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【弁護士監修】不倫と浮気の違いとは?法的な定義と慰謝料請求の境界線を解説

【弁護士監修】不倫と浮気の違いとは?法的な定義と慰謝料請求の境界線を解説

「不倫」と「浮気」という言葉は日常的に使い分けられていますが、実は法律上の明確な違いはありません。

どちらも法的には不貞行為(自由な意思で配偶者以外と肉体関係を持つこと)に該当するかどうかが、慰謝料請求の大きな分かれ目となります。

単なる感情的な裏切りだけでは法的な賠償を求めるのは難しく、客観的な肉体関係の証拠が必要不可欠です

不倫・浮気の定義から慰謝料の相場、請求の流れ、そして損をしないための注意点まで具体的に解説します。

どこからが不倫なのか、配偶者の行動が法的な不貞行為にあたるのか、そして今後どのような一手を打つべきかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

不倫と浮気の違い

不倫と浮気は日常的には似た意味で使われますが、法律の観点から重要なのは、言葉の呼び方ではなく不貞行為(肉体関係)があったかどうかです。

法的にはどちらの言葉も明確に区別されているわけではありませんが、慰謝料を請求できるかどうかの判断基準は不貞行為の有無に集約されます。基準を正しく理解しておけば、ご自身のケースで法的な責任を追及できるかどうかが明確になるでしょう。

具体的に解説します。

当事者に「既婚者」がいるかどうか

不倫・浮気問題において、法的な責任が発生するかどうかは婚姻関係(または内縁関係)を侵害しているかで決まります。

一般的には、未婚者同士の裏切りを浮気、既婚者が関わるケースを不倫と呼び分ける傾向です。しかし、どちらの呼び名であっても、婚姻(または婚約・内縁)という法的に守られるべき関係がない限り、原則として慰謝料などの賠償義務は生じません。

未婚者同士の浮気は、あくまで自由恋愛における道徳的な問題とみなされるからです。一方が既婚者である場合は、呼び方にかかわらず、他方の配偶者の権利を侵害する不貞行為として扱われます。

つまり、不倫・浮気問題において慰謝料が発生するのは、原則として法的に守られたパートナーシップが破綻してしまった場合のみといえます。

不貞行為に該当するかどうか

法律上の不貞行為とは、簡単にいうと自分の意思で、配偶者以外と肉体関係を持つことを指します。

仲が良いだけの浮気と、法的にアウトな不倫を分ける最大のポイントは、この肉体関係があったかどうかです。裁判でも、単なるデートや密な連絡だけでは不十分で、あくまで性交渉があったといえる事実や証拠があるかどうかが焦点になります。

不貞行為を示す具体的な証拠の一例は、次のとおりです。

  • 肉体関係を裏付けるLINEや写真
  • ラブホテルへの出入りや性交渉を認める自認書 など

一方、二人で食事をする、手を繋ぐ・キスをするといった行為は、感情的な浮気ではあっても、法的な不貞行為としては認められません。慰謝料請求を検討する場合は、肉体関係を示す証拠の確保が最優先となります。

不倫と浮気の境界線3つ

不倫と浮気をわけるポイントは、既婚か独身かだけではありません。

法的な観点から離れて日常語として見ると、境界線は主に3つあります。それぞれの意味を正確に理解しておくことが、適切な対応につながるでしょう。

①本気の恋か遊びのつもりか

一般的に、一時的な気の迷いは浮気という言葉で片付けられることが多いですが、強い恋愛感情が伴うと不倫という響きが強くなります。

浮気はあくまで「今のパートナーが一番」という前提があり、いわばスリルやリフレッシュを求める遊びのニュアンスが含まれます。一方、不倫は相手に対して本気で心を奪われ、今の家庭や立場を捨ててでも一緒にいたいと願う本気の恋という側面が強調される傾向です。

当事者が「単なる遊びではない、純愛だ」と主張し始めたとき、周囲からは単なる浮気の域を超え、より深刻な不倫として認識される境界線となります。

②肉体関係があるかどうか

日常的な会話の中で、浮気と不倫を分ける大きな境界線が肉体関係(性交渉)があったかどうかです。

一般的に、手をつなぐ、キスをする、あるいは二人きりで頻繁にデートをするといった行為は浮気の範疇として語られることが多いです。しかし、一歩踏み込んで肉体関係を持つに至ると、単なる遊びとは呼べない不倫という一線を越えたとみなされます。

