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不倫した側でも離婚できる?有責配偶者が離婚したい場合の進め方や注意点を解説

杉本 真樹
監修記事
不倫した側でも離婚できる?有責配偶者が離婚したい場合の進め方や注意点を解説

不倫をした側から離婚を切り出したいとき、「相手が離婚に合意してくれるのか」「慰謝料を払えば離婚できるのか」と不安に感じる方は多いでしょう。

結論からいうと、不倫した側でも相手が同意すれば、協議離婚や調停離婚によって離婚できます。ただし、相手が離婚を拒否している場合、不倫した側は「有責配偶者」とされやすく、裁判で一方的に離婚を認めてもらうハードルは高くなります。

本記事では、不倫した側でも離婚できるケースや相手に離婚を受け入れてもらうための条件、現実的な進め方、やってはいけない行動などをわかりやすく解説します。

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目次

不倫した側でも離婚できる?

不倫した側でも、相手が離婚に同意すれば離婚は可能です。

日本において離婚するための手続きは、協議・調停・裁判の3種類にわけられます。手続きによって進めやすさが異なるため、それぞれの手続きの特徴も合わせて確認していきましょう。

相手が同意すれば不倫した側でも協議離婚・調停離婚はできる

不倫した側であっても、配偶者が離婚に同意していれば、協議離婚や調停離婚によって離婚できます。

協議離婚は、夫婦双方に離婚の意思があり、離婚届を提出すれば成立します。不倫した側だからといって、離婚届の提出が禁止されるわけではありません。

ただし、相手がすぐに納得するとは限りません。不倫された側は、怒りや裏切られた気持ちを抱えている場合が多いでしょう。慰謝料や財産分与、親権、養育費などの条件で反発されるケースもあります。

夫婦だけで話し合いが進まない場合は、家庭裁判所の離婚調停を利用できます。離婚調停は、第三者である調停委員を交えて話し合い、離婚を目指す手続きです。

不倫した側が離婚を希望する場合は、条件面で譲歩する姿勢も必要です。弁護士を通じて冷静に交渉すれば、相手も条件を検討しやすくなるでしょう。

不倫した側は有責配偶者となるため裁判では離婚は認められづらい

不倫によって夫婦関係を壊した側は、有責配偶者とされやすいです。有責配偶者とは、不倫や暴力などによって、婚姻関係が破綻する原因を作った配偶者を指します。

相手が離婚を拒否している場合、有責配偶者からの裁判離婚は簡単には認められません。不倫した側が自分から離婚を求めると、信義則に反すると判断される可能性があるためです。

もっとも、有責配偶者からの離婚請求が絶対に認められないわけではありません。裁判では「不倫したかどうか」だけでなく、夫婦関係の実態も見られます。別居期間、子どもの有無、相手の生活状況などを含めて、総合的に判断されると考えましょう。

不倫した側からでも離婚しやすいケース

不倫した側からの離婚請求は、原則として難しい立場にあります。

ただし、以下のようなケースにあたる場合は、不倫した側からでも離婚請求が通りやすくなります。

  • 配偶者も不倫など不貞行為をしている
  • 不倫前から夫婦関係が破綻していた
  • 夫婦が長期間にわたり別居している
  • 夫婦の間に未成熟の子どもがいない
  • 離婚しても相手が経済的・精神的に苛酷な状態にならない

それぞれについて詳しく解説します。

配偶者も不倫など不貞行為をしている

配偶者側にも不倫などの不貞行為がある場合、自分だけが夫婦関係を壊したとはいえないため、離婚請求が認められる可能性があります。

特に、自分の不倫より前から相手も不倫をしていた場合は、自分が不倫する前から夫婦関係が悪化していたと主張できる余地があります。

なお、相手の不倫を主張するには、以下のような証拠が重要です。

有効な証拠

ラブホテルへの出入り、宿泊を伴う旅行、肉体関係をうかがわせるメッセージなどが検討対象になります。ただし、相手も不倫していれば必ず離婚できるわけではありません。双方の責任や時系列を整理し、弁護士に見通しを確認するのが安全です。

