養育費を支払うのは親権者を持たない親が子供のためにできることのひとつであり、子供を持つ親の義務です。
ただ、コロナによる減収や再婚による扶養家族の増加によっては、支払いたくても支払えない人もいるかと思います。
相手も生活がかかっているため、簡単に減額を認めてもらうことはできないでしょう。
まずは、養育費に関するトラブル解決の得意な弁護士に無料相談してみましょう。
離婚したのちに一方または双方が再婚したからといって、養育費を支払う義務がなくなるわけではありません。しかし、ご自身の再婚に伴い扶養家族が増え、今までと同じ金額で養育費を支払い続けることが厳しくなってしまうケースもあります。
養育費とは未成熟の子どもの生活や教育に不可欠な費用のことを言いますが、令和2年4月1日施行の改正民事執行法により養育費について影響が生じる場合があります。
この記事では、改正民事執行法により再婚した場合の養育費に生じる影響、再婚した場合の養育費に関することや減額請求方法について詳しく解説します。
養育費を支払うのは親権者を持たない親が子供のためにできることのひとつであり、子供を持つ親の義務です。
ただ、コロナによる減収や再婚による扶養家族の増加によっては、支払いたくても支払えない人もいるかと思います。
相手も生活がかかっているため、簡単に減額を認めてもらうことはできないでしょう。
まずは、養育費に関するトラブル解決の得意な弁護士に無料相談してみましょう。
そもそも養育費とは、子供が社会的自立をするまでにかかる養育のための費用のことを言います。養育費の支払いは親の義務であり、離婚をしてもこの義務は免除されません。
裁判所では、多くの場合『成人するまで養育費を支払うべき』と考えられています。
法改正により、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、養育費の支払いは「子が18歳になるまで」となるでしょう。
しかし、民法第766条1項・同2項より『親には未熟子を養育する義務がある』とも解釈されるため、子供が18歳を超えても、支払う義務が続く可能性があります。
養育費をいつまで支払うか、という点については法務省より下記のような考えが示されておりますので、ご参考にしてください。
子の養育費について,「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。
平成30年6月13日に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立したことに伴い,このような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが,取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからしますと,成年年齢が引き下げられたとしても,従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
また,養育費は,子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので,子が成年に達したとしても,経済的に未成熟である場合には,養育費を支払う義務を負うことになります。このため,成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
例えば,子が大学に進学している場合には,大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
なお,今後,新たに養育費に関する取決めをする場合には,「22歳に達した後の3月まで」といった形で,明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。
なお「未熟子」とは、成人・未成年にかかわらず、経済的にまだ独立していない子を指します。例えば、大学生・専門学生などです。また、障害や持病などがある子供も含まれます。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
引用: 民法
一方または双方が再婚した場合、養育費は減額できるのでしょうか。
相手が再婚しても養育費の支払いは続くのが一般的ですが、相手と合意できれば減額したり、支払いをやめたりできます。「こちらの収入が激減してしまった」「相手が再婚して世帯収入が増えた」などの事情がある場合には、減額のためにきちんと交渉すべきでしょう。
