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公開日:2020.11.17  更新日:2021.1.14

​アルコール依存症の夫(妻)と離婚できる?離婚手順と成立させるコツ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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アルコール依存症のせいで、暴力をふるったり、仕事に行かなかったり、借金を作ったり…。これでは、離婚を考えてしまうのも当然です。

しかし、アルコール依存症を理由に離婚できるかどうかは、協議離婚で相手が離婚に応じてくれるかどうか、または婚姻関係が破綻していると判断されるかどうかにかかっています

アルコール依存症は病気ですので、それが理由で結婚生活を営むことが難しく、婚姻関係が破綻していると裁判所に判断されれば離婚することができます。

ただし、アルコール依存症の度合いが低く婚姻関係が破綻しているとは言えないと裁判所に判断されれば、アルコール依存症という理由だけでの離婚は難しいでしょう。

つまり、ケースバイケースで離婚が認められる場合と認められない場合があるということです。

この記事では、アルコール依存症のパートナーと離婚できるケース・離婚の手順・離婚を成立させるためのコツなどについてご紹介します。

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あなたのケースでは離婚が成立するのか、相談してみませんか?

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弁護士は悩んでいるあなたの味方です。無料相談を受け付けている事務所もありますので、どうぞご活用ください。

アルコール依存症とは?定義とガイドライン

そもそも、アルコール依存症とはどのような症状のことを言うのでしょうか。

厚生労働省は、以下のように公表しています。

アルコール依存症をひとことでいうと、「大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」です。具体的には、飲酒のコントロールができない、離脱症状がみられる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができない、などの症状が認められます。

(引用:厚生労働省「アルコール依存症(alcohol dependence syndrome)のICD-10診断ガイドライン」)

また、診断は以下のガイドラインに従います。

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合

1.飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感

2.飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難

3.禁酒あるいは減酒したときの離脱症状

4.耐性の証拠

5.飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの回復に要する時間が延長

6.明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒

(引用:厚生労働省「アルコール依存症(alcohol dependence syndrome)のICD-10診断ガイドライン」)

また、厚生労働省による「依存症の理解を深めるための普及啓発リーフレット(令和元年度作成)」には以下のようなチェックリストが掲載されていました。こちらも参考にご覧ください。

(引用:厚生労働省「依存症の理解を深めるための普及啓発リーフレット(令和元年度作成)」)

つまり、ただアルコールを飲む量が多い・アルコールを飲む頻度が高いだけでは、アルコール依存症とは言いません。

なお、「アルコール依存症」の同義語には、「慢性アルコール中毒」「アルコール症」「アルコール嗜癖(しへき)」などがあります。

アルコール依存症の具体的な症状は以下のとおりです。

アルコール依存症の症状(厚生労働省)

(引用:厚生労働省「主な離脱症状」)

アルコール依存症は、本人が自分の症状を自覚した場合でも、過小評価して積極的に治そうとしない人が多い傾向にあります。

そのため、本人の周囲の人間から治療を進めたり、病院に付き添うなどの介入が必要と言われています。(参考:アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク

以下は、離婚体験談ブログから一部抜粋したものです。

旦那の留守中、アル中克服法の本を何冊か読んでみました。

ある調査によると、アルコール依存症からの回復率は20~30パーセント、重度になると10パーセント程度らしいです。

なかなか厳しい数字ですね。

 

また、長期的にメンタル面を改善しなければ、うつ病を繰り返すと書いてありました。

雨天続きでペンキ塗装の仕事が延期になると、焦燥感を覚えて部屋に引きこもり、昼間から浴びるように酒を飲んでいた旦那の姿が思い浮かびます。

天気や気分次第で八つ当たりをされるのですから、一緒にいる私は溜まったものではありませんでした。

(引用:バツイチさんの再婚ドットコム

アルコール依存症の症状や治療法はケースバイケースだからこそ、このような実体験談もとても参考になります。

調停や裁判ではアルコール依存症のパートナーと離婚できないケースもある

話し合いによって双方が離婚に合意すれば理由は何であれ離婚は可能です。しかし、パートナーが離婚を拒んでいる場合は、調停や裁判をする必要性も出てきます。調停や裁判では、アルコール依存症だけを理由にした離婚が必ずしも成立するとは限りません

