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「離婚する際に養育費はもらったほうがよいのか」
「養育費をもらわないメリットはあるのか」
離婚して子どもを引き取る場合、養育費を受け取るかどうかは、自分自身と子どもの将来に関わる大きな問題といえます。
元配偶者から金銭的な支援を受けられれば、余裕のある生活を送りやすくなるのは確かですが、養育費をもらうことが必ずしも正しい選択とは限りません。
実際、配偶者との関係性などを考えたときに、養育費をもらうべきかどうか、頭を悩ませている方も多いはずです。
本記事では、養育費をもらわないことのメリットを解説します。
離婚後に養育費を請求する方法や養育費の未払いを未然に防ぐ方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
養育費をもらわないことにもメリットは存在します。
そのため、離婚に向けた話し合いをおこなう際に、安直な考えで養育費を求めることはおすすめしません。
養育費を受け取った場合に、どのようなリスクがあるのかをしっかりと検討することが大切です。
前提として、経済的な面でみれば養育費はもらったほうが有利です。
父母の年収や子どもの数・年齢によって養育費の額は変動しますが、少しでも養育費をもらえれば、子どもの生活水準を高めることができます。
しかし、経済的な面だけを見て、養育費をもらうかどうかを判断することは控えましょう。
状況次第では、養育費をもらわないという選択をしたほうがよい場合もあります。
では、養育費をもらわない決断する理由としては、どのようなものが挙げられるのでしょうか。
主に4つのケースが考えられるので詳しく解説します。
元夫となるべく関わりたくないという理由で、養育費をもらわない決断をしている人も一定数存在します。
離婚する際は基本的に夫婦関係が破綻しているので、相手を拒否したい気持ちが出てしまうのは当然のことといえるでしょう。
そのため、「養育費はいらないから、もう関わらないでほしい」と割り切ることも、離婚する際の選択肢に入ってくるわけです。
元配偶者との関係性が継続することで精神的な負担が大きくなる場合は、あえて養育費の受け取りを拒否することも検討してみてください。
途中で未払いになることを想定し、最初から養育費を受け取らないことを選択する人もいます。
相手の性格や経済状況を考えたときに、話し合って決めた養育費を最後まで支払ってもらえるのかどうか疑わしいケースもあるでしょう。
その場合、養育費がいつ止まるのかという不安を抱えながら過ごすよりははじめからないものとして生活したほうが精神的にも楽になるかもしれません。
元配偶者と子どもを会わせないために、養育費を受け取らない決断をするケースも決して珍しくありません。
養育費を受け取っている限りは、少なからず元配偶者との関係性が続いてしまいます。
また、養育費で生活が成り立っている状況では、事実上、子どもとの面会の要望も断りにくくなってしまうでしょう。
しかし、虐待やDVが原因で離婚に至っている場合などは、面会が子どもに悪影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、子どもに会わせたくない理由があるのであれば、養育費を安易に受け取らないほうがよいかもしれません。
1日でも早く離婚を成立させるために、養育費をもらわない選択をするケースもあります。
離婚すること自体にはお互い同意しているものの、養育費や親権に関する話し合いがまとまらず、離婚協議が長期化するのはよくあるパターンです。
夫婦間での解決が難しければ、調停や裁判に発展し、決着がつくまでに1年以上かかることもあります。
そのため、離婚協議の長期化が予想される場合は、養育費を受け取らないことを選択して、離婚の成立を早めるのもひとつの方法です。
離婚する際には、子どもの権利についても正しく理解しておく必要があります。
ここでは、最低限知っておくべきポイントを3つ紹介するので参考にしてみてください。
養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用のことです。
衣食住・教育・医療などにかかる費用は基本的に養育費に該当します。
離婚後に子どもを引き取った親は、他方の親から養育費を受け取ることが法律上認められていますが、養育費を巡り、夫婦間で対立するケースも多く見られます。
しかし、そもそも養育費は子どものためのお金です。
親の身勝手な判断で養育費が減ったり、なくなったりすると、子どもが不利益を受けることになります。
そのため、子どものことを最優先に考えたうえで、受け取るかどうかの判断をおこなうことが重要です。
面会交流とは、親権者ではない親が子どもとの時間を過ごすことを指します。
離婚後に寂しさや孤独感を感じる子どももいるため、別居中の親と子どもが定期的に交流できる仕組みが作られています。
同居している親が面会交流を拒否するケースもよく見られますが、養育費と同様、面会交流も子どものための権利です。
親同士の都合で面会交流のあり方を話し合うのではなく、子どもの成長を第一に考えたうえで、最善の方法を模索していくべきといえるでしょう。
離婚する際には養育費と面会交流の2点について話し合う必要がありますが、それぞれの判断は別々におこなうことが重要です。
養育費と面会交流は相互に関係しあっているため、一方がうまくいかくなると、もう一方にも悪影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、面会交流を認めているのに、相手方から養育費を払ってもらえないケースがあります。
