発令と同時に離婚話を進めることで、スムーズな離婚が実現できるかもしれません。
接近禁止命令の申立て前に、【弁護士への無料相談】をオススメします。
接近禁止命令(せっきんきんしめいれい)とは、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律(DV防止法)で定められている保護命令の1つを指します(DV防止法第10条1項1号、3項、4項)。
身体的暴力や生命・身体に対する脅迫(○○したら殺す・殴るなど)をしてくる配偶者の接近を禁止する、という制度です。
以下の通り、実際に接近禁止命令を利用している人は減少傾向にあるものの年間2,000人程度おり、多くの方が接近禁止命令によって暴力や脅迫などの恐怖から逃れています。
この記事では、接近禁止命令で禁止できることや申立て方法、接近禁止命令の延長方法などの基礎知識を解説します。
暴力や脅迫から自身と子供を守るための参考にしてください。
発令と同時に離婚話を進めることで、スムーズな離婚が実現できるかもしれません。
接近禁止命令の申立て前に、【弁護士への無料相談】をオススメします。
接近禁止命令は、身体的暴力や生命・身体に対する脅迫(殺す・○○したら殴るなど)をしてくる配偶者を6ヶ月間接近させないようにする命令です。
具体的には以下の2つを禁止します。
ただし、この接近禁止令はメールや電話での接触については禁止していません。そのため、メールや電話で接触されたり脅迫されたりする可能性があります。
また、接近禁止命令は申立て本人のみ有効であるため、子供への接近や実家への押しかけは禁止できません。
もし、そのようなことに対して禁止したい場合は、接近禁止命令以外の保護命令を追加する必要があります。
どのような保護命令があるのか、追加方法については以下の記事をご覧ください。
相手方とどのような関係でも接近禁止命令ができるわけではありません。接近禁止命令の申立ての可否については、厳格な要件が定められています。
接近禁止命令の申立ては、婚姻関係(事実婚関係を含む)または同棲関係の継続中、暴力や生命に関する脅迫(死ね・殺すなど)を受けていた場合や、将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合のみ申立てできます。
以下の要件がいずれも満たされる必要がありますので、注意しましょう。
したがって、たとえば「相手と交際関係にあっても同棲関係に至っていない」という場合には、①の要件が満たされず、接近禁止命令の申立てを行うことはできません。
また、「婚姻関係・事実婚関係・同棲関係の継続中には暴力や脅迫がなく、同関係が終了した後に暴力や脅迫が開始された」という場合には、②の要件が満たされないため、接近禁止命令の申立てはできません。
そのため、上記のようなケースで「現在相手から暴力行為や脅迫行為を受けている」という場合には、接近禁止命令による解決ではなく、暴行・脅迫について警察に被害申告して刑事事件として立件してもらって刑事的な解決を目指すのが適切でしょう。
接近禁止命令は、主に以下のような流れで発令されます。ここでは、接近禁止命令(保護命令)の申立て方法について解説します。
事前準備として、まずはDVセンター(配偶者暴力相談支援センター)または警察に相談をしましょう。「このような機関に相談した」という事実が必要になります。
もし「相談経験がない・相談以外の方法が良い」という場合は、公正役場に行って宣誓供述書を作成する必要があります。
宣誓供述書の作成については以下の記事をご覧ください。
接近禁止命令は、申立人もしくは相手方の住居地または暴力・脅迫が行われた場所を管轄している裁判所に申し立てます。
また、接近禁止命令以外の保護命令も一緒に申し立てることが可能です。
申し立てる際は、以下の書類を揃える必要があります。
申立てに必要な費用は以下の通りです。
予納郵便切手内訳 |
|
500円 |
2枚 |
280円 |
2枚 |
100円 |
5枚 |
50円 |
5枚 |
10円 |
17枚 |
1円 |
20枚 |
手続きには何枚も必要になりますので、買い間違いや買い忘れがないように気を付けましょう。
口頭弁論・審問では、暴力や脅迫の真偽について相手側の意見を聞きます。裁判所は、この意見を聞いて接近禁止命令を発令するかしないかを決めます。
