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多産DVが女性に与えるリスク。妻ができる対処法と相談先とは?

P&M法律事務所
林本 悠希
監修記事
多産DVが女性に与えるリスク。妻ができる対処法と相談先とは?
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多産DVとは望まぬ妊娠を繰り返させて女性の心身に負担を与え、経済や時間を拘束し、子どもを産むか産まないかという女性側の意思決定権を侵害するDVのことです。

夫が毎年のように妻を妊娠させていれば多産DVが疑われます。

また、夫が避妊に協力してくれなければ夫婦とはいえ、性暴力に該当する可能性があります。

子供がたくさんいる家庭は大家族と呼ばれ、一見楽し気で幸せそうに見えます。

しかし、それはあくまでも妻側がたくさんの子供を産むのを望んでいればの話です。

望まない妊娠・出産を繰り返すことで、女性の心身や尊厳は大きく傷つくでしょう。多産DVは時間の経過によって被害が大きくなる可能性があるため、正しい知識で早めの対応を取ることが重要です。

この記事では多産DVの判断基準や相談先、解決方法などを解説します。

あなたのご家庭に多産DVの可能性がある。もしくはお知り合いの家庭が多産DVかもしれない方はぜひ最後までご覧ください。

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「多産DVだから離婚の際に慰謝料を請求したい!」

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DVとは?

DVとは、Domestic violence(ドメスティック バイオレンス)の略称です。日本語では家庭内暴力に該当します。

一般的には家族や恋人への暴力行為がDVとして認識されています。

しかし、最近では次のように直接的な暴力以外のDVも取り上げられるようになりました。

  • 精神的DV…怒鳴る、無視する、脅迫など精神的に追い詰める言動
  • 経済的DV…買い物の決定権がない、度が過ぎた購入履歴の確認など
  • 性的DV…避妊をしない、中絶を強要するなど

そして新たに認知されるようになったのが多産DVです。

多産DVとは?

多産DVとは、その名のとおり、望まぬ妊娠を繰り返させて女性の心身に負担を与え、経済や時間を拘束し、子どもを産むか産まないかという女性側の意思決定権を侵害するDVのことです。

もちろん夫婦の同意があり、計画的な妊娠であれば多産でも問題はありません。

しかし、望まない妊娠と出産を繰り返しているならそれは多産DVに該当するかもしれません。

多産DVは産婦人科では当たり前?

