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面会交流をしない方がいい4つのケース|面会交流を拒否するリスクについても解説

面会交流をしない方がいい4つのケース|面会交流を拒否するリスクについても解説
  • 「元配偶者のことを信用していないので、子どもを会わせたくない」
  • 「DVが原因で離婚をしたので、面会交流のタイミングで連絡を取り合うのもつらい」

面会交流(親子交流)とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方が、子どもと定期的・継続的に会うことです。

直接的に対面するだけではなく、電話や手紙、ラインなどで交流する方法も含まれます。

離婚の原因やその後の状況次第では、面会交流をさせたくないと感じるケースは少なくありません。

面会交流は民法上、子どもの利益のために実施するものです(民法第766条)。

「離婚した元配偶者に会わせたくないから」という監護親の個人的な感情だけで面会交流を拒否すると、深刻なトラブルに発展しかねないでしょう。

本記事では、面会交流しない方がいい場面の具体例、どのような事情があれば面会交流を拒否できるのか、正当な理由なく面会交流を拒否した場合にどのようなことが起こりうるのか、などについてわかりやすく解説します。

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面会交流をしない方が良い4つのケースとは

民法では、夫婦が離婚するときに面会交流に関する事項を定めるとしています(民法第766条民法第771条)。

また、面会交流では、「子どもの利益を最も優先して考慮しなければいけない」ともされています。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

つまり、面会交流が子どもの利益にならないときには、面会交流を実施するべきではないということです。

ここでは、面会交流をしない方がいい場合、面会交流の頻度や回数などを見直した方がいい場合、面会交流を拒否するべき場合の代表例を紹介します。

相手が子どもに暴力をふるう

非監護親が子どもに暴力をふるうケースでは、面会交流をしない方がよいでしょう。

親からの暴力によって子どもが身体・こころに傷を負う可能性が高いからです。

また離婚前に非監護親が子どもを虐待していた場合、面会交流を認めることで子どもに危害が及ぶ可能性があります。

こういった事情がある場合も、面会交流を拒否することが可能です。

相手が子どもを連れ去る可能性がある

面会交流を実施したときに、非監護親が子どもを連れ去る可能性がある場合には、面会交流をしない方がいいでしょう。

子どもと暮らすのは監護親です。

非監護親が子どもと一緒に生活をするためには、家庭裁判所で監護者指定の申し立てや子どもの引き渡しの申し立てをおこなう必要があります。

こういった手続きなしで強引に子どもを連れ去ることは認められていません。

正当な手続きなく子どもを連れ去れば、子どもの健全な育成に支障をきたすことも考えられます。

目の前でDVがおこなわれていたトラウマで子どもが面会を拒否している

子どもがみている前で監護親に対する非監護親のDVがおこなわれ、子どもがトラウマを負っているケースもあるでしょう。

この場合、非監護親に会うことで子どもが精神的なダメージを負うと考えられるのであれば、面会交流を拒否できる可能性があります。

子どもの状況次第では、子どもの心を傷つけてしまう可能性があり面会交流を拒否した方がよいでしょう。

なお「監護親が非監護親からDVを受けていた」というだけであれば、面会交流を拒否できないので注意してください。

面会交流は子どものための機会であり、子どもと監護親の人格は別と考えられるからです。

一定年齢以上の子どもが面会を拒否している

自我が形成され自分の意見を言えるような一定年齢以上の子どもが拒否しているなら、面会交流はしない方がよいでしょう。

たとえば15歳以上の子どもが面会を拒否した場合、仮に調停などになっても面会交流を拒否することが認められます。

一方で、まだ小さい子どもが非監護親に会いたくないと言っていても、原則として面会交流は拒否できません。

口では嫌だと言っていても、実際に会うと喜ぶというケースも多いです。

どうしても子どもが嫌がっている場合、理由を丁寧に聞いてみましょう。

理由によっては非監護親と相談して、今後の面会交流をどうするかを決めます。

この場合、非監護親の意見を聞かず、一方的に面会交流を拒否するのは危険です。

家庭裁判所を通じた紛争に発展する可能性があります。

非監護親がどうしても面会交流を求めるのであれば、面会交流調停を申し立てましょう。

たとえば「暴力を受けた」など子どもが嫌がる理由があるなら、病院の診断書などの証拠を用意します。

子どもが一定の年齢に達していなくても、正当な理由があると認められれば面会交流の拒否は可能です。

面会交流はすべきなのか?

