請求は可能ですが、逆に事情の変動が生じると、増額もありえます。

相手方と話し合って減額を求め、協議を進めることがあり舞えます。

相手方が応じなければ、裁判所に調停を申し立てるなどの方法もあります。

2.子どもが相手方の再婚相手と養子縁組をした場合

相手方が再婚し、その再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、養育費の減額を請求できます。

養子縁組をすれば、再婚相手と親子関係となるため、再婚相手にも子どもの扶養義務が生じるためです。

また、同居している養親に十分な経済力があれば、養育費を免除してもらえる可能性もあります。

ただし、相手方が再婚をしただけでは、再婚相手と子どもの間に親子関係は生じないため扶養義務は発生しません。

また、同棲や事実婚の場合も同様です。

3.子どもが経済的に自立した場合

子どもが就職し、経済的に自立すれば、養育費の支払い義務はなくなります。

養育費は経済的に未熟な子どもに対して支払うものであるためです。

また、子どもが結婚した場合も同様で、たとえ専業主婦になったとしても経済的に自立したとみなされます。

養育費の支払い義務も子が結婚した時点でなくなります。

養育費の支払いを減額・期間を短縮したいときの対処法

養育費の金額や支払い期間は変更することもできます。

苦しい思いをしながら支払っているなら、現在支払っている養育費の額は妥当であるか確認のうえ、相手方と金額や期間について交渉してみるとよいでしょう。

当事者同士では話がまとまらなければ、裁判所の調停手続きを利用できます。

相場を確認する

支払っている養育費の額が相場よりも高すぎないかを確認しましょう。

適正な養育費の金額は、養育費算定表で簡単に確認できます。

算定表に記載された金額よりも多く支払っている場合は、相手方に減額交渉してみるとよいでしょう。

双方の意見を交換する

現在支払っている養育費の額が高すぎるなら、減額に応じてもらえないか、相手方と話し合ってみましょう。

話が進まなかったり、相手方が話し合いに応じようとしなかったりするなら、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士が代わりに交渉すれば、相手が応じることも少なくありません。

その結果、養育費算定表に基づいた適正な金額に決め直してもらえるでしょう。

養育費請求調停で決める

相手方と話がまとまらなければ、家庭裁判所に調停の申し立てをおこないます。

調停とは、裁判所が仲介して、当事者同士で話し合いをする手続きです。

裁判官の他に、調停委員という専門家が間に入って進めてくれます。

調停委員は中立的な立場から法律に基づいた解決策を提案してくれるので、当事者のみで話し合うよりも合意に至る可能性が高いでしょう。

それでも、話がまとまらず調停が不成立となれば、自動的に審判手続きに移行します。

審判とは、話し合いではなく、当事者双方の主張を聞いたうえで裁判所が判断を下す手続きです。

調停のように結論が出ないことはなく、必ず決着します。

また、ご自身で裁判所での手続きをおこなうのが不安であれば、弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士に依頼すれば、裁判所へ同行し、代理で交渉してもらえるため、自分で手続きをするよりも有利に話を進められる可能性が高いでしょう。

養育費の支払いについて知っておきたい注意点

養育費の支払いは、親にとっての義務であり、逃れられるものではありません。

だからこそいい加減なことをしてはいけませんし、取り決めの際は、その内容をきちんとした形にしておくことが望ましいところです。

ここでは、養育費の支払いについての注意点を紹介します。

改正民事執行法により養育費不払いは高リスク

養育費の支払いがどんなに負担に感じられても、不払いをしてはいけません。

養育費の支払いを滞納すれば、給与を差し押さえられるなど強制執行をされる可能性もあるからです。

また、2020年4月の改正民事執行法の施行により、財産開示手続きがおこないやすくなり、不動産や給与など差し押さえの対象となる財産の情報を取得しやすくなりました。

この改定により、強制執行による未払い養育費の回収が以前よりもおこないやすくなったと考えられます。

養育費を未払いにすれば、差し押さえられるリスクが高くなったといえるでしょう。

そのため、負担であっても養育費の不払いは避けるべきです。

どうしても養育費を支払うのが苦しければ、弁護士に相談してみることをおすすめします。

事情を鑑み、相手方と交渉するなどして適正な金額にしてもらえるはずです。

養育費に関する取り決めは公正証書を作成する

相手方と養育費について取り決めた内容は公正証書にしておくことをおすすめします。

公正証書は公証人が作成する公文書です。

正式な文書であるため、その内容は必ず守らなければなりません。

公正証書を作成しておけば、相手方が、取り決めた内容を反故にして、正当な理由なく養育費の支払いの延長や増額を求めてくるなどしても、公正証書を証拠として拒否できます。

まとめ|養育費の支払い拒否をするリスク

養育費の支払いをこちらの都合で急にやめてしまったり、連絡をとれない状況にしたりすると、調停申立にいたってしまいます。

それでも無視をしてしまうと、最悪、相手の言い分に基づいて養育費が決定されてしまうケースがあります。

また、養育費の支払いを行わず、放置してしまうと、強制執行の対象となるリスクがあります。

養育費に関して、強制執行で一番多い回収方法は給料の差押えです。

勤務先から払われる給料から養育費を差押えする方法ですので、支払い額以上の悪影響が生じることはいうまでもありません。

しっかり話し合った上で、今後どうするのか決めていきましょう。また、減額を請求する場合、あらかじめ弁護士に相談することをおすすめします。

養育費を減額できる人って?

養育費の支払いは義務ですが、事情によっては【減額できる】かもしれません。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤 健博 (東京弁護士会)
男女問わず不倫問題全般を得意とし、円満解決の実績もあり。不倫が原因の男女トラブル、離婚慰謝料の請求や親権獲得など、幅広い相談に対応している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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