下記のツイートのように産婦人科では多産の場合DVを疑うようです。

また、ヨーロッパの産婦人科では多産の場合はDVを疑うのが常識になっているという投稿もあります。

多産DVは産婦人科ではよく用いられるようですが、一般的に普及し出したのはここ最近のようです。

多産DVは2018年頃から用いられるようになった

多産DVという言葉をインターネット上で散見されるようになったのは2018年頃からといわれています。

また、多産DVという言葉は使われていませんが、2016年12月には多産を危惧する記事がすでに公開されていました。

子供がたくさん欲しい男性は支配欲や独占欲が強い傾向にあり、妻の健康状態に配慮できないリスクの高い存在として記事では警告しています。

また、海外でも多産DVは生殖の乱用・強制(Reproductive Abuse・Coercion)として認知されているようです。

多産DVを疑うべきケース

それでは多産DVの可能性があるケースを見ていきましょう。

夫が避妊に協力しない

夫婦とはいえ、性行為の強要は性暴力に該当するでしょう。

また、避妊について夫と話し合いができれば良いですが、怒鳴られたり暴力を振るわれたりするようであればそれらもDVに該当します。

夫と離婚しない限り今後も望まぬ妊娠を繰り返す多産DVが行われる可能性が高いでしょう。

4人以上妊娠している

下記のツイートのようにあなたが明確に拒否しているにも関わらず、夫があなたの意向を無視して4、5人目を望んだ場合には多産DVを疑った方が良いかもしれません。

もちろん数字はあくまでも目安です。また、子供たちの年齢がそれぞれ離れているなど妊娠に計画性があれば問題ないでしょう。

しかし、あなたが望んでいないにも関わらず子供を短期間(年子)で妊娠・出産している場合は多産DVを疑うべきです。

大家族である

子供がたくさんいる大家族で、妻が望まぬ妊娠を繰り返しているなら多産DVの可能性があるでしょう。特に年子の大家族は要注意といえるかもしれません。

たとえば年子が3人続いているようであれば先ほどのツイートのように多産DVの可能性があります。

子育てだけでも大きなストレスがかかると言われていますから、妊娠しながらの子育ては女性にとってより大きな負担になるのではないでしょうか(参考:育児ストレスをお金に換算したら1年で800万円だった _ ハフポスト LIFE)。

あなたが望んでいない妊娠であればなおさらでしょう。今以上に子供が増える前に避妊してもらうか、離婚を決断した方が良いでしょう。

多産DVのリスク

多産DVは子供を産むほど解決策が限られていくというリスクがあります。

子供が増えて離婚しにくくなる

多産DVのリスクは子供が増える度に離婚しにくくなり、夫から逃れられなくなることです。

子供が1人であっても金銭的な問題や子供への影響を考えて離婚を戸惑うのが一般的ですから、子供の人数が多ければ多いほど離婚に踏み切れなくなるでしょう。

子供が自立してから離婚を決断する選択肢もありますが、子供の人数が多い場合には子供の自立完了まで時間がかかりますからそのような選択は現実的ではないかもしれません。

加えて多産DVの場合は夫といる限り子供が増える可能性があります。となると子供の自立がさらに先延ばしになり、離婚のタイミングがやってきません。

また、離婚後は金銭的に困窮する可能性もありますから、離婚したくてもたくさんの子を抱えるシングルマザーになる決断ができない場合もあるでしょう。このように子供が増える度に多産DVから逃れにくくなるリスクがあるのです。

経済・時間的に自由がなくなる

妊娠中はもちろん、出産後も女性は育児で自分の時間を確保しにくいでしょう。

もし年子であれば数年間は子育てに多くの時間を費やす必要があります。

そして子供の数が増えれば増えるほど必要になるのがお金です。

子供1人を大学まで進学させると1人あたり3,000万円以上必要になる試算が出ています。

中学生までで考えてもおよそ1,900万円です。仮に子供が5人いたら義務教育までで合計1億円近いお金が必要になります。

こうして多産DVは経済と時間の自由も奪うのです。

女性の健康問題

多産DVは女性の心身に大きなダメージを与えるでしょう。

なぜなら子供は1人生むだけでも命がけだからです。妊婦の方が死亡するリスクは下記のように様々存在します。

グラフ, 円グラフ自動的に生成された説明

【引用元】妊産婦死亡報告事業 2019|日本産婦人科医会

また、女性は出産後も体調や精神が不安定な時間が続くはずです。

年子の子供が複数いれば夜泣きによる睡眠不足に何年も悩まされるでしょう。

これらのリスクがあるにも関わらず避妊に協力してくれず強制的に妊娠させられているなら、多産DVは女性の人権を無視していると思いませんか?

まるで子を産み、育てるためのロボットのような生活をさせられるリスクが多産DVにはあるのです。

ではそんな多産DVから逃れるための解決方法はどんなものがあるのか、次項で見ていきましょう。

多産DVの解決方法

多産DVから逃れる、または未然に防ぐ解決方法は次の3つです

  1. 多産DVについて夫と話し合う…一番望ましい解決方法
  2. 自分で避妊をする…離婚したくない場合の解決方法
  3. 夫と離婚する…子沢山のシングルマザーになる可能性がある