話し合いで合意できなかった場合には、「調停」や「審判」などの手続きをとることになります。 そうなる前にまずは一度弁護士に相談してみるのがおすすめです。話し合いだけで解決できる可能性が高くなります。
以下、養育費が減額できるケースについてご紹介します。
権利者(親権を持つ方)が再婚しただけでは、基本的に養育費の減額は認められません。再婚相手と子供が養子縁組をした場合のみ、養育費の減額を請求できます。
ただし、あくまでも減額を請求できるのみで、権利者が減額に応じなければ、最終的には裁判所の手続きで減額の可否や金額が決定します。
権利者(親権を持つ方)の再婚相手が、子供と養子縁組をした場合、すぐに養育費の支払い義務が消滅するわけではありません。
しかし、親権者・再婚相手からの十分な養育が期待できることを理由に、裁判所が『養育費の支払いは不要』と判断する可能性はあります。
この判断が確定すれば、当面、養育費を支払う義務が免除されます。しかし、親権者と再婚相手の事情が変更(離婚した・経済状況が悪くなった)などした場合、再度支払い義務が認められることもあるでしょう。
権利者が、籍を入れずに同棲しているケースはどうでしょうか。同棲相手が子供と養子縁組をしていませんので、たとえ経済力があっても、扶養義務はありません。そのため、ご自身の扶養義務が軽くなるわけではないので、減額請求することは難しいでしょう。
逆に、ご自身が同棲をはじめたケースもあるでしょう。法的な扶養義務を負わない者(同棲相手・同棲相手の子供・内縁の妻・内縁の妻の子供など)を扶養している場合、原則として養育費の減額は認められません。
どちらが同棲していても、それだけを理由に減額請求するのは難しいといえるでしょう。
再婚した場合、養育費はいくら減額できるでしょうか。
いくら減額できるか否かは、元夫婦のうちどちらが再婚したか、連れ子はいるか等様々な事情に合わせて減額される養育費は変わります。
ご自身のケースではどの程度養育費が減額されるのか知りたい方は専門家に相談することをお勧めします。
親権が元妻側にあり、養育費を元夫が支払うという典型的なケースについて簡単に解説します。つまり、養育費を支払う側が父(元夫)、養育費を受け取る側が母(元妻)の場合となります。
この場合、養育費を受け取る側の母(元妻)が再婚相手と再婚したことになります。
この場合、子どもの第一次的な扶養義務者は再婚相手になるため、再婚相手の年収に応じて減額ないし養育費の支払い免除が認められます。
なお、再婚相手が子どもを扶養することが難しい事情がある場合は、減額ができない可能性もあります。
この場合、養育費を支払っている父(元夫)が扶養義務を引き続き有することになるため、養育費の減額が認められません。
この場合、養育費を支払う側の父(元夫)が再婚相手と再婚したことになります。ただ、再婚したというだけでは養育費を支払う義務はなくなりません。
具体的には、以下の条件があります。
扶養家族が増えることとなるので、1人当たりの養育費は減少することとなります。そのため、上記事情が生じる前の養育費は減額されます。
再婚相手の収入が低い、または、無収入であっても裁判所が養育費の減額を認める可能性は低いです。
再婚相手が実際には低収入や無収入であっても潜在的な稼働能力が認められるので、働けば自分の生活費程度の収入を得ることができると判断されるからです。
病気などで働こうと思っても働けない場合には個別の事情として考慮されることもありますが、可能性としては低いです。
養育費は未成熟の子どもを安全に適正な環境で成長するために必要な費用です。令和2年4月1日に民事執行法が改正され、強制執行の実効性が増したため、養育費が以前よりも徴収しやすくなりました。
冒頭で述べた通り、再婚したとしても特別扱いはなく、養育費の支払い義務は消滅しません。養育費は子どもの成熟に必要不可欠な費用ですので、取り決めた金額をきちんと支払うことが大切です。
一般的に、養育費の減額が認められることは難しいのかもしれません。以下再婚し養育費の減額を申し立てた事例をご紹介します。
元夫である申立人、元妻である相手方の間には15歳未満の子がおり、相手方が親権を持ち養育していた。申立人は子が20歳になるまで月額40,000円を支払うと合意し、公正証書を作成。その後、申立人が再婚相手の子ら(15歳未満の子2人)と養子縁組をして扶養家族が増えたことを理由に、養育費を月額6,616円に減額するよう旭川家庭裁判所に申し立てを行う。旭川裁判所は養育費を月額33,000円にすると審判を下し、双方はこれに不服申し立てを行った結果、札幌高等裁判所は月額20,000円が相当であると判断しました。
