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DVで離婚する方法と慰謝料相場・証拠の集め方を詳しく解説

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DVに悩みながらも、「逃げたら何をされるかわからない」「お金がなくて離婚できない」と、離婚に踏み出せずにいる方は少なくありません。離婚を望んでいても、何から始めればよいかわからない方もいるでしょう。

DVを理由とした離婚は、弁護士や公的機関のサポートを得ながら、適切な手順を踏めば実現できます。

本記事では、DVの定義や種類から離婚の手順、慰謝料の相場、証拠の集め方まで解説します。証拠が不十分な場合や相手が離婚を拒否している場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

DVとは|さまざまな暴力の形態

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や交際相手など、親密な関係にある人からの暴力です。身体的暴力だけでなく、精神的・性的・経済的・社会的暴力も含まれます。被害に気づきにくい点も特徴であるため、以下で暴力の形態を確認しましょう。

身体的DV|殴る・蹴る

身体的DVとは、何らかの有形力(目に見える物理的な力)を行使して身体に危害を加える暴力です。態様によっては、刑法上の傷害罪や暴行罪などに該当する行為です。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 平手で打つ
  • げんこつで殴る
  • 足で蹴る
  • 髪を引っ張る
  • 腕をねじる
  • 首を絞める
  • 引きずり回す
  • 物を投げつける
  • 身体を傷つける可能性のある物で殴る
  • 刃物などの凶器を身体に突きつける

被害者がケガをする・しないは関係ありません。身体に直接危害を及ぼす行為だけでなく、相手の身体や生命に危害を加えようとする行為も含まれます。

精神的DV|大声で怒鳴る・無視する

精神的DV(モラハラ)とは、言葉や態度によって相手の心を傷つける暴力です。不機嫌な態度で相手に罪悪感を感じさせたり、相手の自尊心を打ち砕いて心身を弱らせたりする行為も含まれます。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 大声で怒鳴る
  • 人の前で馬鹿にする
  • 命令する口調でものを言う
  • 無視して口を利かない
  • 子どもに危害を加えると言って脅す
  • 殴るそぶりや物を投げるふりをして脅かす
  • 大切にしているものを壊したり、捨てたりする

目に見える傷が残らないため、被害者自身も暴力と認識できないケースが少なくありません。しかし、身体的DVと同等またはそれ以上に、心身へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。

性的DV|性行為を強要する

性的DVとは、性的な行為を強制したり、性的な尊厳を傷つけたりする暴力です。夫婦間でも、同意のない性行為は不同意性交等罪などの犯罪に該当する可能性があります。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 性行為を強要する
  • 避妊に協力しない
  • 中絶を強要する
  • アダルトビデオやポルノ雑誌を無理やり見せる
  • 下着姿や裸の写真・動画を無断で撮影する

デリケートな問題であるため表出化しにくく、被害を受けていても対処が遅れるケースが少なくありません。

経済的DV|生活費を渡さない

経済的DVとは、お金によって相手を支配したり、金銭的な自由を奪うことで苦痛を与える暴力です。生活費を渡さない形でおこなわれることが多いですが、過度な浪費や借金の強要なども経済的DVに当たります。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 生活費を渡さない
  • 明らかに不足する額しか家計に入れない
  • 過剰な節約を強制する
  • 収入や貯金額を教えない
  • 仕事をさせない・制限する
  • 「誰のお陰で生活できていると思うのか」などと述べる
  • 「甲斐性なし」「稼ぎが少ないくせに」などと非難する

経済的DVは、相手を経済的に圧迫して支配を確立するという点で、精神的DV(モラハラ)の一種ともいえるでしょう。

社会的DV|交友関係を制限する

社会的DVとは、外部との関係を遮断し、被害者を社会から孤立させる暴力です。言葉や態度で行動を束縛し、外出や第三者との交流を制限することで、被害者を支配下に置こうとします。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 実家や友人との交流を制限する
  • 電話やメール・手紙を細かくチェックする
  • 許可なしで外出させない
  • 外出中の行動を監視する
  • 本人の意思に反して仕事を辞めさせる