多産DVについて夫と話し合う

そもそも多産DVを夫が知らない可能性は高いです。

また、良かれと思って避妊していない可能性もあるかもしれません。

夫婦で子供は何人ほしいのか、また、避妊についても話し合いましょう。

そして多産DVを夫に理解してもらうのが大切です。

もし話し合いの際に暴力を振るわれたり怒鳴られたりしたら、それを理由に離婚するのも良いでしょう。

自分で避妊をする

もう子供を産みたくない場合は、あなただけでも避妊をしましょう。

女性が自分で行える避妊は主に次の4つがあります。

  1. ピル(経口避妊薬)
  2. 子宮内避妊具
  3. 不妊手術
  4. 緊急避妊ピル

その他に女性用コンドームもありますが、夫に気が付かれるリスクがあるのでおすすめしません。

またそれぞれの避妊方法に副作用やメリット、デメリットが存在します。自分の状況に応じて最適な避妊方法を選びましょう。

夫と離婚する

最終手段として離婚する選択肢があります。

しかし、先述したように離婚をするとシングルマザーとして、たくさんの子供の面倒を見ることになります。さらには仕事もしなければいけません。

人によっては今の状況よりも負担が増す可能性があります。

ですから離婚に関しては慎重に決断すべきでしょう。

たとえ育児や家事に追われていても、夫が暴力的でなく日常生活を安全に過ごせるなら離婚しない方が良いかもしれません。逆に夫が日常的に乱暴で子供やあなたに危害を加える恐れがあるなら、離婚した方が良いでしょう。

【ケース別】多産DVの相談先

多産DVの解決が期待できる相談先を4つ紹介します。

産婦人科|自分の状況が多産DVか知りたい方向け

今のあなたの状況が多産DVに該当するのか、自分で判断できない方は産婦人科に相談しましょう。

かかりつけの産婦人科の先生であれば専門知識があるのはもちろん、あなたの体調や心境も熟知しているのではないでしょうか。妊娠期間であれば数回~数十回診察を受けられる診察の期間を利用して、多産DVの疑いがあればアドバイスしてくれるでしょう。

また、内科や精神科など他の機関と連携してあなたのケアを行えます

中絶という選択肢について相談できるのも産婦人科です。

女性に寄り添ってくれる機関ですから、まずは産婦人科に相談するのが適切です。

自治体のDV相談窓口|電話で相談したい方向け

各自治体にはDVの相談窓口があります。

地元の窓口であれば足を運びやすいでしょうから、手軽に相談できるでしょう。

無料で電話相談ができますし、匿名でも大丈夫です。

もし窓口の番号が分からない場合は次の2つの番号をご利用ください。

DV相談ナビは相談時間内であれば最寄りの窓口につながり、相談ができます。

DV相談+は電話やSNSのチャット・メール相談が可能です。また10か国語に対応しており、web面接も可能です。

子供がたくさんいて、1人で移動するのが困難な場合は各DV相談窓口をご利用ください。

配偶者暴力支援センター|保護を希望する方向け

こちらも各自治体が用意している窓口ですが、専門の担当者によるカウンセリングを受けられます。

その他にも配偶者暴力支援センターでは次の支援を受けられます。

  • 相談や相談機関の紹介
  • カウンセリング
  • 被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護(※)
  • 自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助
  • 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
  • 保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助

※一時保護については、婦人相談所が自ら行うか、婦人相談所から一定の基準を満たす者に委託して行うこととなります。

【引用元】全国の配偶者暴力相談支援センター|内閣府男女共同参画局

地域によっては他の窓口が兼務している場合もあります。利用する際は事前にご確認ください。

弁護士|離婚したい方向け

もしも離婚をしたいなら弁護士が適切な相談先です。

DVで離婚する場合には慰謝料を請求できます。また、裁判を行う際には保護命令(※)を裁判所に出してもらえます。

※保護命令…被害者からの申立てにより裁判所が発令する命令。接触禁止、退去命令、電話禁止の3種類の命令がある

あなたの安全を保障しつつ離婚に関するすべての手続きを任せられるのが、弁護士に依頼するメリットです。

しかし弁護士に依頼をした場合は弁護士費用がかかります。離婚裁判になると70~110万円が費用の相場です(着手金、成功報酬込み)。

それでも離婚に関する手続きを依頼できる唯一の存在が弁護士です。

「どのように多産DVから逃れるか」「離婚後も安心して子供を育てていくためにどうすればいいのか」など、法的な観点からのアドバイスをもらえるでしょう。

弁護士費用の詳細を知りたい方は「離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・支払いの際の注意点」でご確認ください。

