祖父母は孫との面会交流を請求できる?改正民法の内容と手続きを解説
子の離婚をきっかけに孫と会えなくなり、「祖父母には孫との面会を求める法的な権利はないのか」と悩んでいる方もいるでしょう。
他方、元配偶者が子との面会交流時に実家に連れて行くのを避けたく、拒否できる理由を探している方もいるかもしれません。
2026年4月施行の改正民法では、祖父母を含む父母以外の親族と子の交流について、新たなルールが整備されました。
本記事では、改正法の内容・交流が認められる条件・孫との交流を実現する方法を解説します。
法的な対応を検討されている方も、まずは全体の仕組みを把握するところから始めてみてください。
| なお、改正後は面会交流という呼称は、親子交流または交流へと改められていますが、本記事では、「面会交流」の表記で統一しています。 |
民法改正で祖父母は孫との面会交流を請求できるようになった?
改正民法は、家庭裁判所が子の利益のために特に必要があると認めるときは、審判で父母以外の親族との交流を定められると規定しました。
ただし、家庭裁判所に審判の申立てができるのは、原則として父母のみです。
一定の条件を満たす場合には、例外的に祖父母が自ら孫との面会交流を求めて、審判を申し立てられます。
改正後も面会交流を請求できるのは原則父母のみ
改正後も、家庭裁判所に子との交流を求める審判を申し立てられるのは、原則として父母のみです(民法第766条の2、民法817条の13第4項・第5項)。
本来、面会交流の在り方は、子の利益を優先して父母間で協議すべき事項だからです。
祖父母などの第三者からの申立てを無制限に認めると、子の利益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
たとえば、父母間ですでに面会交流について揉めている状況に、祖父母の申立てが加わると、争いが複雑化するのは容易に想像できるでしょう。
面会交流審判の申立ての主体を、原則として父母に限定するのは、濫用的な申立てを防ぐ意味があります。
例外的に祖父母が単独で請求できる場合がある
祖父母などの親族からの審判の申立てが、例外的に認められるケースがあります。
具体的には、以下の要件を満たす場合です(民法第766条の2第2項)。
- 父母の一方の死亡・行方不明などにより、父母間の協議や父母の申立てが期待できない場合
- 面会を求める親族と子との交流の定めをするために、ほかに適当な方法がない場合
祖父母は子の直系尊属にあたるため、過去に孫を監護していたかどうかは問われません。
祖父母と孫との面会交流を家庭裁判所に認めてもらうための条件
家庭裁判所が祖父母と孫の交流を認めるのは、子の利益のために特に交流を認める必要がある場合に限られます。
家庭裁判所が祖父母と孫の交流を定める場面は、当該第三者と父母との間に意見対立があるケースが想定されます。
そのため、家庭裁判所が、父母の一方または双方の意思に反して、祖父母との交流を定めるのが妥当といえるには相応の事情が必要です。
子の利益のために特に交流を認める必要がある場合とは、子と祖父母との間に、親子関係に準ずる親密な関係があるケースが想定されています。
たとえば、祖父母と孫が長年同居し、愛着関係が形成されていたときは、交流を継続するのが孫にとって望ましい場合があるでしょう。
一方、離婚前から祖父母と孫との関係が希薄であった場合には、交流が認められない可能性が高いです。
祖父母からの請求が認められない場合に面会交流を実現する方法
祖父母が自ら申し立てられる場面は例外的な場合に限られますが、父母の協力を得て孫との交流を実現できる方法があります。
父母間の協議や調停で祖父母の同伴を取り決める方法と、父母の一方が申立人となって審判で祖父母の関与を定めてもらう方法の2つです。
離婚後も子と同居する親(監護親)側の祖父母は、子と日常的に交流ができるのが一般的です。
そのため、調停や審判の申立ては、子と離れて暮らす親(非監護親)側から申し立てることになるでしょう。
父母の協議・調停で祖父母の同伴を取り決めてもらう
父母間の協議で面会交流への祖父母の同伴・同席を取り決めてもらうのが、最もシンプルな方法です。
離婚の際、父母は協議により、子どもに関する取り決めができます。
離婚時に父母が必ず協議すべき事項は親権ですが、養育費や面会交流も定められます。
