2つの差し押さえ(強制執行)で養育費を回収する基礎知識

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離婚コラム
2018.7.3
養育費 弁護士監修記事

2つの差し押さえ(強制執行)で養育費を回収する基礎知識

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離婚後に養育費が支払われないことに悩んでいませんか?

差し押さえ(強制執行)を行うことで、強制的に養育費を確保できるかもしれません。

 

差し押さえでは、相手の給料または預貯金口座が対象になります。給料の差し押さえでは未払い分に加え、今後の養育費も差し押さえておくことが可能です。また、預貯金口座の差し押さえでは、一気にまとまった金銭を確保できるかもしれません。

 

たとえ離婚しても、子供のために養育費をしっかり支払ってほしいですよね。この記事では、2種類の差し押さえに関する基礎知識や、申立てから金銭を受け取るまでの流れについて詳しくご紹介します。

 

【関連記事】▶養育費を強制執行で回収しよう!申立ての流れと条件まとめ

 

差し押さえで養育費を獲得するのに必要な条件2つ

差し押さえ(強制執行)で養育費を獲得する場合、以下の条件2つは最低限満たす必要があります。

 

 

①債務名義の取得をしていること

債務名義』とは、一定の権利義務関係の存在を証明する文書です。以下のものが該当します。

 

  • 確定判決:控訴・上告できない、確定判決が下されたときに作成される文書のことです。
  • 仮執行宣言付与判決:『仮に執行できる』旨が記載された文書です(控訴・上告の余地があっても強制執行することができます)。
  • 仮執行宣言付支払督促支払督促手続を行った際に作成される文書です。
  • 和解調書:裁判で和解した際に作成される文書です。
  • 調停調書:調停が成立した際に作成される文書です。

 

【関連記事】▶調停調書とは?手元に届くまでの流れと作成時の注意点

 

債務名義の代わりに公正証書を利用できる!

債務名義の代わりに公正証書でも、強制執行を申し立てることができます。ただし、『執行受諾文言』と『執行文』が付与されていなくてはいけません。

 

執行受諾文言とは、『債務者(金銭などを請求される)は、支払いの約束が守れず強制執行されても文句を言いません』というような文言です。要するに、強制執行されることに対し債務者が同意していることを意味します。

 

執行文とは、『この公正証書で強制執行できます』というような一文です。もし執行文がない場合は、債務名義の代わりになりません。公証役場へ行き、『執行文付与の申立て』を行い、付与してもらいましょう。(公証役場一覧)

 

【関連記事】▶調停調書と公正証書の違いとは|法的な効力や費用の比較

 

 

②相手の勤務先や預貯金口座情報を特定していること

強制執行では、給料または預貯金口座の差し押さえをすることができます。ただし、そのためには相手の情報を特定しておかなければいけません。

 

給料を差し押さえする場合は会社名を、預貯金口座の差し押さえでは、銀行名と支店名(口座番号の特定までは不要)を特定しなければいけません。

 

預貯金口座の特定は弁護士に依頼する

預貯金口座は、弁護士に依頼し、弁護士会照会(※)をかけてもらうことで、特定が可能になります。

 

また、債務名義を取得した段階であれば、銀行に対してある程度幅広い弁護士会照会をかけることが可能です。

 

債務名義がない段階では、このような幅広い弁護士会照会はできません。そのため、ある程度あたりをつけて照会をしていくことになります。

 

※弁護士会照会

弁護士が依頼された問題を解決するために必要な、証拠や資料の収集、事実調査をする際に、円滑に行うため、各機関に対し照会(問い合わせる)することができる制度です。

弁護士個人ではなく、弁護士会が照会の必要性を審査した上で、照会されます。

(参考:弁護士会照会とは|弁護士会照会を活用する際に知っておくべきこと)

 

勤務先の特定は探偵に依頼する

相手の勤務地は一般的に、探偵に依頼し探してもらいます。弁護士が相手の会社を探すことは通常ありません

 

人探しの費用相場は一般的に、1回の調査で50〜70万円になります。ただし、事務所によって料金が違うので、費用も含め一度相談してみましょう。

 

【関連記事】
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探偵の選び方|本当に良い探偵を見極める10のチェックリスト
探偵の調査料金相場|探偵社の料金比較と費用安く抑える方法

 

1:養育費を確保するための給料差し押さえとは

ここでは、給料の差し押さえについて具体的に解説します。

 

 

養育費未払いによる給料差し押さえの範囲

給料差し押さえの範囲は、給料から税金などを控除した残額の2分の1になります。ただし、残額が66万円を超える場合は、33万円を相手方に残し、それ以外は差し押さえることが可能です。

 

例えば、給料から税金などを控除した残額が30万円の場合(例1)と、100万円の場合(例2)。差し押さえの範囲は、下の表のようになります。

 

(参考:差押可能な給料の範囲|裁判所)

 

給料は、未払い金額分まで毎月差し押さえられます。

 

 

将来分も差し押さえできる!

