離婚後の生活費はいくら必要?目安や確保する方法・請求できるお金を解説
離婚を考えているものの、「離婚後の生活費はいくら必要なのか」「自分の収入だけで生活できるのか」と不安に感じている方もいるでしょう。
離婚後に必要な生活費は、単身で暮らす場合と、子どもを引き取ってひとり親になる場合とで大きく異なるため、自分の状況に合わせた試算が必要です。
また、離婚時には財産分与や養育費、慰謝料などを受け取れる場合があり、公的支援を利用できる可能性もあります。
本記事では、離婚後に必要な生活費の目安や生活費を確保する方法、離婚時に配偶者へ請求できるお金について解説します。
離婚後の経済的な不安を減らしたい方は、ぜひ最後まで本記事をご確認ください。
離婚後の生活費の目安|いくらくらい必要?
離婚後の生活費は、単身世帯なら月17万円程度、母子世帯なら月22万円程度がひとつの目安です。
世帯人数や住む地域によって異なるため、自分の状況に合わせて資金計画を立てましょう。
1.単身世帯の場合
子どもを引き取らず一人で暮らす場合、1ヵ月の生活費は17万円程度がひとつの目安です。
総務省の2025年家計調査によると、単身世帯の消費支出は月平均17万3,042円で、内訳は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食費 | 4万4,659円 |
| 住居費 | 2万1,667円 |
| 水道光熱費 | 1万3,333円 |
| 交通・通信費 | 1万9,190円 |
| 教養娯楽費 | 2万250円 |
| 交際費 | 1万5,629円 |
※一部抜粋
ただし、統計上の住居費には持ち家の世帯も含まれています。
離婚を機に賃貸住宅へ転居する場合は、地域によって家賃負担が平均より大きくなる可能性があります。
まずは家賃や食費など自分に必要な金額を計算し、無理なく暮らせる収入を確認しましょう。
2.ひとり親世帯の場合
子どもを引き取って母子家庭などになる場合、生活費は月22万円程度がひとつの目安です。
2024年の全国家計構造調査によると、母親と18歳未満の未婚の子どもからなる母子世帯の消費支出は月平均約21万6,000円で、内訳は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食費 | 約6万534円 |
| 住居日 | 約3万1,132円 |
| 水道光熱費 | 約1万7,512円 |
| 交通・通信費 | 約2万4214円 |
| 教養娯楽費 | 約1万9,890円 |
| 交際費 | 約1万9,890円 |
| 教育費 | 約1万2,755円 |
※一部抜粋、小数点以下四捨五入
単身の場合に必要な住居費や食費などに加え、子どもの食費、衣服、学校教育費なども必要になります。
総務省の調査でも、母子世帯は夫婦と子どもがいる世帯と比べ、住居や光熱・水道、教育などの支出割合が高くなっています。
ひとり親の場合は、自分の給与だけでなく、養育費や児童扶養手当なども含めて家計をシミュレーションしましょう。
離婚後の生活費を元配偶者に請求できる?
