自分の場合は減額できるのか、減額のためにはどのような手続きをすればよいのか、まず弁護士にご相談ください。
再婚で養育費が減額できる?減額される条件と減額請求する方法


子供のいる親が離婚した場合、養育費の問題は必ずついてまわるものです。
養育費の支払いは親としての義務です。
しかし、十分な収入がない場合や、相手が再婚した場合も養育費を支払わなければならないのかという疑問があるかもしれません。
今回の記事では、養育費を減額する方法などについてご紹介します。
養育費の支払いに関する基礎知識とリスク
養育費の支払いをしないことや、養育費の金額を減額することを元夫婦の両者が合意していれば大きな問題とはなりません。
しかし、実際にはこのような合意なしに養育費が支払われなくなってしまうケースが多数あります。
ここでは、養育費の支払いに関する基礎知識と支払わない場合のリスクを解説します。
養育費を払わない親が多く問題になっている
厚生労働省が公表している2016年の『全国ひとり親世帯等調査結果報告』によると、母子家庭の養育費の受給状況は、24.3%となっており、養育費を受け取れている母親がいかに少ないのかがわかります。
ちなみに離婚時に養育費の取り決めを行っている人は42.9%となっています。
なぜ養育費を払わないのか?
離婚した父親が養育費を支払わない・支払わなくなった理由は、単に十分なお金を得られていないこともあります。
しかし、養育費を支払う余裕があっても支払わない場合も多いとされています。
離婚してから時間が経つと、父親自身の生活の中で子供がいないことが当たり前になってしまい、責任感が薄れてしまうことが不払いの原因のひとつと考えられます。
養育費を払わないと強制執行される恐れがある
養育費の支払いに合意したにも関わらず支払いがされていない状況であれば、強制執行がなされる可能性があります。
以下のような場合であれば強制執行される可能があるため注意しましょう。
- 公正証書となっている離婚協議書に養育費支払いについて明記されている
- 調停によって養育費を支払うことが決められている
- 判決によって養育費の支払を命じられている
養育費の減額は可能?減額される条件
養育費は子供が成人を迎えるか、自立するまで支払うのが一般的です。
養育費を支払っている側にとっては、支払いは長期に及ぶため、経済状況や再婚などの変化により、その負担を重く感じるようになることもあるでしょう。
離婚時に取り決めた養育費の金額は、場合によっては変更することが可能です。
ここでは、養育費の減額ができるケースと、できないケースなどを解説します。
支払う側の収入がなくなった・低くなった
例えば、支払義務者が「全くの無収入」となった場合には、養育費の支払いが現実的に困難であるため、養育費の支払義務がなくなる可能性はあるでしょう。
また、支払義務者の収入が大幅に減ったりした場合も、支払うべき養育費の金額が減額できる可能性はあります。
受け取る側が再婚して子供が養子縁組した
親権者となった元配偶者が再婚し、子供と再婚相手が『養子縁組』した場合も、養育費の支払義務の全部又は一部が免除される場合があります。
養子縁組をすると、新たに親子関係が認められます。
それにより、新しい養親が第一次的な子供の扶養義務者となり、元配偶者の扶養義務は二次的なものとなるからです。
なお、この場合、扶養義務が二次的なものとなるだけで、実親の扶養義務が完全に消滅するわけではないことは注意しましょう。
支払う側が再婚し、再婚相手との間に子供ができた・養子縁組した
養育費を支払っている側が、再婚したり再婚相手との間に子供ができたりすると、扶養対象が増えます。
このように従前の扶養関係に大きな変動が生じた場合も、養育費の減額を求める理由にはなり得るでしょう。
受け取る側の収入が上がった
離婚後、相手の収入が想定外に上がったような場合にも、養育費の減額を求める余地があると思われます。
養育費の金額は、支払い側と支払いを受ける側の収入のバランスによって決まるからです。
養育費の減額が難しいケース
以下のような事情では、養育費の減額は難しいでしょう。
支払い始めてから相場より高い養育費だったことがわかったから
離婚時に養育費の一般的な相場を把握せずに、養育費の金額を取り決めてしまった場合です。
養育費の金額について取り決めた後に、一般的な相場よりも高いことが判明したとしても、原則としてそれを理由に減額することは難しいでしょう。
子供と面会できないから
離婚時に、例えば「月に1回子どもと面会する」と取り決めたにもかかわらず、現実には子どもと会うことができないといった場合があります。
子どもと面会することができないのであれば、毎月高額な養育費を支払いたくないと思われるかもしれません。
しかし、子どもとの面会ができないことを理由に、養育費の減額が認められることはありません。
養育費の問題と子どもとの面会交流の問題は、それぞれ別の問題であるためです。
どれくらい減額される?養育費の計算方法
養育費の計算方法については、下記内容を確認する必要があります。
- 基礎収入の算出
- 生活費指数の確認
- 子供の生活費の算出
- 養育費の計算
1.基礎収入
まずは基礎収入を算出します。
基礎収入とは、総収入から税金や特別経費(住居関係費や医療費など)等を差し引いた金額を指します。
【給与所得者の場合】
給与所得者の場合は、基本的に源泉徴収票の「支払金額」が総収入となります。
給与収入 | 基礎収入(%) |
---|---|
~750,000 | 54 |
~1,000,000 | 50 |
~1,250,000 | 46 |