裁判年月日 平成30年 1月30日 裁判所名 札幌高裁 裁判区分 決定 |
養育費の支払い義務が消えることはありませんが、再婚相手の子どもを養子にした場合には養育費の減額が認められることがあるようです。
実際に養育費を減額する方法をご紹介します。請求前に一度弁護士に相談することで、スムーズに話を進められたり、申立ての際に不安を減らしたりすることが可能です。
養育費の減額をする場合、第一に元妻と元夫との話し合いが基本となります。事前に養育費減額となる根拠を整理し、話し合いに臨みましょう。
話し合いの結果は、話し合いがこじれた場合に備えて書面やメールで記録が残るようにしておきましょう。
また、そもそも相手との一連の交渉について弁護士へ依頼することも一つの手段です。
話し合いで養育費減額の合意が取れる場合に備え、事前に公正証書等により合意した内容を書面で残しておけるよう準備しておくことも重要です。話し合いでの合意が無駄にならないようにするためにも、合意内容は書面でしっかりと残しておきましょう。書面作成に自信がなければ、専門家に相談してみましょう。
話し合いで決まらなかった場合は、家庭裁判所に『 養育費減額調停 』を申し立てましょう。養育費減額調停では、調停委員が双方の事情を聴き考慮した上で、解決案の提案や助言を行います。そして話し合いでの合意による問題解決を目指します。
申立て方法はこちら『 【令和最新版】養育費の請求調停を有利に進める要点8つ 』を参考にしてください。
養育費請求調停で話がまとまらなかった場合、『 審判手続 』が開始されます。審判手続とは、双方から提出された書類や、家庭裁判所調査官の行った調査結果などから、裁判官が金額を決定する手続きです。
もし、結果に不服がある場合は、2週間以内に不服の申立てを行いましょう。高等裁判所で再審理をしてもらうことになります。
権利者(親権を持っている方)の再婚を知らず、養育費を支払い続けていた場合、「再婚後から今まで払った養育費を返金してほしい」と考える方もいるのではないでしょうか。
裁判所の手続きで、再婚時からの養育費の合計が確定し、実際の支払額が過払いとなっていれば、返金を求める権利があるといえるでしょう。この権利が妥当と判断された場合、養育費を受け取っていた側には返金義務があります。
しかし、裁判所が『既に支払った養育費の返金が必要』という判断をすることは極めて稀です。どうしても返金を求めたい場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
離婚の際に口約束のみで済ませているケースは多いかもしれませんが、口約束の場合約束通り支払ってもらうようにするためには以下の手段を用いる必要があります。
話し合った内容を書面化し、さらに万が一に備え強制執行ができるよう公正証書を作成します。その場合、強制執行認諾文言が必要となりますので注意が必要です。書面作成に不安があるようでしたら専門家へ相談しましょう。
①でまとまらない場合は、②の調停手続きを用いることになります。
この場合も当事者同士の話し合いとなりますが、第三者である調停委員が互いの間に入り話し合いを進めます。
話し合いの進め方ですが、例えば調停委員と元妻側が話す(この間、元夫側は別室で待機)⇒調停委員が元夫側と話す(この間、元妻側は別室で機)、を繰り返して進めていきます。
この調停がまとまらない場合は裁判に移行します(審判手続)。
公正証書を作成していた場合は、強制執行が可能となります(強制執行認諾文言がある場合)。
書面を作成していたとしても離婚協議書や誓約書という書面であって、公正証書を作成していない場合は、口約束の場合と効力はさほど変わらなくなってしまいますのでご注意ください。
なお、調停離婚を行い調停調書に養育費条項がある場合や、養育費について定めた審判を得た場合は、履行勧告や履行命令という手段を用いることも可能です。これら条件を満たす場合に、具体的にどのような手段を用いればよいのか等詳しい内容についてご確認されたい方は専門家にご相談することをおすすめします。
養育費の支払いは、親権を持っていない親が子供のためにできることです。そのため、一方または双方が再婚したからといって、義務がなくなるわけではありません。
減額を請求する際は、スムーズに話を進めるためにも、一度弁護士への相談をおすすめします。
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