離婚後、元配偶者に生活費を請求することは原則としてできません。
離婚が成立すると夫婦の扶養義務・支払い義務はなくなるためです。
子どもを引き取って暮らす場合は子どもの生活費や教育費を養育費として請求できますが、親自身の生活費は含まれません。
ただし、資力の差が大きく自活が難しい事情がある場合は、離婚後の生活費を補う扶養的財産分与が認められるケースもあります。
財産分与の一種として、一定期間・一定額の支払いを受けられる可能性があるため、該当しそうな場合は弁護士へ相談してみましょう。
離婚前の別居中には婚姻費用を請求できる
離婚前に別居している場合、収入の少ない側は、相手に婚姻費用として生活費を請求できます。
婚姻費用には、夫婦それぞれの生活費のほか、子どもの食費、住居費、教育費、医療費なども含まれます。
金額は、夫婦双方の収入や子どもの人数・年齢などをもとに決めるのが一般的です。
家庭裁判所では婚姻費用算定表が目安として使われます。
話し合いで支払ってもらえない場合は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所などへ婚姻費用分担請求調停を申し立てられます。
調停で合意できなければ審判へ移り、裁判官が金額を決定します。
離婚してから別居中の婚姻費用をさかのぼって請求するのは原則できないため、別居期間中に請求しましょう。
離婚後の生活費を確保するための4つのポイント
離婚後の生活費を安定して確保するには、自分の収入だけに頼らず、養育費や公的支援など複数の方法を組み合わせることが大切です。
1.自分で働いて収入を増やす
離婚後の生活費を確保する基本的な方法は、自分自身で安定した収入を得ることです。
現在専業主婦の場合は就職を検討し、パート勤務の場合は勤務時間を延ばしたり、正社員への転換を目指したりする方法があります。
ひとり親向けには、資格取得などを支援する自立支援教育訓練給付金や、高等職業訓練促進給付金などの制度も用意されています。
離婚直後だけでなく、数年後の生活も考えて、継続的に収入を得られる働き方を検討しましょう。
2.実親などから援助を受ける
離婚直後で生活基盤が整っていない場合は、実親や親族から一時的な援助を受ける方法もあります。
離婚に伴って転居する場合、敷金・礼金や引っ越し代、家具・家電の購入など、まとまったお金が必要になることがあります。
実家へ一時的に戻れば住居費を抑えられるほか、子どもの送迎などを家族に手伝ってもらうことで働く時間を確保しやすくなる場合もあるでしょう。
援助を受けられる状況であれば、生活が安定するまでの選択肢として検討してみてください。
3.公的な支援制度を活用する
ひとり親や所得が低い世帯では、公的な支援制度を利用できる場合があります。
代表的な制度には、所得などの要件を満たすひとり親に支給される児童扶養手当や、高校生年代までの子どもを対象とした児童手当があります。
そのほか、自治体によっては医療費助成、公営住宅、就業・資格取得支援などを利用できる場合があります。
生活を維持することが難しい場合には、生活保護の相談も可能です。
利用できる制度は所得や子どもの人数、自治体などによって異なります。
離婚前後に市区町村のひとり親家庭に関する窓口へ相談し、利用できる制度を確認しましょう。
4.離婚時に請求できる金銭を適切に受け取る
離婚する際は、財産分与や養育費など、相手に請求できるお金を適切に確保することも大切です。
主なものには、婚姻中に夫婦で築いた財産を分ける財産分与、子どものための養育費、不貞やDVなどがあった場合の慰謝料があります。
また、離婚前に別居している場合は、原則として離婚が成立するまで婚姻費用を請求できます。
養育費などの取り決めは口約束だけで済ませず、書面に残しましょう。
未払い時に円滑に強制執行するため、公正証書や裁判所の調停・審判などで取り決めておくことも有効です。
離婚時に配偶者に対して請求できる主なお金
財産分与や養育費、慰謝料、年金分割は「離婚後の生活費」そのものではありません。
しかし、離婚後の生活基盤を整え、将来のお金に関する不安を軽減するために重要な制度です。
1.財産分与|夫婦の共有財産の分配を受けられる
婚姻中に夫婦が協力して取得・維持した財産は、財産分与の対象になります。
裁判所では、財産の取得・維持への寄与が異なることが明らかでなければ、夫婦の寄与は相等しいものとして扱われます。
そのため、実務上は2分の1ずつを基本として分けるケースが一般的です。
預貯金や不動産、自動車などが対象になる可能性があり、名義が夫・妻のどちらでも、婚姻中に夫婦の協力によって形成した財産であれば財産分与の対象となり得ます。
専業主婦であっても、家事や育児による貢献が考慮されます。
また、離婚後の生活状況などを考慮し、扶養的な要素を含む財産分与が認められる場合があることも覚えておきましょう。
2.養育費|子どもの生活費の一部を請求できる
離婚後も、父母はそれぞれの経済力に応じて子どもの養育費を負担します。
家庭裁判所の養育費算定表を金額の目安としてください。
支払い期間は、子どもが20歳になるまでと定めるのが一般的です。
ただし、法律で一律に20歳までと決まっているわけではありません。
