養育費を支払うのは親権者を持たない親が子供のためにできることのひとつであり、子供を持つ親の義務です。
ただ、コロナによる減収や再婚による扶養家族の増加によっては、支払いたくても支払えない人もいるかと思います。
相手も生活がかかっているため、簡単に減額を認めてもらうことはできないでしょう。
まずは、養育費に関するトラブル解決の得意な弁護士に無料相談してみましょう。
離婚したのちに一方または双方が再婚したからといって、養育費を支払う義務がなくなるわけではありません。
しかし、ご自身の再婚にともない扶養家族が増えたことで、今までと同じように養育費を支払い続けることが難しくなってしまうケースがあります。
本記事では、再婚した場合の養育費がどうなるのか、また養育費を減額する方法について詳しく解説します。
養育費を支払うのは親権者を持たない親が子供のためにできることのひとつであり、子供を持つ親の義務です。
ただ、コロナによる減収や再婚による扶養家族の増加によっては、支払いたくても支払えない人もいるかと思います。
相手も生活がかかっているため、簡単に減額を認めてもらうことはできないでしょう。
まずは、養育費に関するトラブル解決の得意な弁護士に無料相談してみましょう。
養育費とは、子どもが社会的に自立するまでにかかる養育のための費用のことをいいます。
養育費の支払いは親の義務とされており、子どもが成人するまで続きます。
たとえば、子どもの養育費については、法務省より下記のような考えが示されています。
子の養育費について,「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。
平成30年6月13日に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立したことに伴い,このような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが,取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからしますと,成年年齢が引き下げられたとしても,従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
また,養育費は,子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので,子が成年に達したとしても,経済的に未成熟である場合には,養育費を支払う義務を負うことになります。
このため,成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
例えば,子が大学に進学している場合には,大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
なお,今後,新たに養育費に関する取決めをする場合には,「22歳に達した後の3月まで」といった形で,明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。
なおここでいう「未熟子」とは成人・未成年にかかわらず、経済的にまだ独立していない子どもをさします。
大学生や専門学生などが該当しますが、障害や持病などがある子どもも含まれます。
このことから、子どもが18歳の成人年齢に達したとしても経済的に自立できていない場合、親は養育費を支払う義務を負い続けることになります。
そしてこの支払い義務は単に再婚しただけでは免除されることはありません。
一方だけ、もしくは双方が再婚した場合、養育費の減額はできるのでしょうか。
再婚しても養育費の支払い義務は続くことになります。
ただし、相手と養育費の減額について合意できれば、支払う金額を減らすことはできます。
「こちらの収入が激減してしまった」「相手が再婚して世帯収入が増えた」などの事情がある場合には、養育の減額のためにきちんと交渉すべきでしょう。
また話し合いで合意できなかった場合には、「調停」や「審判」などの手続きを取ることで減額の交渉を進めていくことになります。
養育費を受け取る側(親権を持つ方)が再婚しただけでは、養育費の減額は基本的に認められません。
どういう場合に養育費が減額できるかというと、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合です。
養子縁組をすると再婚相手と子どもは法律上の親子関係となり、再婚相手に対して子どもの第一次的な扶養義務が生まれるからです。
ただし、この場合、すぐに養育費が減額されるわけではありません。
あくまでも減額を請求できるのみであり、実際に減額できるかどうかは、養育費を受け取る側が減額に応じるかどうかで決まります。
また相手方が減額に応じない場合には、裁判所の判断に委ねることになります。