不倫前から夫婦関係が破綻していた

不倫をする前から夫婦関係がすでに破綻していた場合、不倫が婚姻破綻の直接原因ではないと主張できる余地があります。

以下のような事情があれば、破綻を示す材料となります。

  • すでに離婚の話し合いをしていた
  • 互いに夫婦として接する意思がなかった
  • 生活や家計が実質的に分かれていた
  • 会話がほとんどない など

一方で、単なる不仲や一時的な喧嘩だけでは、婚姻関係が破綻していたとは認められにくいでしょう。不倫前から関係修復が困難だったと示せるかが重要です。

夫婦が長期間にわたり別居している

長期間の別居は、不倫した側からの離婚請求が認められるかを判断するうえで重要な事情です。別居が長く続いていれば、夫婦関係が実質的に回復困難であると示しやすくなります。

ただし、何年別居すれば必ず離婚できるという明確な基準はありません。単に別居期間が何年かだけでなく、婚姻期間とのバランスも見られます。

また、別居中の対応も大切です。収入の多い側が婚姻費用を支払っていない場合、相手を苦しい状態に置いたと見られるおそれがあります。長期間の別居を理由として離婚を主張するなら、生活費の支払い状況も整理しておきましょう。

夫婦の間に未成熟の子どもがいない

夫婦の間に未成熟の子ども(未成熟子)がいない点は、有責配偶者からの離婚請求で重視される要素の一つです。未成熟子とは、経済的、社会的にまだ自立していない子どもを指します。

離婚をすると、子どもの生活環境が大きく変わる可能性があります。裁判所は子どもの利益を重視するため、未成熟子がいると離婚は認めづらくなるでしょう。

一方で、子どもがすでに成人している場合や、経済的に自立している場合は、離婚による子どもへの影響は比較的小さいと判断されやすいでしょう。

ただし、未成熟子がいるからといって、必ず離婚が認められないわけではありません。

離婚しても相手が経済的・精神的に苛酷な状態にならない

離婚によって相手が経済的、精神的、社会的に苛酷な状態に置かれない点も重要です。有責配偶者からの離婚請求では、相手の生活が守られるかどうかが厳しく見られます。

たとえば、不倫された配偶者が高齢である場合は離婚が認められづらいでしょう。高齢になると、新たに仕事を見つけたり、十分な収入を確保したりすることが難しくなりやすく、離婚後の生活基盤が不安定になるおそれがあるためです。

専業主婦(夫)として長年生活している場合なども、離婚後の生活に対する不安が大きいと判断されやすい傾向にあります。

以上のような場合は、単に「離婚したい」と主張しても受け入れられにくいです。慰謝料や財産分与、住居の確保などを通じて、相手の不安を軽減する条件を提示する必要があります。

不倫した側の離婚が認められた裁判例

不倫した側からの離婚請求でも、例外的に離婚が認められた裁判例があります。

代表的なのが、平成6年2月8日の最高裁判決の事案です。本事案では、未成熟子がいたにもかかわらず、下記のような総合的な判断により有責配偶者からの離婚が認められました。

  • 別居期間が13年11ヵ月余りに及んでいた
  • 子4人のうち3人はすでに成人している
  • 未成熟子とされた子も高校2年生でまもなく高校を卒業する年齢
  • 有責配偶者から別居中も毎月15万円を送金していた

上記のような事情により、夫婦関係の修復が困難で、離婚後の経済的給付の実現も期待できると判断されたため、離婚が認められました。

以上の裁判例からわかるのは、形式的な条件だけでは決まらないという点です。婚姻期間や別居期間、相手の収入、生活保障の内容などが総合的に考慮されるといえるでしょう。

相手に離婚を受け入れてもらうために検討すべき離婚条件

不倫した側が離婚を望む場合、相手に一方的に離婚を求めるだけでは進みにくいです。

不倫された側には、怒りや悲しみだけでなく、今後の生活への不安もあります。離婚そのものに同意してもらうには、慰謝料や生活費、子どもに関する条件を含め、相手が納得しやすい提案が必要です。