大学進学を予定している場合などは、「大学を卒業する年の3月まで」「22歳に達した後の3月まで」など、家庭の事情に合わせて終了時期を決めることも可能です。
なお、2026年4月1日以降に養育費を取り決めず離婚した場合は、取り決めができるまで、子ども1人につき月2万円の法定養育費を請求できます。
ただし、あくまで暫定的な制度であり、実際に必要となる養育費より低い場合もあります。
離婚時には法定養育費に頼らず、具体的な金額や支払期間を取り決めておくことが望ましいでしょう。
3.慰謝料|相手に不法行為があれば請求できる
配偶者の不貞行為やDVなどが原因で離婚する場合は、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できる可能性があります。
単なる性格の不一致など、どちらか一方に不法行為と評価できる事情がなければ、原則として慰謝料は発生しません。
離婚慰謝料の相場は事案によって大きく異なりますが、50万円〜300万円程度がひとつの目安です。
たとえば、不貞行為では100万円〜300万円程度、DVでは50万円〜300万円程度とされるケースがあります。
慰謝料を請求する場合は、不貞を示す写真やメッセージ、DVによるけがの診断書など、相手の行為を裏付ける証拠を確保しておきましょう。
4.年金分割|婚姻期間中の厚生年金記録を分けられる
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦間で分割する制度です。
年金分割には、夫婦の合意などにより割合を決める「合意分割」と、一定の第3号被保険者期間を2分の1ずつ分ける「3号分割」があります。
離婚後すぐに現金を受け取れるわけではありませんが、将来の老齢厚生年金額に影響するため、忘れずに確認しましょう。
請求期限は、2026年4月1日以降に離婚した場合は原則として離婚日の翌日から5年以内です。
2026年3月31日以前に離婚した場合は原則2年以内となるため、早めに年金事務所などへ相談してください。
離婚後の生活費をシミュレーションするときのポイント
離婚後の生活費を考える際は、現在の家計をそのまま使うのではなく、離婚後の収入と支出を具体的に見積もる必要があります。
養育費の未払いや急な出費も想定し、余裕を持った資金計画を立てましょう。
収入と支出を漏れなく書き出す
まずは、離婚後に見込まれる収入と支出を一覧にします。
収入には、給与、養育費、公的手当などを含めます。
ただし、受給条件を満たすかわからない手当や、金額が未確定の養育費を確実な収入として計算しないよう注意しましょう。
支出は、以下のように細かく分けて整理します。
- 住居費
- 食費
- 水道光熱費
- 交通・通信費(自動車の維持費なども含む)
- 保険料
- 税金
- 社会保険料
- 教育費など
離婚によって住居や保険契約が変わる場合は、離婚後の金額で計算することが大切です。
毎月の収支だけでなく、引っ越し費用や入学費用など、特定の時期に発生する支出も年間単位で確認しましょう。
未払いのリスクや突発的な支出に備える
養育費は、相手の収入減少や失業などによって、支払いが遅れたり止まったりする可能性があります。
そのため、養育費を受け取れなかった場合も含め、複数の収支パターンをシミュレーションしておくことが重要です。
また、子どもの進学や病気、家電の故障、転居などにより、予定外の支出が発生することもあります。
毎月の生活費とは別に、数ヵ月分の生活費や臨時支出に備える資金を確保しておくと安心です。
養育費については、金額や支払日を具体的に取り決め、必要に応じて強制執行認諾文言付き公正証書を作成するなど、未払いへの備えも検討しましょう。
離婚後の生活費が不安なときに弁護士へ相談するメリット
離婚後の生活費に不安がある場合は、離婚条件を決める前に弁護士へ相談しましょう。
財産分与、養育費、婚姻費用、慰謝料など、相手へ請求できる可能性があるお金を整理してもらえます。
弁護士へ依頼すれば、相手との交渉だけでなく、離婚調停や離婚訴訟に必要な書類の作成・手続きも任せられます。
相手が財産を明らかにしない場合や、養育費などの金額で折り合えない場合も、法的な手続きを踏まえて対応してもらえる点がメリットです。
離婚成立後は婚姻費用を請求できなくなるなど、請求できるお金には期限や条件があります。
十分な生活費を確保できるよう、離婚届を提出する前から相談することをおすすめします。
離婚・慰謝料問題に詳しい弁護士は「ベンナビ離婚」へ
離婚後のお金について相談できる弁護士を探すなら、「ベンナビ離婚」を活用しましょう。
ベンナビ離婚では、地域や相談内容から、離婚・慰謝料問題に注力している法律事務所を検索できます。
初回相談無料、休日相談、オンライン相談などの条件でも絞り込めるため、自分に合った相談先を比較しやすいでしょう。
財産分与や養育費などの条件が決まっていない場合は、離婚を成立させる前の相談が重要です。
現在の収入や財産、子どもの有無、別居の状況などを整理し、早めに弁護士へ相談してみてください。
離婚後の生活費に関するよくある質問
さいごに、離婚後の生活費に関するよくある質問に回答します。
Q.離婚後の生活設計はいつ・どのタイミングで始めるべきですか?
