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養育費の未払いが大きな問題となっている昨今、離婚後本当に養育費を支払ってもらえるのか、心配になる方もいるでしょう。
離婚後の養育費をきちんと支払ってもらうためには、養育費の連帯保証人を付けるのも方法のひとつです。
連帯保証人を付けておけば、もし養育費が不払いとなっても連帯保証人へ支払いを求めることができるため、離婚後の安心感につながるでしょう。
本記事では、養育費に連帯保証人を付ける際の流れや注意点を解説します。
誤った方法で連帯保証人を付けると、もしものときに効力が発揮されない可能性もあるので、しっかりと確認しておきましょう。
養育費には、連帯保証人を付けることが可能です。
養育費に連帯保証人を付ければ、養育費を受け取る側・支払う側の双方にメリットがあります。
以下では、具体的なメリットをご紹介しましょう。
養育費を受け取る側が連帯保証人を付けるメリットは、養育費が不払いになったときに連帯保証人から養育費を回収できる点です。
元配偶者が養育費を支払わなかったとしても、連帯保証人が付いていれば保証人に対して請求できるため、不払いについて泣き寝入りするリスクを抑えられるでしょう。
また、連帯保証人が付いているということは、養育費を支払う側にとってもプレッシャーがかかります。
連帯保証人に迷惑をかけたくないと考え、スムーズな養育費の支払いにつながるかもしれません。
養育費に連帯保証人を付けることは、実は養育費を支払う側にもメリットがあります。
養育費を支払う側が連帯保証人を付けることで、離婚協議がスムーズにまとまる可能性があるのです。
離婚後も子どもと同居する親は、養育費をきちんと受け取ることができるか不安で離婚を躊躇している可能性があります。
支払う側が連帯保証人を付ける意思を伝えれば、子どもと同居する親の安心につながるはずです。
養育費の問題が解決すれば、離婚協議もスムーズに進むでしょう。
では、養育費に連帯保証人を付けるにはどうしたらよいのでしょうか。
大まかな流れを3ステップで解説します。
まずは、連帯保証人となる候補者を探すところから始めましょう。
連帯保証人になるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
行為能力者とは、単独で法律行為をおこなえる人のことです。
未成年者や成年被後見人、被保佐人や被補助人などは、一部の行動が制限されている制限行為能力者となるため、連帯保証人としてはふさわしくありません。
また、連帯保証人に資力がなければ意味がないため、弁済する資力がある人を探す必要があります。
続いて、連帯保証人の候補者から了承を得ましょう。
養育費の連帯保証人になってもらうには、権利者(養育費を受け取る側)と連帯保証人との間での合意が必要です。
義務者(養育費を支払う側)と連帯保証人との合意はなくても問題ありません。
とはいえ、連帯保証人となるのは義務者の親族である場合が多いので、義務者に何も知らされないまま親族が連帯保証人になることは考えにくいでしょう。
候補者と権利者には、両方に連帯保証人になってもらう旨を伝えるようにしてください。
最後に、連帯保証に関する契約書を作成しましょう。
養育費の連帯保証人になってもらうには、連帯保証に関する契約書を書面で交わさなければなりません。
民法第446条には、保証契約について以下のように定められています。
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
保証契約は必ず書面もしくは電子記録で残す必要があります。
口頭での合意だけでなく、保証契約に関する契約書を作成して連帯保証人と取り交わしましょう。
養育費の連帯保証人になってもらうには、連帯保証契約書が必要です。
しかし、連帯保証契約をどのように作成してよいのかわからない方もいるでしょう。
ここからは、養育費の連帯保証契約書を作成する際の3つのポイントを解説します。
1つ目のポイントは、養育費の連帯保証に極度額を定めることです。
養育費の連帯保証は、個人根保証契約(こじんねほしょうけいやく)という、今後の取引関係で継続して発生する不特定の債務を保証する契約です。
保証人が法人ではなく個人の場合は、個人根保証契約になります。
養育費については、「今後も発生し続ける不特定の債務」に該当し、債務者も個人となるため、個人根保証契約となるのです。
民法第465条の2では、個人根保証契約について以下のように定められています。
(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。
)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。
)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
