発令と同時に離婚話を進めることで、スムーズな離婚が実現できるかもしれません。
接近禁止命令の申立て前に、【弁護士への無料相談】をオススメします。
接近禁止命令(せっきんきんしめいれい)とは、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律(DV防止法)で定められている保護命令の1つで、身体的暴力や生命・身体に対する脅迫(●●したら殺す・殴るなど)してくる配偶者の接近を禁止する制度です。
下の図をご覧いただく通り、実際に接近禁止命令を利用している人は毎年2,000人以上もおり、接近禁止命令によって、暴力や脅迫などの恐怖から逃げています。
(参考:平成25年・平成26年・平成27年・平成28年|司法統計)
この記事では、接近禁止命令でできることなどの基礎知識と申立て方法について紹介します。暴力や脅迫からご自身と子供を守る参考にしていただければ幸いです。
発令と同時に離婚話を進めることで、スムーズな離婚が実現できるかもしれません。
接近禁止命令の申立て前に、【弁護士への無料相談】をオススメします。
接近禁止命令は、身体的暴力や生命・身体に対する脅迫(殺す・●●したら殴るなど)してくる配偶者を6ヶ月間接近させないようにする命令です。具体的に以下の2つを禁止します。
ただし、この接近禁止令はメールや電話での接触については禁止していません。そのため、メールや電話で接触されたり脅迫されたりする可能性があります。
また、接近禁止命令は申立て本人のみ有効なので、子供への接近や実家への押しかけは禁止できません。もし、そのようなことに対して禁止をしたい場合は、接近禁止命令以外の保護命令を追加する必要があります。
どのような保護命令があるのか、追加方法についてはこちら『保護命令とは|自分と子供を暴力から守る制度・手続きを解説』をご覧ください。
相手方とどのような関係でも接近禁止命令ができるわけではありません。接近禁止命令の申立ての可否については厳格な要件が定められています。
接近禁止命令の申立ては、婚姻関係(事実婚関係を含む)または同棲関係の継続中、暴力や生命に関する脅迫(死ね・殺すなど)を受けていた場合や、将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合のみ申立てできます。
以下の要件がいずれも満たされる必要がありますので、注意しましょう。
したがって、相手と交際関係にあっても同棲関係に至っていない場合には①の要件が満たされず、接近禁止命令の申立てを行うことはできません。
また、婚姻関係・事実婚関係・同棲関係継続中には暴力や脅迫がなく、同関係が終了した後にこれら暴力や脅迫が開始されたという場合も②の要件が満たされないため、接近禁止命令の申立てはできません。
そのため、上記のような場合で、現在相手から暴力行為や脅迫行為を受けているという場合は接近禁止命令による解決ではなく、暴行・脅迫について警察に被害申告して刑事事件として立件してもらうことで刑事的な解決を目指すのが適切でしょう。
【関連記事】
▶暴行罪とは|成立する構成要件と傷害罪との違い
▶脅迫罪とは?逮捕されてしまった場合の対応法
ここでは接近禁止命令(保護命令)の申立て方法について紹介します。
このような流れで発令されます。では、具体的に見ていきましょう。
事前準備として、DVセンター(配偶者暴力相談支援センター)または警察に相談をし、このような機関に相談したという事実が必要になります。
また、相談経験がない・相談以外の方法がいいという場合は公正役場に行き、宣誓供述書の作成をする必要があります。
宣誓供述書の作成についてはこちら『保護命令とは|自分と子供を暴力から守る制度・手続きを解説』をご覧ください。
接近禁止命令は申立人もしくは相手方の住居地または暴力・脅迫が行われた場所を管轄している裁判所に申し立てます。▶裁判所一覧|裁判所
また、接近禁止命令以外の保護命令も一緒に申し立てることが可能です。
申し立てる際は以下の書類をそろえる必要があります。
(参考:保護命令申立時に必要な書類|裁判所)
申立てに必要な費用は以下の通りです。
予納郵便切手内訳 |
|
500円 |
2枚 |
280円 |
2枚 |
100円 |
5枚 |
50円 |
5枚 |
10円 |
17枚 |
1円 |
20枚 |
枚数が多くなりますので、買い間違いや買い忘れがないように気を付けましょう。