ここでは、離婚を受け入れてもらうために検討すべき条件を整理します。

慰謝料|相場だけでなく相手の感情面も踏まえて提案する

不倫した側が離婚を求める場合、慰謝料は避けて通りにくい条件です。不貞行為によって相手に精神的苦痛を与えた場合、慰謝料請求を受ける可能性が高いでしょう。

浮気・不倫が原因で離婚する場合、慰謝料の相場は100万円~300万円程度です。ただし、慰謝料額は、一律に決まるものではありません。以下の要素を総合的に考慮して算定されます。

  • 不倫の期間や回数
  • 婚姻期間
  • 子どもの有無
  • 夫婦関係への影響など

不倫が原因で別居や離婚に至った場合は、相手の精神的苦痛も大きいと見られやすいでしょう。

相場より極端に低い金額を一方的に提示すると、相手の反発を強めるおそれがあります。「とりあえず払えばいい」という態度も、交渉をこじらせやすいです。金額だけでなく、謝罪の姿勢、支払い時期、分割払いの可否も含めて検討しましょう。

財産分与・年金分割|不倫した側でも原則として別問題として整理する

財産分与や年金分割は、不倫の責任とは原則として別に整理します。財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を清算する制度です。不倫した側だからといって、必ず一切請求できないわけではありません。

ただし、慰謝料と財産分与を混同すると、交渉が複雑になります。慰謝料は不倫による精神的苦痛への賠償で、財産分与は夫婦財産の清算です。目的が違うため、分けて考える必要があります。

年金分割も重要です。婚姻期間中の厚生年金記録を分ける手続きであり、将来の年金額に関わります。

不倫した側が離婚を求める場合でも、相手の生活保障を考えた財産分与や年金分割の提案は有効です。慰謝料、財産分与、年金分割を分けて整理し、全体で納得感のある条件を作りましょう。

親権・養育費・面会交流|子どもの生活を最優先に条件を決める

子どもがいる場合、親権・養育費・面会交流は、子どもの生活を最優先に決める必要があります。不倫した側の都合や再婚予定を優先すると、相手の反発を招きやすいです。

親権は、不倫の事実だけで判断されるわけではありません。これまでの監護実績、子どもの生活環境、子どもの意思、今後の養育体制などが見られます。不倫相手との関係を優先し、子どもの世話を怠っていた場合は不利に働くでしょう。

養育費は、離婚後の子どもの生活を支える重要なお金です。金額だけでなく、支払日・支払い方法・進学費用や医療費などの特別費用についても話し合う必要があります。面会交流についても、子どもの健全な成長を助ける形で決めるのが基本です。

なお、共同親権の制度が施行されたことで、離婚後の親権については単独親権だけでなく、共同親権も選択肢になります。ただし、いずれの場合も、子どもの利益を最優先に考えて条件を決めることが重要です。

婚姻費用|別居中も生活費の支払い義務が続く可能性がある

離婚が成立するまでの別居期間中は、婚姻費用の支払い義務が生じる可能性があります。婚姻費用とは、夫婦や未成熟子が生活を維持するために必要な費用です。

収入の多い側は、別居中でも相手や子どもの生活費を負担する必要があります。不倫した側が「早く離婚したいから」と生活費の支払いを止めると、相手の生活を圧迫する行為と見られやすいでしょう。

相手から要求された金額に納得がいかない場合でも、勝手に止めるのではなく、算定表や調停を通じて適正額を確認しましょう。誠実に生活費を負担している姿勢は、離婚交渉でも重要な評価材料になります。

不倫した側が離婚したい場合の現実的な進め方

不倫した側が離婚を目指す場合、感情的に離婚を迫るのはリスクが高い行為です。専門家の助言を受けながら、以下のようなステップで順序立てて進めていきましょう。

  1. 不倫の経緯・別居状況・夫婦関係の実態を整理する
  2. 相手が離婚に応じる可能性と拒否される理由を確認する
  3. 慰謝料や生活費など、相手が納得しやすい条件を検討する
  4. 協議でまとまらない場合は離婚調停を申し立てる
  5. 裁判は最終手段として、長期化のリスクも踏まえて判断する