父母が話し合いをできる関係で、監護親と祖父母も良好な関係であれば、面会交流への祖父母の関与を認めてもらえる余地があるでしょう。
話し合いがまとまらない場合は、非監護親である父母の一方が、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てられます。
調停でも、父母の双方が祖父母の関与に同意すれば、調停調書に同趣旨を盛り込めます。
ただし、監護親が強く反対する場合は、非監護親と子のみの交流の取り決めに留まる可能性も否定できません。
そのため、父母間の協議で合意を得ることを目指すのが先決です。
父母の一方の申立てにより審判で祖父母の同伴を認めてもらう
話し合いがまとまらない場合、父母の一方に審判の申立てを依頼して、家庭裁判所に判断してもらう方法があります。
家庭裁判所は、子の利益のため特に必要があると認めるときは、子と祖父母との交流を定められます。
子の利益のために特に必要があるかどうかを判断する基準は、現時点では明確に示されていません。
法改正に先立つ家族法制部会の議論によれば、以下のような点を総合的に考慮して判断されることが考えられます。
- 祖父母と孫の関係の親密さ
- 過去の交流・監護への関わりの実績
- 子の意向
祖父母が孫との交流を実現したい場合は、まずは自身の子である非監護親に申立てを依頼しましょう。
父母との協議で祖父母の面会交流を認めてもらうためのポイント5つ
祖父母が孫との交流を実現するためには、監護親が抱く不安や懸念を払拭し、交流が子の利益になると理解してもらう必要があります。
祖父母自身には協議の当事者としての立場がないため、直接交渉ではなく、自分の子(非監護親)を通じて働きかけるのが基本です。
以下の5つの点を意識すると、父母からの同意を得やすくなるでしょう。
子の利益になることを具体的に伝える
父母に対し、祖父母との交流が子の健全な成長に有益である旨を、具体的な事実とともに伝えましょう。
面会交流は、あくまで子の利益のためにおこなわれるものです。
「孫に会いたい」という祖父母側の気持ちより、孫にとっての意味を中心に伝えると、父母も受け入れやすくなります。
祖父母と孫が築いてきた関係や、関わりの頻度といった事実を整理して示すのが有効です。
抽象的な「孫のため」という言葉より、過去の交流実績や孫の様子など客観的な事情を示すほうが、相手が判断しやすくなるでしょう。
監護親の教育方針・生活リズムを尊重する
子の生活リズムや監護親の教育方針を尊重する姿勢を示しましょう。
監護親は、祖父母が子育てに口を出したり、子や監護親の生活を乱したりする点を懸念しているかもしれません。
祖父母側の価値観を押しつけない態度が、信頼関係の構築につながります。
子の習い事や学校行事を妨げない形で交流を提案するのが有効です。
面会の頻度・場所・時間帯などについても、子自身や監護親の都合を優先する姿勢を意識してください。
監護親の育て方や生活環境を否定するような言動を避けると、孫に会える可能性が高まります。
高額なプレゼントやお小遣いを控える
孫への高額なプレゼントや過度なお小遣いは控えるのが賢明です。
高額な贈り物は子の金銭感覚や生活習慣に影響を与えるとして、監護親が不快に感じるケースが多くあります。
善意からの行動でも、監護親の目には自分の教育方針への干渉と映るかもしれません。
そのため、誕生日や特別なイベント以外での贈り物は控えましょう。
渡す場合も、事前に監護親へ相談・確認してください。
物ではなく、時間を共に過ごすことに重きを置いた交流のあり方を示すと、監護親も祖父母の関与を受け入れやすくなるでしょう。
監護親の悪口や離婚問題への介入を避ける
監護親の悪口をいったり、離婚の経緯に介入したりする行為は避けましょう。
監護親を否定するような言動や離婚問題への介入は、相手の不信感を高めます。
監護親が祖父母の関与を拒む理由のひとつが、「子に悪口を吹き込まれるのではないか」という不安です。
離婚の原因や経緯について孫に話す、監護親の育て方を批判するといった行為は、孫の精神的な負担にもなり得ます。
祖父母側の言動は、思わぬ形で監護親の耳に入る場合があります。
孫との時間に集中する姿勢を日頃から示すことが、同意を引き出す一助となるでしょう。
自分の子(非監護親)に働きかける
孫との交流を実現するには、自分の子(非監護親)への働きかけが基本です。
祖父母自身は、協議の当事者ではありません。