ここでは、離婚できる・できないの基準について詳しく見ていきましょう。

アルコール依存症と診断されただけだと離婚が認められる可能性はかなり低い

病院で「アルコール依存症です」と診断されただけでは、離婚の理由として正当であると判断される可能性は低いでしょう。

アルコール依存症は病気なので、必要なのは治療です。夫婦には相互に扶助協力の義務がありますので、要治療状態の配偶者との離婚が直ちに認められる可能性は低いです。

アルコール依存症により暴力をふるう場合は証拠次第で離婚が認められる

アルコール依存症で、お酒を飲むと暴力をふるうような場合は、婚姻関係の継続が困難であるとして離婚を認めてもらえる可能性があります

アルコール依存症のみを離婚原因とするのではなく、これに伴う暴力行為も加味して離婚事由の有無が判断されます。この場合、暴力をふるわれていることを証明できるものを用意する必要があるでしょう。

ただし、決定的な証拠がない場合でも、このままでは命の危険があると判断されれば離婚が認められることもあります。

アルコール依存症により仕事に行かない場合は離婚が認められる可能性がある

アルコール依存症がひどく、お酒を飲んで一日中家にいて、仕事に行かない場合も、婚姻関係の継続が困難として離婚が成立する可能性はあります

配偶者の一方が就労をせず、結果、経済的に困窮するような状況となれば婚姻関係を無理に継続させるのは酷であると評価される可能性はあります

もっとも、就労しない代わりに家事労働等をきちんとこなしており、経済的な困窮にも至っていないような場合には、離婚は認められない可能性もあります

あくまでケースバイケースです。

アルコール依存症の夫(妻)と離婚する手順

アルコール依存症のパートナーと離婚する場合、できるだけスムーズに離婚を進めるための手順についてご説明します。

アルコール依存症のために離婚したいことを相手に伝える

まずは、パートナーに離婚したい旨を伝えましょう。すぐにでも離婚したいからと言って、いきなり離婚届を出すことは後々トラブルになったり後悔したりするため、おすすめできません。

相手が話し合いに応じてくれるようであれば、財産分与養育費などのお金関係についてもしっかりと話し合ってください。

また、相手が離婚に応じてくれるようであれば、協議離婚として進め、慰謝料請求についても検討してもらうといいでしょう。

離婚に応じてもらえない場合は別居を試みる

アルコール依存症になっている相手は、冷静に話し合いに応じてくれない場合も多いです。そのような場合は、離婚の前に別居をするようにしましょう。

別居期間が長く、かつ別居期間中夫婦間の交流も乏しいということとなれば、夫婦関係が破綻しているとして離婚が認められる可能性があります。

また、別居している間にお互い冷静になれるので、相手が離婚に納得して協議離婚を進められる場合もあります。

別居の実績を作ってから離婚訴訟を起こす

相手との協議がどうしてもまとまらないのであれば、相当程度の別居期間を経たのちに離婚調停を申し立てることも検討すべきです。この際、法律のプロである弁護士のサポートを受けながら進めるのがおすすめです。

アルコール依存症のパートナーと冷静な話し合いをすることは通常はハードルが高いと思われますので、弁護士を通して話し合う方がスムーズでしょう。

なお、代理人に依頼していれば、離婚調停やその先の離婚訴訟となったときも手続きを一任できるので心強いです。

アルコール依存症の夫(妻)との離婚を成立させるための有力な証拠

離婚は通常の場合でさえ苦労も多いですが、アルコール依存症のパートナーとの離婚は更に苦労することが多いかもしれません。できるだけスムーズに離婚を成立させるためのコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

暴力を振るわれた証明

飲酒によって暴力を振るわれている場合は、このことも離婚理由として主張するべきであることはすでにご説明しました。そのため、このような主張の証拠として、以下のものを用意しておくといいでしょう。

  • 暴力をふるわれた結果のあざやケガの写真
  • 医療機関によるケガの診断書
  • 暴力を受けていることを記録した日記やメモ
  • 第三者に助けを求めていたことを証明できる記録

また、暴力を受けていることを警察やDVシェルターに相談しておくと、相談の記録が残りますので証拠として使いやすいです。ぜひ活用するようにしてください。

家計が圧迫されている証明

アルコール依存症のために仕事をしないことで、経済的に困窮している場合も離婚理由となり得ることも上記のとおりです。この場合、経済的に困窮している証拠として、以下のものを用意しておくといいでしょう。

  • アルコール依存症で生活費を入れなくなったことがわかる通帳
  • 生活費のために保険や積立などを解約した書類
  • 家計簿などの記録やメモ
  • お酒を買っているレシートやクレカの明細