それぞれのステップについて、注意点も含めて具体的に解説します。

ステップ1:不倫の経緯・別居状況・夫婦関係の実態を整理する

まずは、不倫の経緯や夫婦関係の状態を時系列で整理しましょう。不倫した側から離婚を求める場合、離婚に関わる事情を正確に把握する必要があります。

整理すべき項目は、以下のとおりです。

  • 不倫の開始時期・発覚時期
  • 不倫相手との関係
  • 夫婦関係が悪化した時期
  • 別居開始日や別居の理由 など

不倫前から夫婦関係が破綻していた事情があるなら、会話の有無や家計状況、生活空間が別れているかなども整理しましょう。

また、自分に不利に思える事情があった場合でも、弁護士に隠すのは避けましょう。事実を伏せると、見通しを誤るおそれがあります。

ステップ2:相手が離婚に応じる可能性と拒否される理由を確認する

次に、相手が離婚に応じる可能性を確認します。相手が完全に拒否しているのか、条件次第では応じる余地があるのかで、進め方は大きく変わります。

不倫された側が離婚を拒む理由は一つではありません。怒りや喪失感から拒否している場合もあります。今後の生活費、住居、子どもの生活への不安が理由になっているケースもあるでしょう。

拒否理由を把握せずに離婚を迫ると、交渉は長期化しやすいです。相手が何に不安を感じているのかを整理し、慰謝料・婚姻費用・住居・養育費などの条件で解消できる部分がないか検討しましょう。

ステップ3:慰謝料や生活費など、相手が納得しやすい条件を検討する

相手に離婚を受け入れてもらうには、相手の不安を軽減できる条件を検討する必要があります。不倫した側が一方的に低い条件を提示すると、相手の反発が強まりやすいでしょう。

慰謝料については、金額だけでなく、一括払いか分割払いか、いつまでに支払うかも重要です。

子どもがいる場合は、養育費や面会交流も重要です。不倫相手との生活を優先しているように見えると、相手の不信感は強まります。子どもの生活を守る提案を先に示すほうが、交渉は進みやすいでしょう。

ステップ4:協議でまとまらない場合は離婚調停を申し立てる

夫婦だけの話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の離婚調停を利用しましょう。不倫した側であっても、離婚調停を申し立てることは可能です。

調停では、第三者である調停委員を通じて相手と離婚の可否や離婚条件について話し合います。直接向き合う負担を抑えながら、条件を整理できる点がメリットです。感情的な衝突が続いている夫婦でも、第三者が入ることで話し合いが進む場合があります。

ただし、調停はあくまで双方の話し合いのうえで合意を目指す手続きです。相手が最後まで拒否すれば、調停は不成立になります。その場合は裁判を検討するため、調停の段階から証拠や主張を整理しておきましょう。

ステップ5:裁判は最終手段として、長期化のリスクも踏まえて判断する

相手が調停でも離婚に応じない場合、裁判を検討する必要があります。ただし、不倫した側からの裁判離婚はハードルが高く、長期化しやすいのが実情です。

有責配偶者からの離婚請求では、長期別居・未成熟子の有無・相手の生活状況などが厳しく検討されます。裁判になれば、感情的な主張だけでは足りません。夫婦関係が破綻している事情や、相手を苛酷な状態に置かない条件を具体的に示す必要があります。

裁判に進む前に、弁護士の無料相談などを活用し、勝てる見込み・かかる期間・弁護士費用・相手に提示できる条件を確認しましょう。早期解決を優先するなら、裁判前に再度条件交渉を試みることを検討するのもおすすめです。

不倫した側が離婚を急ぐ前に知っておくべきリスク

不倫した側が離婚を急ぐと、複数のリスクが同時に発生する可能性があります。強引に進めるほど、相手の反発は強まりやすくなるでしょう。

離婚したい気持ちだけで別居や不倫相手との同居を進めると、慰謝料や婚姻費用、親権の争点も複雑になります。ここでは、離婚を急ぐ前に知っておくべきリスクを解説します。

相手から慰謝料を請求される可能性が高い

不倫が発覚している場合、不倫された配偶者から慰謝料を請求される可能性が高いです。不貞行為によって相手に精神的苦痛を与えた場合、配偶者本人だけでなく、不倫相手も請求対象になる場合があります。

慰謝料額は不倫の内容によって変わりますが、離婚に至った場合は、慰謝料額が高くなりやすい傾向があります。

慰謝料を支払う意思がある場合でも、金額や支払い方法を安易に約束しないようにしましょう。口頭やLINEで「いくらでも払う」などと伝えると、あとから不利な証拠になる可能性があります。