給料の差し押さえでは、将来分の養育費に対し差し押さえを申し立てることが可能です。未払い分と併せて一括で申し立てられます。

 

将来分の養育費も差し押さえておくことで、相手が会社を辞めない限り、毎月給料から養育費を受け取ることができるのです。また、一度申し立ててしまえば、毎月申し立てる必要がありません。

 

ただし、将来分の養育費は、支払い期限日後に支払われる給料からでないと、取立を行うことができません。

 

例として、下図をご覧ください。『支払い日』が養育費の支払い期限になっています。

 

(参考:将来発生する養育費の差押えについて|裁判所)

 

このように、7月15日の養育費は、支払い期限を過ぎた7月20日の給料からでないと取立することができません。

 

 

差し押さえた給料の受け取り方

差し押さえた給料の受け取り方は2つあります。

 

①自分で取立を行う

1つは、ご自身で相手が勤務する会社に連絡し、支払い方法や期限などを決める受け取り方です。

 

この行為を『取立』と呼び、行った後は『取立届』を裁判所に提出します。また、支払われた後は『取立完了届』を提出する必要があります。

 

②裁判所を通す

会社が直接支払うのではなく、該当者の給料を法務省に提出し、法務省で管理されることがあります。

 

このような場合、裁判所が仲介しますので、裁判所を通しての支払いになるでしょう。

 

 

相手の勤務会社から支払われない場合

相手の勤務先が家族経営だったり、社長と仲がよかったりした場合など、差し押さえ通知が届いているにもかかわらず、支払いをしないという可能性も考えられます。

 

この場合は、会社に対して取立訴訟(※)を提起することができます。取立訴訟で勝訴すれば、会社の売掛金、不動産、動産(日常生活の設備など)の会社財産を差し押さえすることが可能です。

 

【関連記事】▶養育費の強制執行|お金が取れない場合にできる2つのこと

 

※取立訴訟

給料を支払っている会社に対し、差し押さえた金銭の支払いを求める裁判のこと。

 

2:預貯金口座の差し押さえとは

預貯金口座の差し押さえで養育費をしっかり確保するためには、タイミングが大切です。ここでは、預貯金口座の差し押さえについて詳しく解説します。

 

 

預貯金口座を差し押さえられる範囲

預貯金口座の差し押さえは、給料と違って禁止されている範囲がありません。そのため、差し押さえ時点で存在する金銭すべての差し押さえが可能です。

 

一気に未払い分の養育費を回収できる可能性もありますし、まったく預金がなく空振りに終わる可能性もあります

 

給料の差し押さえと違い、将来の養育費に対しての差し押さえはできません。また、今後入金される金銭に対して差し押さえをする場合、再度差し押さえの申立てを行う必要があります。

 

 

預貯金口座の差し押さえはタイミングが大切!

預貯金口座の差し押さえは、給料日やボーナスの翌日など残高が最も多いと思われるタイミングを狙いましょう

 

そうすることで、残高が少なかったり空振りになってしまったりすることを回避できるかもしれません。

 

 

差し押さえた金銭の受け取り方

差し押さえすると、裁判所から預金口座のある金融機関に通達がいき、口座が凍結されます。その後、ご自身で金融機関に対し取立を行います。

 

話す内容や、取立後に提出する書類は会社への場合と同じです。▶参考:①自分で取立を行う

 

 

差し押さえで養育費を確保するまでの流れ

差し押さえは、下図のような流れで行われます。

 

 

ご自身で行うこともできますが、弁護士への依頼でスムーズに進めることが期待できます。

 

 

①必要書類を集める

必要書類は債務名義によって異なります。

 

 

ご自身の手元にある正本を確認の上、各リンク先から必要な書類を確認しましょう。

 

 

②裁判所への差し押さえ(強制執行)を申し立てる

給料の差し押さえを考えている場合の申立て先は、相手の勤務先を管轄している裁判所。預貯金口座の差し押さえを考えているのであれば、該当口座を管轄している裁判所に申し立てます。(裁判所一覧|裁判所)

 

申立ての際は、書類に使用した印鑑を持参しましょう。書類に修正箇所があった場合などに必要になります。

スムーズに書類を受理してもらうためにも、弁護士へ依頼することも検討しましょう。

 

申立て費用

申立て費用は、以下のようになります。

 

  • 収入印紙:4,000円
  • 切手:2,898円(12枚)

 

切手の金額や枚数は、状況によって変動しますので、申立て先の裁判所に一度確認することをおすすめします。切手の内訳は下表をご覧ください。

切手の内訳

1,000円

2枚

500円

1枚

100円

1枚

82円

3枚

20円

1枚

10円

3枚

2円

1枚

合計

12枚

 

 

③裁判所からの差押え命令

裁判所は申立てを受け、該当の会社または金融機関に対し、差押え命令の発令および同命令正本を発送します。

 

送達命令が送達された1週間後から取立を行うことができます

 

まとめ

強制執行は、相手の勤務先または口座情報さえ特定できていれば、1人で行うこともできます。とはいえ、書類の作成や会社(金融機関)への取立をご自身で行うのは難しいと感じてしまうかもしれません。

 

そのような場合は、早めに弁護士へ相談してみましょう。

 

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出典一覧

 

この記事を監修した法律事務所

Thum_umezawa
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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