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共同親権での引っ越しには同意が必要?例外ケースや拒否された時の対処法

共同親権での引っ越しには同意が必要?例外ケースや拒否された時の対処法
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離婚後に子どもを連れて引っ越す際、相手の同意が必要か気になる人もいるでしょう。
結論からいえば、父母間で共同親権を行使していれば、引っ越しには原則として相手の同意が必要です。

ただし、状況によっては同意がなくとも引っ越せるケースがあります。

同意の要否を正しく判断するには、共同親権のルールを理解しておくことが重要です。

本記事では、共同親権下で引っ越す際の基本的なルール、同意が必要なケースと不要なケース、無断転居のリスクを解説します。

相手に同意を拒否されたときの対処法もまとめました。

トラブルを回避して引っ越すための参考にしてください。

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共同親権での引っ越しには原則として相手の同意が必要

同じ市内や学区内であっても、共同親権下で子どもを連れて引っ越すときは、原則として相手の同意が必要です。

なぜなら、引っ越し先を決める行為は「居所指定権」の行使にあたるためです。

居所指定権とは親権の一部で、子どもが住む場所を決める権利をいいます(民法第822条)。

(居所の指定)

第八百二十二条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

引用元:民法 | e-Gov 法令検索

共同親権では、親権を父母が共同で行使しなければなりません(民法第824条の2第1項)。

そのため、引っ越しにあたっては父母双方の合意が欠かせません。また、無断での引っ越しは「人格尊重・協力義務」に違反するおそれもあります(民法第817条の12第2項)。

人格尊重・協力義務とは、子どもの利益のために、父母が互いに人格を尊重し協力する義務です。

2026年4月施行の改正民法で新たに設けられた規定であり、婚姻関係の有無にかかわらず父母全般に適用されます。

引っ越しは、子どもの生活環境を変える行為です。

相手に何も伝えずに進めれば、父母間の協力義務に反すると評価される可能性があります。

居所指定権や親権を詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事もご覧ください。

同意なしで引っ越せる例外的なケース4つ

共同親権でも、子の利益のために「急迫の事情」があるときや、監護者が単独で居所を指定したときは、例外的に同意なしで引っ越せます(民法第824条の2第1項第3号)。

子の利益のための急迫の事情とは、父母の協議や家庭裁判所の手続きを待っていては適切に親権を行使できず、結果として子の利益が害される場合です。

該当するかどうかは、子の置かれた状況や父母の意見対立の状況など、さまざまな事情が考慮されます。

同意なしで引っ越せる主な4つのケースを解説します。

DV・虐待を受けているとき

もっとも典型的なケースが、DV・虐待を受けて避難するときです。

DV・虐待には、殴る・蹴るなどの身体的な暴力だけが含まれるわけではありません。

大声で罵倒する・無視するといった精神的な暴力や、生活費を渡さない経済的な暴力も対象です。

なお、現に被害を受けているときに限らず、加害行為がいったん止んでいる場合でも、急迫の事情が認められる可能性があります。

つまり、自分や子どもの身を守るための引っ越しは、相手の同意を待たずに進められます。

国内転勤等に伴い子どもを転居させるとき

同居している親の国内転勤にともなう転居も、急迫の事情にあたる場合があります。

該当するかの判断にあたっては、主に以下の事情が考慮されます。

  • 転勤が決まった後の父母間の協議状況
  • 相手が転居に同意しない理由
  • 転居の緊急性など

たとえば、辞令から2週間以内に異動が必要で、協議の時間がとれない場合が該当します。

発令時期によっては協議の時間が十分にとれない可能性もあるため、転勤の見込みが立った段階で早めに話し合いを始めましょう

双方の意見が深刻に対立しているとき

意見が相手と対立し、合意形成のめどが立たない場合は、急迫の事情と認められる場面があります。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 賃貸住宅の退去期限が迫っているのに、転居先について父母の話し合いが進まない
  • 早急な転居が必要なのに、引っ越し先をめぐる対立が続いている