相手が拒否すれば離婚成立まで数年かかることがある

相手が離婚を拒否している場合、離婚成立まで数年単位でかかる可能性があります。協議でまとまらなければ離婚調停へ進み、調停が不成立になれば裁判を検討する流れになります。

不倫した側からの裁判離婚では、すぐに離婚判決が出るとは限りません。長期別居などの事情が必要になりやすく、別居実績を積む期間が必要になるケースもあります。

長期化すると、金銭面の負担・別居中の婚姻費用・弁護士費用・調停や裁判にかかる時間などが積み重なります。精神的な負担も小さくありません。

早く離婚したい場合ほど、強引に進めるのではなく、相手が受け入れやすい条件を慎重に考える必要があるといえるでしょう。

親権・監護者争いで不利になる可能性が高い

不倫した事実だけで、直ちに親権を失うわけではありません。ただし、不倫の内容が子どもの生活や監護状況に悪影響を与えていれば、不利になる可能性が高いでしょう。

たとえば、不倫相手との交際を優先し、子どもの世話を怠っていた場合は問題になりやすいです。子どもを不安定な環境に置いた場合や、不倫相手と急に同居させようとした場合も、親権を獲得するのは難しくなるでしょう。

不倫相手にも慰謝料請求が及び、関係が悪化する可能性がある

不倫は、不倫した者二人の共同不法行為です。不倫が原因で離婚問題になった場合、配偶者から不倫相手にも慰謝料請求が及ぶ可能性があります。

不倫相手が慰謝料を支払った場合、その一部について求償権を行使される可能性があります。求償権とは、本来は複数人で負担すべき慰謝料を一方が支払った場合に、もう一方へ負担分を請求できる権利のことです。

そのため、不倫相手への請求が始まると、二人の関係にも影響します。慰謝料の負担だけでなく、求償権をめぐるトラブル、職場や生活への影響が生じる場合もあるでしょう。不倫相手との再婚を考えている場合でも、慰謝料問題によって関係が悪化する可能性があります。

慰謝料について話し合う際は、金額だけでなく、求償権を行使するかどうか、示談書でどのように整理するかも確認しておくことが重要です。

不倫した側がやってはいけないNG行動

不倫した側が離婚を望む場合、以下の行動は避けましょう。

  • 相手の同意なく離婚届を提出する
  • 生活費を止めて離婚に応じるよう迫る
  • 不倫相手との同居や再婚準備を先に進める
  • 相手を責める・脅す・証拠を隠すなど感情的に対応する
  • SNSやメッセージで不倫・離婚に関する不利な発言を残す

不倫した側ほど、誠実な対応と冷静な準備が重要です。それぞれのNG行動について、具体例を挙げながら詳しく確認していきましょう。

相手の同意なく離婚届を提出する

相手の同意なく離婚届を作成したり、提出したりする行為は絶対に避けましょう。協議離婚は、夫婦双方に離婚意思がある場合にのみ成立するため、相手の同意なく離婚届を提出しても、あとから無効とされる可能性があります。

さらに、相手の署名を勝手に書いたり、偽造した離婚届を役所に提出したりした場合は、有印私文書偽造罪や偽造有印私文書行使罪にあたる可能性があります。

過去に相手が書いた離婚届を提出する場合も注意が必要です。作成時には離婚意思があったとしても、提出時点で相手が離婚する意思を失っていれば、離婚無効の争いになる可能性があります。

不倫した側が以上のような行動を取ると、相手の怒りはさらに強まり、慰謝料・親権・財産分与の交渉でも不利になりやすいでしょう。

生活費を止めて離婚に応じるよう迫る

離婚に応じさせる目的で生活費を止める行為は避けるべきです。

夫婦のうち収入の多い側には、別居中であっても配偶者や未成熟子の生活費として婚姻費用を分担する義務があります。生活費の支払いを止める行為は、相手の生活を脅かしたと見られ、交渉において不利になる可能性が高まるでしょう。