監護親の同意を得るためには、自分の子に説得してもらわなければなりません。
子が乳幼児の場合は、面会交流に際して祖父母のサポートを受けられるのは、父母双方にとって望ましいケースもあるでしょう。
監護親の同意を得る見込みがあれば、非監護親も積極的に動いてくれるかもしれません。
一方、父母間で意見が対立している場合には、非監護親自身が、祖父母の関与に消極的になる可能性もあります。
祖父母の関与に固執すると、非監護親自身の面会交流の取り決め自体が難航する可能性もあるためです。
父母双方が祖父母の関与に消極的な場合には、まず非監護親と子の交流で実績を作り、時期を改めて再検討を求める方法もあるでしょう。
祖父母と孫の面会交流は「ベンナビ離婚」で弁護士に相談
祖父母と孫の面会交流でお悩みなら、「ベンナビ離婚」の活用がおすすめです。
父母の離婚後も、祖父母が孫と交流を継続できるかどうかは、父母間の関係や子の状況などによって異なります。
弁護士に相談すれば、個々の状況に応じた対応策を一緒に検討できるでしょう。
「ベンナビ離婚」では、面会交流に関する知識・経験豊富な弁護士を、地域や条件を絞って検索できます。
初回無料相談に対応している事務所も多数掲載されており、費用面の不安がある方でも気軽に相談しやすい環境が整っています。
まずは「ベンナビ離婚」を活用のうえ、弁護士に状況を伝えてみてください。
祖父母と孫の面会交流(親子交流)に関するよくある質問
本章では、祖父母と孫の面会交流に関する疑問にQ&A形式で回答します。
Q.別居中でも祖父母の面会交流を求めることはできますか?
別居中も、父母間の協議や調停・審判で祖父母との交流を定められる可能性があります。
改正民法では、別居中の父または母その他の親族と子との交流を、父母の協議で定められる旨を明確に規定しました。
父母の協議がまとまらないときは、父または母の申立てにより、家庭裁判所に判断を委ねられます。
離婚後の交流と同様、祖父母との交流が子の利益に特に必要があると認める時に限り、祖父母との交流を実施する旨を認めてもらえます。
Q.祖父母との交流を取り決めた後に条件を変更できますか?
父母間の協議や調停で、合意が得られれば条件を変更できます。
審判による解決を図る場合は、事情の変更を立証する必要があるため、「祖父母に会わせたくない」という理由だけでは変更は難しいでしょう。
具体的には、子の成長や生活環境・祖父母側の事情の変化など、取り決め時に想定していなかった事情が生じたことを主張します。
客観的な証拠を添えて具体的に説明できるように準備しましょう。
交流の実施状況・子の様子・トラブルの有無などを都度記録しておくのも有効です。
Q.祖父母以外の親族の面会交流は認められますか?
祖父母に限らず、兄弟姉妹や叔父叔母なども、一定の条件のもとで面会交流が認められます。
父母の協議や調停で双方の同意が得られれば、面会交流を実施できるでしょう。
ただし、父母以外の親族が審判を申し立てられるのは、父母の一方の死亡や行方不明などに限られます。
また、祖父母など子の直系尊属・子の兄弟姉妹以外の親族が審判を申し立てるには、過去に子どもを監護していた事実が必要です。
家庭裁判所が面会交流を認めるのは、祖父母と同様、当該親族と子の交流が子の利益のために特に必要と判断した場合です。
親族の種別・過去の監護実績・子との関係の親密さによって判断が異なるため、具体的な状況については弁護士への相談をおすすめします。
まとめ
面会交流を求める審判を申し立てられるのは、原則として父母のみです。
父母の一方の死亡や行方不明により、交流を定める適当な方法がほかにない場合には、例外的に祖父母からの申立ても許されます。
父母の関係が良好で協力的であれば、父母の協議により、祖父母の同席・同伴を取り決めてもらえる可能性があるでしょう。
子の利益のために特に交流を認める必要がある場合は、父母の申立てにより、家庭裁判所が祖父母と孫の交流を定められます。
孫との交流を実現するためには、監護親の不安を払拭し、祖父母との交流が子の利益になると理解してもらうのが重要です。
高額なプレゼントを控える・監護親の教育方針を尊重するなど、日頃から信頼関係を構築することが大切です。
孫との交流についてお悩みの方は、「ベンナビ離婚」で弁護士に相談してください。
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