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弁護士がDVを解決した事例

それでは実際に弁護士がDVを解決した事例を紹介します。

事例① 離婚後に慰謝料を請求した事例

被害者は継続的に家庭内暴力を受けていました。そのDVが原因でパニック障害になり、病院に運ばれるなど重症でした。また相手は不貞行為を行っており夫婦関係も最悪なケースです。

以上の状況から離婚を成立させた被害者は慰謝料を請求したのです。

結果、精神的苦痛に対して200万円、不貞行為と弁護士費用の20万円。あわせて220万円の支払いの判決となりました。

  • 裁判年月日 令和 2年 2月19日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
  • 事件番号 平31(ワ)8659号
  • 事件名 損害賠償請求事件
  • 文献番号 2020WLJPCA02198017

事例② 相手と顔を合わせずに離婚できた事例

お次はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)編集部が弁護士事務所からヒアリングした事例です。

相談者は子供産んで以降、夫のモラハラや亭主関白な性格に悩んでいました。

そして子供が自立したタイミングで離婚を決断したのです。

ところが夫に離婚の旨を伝えると暴言を吐かれ、協議できる状況ではありませんでした。

そこで別居の折に弁護士に依頼したのです。結果的に弁護士は離婚調停で離婚を成立させました。

このように弁護士が代理で介入すると相手と顔を合わせずに離婚を進められます。

事例 ③モラハラ夫から生活費と別居を確保して離婚した事例

こちらもベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)編集部が弁護士事務所からヒアリングした事例です。

相談者の女性は夫からモラハラを受けていました。日々の生活に耐えかねて別居を望んでいましたが、生活費の懸念があったため弁護士へ相談しました。

弁護士はまず別居をしてから、生活費の申し立てを行いました。結果的に生活費を確保しつつ、離婚を成立できました。

シングルマザーになった際に利用すべき支援制度

最後にあなたがシングルマザーになった際に利用すべき支援制度を紹介します。

これらを知っていれば経済的理由で離婚をためらっているあなたでも、多産DVから逃げられるかもしれません。

シングルマザーが受け取れる手当や助成金は主に7種類存在します。

  • 児童手当…中学卒業までの子供に支給
  • 児童扶養手当…0~18歳の子供に支給
  • 住宅手当…20歳未満の子供を養育している家庭
  • 医療費助成制度…0~18歳の子供に支給
  • こども医療費助成…医療費の自己負担分の一部が助成。
  • 特別児童扶養手当…条件を満たした20歳未満の子供を対象に支給
  • 児童育成手当…18歳までの児童を対象に支給

これらに加えて障害児福祉手当、母子家庭の遺族年金もあります。

そして万が一あなたが働けない場合は、生活保護という選択肢もあります。

それぞれの受給条件や金額は自治体によって変動します。また、電車やバスの割引制度や保育料の免除なども利用できます。支援の詳細に関しては「母子家庭(シングルマザー)に役立つ17の手当て・支援制度を徹底解説」をご確認ください。

まとめ

DVは暴力だけに限らず精神や経済的なDVも存在します。

中でもこの記事で解説した多産DVは女性の体と心に大きな負担を与えるでしょう。

子供が増えると共に経済や時間的にも拘束されて、母親には個人としての時間が殆ど無い状態になってしまいます。

多産DVから逃れるためには早期から対策を行いましょう。まずは自治体や産婦人科に相談するのが適切です。

また、離婚を選択する際は弁護士に相談しましょう。弁護士であれば夫からあなたの身を保護して、慰謝料の請求ができます。

とはいえ、夫が多産DVを認知していない可能性もあります。まずは夫婦間で子供が何人ほしいのか話し合い、避妊してもらいましょう。

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この記事の監修者
P&M法律事務所
林本 悠希 (大阪弁護士会)
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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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