また、有責配偶者からの離婚請求では、相手が離婚によって苛酷な状態に置かれないかが見られます。生活費を止めて相手を困らせる行動は、この点でも不利に働きやすいです。

支払額に納得できない場合は、勝手に止めるのではなく、裁判所が公開している算定表や調停を通じて適正額を決めましょう。

不倫相手との同居や再婚準備を先に進める

離婚が成立する前に、不倫相手との同居や再婚準備を進めるのは危険です。配偶者の感情を強く刺激し、慰謝料や離婚条件の交渉がこじれやすくなるでしょう。

不倫相手との同居は、婚姻関係を一方的に壊した印象を強めます。配偶者から慰謝料の増額を主張される材料になる場合もあるでしょう。

子どもがいる場合は、さらに慎重な対応が必要です。不倫相手との同居が子どもの生活環境に影響するなら、親権や面会交流でも問題視されます。不倫相手との再婚を考えている場合でも、まずは現在の離婚問題を整理してからにしましょう。

相手を責める・脅す・証拠を隠すなど感情的に対応する

不倫した側が相手を責めたり、脅したり、証拠を隠したりすると、離婚交渉は悪化しやすいです。

相手が離婚に応じない理由には、怒りや不安があります。生活費や住居、子どもの将来を心配している場合もあるでしょう。その状態で相手を責めても、解決にはつながりにくいといえます。

証拠隠しや口裏合わせも避けるべきです。不倫相手とのメッセージを削除したり、相手に虚偽説明を求めたりすると、不信感がさらに強まります。直接のやり取りで冷静に対応できない場合は、弁護士を通じて連絡するようにしましょう。

SNSやメッセージで不倫・離婚に関する不利な発言を残す

SNSやメッセージで不倫や離婚に関する不用意な発言を残すと、慰謝料請求や離婚交渉で不利な証拠として使われる可能性があります。

たとえば、不倫相手との親密なやり取り、離婚を急ぐ発言、配偶者を侮辱する投稿などには注意してください。相手の精神的苦痛や、不倫の悪質性を示す資料として扱われる場合があります。

離婚問題が解決するまでは、SNSでの発信を控えましょう。不倫相手とのメッセージでも、配偶者や子どもを軽視する発言は避けるべきです。

不倫した側が離婚したい場合に弁護士に相談するメリット

不倫した側が離婚を望む場合、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。有責配偶者からの離婚請求は通常の離婚より難しく、自己判断で進めると、不利な条件を受け入れたり相手との対立を深めたりする可能性があります。

ここでは、不倫した側が離婚をしたい場合に弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。

離婚できる見込みや必要な別居期間を判断してもらえる

弁護士に相談すれば、自分のケースで離婚できる見込みを確認できます。

離婚を希望する際は、別居期間・婚姻期間・子どもの有無・相手の生活状況などを総合的に考慮する必要があります。何年別居すれば離婚できるという明確な基準はありません。

別居期間が長くても、未成熟子がいる場合や相手が経済的に不安定な場合は見通しが変わります。インターネット上の一般論だけでは、自分の状況に当てはまるか判断できないため、弁護士の意見を参考にしましょう。

慰謝料・財産分与・婚姻費用などの条件交渉を任せられる

弁護士に依頼すれば、慰謝料・財産分与・婚姻費用・養育費などの条件交渉を任せられます。不倫した側は相手への負い目から、不当に高い条件を受け入れてしまいがちです。

弁護士が入れば、支払うべきものと争えるものを整理できます。慰謝料は慰謝料、財産分与は財産分与としてわけて考え、現実的な解決条件を提示しやすくなります。

調停や裁判に進んだ場合も、条件ごとの主張や証拠を一貫して整理し、法的根拠に基づいて交渉できる点が大きなメリットです。

相手と直接やり取りせずに冷静な交渉を進められる

弁護士に依頼すれば、相手との直接のやり取りを減らせます。不倫発覚後は相手が強い怒りや不信感を抱いている場合が多く、本人同士では冷静な条件整理が難しくなりがちです。

売り言葉に買い言葉となり、感情的な発言をLINEやメールに残すと、あとから不利な証拠として使われる可能性もあります。

弁護士が代理人として連絡窓口になれば、責め合いを避けて慰謝料や財産分与などの条件に集中できます。精神的な負担を減らしながら、離婚後の生活準備も進めやすくなるでしょう。

