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面会交流のルールは離婚時に決めますが、ベストな回数・頻度は判断が難しいため、「面会交流が多すぎる」といったケースもあるようです。
ただし、面会交流の回数・頻度には元パートナーの合意もあるので、以下のような疑問や悩みを抱えている方もいるでしょう。
面会交流に大人の事情を優先すると、子どものストレスになる場合があるので注意してください。
本記事では、面会交流が多すぎるときの解決策や、面会交流の頻度を減らせる条件などをわかりやすく解説します。
裁判所が公表する「令和4年司法統計年報・3家事編・第24表」によると、調停や審判で決定した面会交流の回数は以下のようになっています。
総数 |
9,895件 |
週1回以上 |
217件 |
月2回以上 |
767件 |
月1回以上 |
4,090件 |
2~3ヵ月に1回以上 |
514件 |
4~6ヵ月に1回以上 |
177件 |
長期休暇中 |
27件 |
別途協議 |
2,926件 |
その他 |
1,177件 |
面会交流は月1回以上が全体の4割以上を占めており、宿泊の有無も以下のような結果でした。
総数 |
9,895件 |
宿泊あり |
884件 |
宿泊なし |
9,011件 |
調停や審判には裁判所側の意見も反映されているので、面会交流の回数などに迷ったときは「月1回程度、宿泊なし」が一定の目安になるでしょう。
ただし、面会交流は非監護親の権利であるだけではなく、子どもの権利・利益や福祉が目的になるため、あくまでも当事者同士で決定したルールが優先されます。
面会交流の回数が多過ぎるときは、以下の解決策を検討してください。
基本的には元パートナーと話し合いますが、適切な頻度が決まらないときは、弁護士などの第三者を交えたほうがよいでしょう。
面会交流のルールは勝手に変更できないので、回数が多過ぎるときは元パートナーと話し合ってください。
非監護親には面会交流権があるため、監護親の判断だけで回数を少なくすると、トラブルに発展するかもしれません。
また、子どもが精神的に成長しており、自分の意見を明確に主張できるようであれば、話し合いに本人を参加させてもよいでしょう。
面会交流の回数や方法、面会場所などが決まったら、あとで「言った・言わない」のやりとりにならないよう、必ず書面に記録してください。
当事者間で話し合っても面会交流のルールが決まらないときは、裁判外紛争解決手続きも検討してみましょう。
裁判外紛争解決手続きはNPO法人などが手掛けており、弁護士などの専門家が現実的な解決策を提案してくれます。
調停や訴訟ではないため決着までの期間が短く、事前に予約しておけば、土日や夜間でも専門家を交えて協議できるケースがあります。
当事者同士の話し合いは感情的になりがちですが、第三者の関与があれば冷静に協議できるでしょう。
なお、近くに裁判外紛争解決手続きを利用できる民間事業者がないときは、家庭裁判所の調停を検討してください。
面会交流調停は家庭裁判所を介した手続きになっており、話し合いで解決を目指す手段です。
話し合いの際には調停委員が間に入ってくれるので、調停開始と終了時以外は相手と顔を突き合わせる必要がありません。
また、調停が開かれる日を「調停期日」といい、家庭裁判所の調査官が立ち会うケースもあります。
調査官は子どもの意向や生活環境などを調査し、調査報告書を作成する場合もあるので、質問を受けたときは正直に答えておきましょう。
調停が進むと面会交流の回数や場所などの提示があり、双方が納得した場合は調停が成立するため、双方に調停調書が交付されます。
なお、面会交流の条件が合意に至らず、調停が不成立となった場合は以下の審判に移行します。
調停不成立によって審判に移行すると、裁判官が面会交流について一定の判断を下します。
裁判官は双方の主張や調査結果を考慮し、公正中立な立場で判断を下すため、必ずしも望んだ結果になるとは限りません。
なお、審判に納得できない場合、2週間以内であれば「即時抗告」による不服申し立てが認められます。
面会交流が多すぎる場合でも、監護親の判断だけでは回数を減らせません。
ただし、以下の状況であれば、双方の話し合いや調停により、面会交流の頻度を減らせる可能性があります。
面会交流は子どもの都合を考慮しなければならないため、生活状況に変化があった場合、従来どおりの回数では多過ぎるケースがあります。
子どもが塾通いやクラブ活動で忙しくなったときや、中学受験や高校受験などを控えている場合は、面会交流の回数を見直す機会です。
また、子どもには親離れする時期があるので、友達と過ごす時間が多くなっているときは、面会交流が負担にならないように配慮しましょう。
父母が再婚しても面会交流を続けなければなりませんが、状況によっては回数を減らせる場合もあります。
たとえば、親権者の母親が再婚した場合、父親との面会交流が多すぎると、新たな父親に馴染みにくくなるかもしれません。
離れて暮らす父親が再婚し、子どもが産まれた場合も、母親が引き取った子どもは複雑な心境になるでしょう。
子どもが離婚や再婚の事情を理解できないときは、新たな家庭に早く馴染めるよう、面会交流を減らしたほうがよいケースもあります。
子どもが面会交流を拒否しているときは、まず真意かどうか確認してください。
非監護親と会いたがらない場合、基本的には回数を減らさなければなりませんが、子どもによっては親の事情を汲み取っているケースがあります。
面会交流を拒否して親権者を安心させたいなど、子どもなりに配慮している場合もあるので、じっくり話し合ってみましょう。
