弁護士に相談することで、
・法的な観点から解決策を提示してもらえる
・婚姻費用や親権など男性が不利になりやすいポイントと対策を知ることができる
離婚を切り出す前に相談・準備しておくことで、スムーズに対応することができるでしょう。
ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)なら、地域別・19時以降に相談可能・無料相談を受け付けている弁護士事務所などを見つけることができます。
まずは、こちらからご相談ください。
警視庁が2019年に公表した「平成30年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」によると、配偶者からの暴力相談などの相談は、2008年の約2万5,000件から2018年には7万7,482件にまで増加しています。そのうち相談者の20.6%は男性です。
しかし、この相談件数は氷山の一角だと考えられます。内閣府男女共同参画局の調査研究(男女間における暴力に関する調査報告)では、男性の約7割がDV被害について誰にも相談していないと回答しているからです。
相談に踏み切れない理由として以下が考えられます。
男なのにDVの被害者なんて馬鹿にされないか?
妻からされる行為でつらいけど、DV被害って主張していいのか?
どうすればいいかわからないけど、現状を変えたい
この記事をご覧になっている方の中にも、妻からのDVに耐え忍んでいる方がいるのではないでしょうか。しかし、冷静に考えていただければおわかりかと思いますが、
・人が他人に暴力的な行為をするのは犯罪として刑事責任を問われる可能性のある行為
・不当に人権を侵害する行為として民事責任も問われる行為
もちろん、このような行為が学校や職場で行われれば、場合によっては「いじめ」や「ハラスメント」という評価を受けて、加害者に何らかの責任を問うことは自然なことと言えます。
そうすると、たとえ男性であってもDV被害を訴えることはなんら恥ずかしいことではないと思います。
この記事では、男性がDVを相談できる窓口をご紹介するとともに、DVに関する統計、被害を受けた際の対処法と注意点、離婚の手順と直面しやすいトラブルを解説します。現状を変えるための方法として、ぜひ参考にしてみてください。
弁護士に相談することで、
・法的な観点から解決策を提示してもらえる
・婚姻費用や親権など男性が不利になりやすいポイントと対策を知ることができる
離婚を切り出す前に相談・準備しておくことで、スムーズに対応することができるでしょう。
ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)なら、地域別・19時以降に相談可能・無料相談を受け付けている弁護士事務所などを見つけることができます。
まずは、こちらからご相談ください。
ここでは、男性がDVを相談できる窓口をご紹介します。
公的機関によるDVの相談窓口なら、次の3つがあります。
概要 |
|
DV相談ナビ |
「どこに相談すればよいのかわからない」といった人向けの電話相談サービス 電話番号:0570-0-55210 利用には通話料がかかります。 |
配偶者暴力相談支援センター |
配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を目的とした公的機関で各都道府県に設置されている |
インターネット人権相談窓口 |
法務省が受け付けている人権侵害に関するメール相談窓口 メール相談はこちらから 電話は人権110番・電話番号:0570-003-110 電話受付時間:平日8:30~17:15まで |
よりそいホットライン |
24時間無料で相談を受けている電話相談窓口 電話番号:0120-279-338 |
インターネット人権相談窓口なら、メールでの相談も可能です。また、よりそいホットラインなら、DVに限らずセクシャルマイノリティの相談、自殺防止、性暴力など多様な相談も受け付けているため、かえって相談しやすいのではないでしょうか。
DV被害を受けている場合に、相談できる公的機関が配偶者暴力相談支援センターです。配偶者暴力相談支援センターでは、相談やカウンセリング、援助、保護などを行っています。
しかし、シェルターは利用対象者を女性に限定しているケースが大半であり、男性のDV被害には対応しきれていないのが現実のようです。
とは言え、裁判所に保護命令(接近禁止など)を申し立てるにあたっては、配偶者暴力相談支援センターか、警察への相談などを先行して行っていた方がスムーズであることも多いです。
したがって、DVの証拠を確保し(後述)、これら適切な相談機関に相談することも検討するべきでしょう。
DVが子供に及ぶのではないか
子供だけはDVから守りたい
子供がDVを目撃していて心配
といったケースでも相談できるのが児童相談所です。児童相談所は虐待を受けている子供の保護などだけでなく、家庭の問題や育児についても相談することができます。