裁判所の判断次第では、親権者・再婚相手からの十分な養育が期待できることを理由に、『養育費の支払いは不要』となる場合があります。
この判断が確定すると、養育費の支払いを減額できたり、養育費支払う義務が免除されたりするでしょう。
一方、または双方が再婚した場合、養育費はどれくらい減額できるのでしょうか。
一般的には元配偶者のうちどちら側が再婚したのか、連れ子はいるか、また双方の収入や養子縁組の人数など、さまざまな事情に合わせて減額幅は決められます。
ご自身で養育費がどの程度減額されるのか知りたい場合は、一度専門家に相談してみるのがおすすめです。
では再婚したことで養育費の減額が可能となる条件について見ていきましょう。
ここでは、受け取る側が再婚した場合と、支払う側が再婚した場合に分けたうえで、どのような場合に養育費が減額されるのかを解説します。
養育費を受け取る側が再婚した場合に減額できる条件は、子どもが再婚相手と養子縁組をしたかどうか、元妻の経済状況が改善したかどうか、が焦点となります。
この場合、子どもの第一次的な扶養義務者は再婚相手になります。
そのため、実親に優先する形で、再婚相手の年収に応じて養育費の減額ないし支払いの免除が認められます。
なお、子どもを扶養するにあたって、再婚相手の経済事情が難しい場合には、減額できない可能性もあります。
受け取る側が就職するなどして経済状況が明らかに改善した場合、養育費を支払う側の減額が認められる可能性があります。
ただし、養育費について取り決める前に会社に就職することが予定されているなど、収入の増加が織り込み済みであった場合、減額することは難しくなるでしょう。
養育費を支払う側が再婚した場合には、再婚によって生まれた家族構成の変化が焦点となります。
ただ単に再婚したという事実だけでは養育費を支払う義務はなくならないため、注意しましょう。
再婚相手との間に新しく子どもが生まれた場合、養育費の減額が認められる可能性が高くなります。
なぜなら、扶養家族が増えることで経済状況が変化するからです。
ただし、養育費を支払えるだけの多額の資産があったり高収入であったりするときには減額が認められない可能性があります。
注意しましょう。
再婚相手の子どもと養子縁組をすると法律上の親子関係が成立するため、実親を優先して扶養義務を負うことになります。
そのため、子どもが生まれたときと同じように扶養家族と見なされ、経済的な負担が大きくなります。
その結果、養育費の減額が認められる可能性は高くなるのです。
養育費を支払う側が病気や事故、業績の悪化などによって収入が減少し、経済的に養育費を支払うことが難しくなった場合、減額が認められる可能性があります。
ただしこれはあくまでも、やむを得ない理由によって収入が減少した場合です。
故意に収入を少なくした場合には、養育費の減額は認められません。
次に再婚で養育費の減額が認められた実際の事例について見ていきましょう。
一般的に養育費の減額が認められることは難しいとされますが、以下では、養育費を支払う側が減額の申立てをおこない、認められた事例を紹介します。
元夫である申立人、元妻である相手方の間には15歳未満の子がおり、相手方が親権を持ち養育していた。 申立人は子が20歳になるまで月額40,000円を支払うと合意し、公正証書を作成。 その後、申立人が再婚相手の子ら(15歳未満の子2人)と養子縁組をして扶養家族が増えたことを理由に、養育費を月額6,616円に減額するよう旭川家庭裁判所に申し立てを行う。 旭川裁判所は養育費を月額33,000円にすると審判を下し、双方はこれに不服申し立てを行った結果、札幌高等裁判所は月額20,000円が相当であると判断しました。 |
裁判年月日 平成30年 1月30日 裁判所名 札幌高裁 裁判区分 決定 事件番号 平29(ラ)213号 事件名 養育費減額申立審判に対する抗告事件 裁判結果 原審判一部変更 上訴等 確定 文献番号 2018WLJPCA01306012 |
養育費の支払い義務が消えるところまでは認められなくても、再婚相手の子どもを養子にした場合には養育費の減額が認められることがあるようです。
ここでは、実際に養育費を減額する3つの方法を紹介します。
なお、養育費の減額を請求する前に一度弁護士に相談することを検討しましょう。
相談することでスムーズに話を進められたり、申立ての際に不安を減らしたりすることができます。
養育費の減額をする場合、第一に元妻と元夫との話し合いが基本となります。
事前に養育費減額となる根拠を整理し、話し合いに臨みましょう。
話し合いの結果は、話し合いがこじれた場合に備えて書面やメールで記録が残るようにしておきましょう。
また、そもそも相手との一連の交渉について弁護士へ依頼することも一つの手段です。
話し合いで養育費減額の合意が取れる場合に備えて、事前に公正証書等により合意した内容を書面で残しておけるよう準備しておくことも重要です。