調停・裁判に進んだ場合の主張や証拠を整理してもらえる

弁護士に相談すれば、調停や裁判に進む場合も主張や証拠の整理を任せられます。別居期間、婚姻関係の破綻、不倫前からの夫婦関係、相手や子どもの状況などを時系列で整理し、法的に意味のある形で伝える必要があるためです。

調停では事情説明書や資料提出が、裁判では書面や証拠の組み立てがさらに重要になります。どの資料を出すべきか、どの主張を避けるべきかの判断も欠かせません。

弁護士が関与すれば、不利な事実も含めて戦略的に整理できます。相手の主張への反論や、現実的な和解条件の提示も行いやすくなるでしょう。

不倫相手への慰謝料請求など関連トラブルもまとめて相談できる

弁護士には、配偶者との離婚条件だけでなく、不倫相手への慰謝料請求もまとめて相談できます。不倫相手が、こちらが既婚者と知って肉体関係を持った場合などは、慰謝料請求の対象になり得ます。

不倫相手と再婚を考えている場合は、対応方針を誤ると二人の関係にも影響しかねません。慰謝料の負担、連絡方法、今後の生活設計まで含めた慎重な判断が必要です。

不倫した側が離婚したいならベンナビ離婚がおすすめ

不倫した側が離婚を望む場合は、離婚問題に注力する弁護士へ早めに相談しましょう。

ベンナビ離婚」では、離婚協議・離婚調停・不倫慰謝料・財産分与・親権などに対応する弁護士を、地域や相談内容から探せます。自分の状況に近い相談先を比較しやすい点がメリットです。

有責配偶者側の離婚交渉や裁判離婚に関する解決事例も掲載されており、自分に近いケースでどのような進め方があるのかをイメージしやすくなるでしょう。

地域や相談内容で検索し、弁護士の対応分野や相談方法を比較したうえで、無料相談や問い合わせを活用して自分のケースの見通しを確認しましょう。

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ベンナビ離婚で解決した事例

ベンナビ離婚には、不倫した側や有責配偶者側からの離婚相談について、弁護士の介入で解決につながった事例が掲載されています。

ここでは、裁判による離婚判決を得た事例と、調停離婚が成立した事例を紹介します。

解決事例1:不倫した側からの離婚請求で離婚判決を獲得できたケース

相談者:男性
年齢:30代
職業:会社員
婚姻期間:10〜15年
子ども:あり

<相談者の状況>
相談者は不倫をした側でしたが、妻の攻撃的な態度や監視行動に疲弊し、別居後に離婚を求めました。しかし、妻は「夫は有責配偶者であり、離婚は認められない」と主張し、話し合いにも応じない状況でした。

弁護士は離婚調停を申し立てましたが、妻が離婚を拒み続けたため、調停は不成立となり、離婚裁判へ移行しました。裁判では、夫婦関係が破綻した原因は夫の不倫だけではないとして、結婚当初から別居に至るまでの妻の言動や夫婦関係の実態を丁寧に主張しました。

その結果、裁判所は、破綻原因が夫の不倫だけにあるとはいえないと判断し、夫が求めた離婚を認めました。不倫した側でも、破綻に至る経緯を具体的に示せば、離婚が認められる可能性があるとわかる事例です。

不倫した側からの離婚請求でも、夫婦関係の破綻原因や別居に至る経緯を丁寧に整理すれば、離婚が認められる可能性があるとわかる事例です。

解決事例2:有責配偶者からの依頼で1年以内に調停離婚が成立したケース

相談者:男性
年齢:50代
職業:経営者
婚姻期間:20年

<相談者の状況>
相談者は、有責配偶者の立場で離婚を希望していました。しかし、当事者同士で話し合うと感情的になってしまい、具体的な離婚条件の話まで進まない状態でした。離婚できる見通しが立たず、弁護士に相談したケースです。

有責配偶者という不利な立場でも、相手の不安に配慮した条件提示により、1年以内に調停離婚が成立した事例があります。

依頼者は離婚を希望していましたが、当事者同士の話し合いでは感情的になり、具体的な条件交渉が進まない状況でした。弁護士は冷静に話し合うため離婚調停を申し立て、有責配偶者である点を踏まえた一定程度の経済的譲歩を提案しました。

特に、妻は将来の子どもの生活費に不安を感じていました。そこで、養育費の条件を調整し、子どもの生活を支えられる内容を示したことで、妻側の不安を軽減しやすくなりました。結果として、1年以内に調停離婚を成立させることに成功しています。

不倫した側が離婚したい場合によくある質問

ここでは、不倫した側が離婚したい場合によくある質問に回答します。

不倫相手と再婚したい場合、いつ離婚できますか?