DV行為にも当然程度がありますし、児童の保護にも一定の手続がありますので、DVがあるからといって、子が直ちにかつ強制的に引き離されるということはありません。そのため、悩んでいる場合はまず相談するべきでしょう。
DVの被害者の中には、「お子さんのために自分がガマンすればいい」「子供から親を取り上げてはいけない」と考えて堪える道を選んでしまう方もいるといいます。
しかし、お子さんの目の前で両親がケンカをすることだけでも子供は傷つくと言われています。ましてや両親の一方が他方に対してDV行為を繰り返しているような場面を継続して見せる行為は、一種の心理的な虐待といえます。
DVを目撃し続ければ、お子さんの育成に悪影響であるのはもちろん、暴力を問題解決の手段だと誤った認識を持ってしまう可能性もあります。
そのため、DV行為が繰り返されているのに、ただただ堪え続けるということは、お子さんのためにもならないのです。まずは一歩踏み出して、関係機関に相談してみることを検討して下さい。
妻との離婚条件でもめている、親権の帰属で争いとなっている、妻からDV被害を捏造されて困っているなど、既に難しい状況に陥っているのであれば、弁弁護士に相談するのが適切でしょう。
公的機関に相談しても解決しないという場合も、弁護士への相談を検討するべきでしょう。弁護士の仕事の一つには人権侵害を受けている人の救済も含まれます。
もちろん弁護士への依頼には公的機関と違い、当然費用が発生します。しかし、費用が発生するからこそ、プロ意識を持って、あなたのために戦い味方となってくれます。
【関連記事】弁護士に無料法律相談できるおすすめ相談窓口|24時間・電話相談OK
DV妻と離婚したいけど、離婚に応じてもらえないどころか、さらに暴力を振るわれそう
離婚の条件についてきちんとした協議ができない
裁判所にDV被害を理由として保護命令を出してもらいたい
親権は自分が獲得したい
とお考えなら、弁護士にご相談ください。男性なのに女性から暴力を受けていることやDV被害を受けていることを知られるのは恥ずかしいという気持ちもあるかもしれません。
しかし、産経ニュースによると、男性のDV被害による弁護士への相談は4~5年で増加しており、決して珍しいことではなくなっています。
【参考】産経ニュース|男性に広がる被害、支援窓口が少なくて… 「このままでは危ない」
弁護士であれば、代理人としてあなたの妻と離婚について交渉してくれますし、もしDV被害が緊急性のあるものであれば、裁判所に保護命令の申立てを行うことも検討してくれるでしょう。
例えばですが、離婚してもそう簡単に職場を変えることができないようなケースでは、離婚/別居をしても元妻/別居中の妻が職場などに押し掛けてくるケースもあるという話もあります。
こういうことが予想される場合には、裁判所に対する保護命令申立てを検討するべきでしょう。また、妻/元妻からのDV行為によって被害を被ったことの証拠があれば、これに基づいて相手に慰謝料を請求することも可能です。
なお、従前より、離婚時の親権帰属は父親が圧倒的に不利と言われていますが、妻側に継続的なDV行為があり、子の養育者としてふさわしくないということを的確な証拠をもって説明できるような場合は、父親であっても親権を獲得できる可能性もゼロではありません。
法的な知識・経験のない本人のみで戦いに挑んでも難しいケースのほうが多いです。そのため、妻に離婚を切り出すよりも先に、まず弁護士に相談して、的確なアドバイスを受けるべきです。
あなたの希望に沿った対処法や解決策を提示してくれるでしょう。
近年話題となっているのが、DV被害の事実がないのに、DVを受けていると主張されるケースです(本記事では便宜上「虚偽DV」という書き方をします。)。
虚偽DVは卑劣な手段といえますが、これに的確に対処法することは簡単ではありません。
虚偽DVを理由として離婚調停を申し立てられた場合、DV被害があるという前提で協議が進んでしまい、親権や慰謝料などの点で著しく不利な内容で離婚を余儀なくされるということもあるかもしれません。
もし妻から虚偽DVの主張が行われ、離婚を迫られているという状況であれば、すぐに弁護士に相談してください。
【参考】産経ニュース|虚偽DV訴訟、親権のための法的テクニック 社会問題化「制度見直すべきだ」
妻からのDVをなんとかしたいと思いつつも、離婚までは考えていない
妻にDVやモラハラをしてしまうがそれを治したい
とお考えなら、カウンセラーに相談すべきです。
ひとえにカウンセラーといってもさまざまなカウンセラーがいますが、相談するなら臨床心理士や認定心理士、そして夫婦カウンセラーなどの資格を有しているカウンセラーに相談しましょう。
離婚したくない・夫婦関係を改善したいとお考えなら『夫婦関係の改善』を目的として、『夫婦カウンセラー』に相談してみるというのは、一つの方法です。
なお、妻によるDV行為が執拗に繰り返されており、妻が明らかに自制できない状態であったり、妻の精神状態が非常に不安定と感じることがあれば、一度、心療内科や精神科の受診を検討するべきです。
