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「面会交流に関する事例を参考に、どのようなケースで面会交流が認められるのか知りたい」
「子どもと面会交流をしたいけど、自分の場合は認められるのか?」
非監護親であっても親として子どもと交流したいと思うのは当然のことです。
どのようなケースなら面会交流が認められるのか、または認められないのか気になる方は多いでしょう。
本記事では、面会交流が認められにくいケース、面会交流が認められなかった事例、面会交流に応じてもらえない場合の対処法を解説します。
子どもとの面会交流で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
面会交流は、子どもの福祉(利益)に反すると判断された場合は認められません。
では、子どもの福祉に反すると判断されるのは、具体的にどのようなケースなのでしょうか?
まずは、面会交流が認められにくいケースを6つ紹介します。
子どもや監護親に暴力や虐待をしていた場合は、面会交流が認められない可能性が高いでしょう。
暴力をふるう親に子どもを会わせてしまったら、面会交流の際にまた暴力・虐待を受けトラウマを生んでしまうおそれがあります。
監護親に対する暴力についても、それを見た子どもが恐怖心を抱いている可能性があります。
また、子ども自身も過去に暴力を受けた経験から「会いたくない」と面会を拒むことも多いので、無理やり会わせるのは不適切です。
ただし、再び暴力や虐待がおこなわれる可能性がほとんどなく、子どもが拒んでいないなら面会交流が実現する可能性はあるでしょう。
非監護親が面会交流の際に子どもを連れ去るおそれがある場合は、面会交流は認められません。
過去に子どもを連れ去ったことがある場合は、面会交流の際にまた子どもを連れ去るおそれがあるとされる可能性があります。
非監護親が面会交流のルールを繰り返し破っているような場合は、面会交流が認められなくなる可能性があります。
「面会交流は月1回」と決めたのに無断で複数回会いに行く、「1回あたり6時間まで」という取り決めに反して1日中連れ回すなどの行為を繰り返すと、面会交流が禁止されたり制限されたりする可能性が高いでしょう。
ある程度の年齢の子どもが非監護親との面会交流を拒む場合は、子どもの意思を尊重し面会交流が認められないことがあります。
「ある程度の年齢」とはどのくらいか明確な基準はありません。
子どもが小学生以上であれば、面会交流について自身の意向を表明することができる場合が多いでしょう。
ただし、親の言葉に影響を受けているケースもあります。
子どもが15歳以上になると、親の言葉に左右されず自分の気持ちをきちんと言えるようになることが多いでしょう。
いずれにせよ、子どもの気持ちや意向を慎重に調査する必要があります。
子どもが非監護親との面会交流を明確に拒否し、その意向に反して面会交流を実施することが子どもの利益とならない場合、面会交流は認められません。
監護親と非監護親の間に激しい対立がある場合、子どもがそれに巻き込まれ、強いストレスを与えてしまう可能性があります。
このような場合、面会交流が認められないことがあります。
ただし、対立を解消することができたり、子どもの利益に悪影響を与える可能性がなかったりする場合には、面会交流が認められる余地があります。
監護親が再婚した場合、面会交流が認められないことがあります。
監護親が再婚すると、子どもは再婚相手と一緒に過ごしていくことになります。
再婚相手との生活に早く慣れてもらうことが大切なので、場合によっては面会交流が認められない可能性があるでしょう。
面会交流が認められなかった過去の審判例を紹介します。
夫婦の間には2人の子どもがいました。
面会交流を2度ほどおこなったものの、その後子どもたちの情緒が安定せず学習意欲が低下したり、面会交流を嫌がるようになったりするなど、子どもへの悪影響がみられました。
子どもたちの面会交流後の様子から、監護親は非監護親に会わせるべきではないと判断し、非監護親からの面会交流の申し出に応じていませんでした。
また、非監護親は「調停の際に監護親が裁判所に賄賂を送った疑いがある」と発言するなど、常軌を逸した言動を繰り返していました。
裁判所は、このような言動をおこなう非監護親との面会交流は子どもたちの福祉を害するとして、非監護親からの面会交流の申立てを却下しました。
非監護親は子どもを可愛がっていた一方、子どもを怒って叩くなどの暴行をしたことがありました。
また、面会交流後に子どもが不安定になったことがあり、それがきっかけで両親がけんかとなり警察を呼ぶ事態にまで発展したこともありました。
2人の間には12歳、9歳、6歳の3人の子どもがいましたが、審判では両親のけんかを見たことで面会交流を拒否した9歳の子どもの面会交流は認められませんでした。
また、本人の意向がはっきりしない6歳の子どもとの面会交流についても、監護親の協力がなければ実現困難として認められませんでした。
一方、12歳の子どもは面会交流に拒否感を示しておらず、一定の判断力があり単独での面接交流も可能と認められました。
非監護親は面会交流のルールを守らず、子どもを待ち伏せしたり監護親に無断で子どもを2時間連れ回したりしていました。
非監護親は、子どもを無断で連れ回したことで、未成年者誘拐容疑で逮捕されました。
裁判所は、このような行動を繰り返す非監護親が、今後適切な面会交流を実施することは難しいと判断し、面会交流を禁止しました。
非監護親と監護親は長期間にわたって紛争状態にあり、高い緊張状態が続いていました。
非監護親は、自分の希望通りの面会交流に応じない監護親を「虐待者」「異常者」などと呼んだり、子どもたちに勝手に連絡をとったりしており、監護親はかなり強い不信感・嫌悪感を抱いていました。