監視・制限が続くことで、被害者は気づかぬうちに加害者の支配下に閉じ込められていき、第三者へのSOSも難しくなるのが特徴です。

DVを理由とした離婚が難しいといわれる3つの理由

DVを理由とした離婚が難しい背景には、被害者の心理状況、加害者の言動、証拠確保の困難さという3つの障壁があります。以下で詳しく解説します。

1.被害者が被害に気づきにくい・抜け出しにくい

DV離ື婚が難しいといわれる理由のひとつは、被害者自身が被害に気づきにくく、抜け出しにくい点です。継続的に暴力や支配にさらされると判断力が鈍り、自分が悪いと思い込む傾向があります。

たとえば、加害者から「お前が悪いから殴る」「殴られたくなければ、言うことを聞け」と日常的に言われているケースです。被害者は、自己評価が低くなり、加害者から逃れられないと思い込む心理状況に陥ります。

加害者の中には、暴力のあとに優しく振る舞ったり、被害者のケガの手当をしたり、謝罪として贈り物をする人もいます。いつか相手が変わるかもしれないといった期待を抱き、抜け出せなくなるケースもあるでしょう。DV加害者と共依存に陥る事例もよくあります。

2.加害者が自分の行為を正当化して更なる圧迫を加える

離婚を切り出すと暴力がさらにエスカレートするリスクがある点も、DV離婚を難しくする理由のひとつです。「逃げたら、もっと酷い目に遭うかもしれない」という強い恐怖は、被害者が家を出る決心を妨げます。

また、DVの加害者が、自分の行為を否定したり、暴力を過小評価したり、正当化したりすることも珍しくありません。「手が当たっただけ」「相手が先に手を出してきたから、止めただけ」などと言い逃れるケースもよくあります。

自己評価が低下し、周囲とも孤立している被害者は、「誰かに相談しても信じてもらえないかもしれない」という懸念を抱きやすくなります。

3.証拠の確保・DVの立証が難しい

証拠の確保や立証が困難な点も、DV離婚を妨げる理由のひとつです。

特に、精神的DV・性的DV・社会的DVは目に見える証拠が残りにくく、加害者に否定された場合、DVの事実を立証できない可能性があります。外出や医療機関の受診を制限されていれば、診断書などの身体的DVの証拠も確保できない場合もあります。

証拠収集が発覚すれば、暴力がエスカレートするリスクもあり、被害者が行動を起こせないケースも珍しくありません。

DVは裁判上の離婚原因と認められる可能性が高い

DVは、裁判上の離婚原因として認められる可能性が高い行為です。裁判で離婚が認められるには、民法が定める以下の4つ事由のいずれかが必要です。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄(夫婦の同居・協力・扶助義務に反する行為)
  • 3年以上の生死不明
  • 婚姻を継続し難い重大な事由

忍耐し得ないような暴行・虐待は、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断される傾向があります。生活費を渡さないなどの経済的DVは、場合によっては、悪意の遺棄と評価される可能性もあるでしょう。

ただし、全ての行為が直ちに離婚原因となるわけではありません。暴力の態様・頻度・期間・被害状況その他の事情を総合的に考慮して、客観的に判断されます。

DVの事実を立証でき、法定離婚事由に該当すると認められれば、相手が離婚を拒否していても、離婚判決を得られる可能性があります。

DVを理由に離婚する場合は慰謝料も請求できる

DVを理由に離婚する場合は、加害者である配偶者に対し、慰謝料を請求できます。慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的損害に対する補填です。DVによって身体的・精神的損害を被った被害者は、加害者に対して、慰謝料を請求できます。

以下では、DVの慰謝料の相場や慰謝料算定で考慮される要素を解説します。

DV慰謝料の相場|50万円〜300万円程度

DVによる離婚慰謝料の相場は、50万円〜300万円程度です。

慰謝料の金額は、DVの種類・回数・期間・被害の程度・婚姻年数などを総合的に考慮して算定されます。被害が深刻な場合には、300万円以上の慰謝料が認められる場合もあります。