このような場合、妻もDVを止めたくても止められない状態に陥ってしまっているケースがあり、治療を要することもあると思われます。このような治療によって問題が解決するということもあると思われます。
男性のDV相談には、DVの加害者になってしまって、改善したいといったものもあるようです。
もし妻にDV・モラハラをしていると感じており、自分でも止めたいのに止められないと感じているのであれば、積極的にカウンセラーに相談してみましょう。
また、このように自制できない状態が続いている場合、一度、心療内科や精神科を受診することも検討しましょう。一人で悩んでも解決する可能性は低いです。そのようなときは専門家の力を借りるべきです。
冒頭でお伝えした通り、男性のDV被害は深刻です。内閣府男女共同参画局が公表している2018年の「男女間における暴力に関する調査報告書」によると、男性の約5人に1人はパートナーから暴力を受けたことがあると回答しています。
にもかかわらず、冒頭でお伝えしたように、女性の6割は相談しているのに対して、男性の7割はどこにも相談していません。
DVに関する相談は2018年で約7万人、そのうち約20%が男性であるとすれば、被害を受けている男性は約1万4,000人。相談したのは3割に過ぎないと考えれば、潜在的な人数はもっと多いと考えられるでしょう。
DVの被害を受けて悩んでいる男性はあなただけではありませんし、決して恥ずかしいことでもありません。あなたがされた行為で苦痛を覚えているのであれば、それを軽視しないでくださいね。
DVには、よく知られている物理的・身体的な暴力から、精神的な暴力、性的な暴力、そして経済的な圧迫といった種類があります。もしこういった行為でつらいと感じているのであれば、相談しやすい相談窓口で相談してみましょう。
【参考】内閣府男女共同参画局|平成29年 男女間における暴力に関する調査報告
男性のDV被害に関しては、声を挙げている男性たちによって、年々認知が広まってきています。
ネット上でも参考になる意見が見つかるかもしれません。しかし、パートナーからのDVは、各家庭や奥さんの性格によっても、的確な対応は異なるでしょう。
加害者がどんな心理なのか、知ることは簡単ではありませんし、誤った対応をすれば、悪化したり、辛うじて保っていた均衡が崩れてしまったりする可能性もあります。
素人判断を下したり、思い込みで対応したりせず、客観的な目を持った第三者に相談をして解決していくのが、奥さんのためにもなるのではないでしょうか。
男性のDV被害は、まずはDVがあるという事実を客観的に明らかにすることです。男性のDV被害者は、潜在的な数が多いであろうと考えられますが、被害に対して相談数は、お伝えした通り多くはありません。
また、世間一般では、DVは男性が女性にするものという意識が根強く、男性がDV被害を訴えても「考え過ぎではないのか」と本気にしてもらえないこともあると言われています。
だからこそ、あなたの身に起きていることが事実であることについて、外部者からも目で見える形にすることが大切なのです。ここでは、DVを受けた際にすべきことと注意点を解説します。
上記の通り、男性が被害者であるDVは周りからは認識しづらい状況にあります。
そのため、もしあなたが男性で、女性である相手配偶者からDV被害を受けているのであれば、DV行為があることを証明できる客観的証拠をできるだけ集めるよう努めましょう。
このような証拠は仮に今後離婚する上でも協議・交渉の中で必ず役に立ちますし、離婚しない場合でもカウンセラーに相談する際の参考資料として役に立ちます。
あくまで一例ですが、DV被害を立証し得るような証拠としては次のようなものが考えられます。
DVは密室で行われることから、継続的なDV行為があることを立証することは容易ではありません。そのため、できる限り複数かつ数種類の証拠を押さえておくことがベストです。
妻のDV行為に絶えられなくなり別居を開始したという場合に、妻が自宅まで押しかけてくるため恐怖を覚えるということもあるようです。
このような場合は、民事的に対応する方法(保護命令申立てを行う等)もありますが、ストーカー規制法に基づいて刑事的に対応するという方法もなくはありません。
ストーカー規制法は、法文上は、夫婦間であることが免責理由とはされていませんので、たとえ夫婦関係が維持されていたとしても、同法の禁止するストーカー行為に該当するような場合は、規制の対象となります。
したがって、DV妻により執拗につきまとわれているという場合、警察署への相談も検討するべきかもしれません。もっとも、夫婦関係がある場合には警察は事件性の有無を相当慎重に検討するはずです。
したがって、別居を開始することとなった経緯についての証拠(妻とのメールのやり取り等)や、ストーカー行為が行われていることの証拠(動画や音声、相手からの嫌がらせLINE・メールなどのやり取り等)を相談時に持参して、事件性があることを理解してもらう必要があります。
【関連記事】警視庁|ストーカー規制法
DVを受けた際にやり返すというのは決して得策ではありません。例えば、DV行為に対して反撃したところ、当該反撃を捉えて「DV被害を受けている」と逆に主張されてしまうというケースは容易に想定できます。