この場合、憤りや不安の感情から面会交流を拒否してしまう人もいますが、それでは面会交流と養育費の両方が失われることになります。
反対に、面会交流を拒否したことが原因となり、養育費の支払いが止まってしまうケースもあるでしょう。
養育費と面会交流がこのような関係性にあることを頭に入れたうえ、できるだけ個別に取り扱うことを意識してみてください。
次に、養育費の未払いを未然に防ぐための3つのポイントを解説します。
養育費をもらうことを決めた場合でも、必ずしも相手が支払い続けてくれるとは限らないため、あらかじめ対策を講じておくことが大切です。
養育費の未払いを防ぐ方法のひとつが、取り決めを公正証書にすることです。
公正証書とは、公証人と呼ばれる法律の専門家が当事者間の合意内容を確認し、作成する文書のことを指します。
強制執行認諾文言付きの公正証書を作成していれば、養育費の不払いが生じたときに、裁判を経ることなく強制執行ができるようになります。
また、公正証書は公証役場で保管してもらえるため、偽造や紛失の心配もありません。
作成費用はかかりますが、のちのちのトラブルを避けるためにも、養育費に関する取り決めは公正証書の形にしておくことをおすすめします。
夫婦間の話し合いではなく、調停または裁判で養育費を取り決めるのも未払いを防ぐ方法のひとつです。
調停や裁判で取り決めた事項に関して不履行がある場合は、家庭裁判所を通じて履行勧告をおこなうことができます。
場合によっては、地方裁判所に債権執行の申し立てをおこない、給料や預貯金などを差し押えて支払いを受けることも可能です。
上記のように、調停や裁判での取り決めには強制力があり、相手にも覚悟が生まれやすくなるため、未払いを予防する効果が期待できます。
一度でも未払いがあった場合は、現時点で未払いの養育費だけでなく、将来の養育費を差し押さえておくことも検討しましょう。
一度手続きを済ませておけば、未払いが繰り返されるたびに強制執行を申し立てる必要がなくなります。
原則として、毎月の給料の2分の1までであれば、養育費として差し押さえることが可能です。
ただし、将来の養育費は、養育費の支払い期限後に支払われる給料からしか取り立てられません。
将来の養育費をまとめて受け取れるわけではないので注意してください。
離婚が成立したあとでも、養育費を請求することは可能です。
ここでは、離婚後の養育費の取り扱いに関するポイントを詳しく見ていきましょう。
養育費は、子どもに対する扶養義務に基づいて負担すべきものです。
離婚後も扶養義務は継続するので、別居しているからといって養育費の支払いから逃れることはできません。
実際に離婚後数年してから、進学費用などのために学費の援助を申し出るケースはよく見られます。
離婚後に養育費を請求すること自体は可能ですが、確実に受け取れるとは限りません。
主に以下で紹介する2つのケースでは、養育費の受け取りは難しいといえます。
養育費を受け取らない合意を公正証書にしている場合は、離婚後に養育費を請求しても受け取れない可能性が高いと考えられます。
口約束だけであれば合意が成立したとまではいえないケースがあり、その場合は、通常どおり養育費の請求が可能です。
一方、公正証書を作成していた場合は、養育費を受け取らない合意をしたことが法的に証明されます。
そのため、特別な事情変更などがない限り、養育費の請求は難しいといえるでしょう。
時効が成立している場合も、当然、養育費を請求することはできません。
養育費の請求に関しては、養育費の取り決めをしているかどうかによって時効期間が変わってきます。
そもそも養育費の取り決めをしていない場合は、時効がありません。
子どもが経済的に自立するまでは、養育費の請求が可能です。
ただし、過去の養育費を請求することは基本的に認められないので注意しておきましょう。
離婚する際に養育費を受け取らない合意をしていたとしても、扶養料であれば請求できる可能性があります。
扶養料請求は子どもから親に対して生活費などを求めるものであり、親から親に対する養育費請求とは別物です。
そのため、養育費の合意に至った事情に変更があった場合や、同居親だけでは子ども養育できない場合などは、扶養料請求が認められることがあります。
ここでは、扶養料の請求方法などについて詳しく見ていきましょう。
扶養料の請求は、まず当事者間での話し合いによって進めていきます。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停や審判を申し立てなければなりません。
なお、子どもが未成年の場合は、親権者が法定代理人となって扶養料請求をおこなうケースが一般的です。
子どもから直接、元配偶者に扶養料を請求できる可能性もあります。
たとえば、子どもが大学に進学し、成年に達したあとも親から扶養を受けるケースなどが考えられるでしょう。
この場合、不足している学費や子ども本人の収入状況などを踏まえて、扶養料を決めていくことになります。
成人年齢を超えていれば、わざわざ親権のある親を法定代理人に立てる必要はありません。
経済的な面でみれば、養育費を受け取ったほうが有利になることは確かです。
しかし、状況次第では、養育費を受け取らないことも選択肢のひとつに入れておいたほうがよいでしょう。
養育費を受け取らないことで、元配偶者との関係性を絶ち切れたり、離婚の成立を早められたりといったメリットがあります。
しかし、養育費は非常にデリケートな問題なので、自分自身の判断に自信がもてない場合は、弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
過去の事例などから、個々の事情にあわせた最善の解決策を提案してもらえるはずです。
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