子どもにとって不利益な事情があったり、非監護親と連絡を取り合いたくなかったりするときに、面会交流は自由に拒否できるものなのでしょうか。

ここでは、面会交流の法的性質やルールについて解説します。

面会交流権は法律で認められている権利である

面会交流権は、離婚後も非監護親と子どもが交流することを法律で認めた権利です。

法律が面会交流を認めているのは、子どもからみれば離婚していても親であることに代わりがないためと考えられます。

親子のつながりはあるのに、離婚という親の都合で会えなくなってしまうのは、子どもの成長にとって望ましくはないでしょう。

このように面会交流権は、親より子どものために認められた権利なのです。

法律でも面会交流について決めるときは、子どもの利益を最も優先して考えなくてはならないとしています。

つまり、子どもを引き取る監護親の一存だけで、離婚後に子どもに会わせる・会わせないを自由に決定できるわけではないということです。

子どもに悪影響を与えない場合は原則として拒否できない

子どもにとって悪影響があるとみとめられない場合、面会交流は原則として拒否できません。

監護親からすれば、子どもを非監護親と会わせるのは「気が進まない」と思うことも少なくはないでしょう。

ただし前述のとおり、面会交流権は子どもが離婚で離れてしまった親と会うことを認めた権利です。

面会交流をするか否かは、子どもの利益を一番に尊重して検討する必要があります。

面会交流をしない合意をしていても、子どもの希望次第で面会交流をする必要がある

離婚をするにあたり、親同士で「面会交流をしない」と合意することはできます。

しかし面会交流について、最も重視されるのは子どもの利益です。

子どもが非監護親と会いたいというのであれば、監護親・非監護親ともに正当な理由がない限り拒否することはできません。

親同士で話し合い合意できない場合は、面会交流調停を申し立てましょう。

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面会交流を拒否する場合に考えられる3つのリスク

離婚をする段階で、協議や調停、裁判のなかで、面会交流に関する諸条件について結論付けられているのが一般的です。

では、すでに離婚協議書や調停調書、判決において面会交流について決定している場合に、監護親側が面会交流を拒否すると、どのようなリスクが生じるのでしょうか。

ここでは、面会交流を拒否した場合に考えられる3つのリスクについて解説します。

履行勧告される可能性がある

履行勧告とは、家庭裁判所の調停・審判で決定した金銭の支払い・面会交流などの義務を守らない人に対して、家庭裁判所が、その義務を履行するように勧告する手続きのことです。

離婚調停で面会交流について合意をしたにもかかわらず、監護親が面会交流を拒否したとき、非監護親が家庭裁判所に履行勧告の申し出をすると、家庭裁判所から監護親の自宅に勧告書類が送付されます。

裁判所から郵便物が届くだけで相当のプレッシャーにはなるでしょう。

なお、履行勧告には法的な強制力は存在しないので、勧告書類が届いただけで何かしらのペナルティが課されるわけではありません。

ただし、非監護親側がわざわざ履行勧告の申し出をしているということは、履行勧告を無視し続けるとその他の法的措置を実施される可能性があるということを意味します。

慰謝料などを請求される可能性がある

履行勧告を無視し続けると、以下のリスクが考えられます。

  • 間接強制
  • 慰謝料請求

間接強制とは、相手が面会交流の約束を守らなかった場合に金銭的なペナルティを与えることです。

間接強制が認められた場合、1度の違反につき数万円程度の支払いが強制されます。

経済的に相手に負担を与えることで、「間接的に」面会を強制させられるわけです。

面会交流を拒否し続けることによって、慰謝料を請求されるリスクもあります。

離婚したとしても、子どもの親であることはかわりません。

子どもには、親と会う権利があります。

それにも関わらず面会交流の約束が破られたのであれば、精神的に傷つけられたとして相手は慰謝料を請求できるのです。

親権者変更の申し立てをされる可能性がある

正当な理由なく面会交流を拒否し続けた場合、非監護親側から親権者変更の申し立てをされるリスクがあります。

離婚協議書や調停などで決まった面会交流に関する諸条件は「子どもの利益を最大化するため」に定められたものです。

つまり、取り決め通りに面会交流を実施しない監護親は「子どもの利益を損なう存在」と判断されかねません。

その結果、親権を失い、子どもと一緒に暮らせなくなってしまう可能性があります。

面会交流を拒否したいなら弁護士への相談をおすすめする4つの理由

「離婚したパートナーの様子が変なので面会交流しない方がいいのではないかと迷っている」「一度は面会交流について合意をしたけれども、何とか拒否したい」などと悩んでいるのなら、弁護士へ相談・依頼することを強くおすすめします。