引用元:民法|ec-Gov法令検索
民法に定められているとおり、個人根保証契約は極度額(連帯保証人が保証する債務の限度額)を決めておかないと、契約が有効になりません。
極度額がないと保証人に著しく不利な契約になるからです。
また、極度額は高額にすればよいというわけではありません。
高額すぎる金額だと公序良俗に反するとして、契約が無効になる可能性があります。
養育費の連帯保証における極度額をいくらに定めるべきかは、弁護士に相談して決めるとよいでしょう。
2つ目のポイントは、連帯保証契約書を公正証書にしておくことです。
連帯保証契約は、書面もしくは電子記録で締結しなければ効力を発揮しません。
書面に残すのであれば、公正証書にしておくと安心です。
強制執行認諾文言を入れた公正証書を作成しておけば、万が一不払いが起こった場合に差し押さえすることが可能です。
養育費の権利者の安心感にもつながるでしょう。
ただし、養育費の支払い義務を負うのは基本的には元配偶者のみです。
そのため、元配偶者以外の親族を連帯保証人とすることに、公証人は難色を示すかもしれません。
養育費に連帯保証人を付けることは可能ではありますが、公正証書の作成がスムーズに進まないかもしれないことも理解しておきましょう。
3つ目のポイントは、養育費の請求が得意な弁護士に相談することです。
当事者同士で連帯保証に関する話し合いを進めても、言いたいことをうまく言えない、相手から話し合いを拒否されるといったことも考えられます。
その点、交渉力の高い弁護士であれば、相手にプレッシャーを与えられますし、未払いが発生しないような養育費の取り決めを進めてくれるはずです。
養育費をしっかりと支払って貰いたいなら、なるべく早めに弁護士に相談しましょう。
では、養育費の未払いを防止するために連帯保証人を付ける場合、どんなことに注意したらよいのでしょうか。
ここからは、連帯保証人を付ける場合の注意点を4つ解説します。
大前提として、義務者には連帯保証契約に応じる義務はなく、あくまでもお願いベースの話となります。
そのため、義務者が連帯保証人を付けることに合意しない場合は諦めざるを得ません。
大前提として、連帯保証人の候補者がいなければ、連帯保証人を付けることはできません。
恐らく多くの場合、養育費の連帯保証人は両親などの親族に依頼することになるでしょう。
両親が亡くなっている場合や親族からも拒否された場合は、当然に連帯保証人を付けることはできません。
義務者が亡くなった場合は、養育費を請求できないので気をつけましょう。
連帯保証人は、義務者に支払い義務がある場合のみ、連帯債務を負います。
義務者が亡くなってしまえば連帯保証人の連帯債務も消滅するので、残りの養育費を請求することはできません。
また、養育費の支払い義務があるのは元配偶者のみです。
義務者が亡くなったとしても、相続人に債務は引き継がれません。
養育費に連帯保証人を付けることは、調停や審判では認められないでしょう。
養育費や離婚について当事者同士の交渉がまとまらなければ、家庭裁判所での調停や審判といった手続きに移ります。
しかし、裁判手続きで養育費に連帯保証人を付けることを求めても、家庭裁判所が認めることはありません。
養育費を支払う義務を負っているのは元配偶者で、元配偶者の両親や親族たちにはそもそも支払い義務はありません。
また、元配偶者や連帯保証人が死亡した場合、更なる紛争が起こる可能性も考えられます。
そのため、家庭裁判所では基本的に養育費の連帯保証人が認められることはないと思っておきましょう。
養育費に連帯保証人を付けることは可能です。
当事者の協議により合意した場合のみ、連帯保証人を付けることができます。
連帯保証人を付ければ、養育費の不払いを防げるかもしれません。
権利者の安心感にもつながるはずです。
ただし、家庭裁判所の調停や審判での話し合いで、養育費に連帯保証人を付けることは認められないでしょう。
また、連帯保証人を付けるという内容の公正証書を作成したくても、公証人が応じない可能性もあります。
手続きがスムーズに進まない可能性も考慮しておきましょう。
連帯保証人を付けること以外にも、養育費の不払いを予防する方法はあります。
たとえば、当事者同士で養育費の支払いについて定めた公正証書を作成する、裁判所の調停で取り決める、将来分の養育費を差し押さえておくなどです。
いずれにしても、早い段階で弁護士に依頼しておくのがよいでしょう。
弁護士は、相手方との交渉や公正証書の作成、裁判手続きにもスムーズに対応してくれます。
当事者だけで話し合いを進めると、感情的になり争いが激化するかもしれません。
養育費の取り決めや、今後の未払い防止について法的な解決を望むのであれば、弁護士に相談してみましょう。
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