話し合いでの合意が無駄にならないようにするためにも、合意内容は書面でしっかりと残しておきましょう。
また書面作成に自信がなければ、専門家に相談してみましょう。
話し合いで決まらなかった場合は、家庭裁判所に『養育費減額調停』を申し立てましょう。
養育費減額調停では、調停委員が双方の事情を聴き考慮した上で、解決案の提案や助言を行います。
そして話し合いでの合意による問題解決を目指します。
申立て方法はこちら『【令和最新版】養育費の請求調停を有利に進める要点8つ』を参考にしてください。
養育費減額調停で話がまとまらなかった場合、『審判手続』が開始されます。
審判手続とは、双方から提出された書類や、家庭裁判所調査官がおこなった調査結果などから、裁判官が養育費の減額を決定する手続きです。
結果に不服がある場合は、2週間以内に不服の申立てをおこないましょう。
高等裁判所で再審理をしてもらうことになります。
受け取る側が再婚を理由に養育費を打ち切られた場合には、以下の方法で対処します。
離婚の際に口約束のみで済ませているケースは多いかもしれませんが、約束通り支払ってもらうには、以下の手段を用いる必要があります。
話し合った内容を書面化し、さらに万が一に備え強制執行ができるよう公正証書を作成します。
この場合、強制執行認諾文言が必要となるので注意が必要です。
書面作成に不安があるようでしたら専門家へ相談しましょう。
話し合いでまとまらない場合は、養育費請求の調停手続きを用いることになります。
この場合も当事者同士の話し合いとなりますが、第三者である調停委員が互いの間に入り話し合いを進めます。
話し合いの進め方は調停委員と元妻側が話す(この間、元夫側は別室で待機)⇒調停委員が元夫側と話す(この間、元妻側は別室で待機)、を繰り返すことで進めていきます。
そしてこの調停でまとまらない場合には審判に移行します。
公正証書を作成していた場合は、相手の給与や預貯金を差し押さえる強制執行が可能となります(強制執行認諾文言がある場合)。
ただし書面を作成していたとしても、公正証書を作成しておらず離婚協議書や誓約書だけの場合には、民事訴訟で離婚協議書や誓約書に基づく養育費請求権が存在することが裁判で確定されなければ、強制執行はできないのでご注意ください。
また調停離婚をすでにおこなっており、調停調書に養育費条項がある場合や養育費について定めた審判を得た場合は、履行勧告や履行命令という手段を用いることも可能です。
これらの条件を満たしているが、具体的にどのように用いればよいのかご確認されたい方は、専門家にご相談することをおすすめします。
最後に、一方または双方が再婚したときの養育費に関するよくある質問を紹介します。
受け取る側(親権を持っている方)の再婚を知らず、養育費を支払い続けていた場合、「再婚後から今まで支払ってきた養育費を返金してほしい」と考える方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、相手が再婚したことを報告していなかったとしても養育費を返還する義務はありません。
ただし、相手が再婚してからの養育費の合計金額が、実際に支払うべき金額よりも過払いとなっていれば、裁判所の手続きで返金を求める権利があるといえます。
この権利が妥当と判断された場合、養育費を受け取っていた側には返金義務があります。
しかし、裁判所が『既に支払った養育費の返金が必要』という判断をすることは極めて稀です。
どうしても返金を求めたい場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
相手が再婚したという事実だけでは、養育費の支払いに影響を与えることはありません。
養育費の支払いの焦点となるのは、あくまでも再婚によって生じる家族構成や経済状況の変化だからです。
再婚相手の子どもと養子縁組をしたのか、再婚相手との間に子どもはできたのか、また相手や再婚相手の収入などを考慮したうえで、養育費の支払いがどうなるのかが決定されます。
この場合、再婚相手は法律上の扶養義務を負わないため、子どもの実親が引き続き扶養義務者となります。
そのため、養育費の減額は基本的に認められません。
ただし、生活実態も重要とされています。
再婚相手が経済的に余裕があり子どもの養育を引き受けているなどの生活実態によっては、養育費の減額が認められる可能性があります。
まずは専門家に相談してみましょう。
養育費の支払いは、親権を持っていない親が子どものためにできることです。
そのため、一方または双方が再婚したからといって、義務がなくなるわけではありません。
減額を請求する際はスムーズに話を進めるためにも、一度弁護士への相談をおすすめします。
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