結果、真実は自身がDV被害者なのに、周囲からはDV加害者だと認識されてしまう可能性があります。
こうなってしまっては、例えば相手が警察に被害申告をして刑事事件として立件されてしまう、離婚協議の場において慰謝料を請求されるなど不利な立場に置かれる、離婚した場合でも親権を取れず、かつDV被害を理由にして子供に会わせてもらえないなどということも考えられます。
後述しますが、有責配偶者となれば離婚するのも難しくなってしまいますし、別居ともなれば婚姻費用が発生し続け、金銭的な負担も大きいものとなります。
このように、妻のDV行為にやり返すことは大きなリスクが伴います。したがって、やり返すよりも当該DV行為を耐えながら、DV行為があることを示す証証拠収集に努める方が賢明です。
ここでは、知っておきたい離婚の手順と離婚で生じやすいトラブルについて解説します。
一般的な離婚の手順は、まず夫婦で協議を行い、まとまらなければ、離婚調停を申し立てることになります。離婚調停では、家庭裁判所で調停員の仲介により離婚の可否、離婚条件について話し合いを行います。
話合いがまとまれば調停が成立しますが、不調となった場合、審判移行するか、調停終了に伴い離婚訴訟を提起するということになります。
しかし、DV妻との間では、円滑な協議離婚を行うことは難しいかもしれません。このような場合は、住まいを管轄する家庭裁判所に、離婚調停を申し立てることを検討しましょう。
調停を申し立てているのに、今まで通り同居するのは難しい場合もありますので、どのタイミングで別居すべきか弁護士に相談してください。
後述しますが、別居中の相手の生活費もあなたが負担しなければならない可能性がありますので、長期戦は避けたいところです。
なお、上記で記載したように、妻によるDV行為について的確な証拠を集めておけば、このような離婚調停等の手続で有利に立つこともできます。
したがって、弁護士に相談する際は、収集すべき証拠や収集方法についても的確なアドバイスをもらいましょう。
【関連記事】
●離婚調停(夫婦関係調整調停)とは|流れと費用・進め方を徹底解説
離婚訴訟を通じて離婚する場合には、離婚を可とする法定の理由(法定離婚事由)が必要となります。
DV行為は、直ちに法定離婚事由に該当するものではありませんが、その程度によっては法定離婚事由の一つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。
DV行為は、相手に対する暴力等を伴いますので、当然不法行為として損害賠償請求の対象となります。この場合の慰謝料額は被害の有無・程度に応じて決まりますので一概にはいえません。
被害の程度が低いのであれば被害額は10~50万程度でしょうが、被害の程度が大きいのであれば100万~500万円程度の請求が可能な場合もあるようです。あくまでケースバイケースです。)。
なお、このような慰謝料が発生し得るケースでは、離婚時の財産分与において、相手の支払義務と分与請求権を相殺処理するということもあり得ます。
DV行為が犯罪といえるような場合は警察に被害申告をすることで刑事事件として立件される場合もあります。
男性が離婚時に直面しやすいトラブルは次の通りです。
細かく解説します。
夫婦には、同居、扶助の義務が民法で規定されています。これは離婚せずに別居した場合でも、婚姻費用という形で収入の多い方が、少ない方に生活費を渡さなければなりません。
渡さなかった場合、婚姻費用請求調停が申し立てられてしまうということもありえます。
そのため、別居が長期間に及ぶと婚姻費用が膨らんでしまい負担が重くなるということもあり得ます。弁護士に相談をして、離婚をするにしても別居のタイミングを見計らう必要があります。
男性によるDV被害が世間で一般的に認知されていないことは上記のとおりです。これにより思うように離婚協議が進まなかったり、離婚条件で不利となってしまうということがあることも上記のとおりです。
したがって、DV被害についての証拠を集めることが重要ということも上記のとおりです。
この記事では次の点について解説しました。
繰り返しになりますが、妻のDVを解決するには、専門家の第三者の介入が不可欠です。ご自身で心を殺して対応してもよいですが、それでは身も心も持ちません。
奥さんのことを大切に思っているのであればなおさら、専門家に相談をして、改善をしていくか、あなたのお子さんのために距離を取る必要があります。
いずれにしても、ご自身が受けている被害の証拠をしっかりと押さえておいてください。その証拠は、あなたの心や体、お子さんなどの家族、財産を守ってくれるでしょう。
暴力行為は犯罪ですし、人権侵害行為です。性別関係なく、DV被害は男女いずれにも起こり得ることです。
自分だけがおかしいのではないか、恥ずかしいと考えることは、問題の解決を遠ざけてしまいます。まずは相談して、一緒に問題を解決していきましょう。
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