離婚後の生活設計は、離婚を具体的に考え始めた段階から始めるのが理想です。
離婚届を提出する前に、離婚後の収入・支出などを見積もり、財産分与や養育費として確保したい金額を整理しましょう。
離婚条件を決めたあとでは、合意内容を変更するのが難しい場合があります。
すでに別居・離婚している場合も、請求期限のある手続きがあるため、できるだけ早く家計を見直すことが大切です。
Q.離婚しても元配偶者の借金を支払わなくてはいけないですか?
元配偶者が自分の名義で借りた借金は、離婚後に支払う必要は原則ありません。
浪費やギャンブル、個人の事業資金などの借金は、基本的に借りた本人が返済します。
ただし、自分が連帯保証人や連帯債務者になっている場合、共同で住宅ローンを組んでいる場合は、離婚しても支払義務が残ります。
家賃や食費など、夫婦の日常生活に必要な支出から生じた債務については、夫婦が連帯して責任を負う可能性がある点も注意しましょう。
夫婦間で「元配偶者がすべて支払う」と決めても、金融機関などの承諾がなければ支払義務はなくなりません。
契約書を確認し、自分が債務者や保証人になっていないか調べましょう。
Q.熟年離婚の場合に年金だけで生活できますか?
年金だけで十分に生活できるかは、受給額や住居費、貯蓄額などによって異なります。
2025年の家計調査では、65歳以上の単身無職世帯の実収入は月13万1,456円、消費支出は14万8,445円で、平均では支出が収入を上回っています。
熟年離婚では、財産分与や就労、年金分割なども含めて生活設計を考えましょう。
Q.離婚後に「今までの生活費を返せ」と言われたらどうしたらいいですか?
婚姻中に通常の夫婦生活のために支払われた生活費について、離婚の事実だけを理由に当然に返還しなければならないわけではありません。
ただし、夫婦間で貸付けの合意があった場合や、一方の特有財産を無断で使用していた場合などは、個別に精算が問題となる可能性があります。
相手から高額な返還を求められても、その場で支払いを約束せず、何の費用についてどのような根拠で返還を求めているのか確認しましょう。
判断が難しい場合は、相手へ返答する前に弁護士への相談をおすすめします。
さいごに|離婚後の生活費がどれくらい必要か確認しよう!
離婚を検討している場合は、離婚後にどれくらいの生活費が必要になるのか、できるだけ早い段階で確認しておきましょう。
離婚後は自分の収入だけでなく、財産分与や養育費、公的支援なども含めて生活資金を考えることが大切です。
特に財産分与や養育費などは、相手との話し合いだけでは適切な金額を判断できないことも少なくありません。
弁護士へ相談すれば、自分が請求できるお金を整理したうえで、必要に応じて相手との交渉や調停なども任せられます。
「ベンナビ離婚」では、離婚問題に注力する弁護士を地域や相談内容から探せます。
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