口頭弁論・審問では、暴力や脅迫の真偽について相手側への意見を聞きます。裁判所は、この意見を聞き接近禁止命令を発令するか・しないかを決めます。
ただし、緊急を要する事情がある場合(身体や生命に危険がある場合など)は口頭弁論・審問を行わずに接近禁止命令を発令させることもあります。
接近禁止命令は基本的に口頭弁論や審問の際に直接言い渡されます。しかし、相手が口頭弁論や審問に来なかった場合、書留送達で相手宅に決定書が送られます。
書留送達で送るため相手が受け取りを拒否していても、送達したことになり効力が発揮されます。
申立て人の生命や身体に危険があるため、接近禁止命令は基本的に優先的に処理されていきますが、状況によっては、もう一度裁判所に呼ばれるなどなかなか発令されないこともあります。
医師の診断書がある場合でも、診断内容が軽い打ち身・切り傷・かすり傷の場合、判断が遅くなる可能性が高くなります。
接近禁止命令の申立てを【弁護士依頼する】ことで、書類作成、証拠の整理がスムーズに行われます。また、裁判所からの信用性も増しますので、発令がすんなり通る可能性があがるでしょう。また、その後の離婚問題に関しても相談してもらうことができます。
接近禁止命令の期間を伸ばしたい場合は、再度申立てを行う必要があります。ここでは、再度申立てを行う方法やタイミングなどをまとめました。
接近禁止命令発令中に相手が「接近禁止命令が終わったら痛めつけてやる。」「接近禁止命令が終わったら力ずくでも子供に会う。」の発言をしており、効力期間が終了する際に身体的暴力を受ける恐れがある場合に申し立てることが可能です。
再度の申立てになるので、新しい事件として取り扱うことになります。そのため、再びDVセンターや警察への相談または宣誓供述書の作成が必要です。
以前受けた暴力と今の時点で身体的暴力を受ける恐れがあることを相談または、記載し再度接近禁止命令を申し立てる必要性を示すことが大切です。
また、再度申立ての際にも口頭弁論や審問が必要になります。申立てから約1週間後に行われますが、今発令されている命令の効力期間の終了と再度申立てた命令の開始日が開かないように申立てを行いましょう。
必要書類は基本的に『接近禁止命令の申立て』で紹介した書類と同じですが、再度申立ての際は前回申立てに作成した『保護命令申立書』と『保護命令謄本』の写しが必要なので、それぞれ用意しましょう。
また、申立書はこちらからダウンロードできます。⇒配偶者暴力等に関する再度の保護命令申立書
発令後に状況の変化があった場合、申立書を作成し、接近禁止命令を発令した裁判所に申立てることで、命令の取消しを求めることができます。
この点、申立人はいつでも取消しの申立てが可能ですが、相手方は一定の条件が満たされない限り命令の取消しを求めることはできません。
ここでは命令取消しに必要となる費用や申立人ではなく相手方が申立ての取消しを求める場合の条件を紹介します。
申立てにかかる印紙代は申立人・相手方共に500円です。しかし、予納切手の金額は申立て人が取消しの申立てを行う場合と相手が取消しの申立てを行う場合では大きく異なります。
申立て人が取消しの申立てを行う場合の予納郵便切手は82円切手が2枚で164円になります。
相手方が取消しの申立てを行う場合は、2,500円分の予納郵便切手が必要になります。内訳は以下の通りです。
予納郵便切手内訳 |
|
500円 |
4枚 |
82円 |
2枚 |
50円 |
3枚 |
20円 |
4枚 |
10円 |
9枚 |
1円 |
16枚 |
切手が全部で38枚必要になりますので、買い忘れや買い間違いには十分注意してください。
また、相手方による申立ての取消しは以下の条件のうち①と②または③のいずれかが満たされない限り認められません。
したがって、申立人が取消しに同意していない限り、相手方からの申立てによって接近禁止命令が取り消されることはありませんので、申立人は一方的に命令が取り消される心配はありません。
接近禁止命令が出ているにもかかわず相手に付きまとわれた場合、罰則として100万円以下の罰金または1年以下の懲役が科せられますので、警察または弁護士に相談してみましょう。
また、偶然町中で会ってしまったという場合、相手を罪に問うことができません。ただし、声をかけられた・付きまとわれた・何度も会うといった場合は接近禁止命令を違反していることになりますので、警察または弁護士に相談しましょう。
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