また、本心で面会交流を拒否しているわけではなく、クラブ活動や勉強に集中したいなど、子どもの優先順位が変化している場合もあります。
非監護親が子どもに悪影響を与える場合、面会交流が多すぎるとトラブルの原因になります。
以下のようなケースであれば、面会交流を拒否するべきでしょう。
面会交流が子どもの利益や福祉につながっておらず、悪影響しかないときは、面会を迫られても断ってください。
相手が逆上するようであれば、弁護士に代理人を依頼しておきましょう。
調停や審判で面会交流の条件が決まった場合でも、当事者同士の合意があれば、回数や面会場所などを変更しても構いません。
面会交流は子どもの成長や生活環境の変化に合わせ、柔軟にルールを変更できます。
双方が納得して新たなルールを決めた場合、調停調書に従わなくても罰則はないので安心してください。
離婚後に面会交流の条件を変更するときは、以下のポイントを押さえておきましょう。
親だけの都合で条件が変わると子どもの負担になってしまうので、面会交流の目的を見失わないように注意してください。
面会交流の条件を変更する際は、子どもにとって有益かどうか、本来の目的を再確認してください。
親同士だけで話し合うと、仕事や家事の都合に合わせて面会交流の条件を決定し、子どもの気持ちを置き去りにするケースがあります。
非監護親が土日の面会交流を望んでいても、子どもが友達と過ごす時間を大切にしているようであれば、平日に有給休暇を取る必要もあるでしょう。
離婚時に面会交流の条件を決めていなかったときや、離婚後に条件変更したいときは、以下のように具体的なルールを決めてください。
細かな条件指定が難しいときは、必要最低限のルールだけ決めておき、状況に応じて再協議しても構いません。
なお、お互いが合意したルールを守らなかった場合、相手から慰謝料請求される可能性があるので注意してください。
調停で面会交流の条件が決まったときは、ルール違反に対して履行勧告や間接強制が実行される恐れもあります。
面会交流のルールが確定したあとは、公正証書の作成をおすすめします。
公証役場の公証人に依頼すると、法的に有効な公正証書を作成してくれるので、トラブルを回避できます。
離婚時の取り決めも不十分だったときは、離婚協議書と合わせて公正証書にするとよいでしょう。
なお、面会交流を含めて公正証書にする場合、公証人に手数料の支払いが必要となります。
公証人への支払いは現金払いのほか、一部の手数料以外はクレジットカード決済も利用できます。
調停の成立で面会交流の条件が決まったときは、間接強制に注意が必要です。
間接強制とは、正当な理由なく面会交流を拒否した場合、監護親に対して制裁金を課し、自発的な面会を促す措置です。
制裁金の額は裁判所の判断によりますが、一回の面会交流不履行につき、5万円程度を非監護親に支払うケースが多いでしょう。
状況次第では制裁金が10万円を超える場合もあるので、面会交流のルールには必ず従ってください。
相手と交渉しても面会交流の条件がまとまらないときは、弁護士に相談してみましょう。
離婚問題に詳しい弁護士であれば、子どもの気持ちを尊重し、親の事情も考慮した面会交流を提案してくれます。
親同士で話し合うと感情的になるケースが多いので、条件交渉が進まないときも弁護士に相談してください。
また、弁護士に関わってもらうと、調停の同席や離婚協議書の作成、養育費や慰謝料などの計算にも対応してもらえます。
離婚時の取り決めが不十分だったときは、弁護士のアドバイスを受けておくとよいでしょう。
なお、弁護士の相談料は基本的に有料ですが、ほとんどの弁護士は初回分を無料にしています。
面会交流のルールを決めるときは、以下のQ&Aを参考にしてください。
いつまで面会交流を続けてよいのかわからないときや、「面会交流が多すぎるのでは?」などの疑問があれば、早めに解消しておきましょう。
基本的には子どもが18歳になるまで面会交流を続けます。
ただし、「親権や監護権が18歳に達するまで」という考え方に基づいているため、あくまでも一般論です。
子どもが18歳に達していなくても、本人の意思による面会交流の拒否があれば、事前に決めたルールに縛られる必要はありません。
面会交流が月2回でも、特に多過ぎるわけではありません。
調停や審判で面会交流の条件を決めた場合でも、約8%程度は「月2回以上」の結論に至っています。
子どもが面会交流を望んでおり、必要性も認められるようであれば、月2回の頻度でも問題はないでしょう。
ただし、常に監護親の悪口を吹き込んでいる場合や、事前に決めた面会時間を守らないときは、面会交流の回数を見直す必要があります。
民間の支援団体を利用すると、第三者が面会交流に立ち会ってくれます。
非監護親が子どもを連れ去る、または虐待の恐れがあるときは、離婚問題の解決を支援してくれる団体や、NPO法人などを探してみましょう。
第三者に立ち会ってもらうと、非監護親から悪影響を受けないため、安心して子どもを任せられます。
支援団体によっては面会交流の場所も提供してくれるので、「どこで会わせたらよいか?」という悩みも解消されるでしょう。
離婚時のルールを二人だけで決めると、今後の生活や子どもの成長を想定できず、「面会交流が多すぎる」といった状況に陥りがちです。
子どもが面会交流を望んでいれば問題はありませんが、親の事情だけで回数を決めるとストレスになり、精神面の成長に悪影響を及ぼす可能性があるので要注意です。
「面会交流の頻度を減らしたいが、相手が納得してくれない」など、困ったときには弁護士に相談してみましょう。
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