やや特殊な事例ですが、夫からの身体的DV・性的DVにより、妻がうつ病・PTSDを発症し、自殺未遂を繰り返した事例では、800万円の慰謝料が認められました。

慰謝料が高額になる要素・低くなる要素

DV慰謝料の金額は、DVの態様・頻度・期間・被害の深刻さ・証拠の充実度などによって増減します。明確な基準はなく、個別の事情で判断されます。

慰謝料を増減させる要素は、以下のとおりです。

慰謝料を増額する要素

慰謝料を減額する要素

・DVの回数が多い

・DVの期間が長い

・DVによるけが・病気・障害の程度が重い

・被害者に落ち度がない・少ない

・DVの回数が少ない

・DVの期間が短い

・DVによるけが・病気・障害の程度が軽い

・被害者にも一定の落ち度がある

上記のほか、婚姻期間の長さや夫婦の年齢・経済状況・社会的地位なども考慮されます。

DVが原因で離婚する場合の適切なステップ

DVが原因の離婚は、安全確保を最優先にしながら、協議・調停・裁判の順で進めるのが基本です。弁護士を代理人に立てれば、加害者と直接交渉せずに手続きを進められます。

相手が離婚を拒否している場合でも、DVが法定離婚事由に該当すると認められれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。

1.弁護士を立てて協議離婚を目指す

協議離婚を目指す場合は、弁護士への依頼を強くおすすめします。離婚を申し入れると、相手からの暴力や支配がより激しくなる場合があるためです。弁護士に交渉を委ねると、加害者と直接やり取りする必要がなくなります。

DV加害者の中には、異常に勝ち負けにこだわる人もいます。離婚自体には合意しても、親権・養育費・親子交流(面会交流)・財産分与に関して、強硬な主張をして譲らないケースも多いです。

弁護士は、相手に支配されない術を心得ています。相手が根拠のない主張を繰り返す場合も、法的な根拠に基づいて反論し、適切な条件での合意を目指してくれるでしょう。

2.協議が難航する場合は調停を申し立てる

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を介した話し合いによる解決を目指します。

申立書にはDVの事実も具体的に記載しましょう。申立書にDVの主張があるときは、裁判所から特別の配慮の必要性を照会される場合が多いです。必要に応じて、以下のような配慮・協力を要請できます。

  • 相手と別の日に期日を設定する
  • 相手と同じ期日が設定される場合は、出頭・退出時間をずらす
  • 一般の控室とは別の控室を利用する
  • 本人出頭を最小限に抑え、代理人のみの出頭する
  • 代理人の事務所にて電話やオンラインにて出席する

夫婦間で合意に至れば調停離婚が成立し、調停調書が作成されます。相手に現住所を知られたくない場合には、離婚調停の申立時に、併せて秘匿決定の申立ても検討してください。

【参考元】当事者に対する住所、氏名等の秘匿制度等 | 裁判所

3.相手が拒否する場合は離婚裁判を提起する

調停が不成立になった場合は、離婚裁判(訴訟)を提起し、裁判官の判断による離婚を求めます。調停と同様に、相手に現住所を知られたくない場合は、秘匿決定の申立てなどを検討してください。訴状には、夫と同居しているときの住所を記載しても構いません。

裁判で離婚を認めてもらうためには、DVの事実を主張立証して、法定離婚事由の存在を認めてもらう必要があります。

裁判手続は、調停と比べて専門的であり、弁護士なしで進めるのはハードルが高いです。証拠収集の方法や主張の組み立てを含め、早期に弁護士への相談をおすすめします。

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DVを理由に離婚・慰謝料を請求する場合に確保すべき証拠の例

DVを理由に離婚や慰謝料を請求する場合、DVの事実を裏付ける客観的な証拠が必要です。証拠が不十分だと、加害者に否定された際に主張が認められない可能性があります。DVの形態ごとに有効な証拠の例を、以下で解説します。

身体的DVの証拠|診断書・怪我の写真など

身体的DVの証拠の例は、以下のとおりです。

  • 医師による診断書・受診歴
  • 怪我の写真・動画(負傷部位と顔が一緒に写るように撮影する)
  • 暴力を受けた後の室内の状況や破損した物の写真
  • 警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録

些細な怪我でも、医療機関を受診して、診断書を取得してください。受診の際は、DVが原因であることを伝え、診断書に受診の経緯・初診日・治療に要する期間も記載してもらいましょう。暴力や暴言が原因でうつ病・PTSDなどを発症した場合も、同様です。

精神的DVの証拠|音声録音・日記・メッセージ記録など

精神的DVの証拠の例は、以下のとおりです。

  • 暴言・脅し・怒鳴り声などの音声・動画
  • 侮辱や人格否定の内容を含むメール・LINEなどのメッセージ履歴
  • 警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
  • 被害の日時・内容・状況を記録した日記・メモ