不倫相手と再婚したい場合でも、現在の配偶者との離婚が成立しなければ再婚はできません。

相手が離婚に同意していれば、協議離婚や調停離婚によって比較的早く離婚できる可能性があります。一方で相手が拒否している場合、不倫した側からの裁判離婚は認められにくく、長期別居などの事情が必要になりやすいです。

再婚を急いで不倫相手との同居や結婚準備を先に進めると、慰謝料や親権、離婚条件で不利になる可能性があります。まずは弁護士に、離婚成立までの現実的な見通しを確認しましょう。

何年別居すれば不倫した側からでも離婚できますか?

何年別居すれば必ず離婚できる、という明確な年数はありません。

裁判では、別居期間・婚姻期間・当事者の年齢・未成熟子の有無や、離婚によって相手が経済的・精神的・社会的に苛酷な状態に置かれないかが検討されます。

別居期間を重ねるだけでは足らないということを認識しておきましょう。

慰謝料を払えば必ず離婚できますか?

慰謝料を支払えば必ず離婚できる、というわけではありません。慰謝料は相手に与えた精神的苦痛への賠償であり、離婚への同意を強制するお金ではないためです。

相手の怒りや喪失感が強い場合や、生活費や住居への不安が大きい場合は、慰謝料だけでは解決しにくいでしょう。

ただし、適切な慰謝料や生活保障の提案は、相手が離婚を受け入れるための重要な材料になります。慰謝料の金額・支払い方法に加えて、財産分与・婚姻費用も合わせて検討しましょう。

不倫した側でも親権を取れる可能性はありますか?

不倫した側でも、親権を取れる可能性はあります。親権では不倫の事実そのものよりも、子どもの監護実績・今後の養育体制・子どもの意思などが重視されるためです。

ただし、不倫相手との交際を優先して子どもの世話を怠っていた場合など、不倫が子どもの生活に悪影響を与えていた場合は不利になるでしょう。

不倫した側から離婚調停を申し立てることはできますか?

不倫した側であっても、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることはできます。調停では、離婚そのものだけでなく、慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流などについても話し合えます。

ただし、調停は合意を目指す手続きです。相手が納得しなければ、不成立になる可能性があります。

不倫した側から申し立てる場合は、相手が受け入れやすい提案を準備しましょう。弁護士に相談してから申し立てると、見通しを立てやすくなります。

肉体関係がない場合でも有責配偶者になりますか?

肉体関係のない場合でも、頻繁な宿泊や親密なメッセージ、配偶者を傷つける行動があれば、夫婦関係を破綻させたとして有責配偶者になる可能性があります。

「肉体関係がないから大丈夫」と安易に判断せず、弁護士に確認するのが安全です。

まとめ|不倫した側が離婚したいなら、強引に進めず条件整理と専門家への相談が重要

不倫した側でも、相手が同意すれば協議離婚や調停離婚は可能です。一方で相手が拒否している場合、不倫した側は有責配偶者とされやすく、裁判で離婚を認めてもらうハードルは高くなります。

生活費を止める、相手の同意なく離婚届を出す、不倫相手との同居を先に進めるなどの行動は、離婚交渉や裁判で不利になるため避けましょう。

強引に進めるよりも、相手が納得しやすい条件の整理が重要です。早めに弁護士へ相談し、自分の状況で離婚できる見込みと現実的な進め方を確認しましょう。

ベンナビ離婚」では、有責配偶者からの離婚に対応する弁護士を地域や相談内容から探せます。離婚を進めたい方は、まずはベンナビ離婚で自分の状況に合う弁護士を探してみてください。

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この記事の監修者
杉本法律事務所
杉本 真樹 (群馬弁護士会)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。

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