~1,750,000 | 44 |
~2,750,000 | 43 |
~5,250,000 | 42 |
~7,250,000 | 41 |
~13,250,000 | 40 |
~14,750,000 | 39 |
~20,000,000 | 38 |
【事業所得者の場合】
事業所得者の場合は、基本的に確定申告書の「課税される所得金額」が総収入となります
事業所得 | 基礎収入(%) |
---|---|
~660,000 | 61 |
~820,000 | 60 |
~980,000 | 59 |
~2,560,000 | 58 |
~3,490,000 | 57 |
~3,920,000 | 55 |
~5,630,000 | 54 |
~7,840,000 | 53 |
~9,420,000 | 52 |
~10,460,000 | 51 |
~11,790,000 | 50 |
~14,820,000 | 49 |
~15,670,000 | 48 |
2.生活費指数
成人が必要とする生活費の指数を100とした場合に、子どもがどれくらいの生活費指数となるのかを統計的に表した数値です。
大人 | 100 |
---|---|
0~14歳の子ども | 62 |
15歳以上の子ども | 85 |
3.子どもの生活費
子供の生活費は、以下のような計算式で求めます。
支払義務者の基礎収入×養育費を受ける子の生活費指数÷(支払義務者の生活費指数 + 扶養義務者の生活費指数)
4.養育費の計算
最後に養育費を以下の計算式で求めます。
子どもの生活費×支払義務者の基礎収入÷(支払義務者の基礎収入+養育費を受け取る側の親の基礎収入)
上記計算結果は、年間の養育費となるため、月額を算定するにあたり、12で割る必要があります。
養育費を減額する方法と養育費減額請求調停に向けた流れ
養育費を減額したい場合は、まず元配偶者と減額が必要な理由について話し合いながら、減額に向けた交渉をおこないましょう。
交渉が難しければ、養育費減額の調停を申し立てることが可能です。
養育費の減額についての交渉は以下のような流れで行われるのが一般的です。
まずは交渉を行う
まずは交渉により減額を求めていくことが一般的です。
双方が新たな養育費の金額に合意すれば、新たに合意された金額で養育費を支払っていくことになります。
この場合、養育費の支払いについての『合意書』を作成しておき、減額の合意があったことについて書面で明らかにしておきましょう。
養育費減額調停を申し立てる
交渉で養育費の減額がまとまらない場合は、調停を申し立てます。
養育費減額調停とは、養育費を減額すべき特別な事情が発生したときに、調停委員を介して養育費の金額を話し合う手続きです。
相手が調停で減額に応じれば、その内容が調停調書として明確化されます。
養育費減額請求調停の進め方
調停では、調停委員を介して協議することで解決策を探っていきます。
両者が納得する結論が出れば調停成立となり、もし話がまとまらず調停が不成立となった場合は審判手続へと移行します。
調停では、養育費の減額を認めてもらえるような、収入状況の変化等を証明できる証拠を用意しておきましょう。
養育費の額を話し合った時点では現在の収入の変化を予期できず、やむをえない理由で養育費の減額が必要であることを主張することが重要です。
養育費減額請求調停に必要な書類
調停の申立には、以下のような資料が必要となります。
- 養育費調停申立書
- 事情説明書
- 調停に関する進行照会書
- 子供(未成年者)の戸籍謄本
- 源泉徴収票・給料明細・確定申告書等の写しなど申立人の収入関係の資料 等
養育費減額請求調停に必要な費用
養育費減額請求調停には、以下の費用が必要になります。
- 収入印紙:1200円分(子供1人当たり)
- 郵便切手:800円から1000円程度(裁判所によって異なります)
そのため、子供1人であれば、2000円程度は必要になるのが一般的です。
調停でまとまらなければ審判へ
調停が不成立となった場合は、審判手続に移行します。
審判では、裁判官によって養育費の減額を認めるかどうかの判断がされます。
養育費減額調停を弁護士に依頼する9つのメリット
養育費減額調停を弁護士に依頼する最大のメリットは、調停手続を代理で行ってくれる点です。
養育費減額調停で最善の結果を得るためには、減額請求までに至った事情などを調停委員に正しく理解してもらうことが重要です。
弁護士であれば、その点を踏まえ、適切な主張や証拠の提出を行ってくれることが期待できるでしょう。
弁護士に依頼するメリットをまとめると、以下の通りです。
- 調停委員との交渉を代理で行ってくれる
- 仕事などで調停に出席できなくても、弁護士に代理出席してもらえる
- 自分で交渉するより早期の問題解決が見込める
- 調停の申立てに関する手続きや書類の作成を一任できる
- 必要な書類などについて相談できる
- 調停委員からの解決案に対し、妥協すべき点を見極めてくれる
- 調停後も元配偶者と直接連絡を取る必要がなくなり、精神的な負担が少なくなる
- 審判になった場合には、追加の立証や主張を行ってくれる
- 審判が行われた後、不服の申立てをすべきか判断してくれる
最後に
養育費の支払いが一度取り決められると、勝手に支払いを中止することは認められません。
ただし、特別な事情があれば、全部又は一部について減額を求める手段はあります。
まずは、弁護士に相談してみることをおすすめします。


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