日記には、DVを受けた日時・場所・言われた言葉・心身への影響を具体的に記載してください。継続的な記録が証拠としての信頼性を高めます。録音を試みる際は、相手に知られないよう細心の注意を払いましょう。

性的DVの証拠|日記・相談機関への相談記録など

性的DVの証拠の例は、以下のとおりです。

  • 被害の日時・内容・状況を詳細に記録した日記・メモ
  • 産婦人科・泌尿器科への受診記録・診断書
  • カウンセリング記録
  • 性的行為を強要する内容を含むメール・LINEなどのメッセージ履歴
  • 警察や公的相談窓口への相談記録

性的DVは身体への外傷が残りにくく、証拠を確保しづらい場合もあるでしょう。日記への詳細な記録と、医療機関・公的機関への相談記録を組み合わせるのが有効です。

経済的DVの証拠|家計簿・メッセージ記録など

経済的DVの証拠の例は、以下のとおりです。

  • 生活費の流れが確認できる通帳の取引履歴
  • 収支の実態を示す家計簿
  • 生活費を渡さない旨の発言の音声・メッセージ履歴
  • 被害の期間・状況を詳細に記録した日記・メモ

生活が実際に困窮している事実を示す客観的な証拠を収集してください。通帳や家計簿は時系列で整理しておくと、後から状況が伝わりやすくなります。

社会的DVの証拠|日記・音声・第三者の証言など

社会的DVの証拠の例は、以下のとおりです。

  • 外出禁止や交友関係の制限を命じる音声・メッセージ履歴
  • 監視・束縛の状況を記録した日記・メモ
  • 行動を制限する発言や命令の音声録音
  • 被害の状況を直接見聞きした第三者(親族・友人など)の証言

日記には「外出を禁止された」「親に連絡するなと言われた」などの具体的な言動を、日時・状況とともに記録しましょう。社会的DVは証拠化が難しいため、複数の証拠を継続的に収集・保存するのがポイントです。

DV離婚を進める際のポイント

DV離婚を安全に進めるには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。証拠の確保・別居準備・相談窓口や支援制度の活用・保護命令の申立てなどです。以下で詳しく解説します。

別居前に可能な範囲で証拠を確保する

別居前に、できるかぎり証拠を確保しましょう。DV加害者は、離婚協議に応じないケースが多々あります。裁判離婚となる可能性も見据えて、DVの証拠や財産関係書類を準備しておくのが肝要です。

収集しておくべき証拠の例は、前章で解説したとおりです。併せて、以下の財産に関する書類のコピーも取っておきましょう。

  • 預金通帳(相手名義・子ども名義のものも含む)
  • 不動産の権利証・登記簿謄本
  • 生命保険・学資保険などの保険証券
  • 源泉徴収票・確定申告書
  • 株式・投資信託などの資産に関する書類
  • 年金手帳・ねんきん定期便

ただし、収集中に加害者に気づかれると危険が増す可能性があります。身の安全を優先し、迷った場合は弁護士または配偶者暴力相談支援センターに相談してください。

別居後の生活に必要なものを揃える

別居後の生活を安定させるために、住まい・生活費などを事前に確保できるのが望ましいです。当面の生活に必要なものも、あらかじめまとめておきましょう。

家を出る時に持ち出すとよいものは、以下のとおりです。

  • 現金
  • 預金通帳・キャッシュカード・印鑑(自分名義・子ども名義のもの)
  • 健康保険証
  • 運転免許証・マイナンバーカードなどの身分証明書
  • 相談機関や友人などの電話番号リスト・住所録
  • 財産に関する書類のコピー(相手名義のものも含む)
  • 常備薬・処方箋
  • あなたや子どもの着替え
  • 子どもの学校関係書類
  • DVの事実を示す証拠

荷物を運び出す際に運送業者を利用する場合は、加害者に居場所が漏れないよう、業者に協力を要請してください。緊急時にサポートを得られるよう、信頼できる友人や弁護士・配偶者暴力相談センターへの事前相談をおすすめします。

シェルターや相談窓口を活用する

公的機関の相談窓口や民間シェルターの利用も積極的に検討してください。DV被害から逃れるには、避難場所や生活支援が欠かせません。自治体やNPOでは、DV被害者が安全を確保しつつ、離婚手続きを進められるよう、さまざまなサポートを提供しています。