裁判所は、このような状況では両親の協力関係を期待するのは困難であるなどとして、面会交流を認めませんでした。
本件では面会交流を認めると、子どもの心情の安定を害するおそれが高いことも懸念されています。
面会交流を条件付きで認めた審判例もあります。
ここでは2つの審判例を紹介します。
非監護親と監護親の間には3歳11ヵ月の子どもがおり、手術の影響で免疫力が弱く、一度感染症にかかれば重篤な結果を招く危険性がありました。
裁判所は子どもの身体状況を考慮し、1か月に1度日帰りの面会以上の頻度の面会交流を認めることは、子どもの負担が過重になる可能性が高いと判断しました。
なお、監護親は、非監護親が同居期間中に携帯電話を操作しながら子どもの世話をするなど配慮を欠いた行動をとっており、今後の面会交流の際も、子どもに対する十分な配慮をすることが期待できないと主張していましたが、裁判所は、仮に、非監護親が同居期間中に子どもに対する配慮を欠く言動をしていたとしても、それだけで、面会交流の実施が子どもの福祉を害するとまではいえないとしています。
非監護親は同居時にDVをおこなっていたため、監護親は子どもを連れて別居生活をしていました。
夫婦の間には、別居当時3歳と1歳5ヵ月の子どもがいましたが、約3年半の別居生活を経て、子どもたちの非監護親に対する記憶があいまいになっている可能性がありました。
二男については、そもそも非監護親を親として認識しているかどうかも怪しい状況でした。
このような状況を受け、裁判所は、子どもたちが非監護親を親と認識し、親子の信頼関係を構築するプロセスを経る必要があるとしました。
もっとも、監護親を激しく非難する非監護親の姿勢などからすると、監護親と非監護親のやりとりを前提とする面会交流を実施することは子どもの福祉に反するとして、監護親が非監護親に対して、定期的に子どもたちの近況を撮影した写真を送付する限度で間接的に交流をさせるのが妥当であるとしました。
監護親が面会交流に応じない場合は、間接強制という方法を使えば面会交流に応じてもらえる可能性があります。
間接強制とは、調停や審判で決められた面会交流に監護親が応じない場合などに、強制金を課して約束の履行を促す制度です。
たとえば、「面会させる義務を履行しないときは、不履行1回あたり◯円を支払え」といった内容です。
間接強制により、監護親に「子どもを面会させなければ」というプレッシャーをかける効果が期待できます。
間接強制は「強制執行」の方法のひとつです。
強制執行の方法には、間接強制以外に「直接強制」というものがあり、直接強制は義務を直接履行させる制度を指します。
たとえば、相手が決められたとおり借金を返さない場合に、裁判所が財産を差し押さえそのなかから回収するのは直接強制の一例です。
ただし、面会交流では直接強制は不適切と考えられています。
面会交流で直接強制を認めてしまうと、子どもを連れ出して強制的に面会交流させることになり、子どもの福祉を害するおそれがあるためです。
監護親が面会交流に応じないからといって、必ず間接強制が認められるわけではありません。
間接強制を認めてもらうには、以下の条件を満たす必要があります。
調停の際に作成される「調停調書」や、審判で作成される「審判書」が、間接強制の申立てに必要な債務名義となります。
夫婦間で作成した公正証書などは、面会交流の間接強制を申し立てるための債務名義にはなりません。
債務名義の条項について、面会交流の日時・頻度、各回の面会交流時間の長さ、子どもの引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親の義務の内容が特定されている必要があります。
「具体的な日時や頻度は当事者間で協議して決める」など、債務名義の内容があいまいだと間接強制ができません。
調停調書の条項は、面会交流の頻度について「2か月に1回程度」とされており、各回の面会交流時間の長さについても「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする」とされていました。
また、「具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、非監護親と監護親間で協議して定める」とされていました。
裁判所は、調停調書は、面会交流の大枠を定め、その具体的な内容は、非監護親と監護親との協議で定めることを予定しているものであり、監護親の義務の内容が十分に特定されているとはいえないとして、間接強制を認めませんでした。
(最高裁 平成25年3月28日決定(平成24年(許)第47号))
審判書では、面会交流の日程、回数、場所、時間について「月1回とし、毎月第2土週日の午前10時から午後4時まで」、「場所は、非監護親の自宅以外の場所とし、子どもの福祉を考慮して非監護親が定める」とされ、子どもの受け渡し場所については、「監護親の自宅以外の場所とし、当事者間で協議して定める。協議が調わないときは、JR札幌駅東口改札付近とする」とされていました。
裁判所は、面会交流の日時、各回の面会交流時間の長さ及び子の引渡しの方法の定めにより、監護親の義務の内容が特定されているとして、間接強制を認めました。
(最高裁 平成25年3月28日決定(平成24年(許)第48号))
暴力や虐待、連れ去りなど面会交流が認められにくいケースがあります。
また、調停や審判で決まった通りの面会交流に監護親が応じない場合、間接強制により約束の履行を促すことができるケースがあります。
自分で面会交流の交渉などをするのが不安である場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士は、相手方との交渉や、調停・審判の同席などもおこなえるので、有利な条件で面会交流を実現できる可能性が高くなります。
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