対立がある際は、無理に合意を求め続けず、急迫の事情として認められないか早めに確認しましょう。

自身が監護者に指定されているとき

離婚時に共同親権とした場合であっても、自らが監護者に指定されていれば、引っ越しにあたって相手の同意は不要です。

監護者とは、主に子の監護や教育を担う立場の親です。

親権と監護権が分かれていれば、居所指定権は監護者が行使します(民法第824条の3第1項)。

監護者は、離婚時の協議や家庭裁判所の判断で定められ、離婚後でも家庭裁判所に申し立てれば指定を受けられます。

引っ越しのたびに相手と協議する負担を減らしたいなら、早めに監護者の指定を受けておくと安心です。

同意なしで引っ越したときのリスク2つ

同意なしで子どもを連れて引っ越すと、主に以下2つのリスクが生じます。

  • 親権者の変更・親権停止・喪失の理由になりうる
  • 相手から損害賠償を請求される

なぜ同意を得てから引っ越すべきなのかを理解するためにも、無断転居が抱える問題点を詳しく見ていきましょう。

親権者変更・親権停止・喪失の理由になりうる

相手に無断で引っ越した事実は、親権者の変更や親権停止の審判で不利に評価される可能性があります。

3つの手続きの内容は、以下のとおりです。

手続き 内容 条文
親権者変更 子の利益のため必要なときに親権者を変更する 民法第819条第6項
親権停止 子の利益を害する不適当な親権行使を最大2年停止する 民法第834条の2
親権喪失 虐待など著しく不適当な親権行使があるときに親権を失わせる 民法第834条

無断転居は、人格尊重・協力義務に反する行動です。

そのため、親権者としての適格性に疑問が生じ、変更・停止・喪失の判断につながるおそれがあります。

相手から損害賠償を請求されるおそれがある

無断転居で相手の親権を侵害したと判断された場合、侵害の程度に応じて損害賠償を請求されるおそれがあります。

たとえば、無断転居によって面会交流が難しくなった場合、精神的な苦痛に対する慰謝料を請求される可能性もあるでしょう。

無断転居をめぐる損害賠償は、単独で提起されるとは限りません。

親権者変更の申立てや面会交流の変更調停とあわせて争われることが多く、対応の負担が一気に大きくなります。

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引っ越しの同意が得られないときの対処法4つ

相手が引っ越しの同意を拒否した場合の対処法は、主に4つです。

どの方法が向いているかは、相手の態度や子どもの状況によって変わります。

ここでは、4つの対処法の進め方をそれぞれ解説します。

話し合いで条件を調整する

相手と話し合い、不安を解消できる条件を提示して合意を目指します。

相手が同意を拒む理由には、決まったパターンがあります。

理由に合わせて条件を示すと、合意の可能性が高まるでしょう。

相手の懸念点と、提示できる条件の例は、以下のとおりです。

相手の懸念点 提示できる条件の例
面会交流の機会が減る 面会の頻度や方法を具体的に約束する
子どもの生活環境が変わる 転校の有無や新しい学校の情報を共有する
子どもの様子がわからなくなる 定期的に近況を報告する

合意できたら、同意書を作成しておきます

可能であれば公正証書にしておくのもおすすめです。

公正証書とは、公証人が作成する公的な書類で、高い証明力と執行力をもつのが特徴です。

相手が養育費などの支払いを怠れば、裁判をせずとも財産を差し押さえられます。

親権行使者の指定を申し立てる

話し合いで合意できないときは、家庭裁判所に「特定の事項に関する親権行使者の指定」を申し立てる方法があります(民法第824条の2第3項)。

申し立てが認められると、引っ越しなどの特定の事項について、一方が単独で親権を行使できます。

申立てに必要な主な書類と費用は、以下のとおりです。

書類
  1. 申立書及びその写し1通
  2. 申立人・相手方・未成年者の戸籍謄本
  3. 事情説明書
  4. 進行に関する照会回答書
  5. 送達場所等届出書
費用
  1. 収入印紙1,200円分
  2. 連絡用の郵便切手