主な相談窓口は以下のとおりです。

相談窓口

連絡先

特徴

女性相談支援センター

#8778

配偶者暴力相談支援センターの機能を担う施設のひとつ。被害者および同伴する家族の一時保護などを実施。滞在期間は2週間程度が目安。

配偶者暴力相談支援センター

各都道府県・市町村または#8008

相談・相談先の紹介・カウンセリング・一時保護・自立支援を実施。滞在期間は2週間程度が目安。

DV相談ナビ

#8008

どこに相談したらいいか分からない場合に有効。最寄りの配偶者暴力相談支援センターに自動転送される。

DV相談+(プラス)

0120-279-889

どこに相談したらいいか分からない場合に有効。電話・メールは24時間対応。チャットは12時〜22時対応。

民間シェルター

インターネットや自治体の広報、支援センターなどで確認

NPOや慈善団体が運営。公的施設より比較的長期滞在が可能な場合も。場所や受け入れ状況は施設ごとに異なる。所在地は非公開。

警察

緊急時:110番 

相談:#9110

緊急の保護・被害届の提出・保護命令申立てなど。警察相談専用電話は平日8時30分から17時15分まで。

住まい・お金・仕事の自立支援制度を活用する

住まい・お金・仕事に関する自立支援制度も積極的に活用してください。住居確保・生活再建をサポートする主な支援制度は、以下のとおりです。

カテゴリ

制度・支援

内容

申請先

住まい

母子生活支援施設

18歳未満の子どもおよび母が入所できる施設。就労・生活・教育の相談支援も実施。

福祉事務所

公営住宅への優先入居

自治体によってDV被害者や母子世帯への公営住宅への入居優遇措置・家賃減額措置がある。

各自治体

お金

生活保護

収入が最低生活費を下回り、資産の売却・親族の援助・稼働・年金や手当など他の制度を利用しても、生活が困窮する場合に申請可能。

福祉事務所

児童扶養手当

18歳未満の子どもを養育するひとり親家庭に支給される手当。

各自治体

母子父子寡婦福祉資金貸付

20歳未満の子どもを扶養するひとり親家庭などに各種資金を低利・無利子で貸し付ける制度。

各自治体の福祉担当窓口

 

仕事

職業相談・職業紹介・職業訓練

母子家庭の母に向けた職業相談、職業訓練。一定条件を満たす場合は、訓練期間中に訓練手当を受けられる場合がある。

公共職業安定所(ハローワーク)

自立支援給付金事業

ひとり親家庭の親が主体的な能力開発を行い、就職や転職に有利な資格取得を目指す際に、修了時に費用の一部を助成する制度。

各自治体の福祉担当窓口

 

詳細は各市区町村の窓口または配偶者暴力相談支援センターに問い合わせてください。

保護命令を申し立てて加害者の接近を防ぐ

身体的暴力や生命・身体・自由・名誉・財産への脅迫を受けた被害者は、地方裁判所に保護命令を申し立てられます。保護命令とは、被害者の申立てにより、裁判所が加害者に対し、被害者に接近してはならないことなどを命じる手続きです。

違反した場合、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が科される可能性があります。申立先は、相手方または申立人の住所・居所、あるいは暴力が行われた地を管轄する地方裁判所です。

保護命令には以下の6種類があります。

①申立人への接近禁止命令

被害者へのつきまとい・住居や勤務先付近のはいかいを1年間禁止

②申立人への電話等禁止命令

面会要求・連続した電話やメッセージ・GPSによる位置情報の取得などを禁止

③申立人の同居の子への接近禁止命令

被害者と同居する未成年の子へのつきまとい・学校付近のはいかいを禁止

④申立人の同居の子への電話等禁止命令

同居する未成年の子への連絡行為を禁止

⑤申立人の親族等への接近禁止命令

被害者の親族などへのつきまとい・住居や勤務先付近のはいかいを禁止

⑥退去等命令

共に生活する住居からの退去と付近のはいかいを原則2か月間禁止(被害者のみが所有者・賃借人の場合は6か月)

上記の②〜⑤の命令は、①が発令されているときにのみ発令されます。

申立前には、配偶者暴力相談支援センターまたは警察への相談が必要です。相談していない場合は、公証役場で宣誓供述書の作成・認証(手数料11,000円)が必要となります。