ここでは、面会交流トラブルを得意とする弁護士へ相談・依頼する4つのメリットを紹介します。

こちらに有利な条件で交渉できる

面会交流を拒否するべき正当な理由があれば、協議や調停などの方法によって条件見直しをすることは可能です。

また、非監護親のなかには、「別居親には面会交流権があるのだから今すぐに会わせろ」「習いごとやクラブ活動をやめさせて面会交流する時間に使え」などの無理難題を押し付けてくるケースも存在します。

子どもの利益に資すると考えられない理不尽な要求であれば、応じる必要はありません。

弁護士に相談・依頼すれば相手からの要求にどこまで応じるべきかを、法的な観点から適切に判断してくれます。

また相手が、「面会交流を拒否するなら養育費を払わない」といった要求をしてくる可能性も否定できません。

そんな場合も、弁護士なら相手の不当な要求を安易に応じることはありません。

依頼者が有利な条件で解決できるように、交渉をすすめてくれます。

相手との交渉を任せられる

離婚をした元配偶者と今更顔を合わせたり連絡を取り合ったりしたくないという人は少なくないでしょう。

「面会交流は子どものため」とはいっても、離婚原因や離婚後の環境の変化次第では、元配偶者との交流機会をもつこと自体に抵抗を感じるのは当然です。

面会交流トラブルを弁護士へ依頼すれば、相手方との交渉や調停・審判・裁判などの手続きを全て代理してもらえます。

依頼者本人は相手と会ったり直接話したりする必要はないので、さまざまなストレス・精神的プレッシャーから解放されるでしょう。

公正証書作成を依頼して、将来のトラブルを予防できる

公正証書を作成することによって、将来のトラブルを予防することも可能です。

合意内容を公正証書のような公的な文書にまとめておけば、相手へ心理的なプレッシャーを与えることができます。

そのため面会交流の約束も、守られやすくなるのです。

また強制執行認諾文言付きの公正証書にしておけば、相手が養育費を支払わない場合にすぐに強制執行ができます。

公正証書であれば紛失や改ざんを防げる点も大きなメリットです。

公正証書以外の文書で合意内容をまとめた場合、相手が「それは偽造だ」と主張する可能性がないとはいえません。

しかし公正証書で作成してあれば、相手もそういった主張ができないのです。

弁護士に依頼すれば、公正証書を作成するための手続きや対応を一任できます。

その分、依頼者の手間や負担が軽減されるのです。

調停や審判にも対応できる

面会交流を拒否したり、面会交流の諸条件の見直しを求めたりした場合、協議段階で解決に至らなければ、調停・審判という裁判所の手続きで非監護親と争わなければいけなくなります。

もちろん、家庭裁判所の手続きは監護親本人だけで進めることも可能です。

しかし、期日に出廷したり、調停委員・裁判官に対して自らの主張を論理的に伝えたり、主張を根拠付ける証拠を用意したりするのは簡単ではありません。

特に、監護親は本人が手続きを進めているのに、非監護親は弁護士に依頼をしていると、当事者間に知識差・技術差が生じるので、不利な判断が下されるリスクが伴います。

弁護士に依頼をすれば、調停や審判手続きにも丁寧に対応してくれるので、家庭裁判所に対して監護親側の主張を適切に伝えることができるでしょう。

さいごに|面会交流でお悩みなら弁護士へ相談しよう

面会交流は子どもの成長に直結する重要事項であるが故に、監護親・非監護親それぞれが感情的になって、協議が円滑に進まないケースが少なくありません。

また、当初は面会交流について約束をしたものの、非監護親が暴力をふるうおそれがあるなどを理由に、面会交流を拒否した方がいいのではないかと不安を抱くこともあるでしょう。

面会交流トラブルを得意とする弁護士へ相談すれば、面会交流を拒否する正当な理由として認められるか、面会交流の諸条件を変更するにはどうすればいいかなど、さまざまな点についてアドバイスを期待できます。

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この記事の監修者
CSP法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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