他にも、酔っぱらってわめいたり暴れたりしているときの音声や動画の記録も取っておくと、アルコール依存症のために共同生活が難しいことの証明になるでしょう。

相手に不法行為があれば離婚慰謝料も請求できる

アルコール依存症が根本的な理由で離婚する場合でも、飲酒によって暴力やモラハラが行われていた場合、つまり「不法行為」があったと判断されれば、慰謝料請求も認められます。

仮に暴力が行われていた場合、離婚慰謝料の相場は50~300万円と言われていますが、暴力の度合いや頻度によってケースバイケースです。

モラハラの場合は、そもそもモラハラの線引きや証拠の提出などが困難であることから、上記の相場よりも若干は少なくなる傾向があります。

参考までに、過去には「妻への思いやりなさ」を理由に夫側に100万円の慰謝料支払いが命じられたケース(東京地判 平成16年12月16日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい)や、「妻の自己本位な態度」を理由に、妻側に80万円の慰謝料支払いが命じられたケース(東京地判 平成17年2月22日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい)などがあります。

また、慰謝料に関する以下の記事も参考にご覧ください。

アルコール依存症の夫(妻)との結婚生活を継続させる場合

アルコール依存症を治してもらい、結婚生活を続けたいという場合はどうすればいいのでしょうか。ここでは、結婚生活を続ける上で、気をつけたいこと、うまくやっていくために必要なことをご紹介します。

暴力を振るわれないようにする

暴力をふるわれる状態を我慢することは一番やってはいけないことです。あなた自身が傷つきますし、鬱になってしまうこともありえます。

また、子供がいる場合、子供に危害が加わることもありますし、あなただけが暴力をふるわれていたとしても子供の成長に良いわけがありません。

現在、暴力をふるわれていないとしても、前もってDVシェルターについて調べておいたり、親しい友人や親に相談しておいたりすることが大切です。

一緒にアルコール依存症を治す努力をする

何度もお伝えしているように、アルコール依存症は立派な病気です。周りも大変な思いをしていますが、アルコール依存症になっている本人も相当苦しんでいるのです。

夫婦として今後も一緒に生活をしていくのであれば、一緒にアルコール依存症を治すように協力していくことが大切になるでしょう。

病院に通い、医師の指導に従って一緒に治療をしていけば、夫婦の絆も深まっていくはずです。

まずは相談から始めたいという方は、各保健所で実施される専門医相談や、その他の専門団体・専門機関を活用してみても良いでしょう。

お住まいの地域+アルコール依存症相談」で検索すれば、お近くの窓口が見つかるはずです。参考までに、東京都福祉保健局には以下の情報が掲載されています。

 ・AKK(エイケイケイ)アディクション問題を考える会  
  電話 03-3329-0122
 ・断酒会(公益社団法人 全日本断酒連盟)
  電話 03-3863-1600
 ・AA(アルコホーリクス・アノニマス)
日本ゼネラル・サービス・オフィス 
   電話 03-3590-5377
関東甲信越セントラルオフィス
   電話 03-5957-3506
 ・アラノン(Al-Anon)家族グループ
   電話 03-5483-3313

(引用:東京都福祉保健局

まとめ

アルコール依存症のパートナーと離婚するのは、通常の離婚よりも精神的にきついものがありますし、証拠が必要になるなどスムーズに離婚を進められないことも多く大変です。

また、「アルコール依存症で苦しんでいる夫や妻を放って離婚するのか」と周りから思われないか悩むこともあるでしょう。

離婚を少しでも考え始めたタイミングで弁護士に相談してみると、離婚すべきなのか、離婚するならどう進めていけばいいのか、どういう証拠を取ればいいのか、など一緒にあなたの味方として離婚について考えてくれるはずです。ぜひお近くの弁護士に相談をしてみてください。

いきなり弁護士に相談するのはちょっと…と気が引ける方は、お近くの専門機関への相談窓口を活用してみても良いでしょう。

大切なのは、どうするのが今後の自分の幸せに繋がるのかを考えて、専門家のアドバイスを受けながら少しずつでも環境を変えていくことです。

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離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
弁護士費用が払えなくて泣き寝入りすることも…。


  • 相手に親権を渡したくない
  • 養育費を払ってもらえなくなった
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弁護士保険は、法律トラブルで弁護士に依頼したときの費用が補償されます。
離婚トラブルだけでなく、子供のいじめ、労働問題等でも利用することができます。

KL2020・OD・037

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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