DV離婚を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すれば、加害者と直接やり取りする必要がなくなるため、身の安全を守りながら離婚手続きを進められます。

具体的には、以下のようなサポートが望めます。

  • 安全な別居の準備・タイミングのアドバイス
  • 一時保護施設・民間シェルターへの入所サポート
  • 住所を秘匿したままの手続き進行
  • 保護命令の申立て代行
  • 調停・訴訟における裁判所への特別の配慮の申請
  • 警察への被害届・告訴状の提出サポート

離婚条件の交渉も代行し、慰謝料・財産分与・養育費・親権などの交渉を、DV案件の知識・経験をもとに進めてくれます。証拠が不十分な場合の収集アドバイスから、離婚後の養育費不払いへの対応まで、長期にわたるサポートも期待できます。

DV離婚を弁護士に依頼する際の費用相場

弁護士費用は、相談料・着手金・成功報酬・実費・日当で構成されます。手続きの種類や事案の複雑さによって異なりますが、おおむね以下が目安です。

費用の種類

相場

相談料

30分5,000円〜1万円程度(初回無料の事務所も多い)

着手金

20万円〜50万円程度

成功報酬

20万円〜50万円程度+経済的利益の10〜20%

実費

数万円程度

日当

3万円〜5万円程度/半日

法律事務所によっては、弁護士費用の分割払い・後払いに対応している事務所もあります。収入・資産が一定以下の場合には、法テラスの弁護士費用立替制度が利用可能です。法テラスと契約している弁護士なら、民事法律扶助制度の申請も代行してもらえます。

DVで離婚を考えているなら「ベンナビ離婚」で弁護士に相談

DVを理由とした離婚でお悩みなら、「ベンナビ離婚」の活用がおすすめです。

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弁護士のサポートによるDV離婚の解決事例

本章では、「ベンナビ離婚」を通じて弁護士に依頼し、DV離婚を成立させた3つの事例をご紹介します。

証拠収集と保護命令の申立てにより別居と離婚を成立させた事例

10年近く夫からの暴力に悩んでいた50代女性が、弁護士のサポートにより別居を経て、離婚を実現したケースです。

弁護士は、夫との会話の録音や暴力によるアザの写真など証拠の収集・保全に着手するとともに、事前に警察への相談をおこないました。妻が夫から暴力を受けそうになり、警察への通報によって夫は逮捕・勾留されました。

弁護士は、速やかに裁判所への保護命令を申し立て、約10日で退去命令と接近禁止命令を獲得しました。最大のハードルだった別居状態を実現したうえで、最終的に離婚が成立しました。

50年間のDV被害を乗り越え離婚成立と慰謝料・財産分与を獲得した事例

50年間DVを受け続けた70代女性が、拒否し続ける夫との裁判を経て、離婚を成立させたケースです。

弁護士は、初回相談時に今後の人生をどう生きたいかをよく考えるよう促したうえで、手続きの流れや期間・費用を説明しました。

依頼者は、2回目の相談時に離婚を決意し、DVの証拠となる診断書と財産分与の計算に必要な夫の通帳等を準備したことで、手続きをスムーズに進められました。

夫はDVの事実を争い、最後まで離婚に反対したものの、裁判の結果、離婚が成立し、慰謝料と財産分与を合わせて400万円を獲得しました。

複数の診断書と具体的な被害陳述により慰謝料400万円が認められた事例

結婚以来繰り返しDVを受けてきた40代女性が、裁判で慰謝料400万円の認容を勝ち取った事例です。

当初は児童相談所の介入に関わる相談だったものの、依頼者が夫から繰り返しDVを受けていた事実が判明しました。児童相談所の介入から解放されるためにも、夫との離婚を急ぐべきであるという結論に至っています。

夫が依頼者宅を突然訪問し、夫から虐待を受けていた長女との面会を強要したこともあり、保護命令の申立てもサポートしました。

裁判では、依頼者が保有していた診断書6〜7点と、深刻な暴力を受けた場面の具体的な陳述が、慰謝料400万円を認容させる決め手となりました。養育費も算定表どおりの水準で獲得しています。

