養育費の未払いを理由に祖父母の財産を差し押さえできる?生活費に困ったときの対処法
- 「元夫の代わりに、祖父母の財産を差し押さえて養育費を回収したい」
- 「祖父母への差し押さえもできない場合に、生活費をどうにかしたい」
元夫の養育費が滞り、祖父母から回収できないかと考えている方は少なくないでしょう。
養育費を滞納している元夫の代わりに、祖父母の財産を差し押さえることは原則としてできません。
ただし、公正証書や調停調書に祖父母が支払い義務者として記載されている場合は、例外的に差し押さえができる可能性があります。
本記事では、祖父母への差し押さえが可能になる条件や差し押さえまでの流れ、差し押さえができない場合に生活費を確保する対処法を解説します。
さいごまで読めば、養育費問題の解決に一歩近づけるでしょう。
養育費の未払いが発生!祖父母の財産を差し押さえられる?

そもそも元配偶者の養育費の未払いを理由に、祖父母の財産の差し押さえはできるでしょうか。
ここでは、養育費未払いと祖父母への差し押さえに関する原則と例外について解説します。
【原則】祖父母への差し押さえは不可能
原則、元配偶者の養育費の未払いを理由とする祖父母の財産の差し押さえはできません。
養育費の支払い義務を負っているのは、あくまで元配偶者であり祖父母ではないからです。
祖父母に十分な資産があり、生活に余裕があったとしても差し押さえはできないでしょう。
【例外】祖父母が債務者・扶養義務者の場合は差し押さえが可能
例外として、祖父母が債務者・扶養義務者になっている場合は差し押さえができます。
ただし、差し押さえをする場合は、以下のような「債務名義」という資料が必要です。
- 公正証書(強制執行認諾文言付)
- 調停調書
- 審判書
- 判決書
祖父母が債務者・扶養義務者で、債務名義がある場合は、差し押さえができるでしょう。
祖父母が養育費の債務者・扶養義務者になる2つのケース
ここでは、祖父母が養育費の債務者・扶養義務者になるケースを解説します。
1.祖父母が養育費の連帯保証人になっていた場合
あまり多くありませんが、祖父母を養育費の連帯保証人にすることはできます。
このような場合は祖父母も債務者なので、未払いを理由に養育費を請求できるでしょう。
なお、連帯保証契約は祖父母の同意を得たうえで、書面を作成しておく必要があります。
強制執行認諾文言付公正証書がある場合は、すぐに祖父母の財産を差し押さえできます。
一方、公正証書がない場合は債務名義を取得するところから始める必要があるでしょう。
2.祖父母を扶養義務者として家庭裁判所に認められた場合
扶養料の取り決めをするための「扶養請求調停」という手続きがあります。
これを使い家庭裁判所に祖父母を扶養義務者として認めてもらう方法もあります。
扶養義務者として認められれば、祖父母から扶養料を受け取れるようになります。
扶養料は直接請求できますし、調停調書などをもとに差し押さえをすることも可能です。
祖父母に対して実際に差し押さえをするまでの流れ
祖父母の財産を差し押さえるまでの流れは以下のとおりです。
- 執行文付きの債務名義を準備する
- 裁判所に債権執行の申立てをおこなう
- 裁判所から債権差押命令が発令される
- 勤務先や銀行などに連絡して養育費・扶養料を回収する
差し押さえをするには、大前提として債務名義が必要になります。
また、債務名義を取得後、裁判所に債権執行の申立てをおこなう必要もあるでしょう。
養育費の差し押さえの流れや必要書類については、以下のページを参考にしてください。
祖父母への差し押さえができない場合に生活費を確保するための対処法

ここでは、差し押さえが難しい場合に生活費を工面するための対処法を紹介します。
1.祖父母に支援をお願いする
祖父母に対して任意の協力をお願いすることは可能です。
お願いをすることで、祖父母が「孫のため」と支援に応じてくれる可能性もあります。
なお、あくまでも任意であるため、祖父母に対して支援を強制することはできません。
2.改めて元夫に対して養育費を請求する
再度、元夫に対して養育費を請求できないかを検討しましょう。
特に2026年4月の民法改正に伴い、従来よりも未払い養育費の請求が簡単になっています。
具体的には養育費を定めた合意書などがあれば、債務名義がなくても差し押さえが可能になりました。
こちらは2026年4月1日以降に発生した養育費に限られますが、改めて元夫への養育費の請求を検討するとよいでしょう。
なお、以下の裁判所のページも養育費の差し押さえをする際に役立つため参考にしてください。
3.公的支援制度や融資制度を活用する
国や自治体のひとり親向け制度を活用し、当面の生活資金を確保するのもよいでしょう。
| 制度名 | 内容 |
| 児童扶養手当 | ひとり親世帯が対象。 所得や子どもの人数によって月額1万1,340円以上(2026年4月以降)の手当が支給される。 |
| 児童手当 | 0歳~高校生の子どもを養育している方が対象。 子どもの年齢・人数によって1人あたり月額1万円~3万円まで支給される。 |
| 母子父子寡婦福祉資金貸付金 | 学費・生活費・転居費用などを無利子または低利子で借りられる。 |
まずは、お住まいの地域の市区町村役場で利用できる制度がないかを確認しましょう。
シングルマザーが受けられる手当の一覧については、以下のページを参考にしてください。
4.社会保険料の割引制度などを利用する
社会保険料の減免制度を利用して毎月の固定費を減らすのも有効です。
| 制度名 | 内容 |
| 国民年金保険料の免除制度 | 所得が一定額以下の場合、申請により全額~4分の1まで免除が受けられる。 |
| 国民健康保険料の軽減措置 | 所得に応じて2割・5割・7割の減額が受けられる。 |
| ひとり親家庭等医療費助成制度 | 医療費の自己負担分について補助が受けられる。 |
| 電車・バスの割引乗車券 | 自治体によって異なる。 |
| 水道料金の減免 | 自治体によって異なる。 |
これらの減免制度や助成制度を活用すれば、生活費の負担を軽減できる可能性があります。
養育費と祖父母への差し押さえに関するよくある質問
さいごに、養育費と祖父母への差し押さえに関するよくある質問に回答します。
Q.元夫への債務名義で祖父母の財産を差し押さえできるか?
元夫の債務名義があっても、祖父母に対して差し押さえはできません。
債務名義の効力は「債務者として表示されている人」に限定されます。
祖父母の財産を差し押さえしたい場合は、別途、祖父母の債務名義が必要になります。
Q.養育費を支払う代わりに孫に会わせるよう要求されたら断れるか?
孫への面会の要求は断れます。
養育費と面会交流は、まったくの別問題です。
「会わせないなら払わない」「立て替えるから会わせろ」といった主張は認められません。
さいごに|養育費に関するトラブルがある場合は弁護士に相談しよう
元夫の養育費の未払いを理由とする祖父母への差し押さえは原則できません。
しかし、祖父母が連帯保証人や扶養義務者の場合は差し押さえができる可能性もあります。
もし元夫や祖父母に対する請求が難しい場合は、公的支援制度の活用も検討しましょう。
養育費の未払いで困っていたら、まずは弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、交渉や強制執行などの手続きも一任することが可能となっています。
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