申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所です。

郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先の裁判所で事前に確認しておきましょう

また、調停の手続で十分な話し合いができるよう、期間に余裕を持って申立てをしてください。

監護者や役割分担を定める

離婚するときに、監護者の指定や監護の分掌をおこない、引っ越す際の権限者について父母の協議で定めましょう(民法第766条第1項)。

監護者の指定とは、実際に子どもを監護する親を一方に定める方法です。

監護者になれば、子どもの居所の指定を単独でおこなえます

監護の分掌とは、教育・医療・住居などの特定の事項について、どちらの親が決めるか取り決めることをいいます。

たとえば「教育や医療は父母で協議するが、転居は同居親が決定する」などと取り決めれば、引っ越しのたびに同意を求めなくて済みます。

子どもの利益を最優先しながら、現実的なルールを取り決めましょう。

弁護士に相談する

話し合いがまとまらない場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。

弁護士に依頼すると、相手方との同意交渉を代理してもらえます

代理人が間に入れば、感情的な対立を避けながら、法的に妥当な合意を目指せます。

相手と直接やり取りせずに済むので、精神的な負担も大きく減らせるでしょう。

また、同意書や公正証書の作成、親権を行使する者の指定や監護者の指定の申立て、調停・審判への同行や代理も任せられます

共同親権での引っ越しを相談する弁護士を探すなら「ベンナビ離婚」がおすすめ

共同親権下の引っ越しトラブルで弁護士を探すなら、「ベンナビ離婚」がおすすめです。

ベンナビ離婚は、離婚問題を得意とする弁護士だけを掲載した検索サイトです。

住んでいる地域や相談内容から、自分に合った弁護士を探せます。

共同親権の取り決めや監護権に関するトラブルなど、引っ越しに関わる論点で絞り込んで検索できるのも特徴です。

初回相談が無料の事務所も多く、費用を気にせず複数の弁護士を比較できます。

一人で抱え込む前に、まずは気軽に相談してみましょう。

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共同親権と引っ越しのよくある質問

さいごに、共同親権と引っ越しに関するよくある質問に回答します。

Q.共同親権の法改正はいつから施行され、何が変わった?

2026年4月1日に改正民法が施行され、日本でも離婚後に共同親権を選べるようになりました。

改正前は、離婚後は単独親権のみが認められていました。

改正後は、協議または家庭裁判所の判断で、共同親権が認められます。

単独親権であれば、引っ越しの際に相手の同意は不要でしたが、共同親権になれば引っ越しには原則として相手の同意が必要になります。

Q.既に離婚している場合も同意が必要?

2026年3月31日以前に離婚した人は、原則として相手の同意は不要です。

改正民法の経過措置により、施行前に離婚した人には旧法が適用されます。

そのため、離婚時に単独親権を取得した親は、引っ越しを単独で判断できます。

ただし、家庭裁判所に申し立てて共同親権に変更された後の引っ越しには、原則として相手の同意が必要です。

なお、共同親権への変更は自動的に切り替わるわけではありません。

家庭裁判所への申立てと判断を経て認められる仕組みです。

共同親権へ変更すると、引っ越しの自由度が下がる点には注意してください。

Q.引っ越し先の住所を相手に知らせたくないときはどうする?

相手にDVや虐待があるときは、住民基本台帳のDV等支援措置を利用できます。

本措置を利用すれば、加害者からの住民票や戸籍の附票の閲覧・交付が制限されます。

利用するには、事前に警察や配偶者暴力相談支援センター、児童相談所などの相談機関に相談しておく必要があります。

相談機関の意見を踏まえて、市区町村が支援の必要性を確認する流れです。

支援期間は1年で、終了の1ヵ月前から延長を申し出られます。

Q.再婚した場合でも引っ越しに相手の同意は必要?

再婚しても、共同親権下では原則として相手の同意が必要です。

親権は、離婚後の婚姻状況によって変わりません。

再婚して新しい家庭を持ったとしても、元配偶者との共同親権は残ります

再婚して子どもとともに新しい配偶者の家へ引っ越したい場合でも、同意が必要なので注意してください。

Q.親権がない側が引っ越しを止められる?

監護権や居所指定権を持たない非親権者は、原則として子どもの引っ越しを止める法的な権限はありません。

ただし、面会交流の取り決めに反して遠方へ転居された場合は、面会交流妨害として相手に慰謝料を請求できる可能性があります。

過去の裁判例によると、慰謝料相場は数十万円から数百万円です。

引っ越し自体は止められなくても、面会交流を守るための法的手段は残されています。

まとめ|同意なしの引っ越しはリスク大

本記事では、共同親権下での引っ越しのルールについて整理しました。

記事の主なポイントは、以下の4つです。

  • 共同親権下では、引っ越しには原則として相手の同意が必要
  • DV・虐待から避難するなどの「急迫の事情」があれば、同意が不要
  • 同意が得られないときは、話し合いや親権行使者の指定を申し立て、弁護士への相談で対応する
  • 無断転居は、親権者変更や親権停止・喪失、損害賠償請求などのリスクがある

引っ越しに同意が必要かどうか判断に迷う場合は、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談すれば、状況に応じた手続きや、相手との交渉方針を整理してもらえます。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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