DV 離婚に関するよくある質問

本章では、よくある疑問にQ&A形式で回答します。

Q.DV加害者への離婚の切り出し方がわかりません。

加害者に直接離婚を切り出すのは避け、弁護士に依頼するのが賢明です。一対一の話し合いでは、暴力を振るわれる危険があるほか、言いくるめられたり、さらに支配を強められたりするおそれがあります。

弁護士を代理人に立てれば、加害者との交渉をすべて任せられます。弁護士が、加害者に対して、あなたへの直接交渉を禁じる旨の通知を出すと、相手がおとなしくなるケースも少なくありません。

安全かつスムーズに離婚手続を進めるためにも、弁護士への依頼を強くおすすめします。

Q.DVの証拠がない・不十分な場合、離婚はできませんか?

DVの証拠がない・不十分な場合でも、協議や調停で相手が合意すれば離婚できます。DVを理由に裁判で離婚を請求する場合は、証拠が必要です。ただし、DVの事実を立証できなくても、他の事情から婚姻関係の破綻が認定されれば、離婚できる可能性はあります。

また、自分では証拠不十分と感じていても、弁護士からみると有効な証拠と判断できるケースも少なくありません。証拠がないと諦める前に、まず弁護士に相談してみてください。

Q.DV離婚で慰謝料以外に請求できるものは何ですか?

通常の離婚と同様に、財産分与・年金分割・養育費などを請求できます。

財産分与は婚姻中に形成した共有財産を原則2分の1ずつ分割する制度です。専業主婦やパートの場合でも請求できます。年金分割は婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。

子どもがいる場合は、子どもが社会的・経済的に自立するまでの期間、養育費も請求できます。離婚成立までの別居期間中は、婚姻費用も請求できます。

Q.子どもがいる場合、DV離婚を進めるうえでの注意点はありますか?

子どもがいる場合、親権・養育費・面会交流の取り決めと、子どもの心身へのケアが必要です。

DV加害者であるからといって、直ちに親権者としての適格性が否定されたり、面会交流が制限・禁止されたりするわけではありません。

DV加害者が子どもへの執着や被害者への対抗心から、親権を強く主張したり面会交流に過剰な要求をしてくる場合もあります。養育費についても「ゼロを条件に離婚に応じる」と迫られるケースも。

被害者が一人で対応するには限界があるのが実情です。子どもに関わる取り決めは、DV問題に注力する弁護士に相談しながら進めるのを強くおすすめします。

Q.配偶者のDVが病気に起因するものだと離婚は認められませんか?

DVの原因が精神疾患などの病気でも、離婚が認められる可能性はあります。

2026年4月施行の民法改正により、強度の精神病にかかり回復の見込みがないときという離婚事由は削除されました。ただし、病気に起因する暴行や暴言があり、実質的に婚姻関係が破綻している場合には、離婚が認められる余地があります。

裁判所は、以下のようなさまざまな事情を総合的に考慮して判断します。

  • 暴行・暴言の内容や頻度
  • 配偶者の病状
  • 治療への協力の有無
  • 別居期間の長さ
  • 離婚後の配偶者の生活への補償

実務では3〜5年以上の別居期間があると、婚姻関係の破綻が認められやすくなる傾向。具体的な見通しは事案によって異なるため、弁護士への相談をおすすめします。

まとめ

DVには身体的・精神的・性的・経済的・社会的暴力の5種類があります。目に見える傷が残らないものも多く、被害者自身が暴力と気づきにくい点が、DV離婚を難しくする要因のひとつ。

DVは、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。相手が拒否していても、裁判を通じて離婚を実現できるケースも。慰謝料の相場は50万〜300万円程度です。

離婚を進める際は、診断書・音声・メッセージ履歴・日記などの証拠を可能な範囲で確保しましょう。保護命令の申立てや、配偶者暴力相談支援センター・シェルターといった公的支援も活用できます。

弁護士に依頼することで安全に手続きを進められます。配偶者からのDVにお悩みの方は、「ベンナビ離婚」を活用のうえ、早期に弁護士への相談を検討してください。

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この記事の監修者
高島総合法律事務所
理崎 智英 (東京弁護士会)
豊富な解決実績・メディア出演多数。コミュニケーションを大切にし、培ってきた経験やノウハウを活かし、ひとりひとりに合わせたオーダーメイド型の解決策を提示しています。

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