ただし、緊急を要する事情がある場合(身体や生命に危険がある場合など)には、口頭弁論・審問を行わずに接近禁止命令を発令させることもあります。
接近禁止命令は、基本的に口頭弁論や審問の際に直接言い渡されます。
しかし、相手が口頭弁論や審問に来なかった場合には、書留送達で相手宅に決定書が送られます。
書留送達で送る際に相手が受け取りを拒否したとしても、送達したことになり、効力が発揮されます。
申立人の生命や身体に危険があるため、接近禁止命令は基本的に優先的に処理されますが、状況によっては、もう一度裁判所に呼ばれたりしてなかなか発令されないこともあります。
医師の診断書がある場合でも、診断内容が軽い打ち身・切り傷・かすり傷などの場合には、判断が遅くなる可能性が高くなります。
接近禁止命令の申立てを【弁護士依頼する】ことで、書類作成、証拠の整理がスムーズに行われます。また、裁判所からの信用性も増しますので、発令がすんなり通る可能性があがるでしょう。また、その後の離婚問題に関しても相談してもらうことができます。
接近禁止命令の期間を伸ばしたい場合には、再度申立てを行う必要があります。
ここでは、再度申立てを行う方法やタイミングなどを解説します。
接近禁止命令発令中、相手が「接近禁止命令が終わったら痛めつけてやる」「接近禁止命令が終わったら力ずくでも子供に会う」などと発言しており、効力期間が終了してから身体的暴力を受ける恐れがある場合、申し立てることが可能です。
再度の申立てになるため、新しい事件として取り扱われます。そのため、再びDVセンターや警察への相談、または宣誓供述書の作成が必要です。
以前受けた暴力や、今の時点で身体的暴力を受ける恐れがあることなどを相談または記載し、再び接近禁止命令を申し立てる必要性があることを示すのが大切です。
また再度申立ての際にも、口頭弁論や審問が必要になります。申立てから約1週間後に行われますが、現在発令されている命令の効力期間の終了と、再度申立てた命令の開始日が開かないように申立てを行いましょう。
必要書類は基本的に「接近禁止命令の申立て方法」で紹介したものと同じですが、再度申立ての際は、前回申立てた際に作成した保護命令申立書と保護命令謄本の写しが必要ですので、それぞれ用意しましょう。
申立書は「配偶者暴力等に関する再度の保護命令申立書」からダウンロードできます。
発令後に状況の変化があった場合には、申立書を作成して、接近禁止命令を発令した裁判所に申立てることで、命令の取消しを求めることもできます。
なお、申立人であればいつでも取消しの申立てが可能ですが、相手方は一定の条件が満たされない限り、命令の取消しを求めることはできません。
ここでは、命令の取消しに必要となる費用や、申立人ではなく相手方が申立ての取消しを求める場合の条件を解説します。
申立てにかかる印紙代は、申立人・相手方ともに500円です。
しかし、予納切手の金額は「申立人が取消しの申立てを行う場合」と「相手方が取消しの申立てを行う場合」で大きく異なります。
申立人が取消しの申立てを行う場合、82円切手が2枚で計164円かかります。
相手方が取消しの申立てを行う場合、2,500円分の予納郵便切手が必要になります。
内訳は以下の通りです。
予納郵便切手内訳 |
|
500円 |
4枚 |
82円 |
2枚 |
50円 |
3枚 |
20円 |
4枚 |
10円 |
9枚 |
1円 |
16枚 |
切手が全部で38枚必要になるため、買い忘れや買い間違いには十分注意してください。
また相手方による申立ての取消しは、以下の条件のうち、①と②または①と③が満たされない限り認められません。
したがって、申立人が取消しに同意していない限り、相手方からの申立てによって接近禁止命令が取り消されることはなく、申立人としては一方的に命令が取り消される心配はありません。
もし接近禁止命令が出ているにもかかわず相手に付きまとわれた場合には、罰則として100万円以下の罰金または1年以下の懲役が科せられますので、警察または弁護士に相談することをおすすめします。
また「偶然町中で会ってしまった」という場合には、相手を罪に問うことができません。
ただし、声をかけられた・付きまとわれた・何度も会うなどの場合には、接近禁止命令を違反していることになりますので、警察または弁護士に相談しましょう。
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