精神的なつながりがあるだけでなく、肉体的な接触も生じている場合、浮気という言葉では済まされない重い裏切り=不倫である、という認識が一般的です。

以下では、主な具体例をまとめました。

区分 具体的な内容・証拠の例
不貞行為 ・宿泊を伴う旅行の証拠
・ラブホテルに二人で滞在した写真
・肉体関係を証拠付けるメッセージ
浮気 ・二人きりでの食事やデート
・頻繁なLINE等による愛情表現
・手をつなぐ、キスをする など

感情的な裏切りも辛いものですが、「肉体関係を持ったかどうか」が、関係の深刻さを測る決定的な物差しとなります。

③配偶者に対して愛情があるか

今のパートナーに対して愛情が残っているかどうかも、浮気と不倫を分ける境界線になります。

浮気という言葉には、配偶者やパートナーへの愛情はベースにありつつ、別の相手にも目移りしてしまうといったニュアンスが含まれます。一方、不倫は配偶者への愛情が冷めているのを免罪符に、別の相手との関係を正当化しようとするスタンスを指すことが多いです。

「愛していないから不倫をしてもいい」という主観的な理屈は、当事者間では通用しても、周囲からは配偶者を裏切る人間として非難される要因となります。

愛情の有無にかかわらず、婚姻関係を維持したまま別の相手と深い関係になるのは深刻な裏切りであるという認識が一般的です。

【男女別】不倫や浮気に至る主なきっかけ・傾向

不倫・浮気に至るきっかけは人それぞれですが、傾向として男性はときめきの喪失、女性は配偶者への不満や孤独感が引き金になりやすいと言われています。

もちろん、どのような理由があっても不貞行為が正当化されるわけではありません。ただ、相手の行動原理を冷静に分析することは、今後の話し合いや法的対応を進めるうえで参考になるでしょう。

男性が不倫・浮気をするきっかけ

男性は、妻にときめきを感じなくなったときに浮気・不倫をしやすい傾向があると言われています。

生物学的には、男性には多くの子孫を残そうとする本能が働きやすい傾向です。結婚生活の中で新鮮味が失われると、その本能が外に向かいやすくなるという背景があります。

妻を家族として大切に思っていても、女性としてのときめきを感じなくなったことをきっかけに、本能のまま一夜限りの関係を持つケースが見られます。「愛情がないわけではない」という点が、男性の浮気の難しいところです。

ただし、どのような動機であれ、既婚者が肉体関係を持てば不貞行為として法的責任は変わりません。

女性が不倫・浮気をするきっかけ

女性は、夫の態度や行動がきっかけで浮気・不倫に至るケースが多い傾向があります。

具体的には、次のような状況が引き金になりやすいです。

  • 夫が浮気をした(報復・孤独感)
  • 夫の態度に不満がある(無視・暴言・無関心)
  • 夫から愛情が感じられない(会話がない・スキンシップがない)

精神的な拠り所を家庭の外に求めた結果、特定の相手と深く依存し合う不倫関係に陥るケースが多いです。男性の浮気が比較的遊びに留まりやすいのに対し、女性の不倫は感情的なつながりが強くなる傾向があります。

ただし、夫の態度が原因であったとしても不倫が許されるわけではありません。

配偶者が不倫・浮気をしている主な9つのサイン

配偶者の行動に変化が見られる場合、不倫・浮気のサインである可能性があります。

以下のような変化が複数重なっている場合は、注意が必要です。

サインの分類 具体的な変化の例
① 休日の外出・外泊 一人で出かける機会が増えた、理由の不明確な外泊がある
② 帰宅時間 急に残業や付き合いが増えた、深夜帰宅が日常化している
③ スマホの扱い 常に手放さない、画面を伏せて置く、急にロックを強化した
④ お金の使い方 用途不明の出費、コンビニやATMでの現金引き出しが増えた
⑤ 服装・身だしなみ 外出時だけおしゃれに気を使う、急に服や下着の好みが変わった
⑥ 趣味・関心 未知のジャンルの趣味を始めた、休日や出かける場所が変わった
⑦ 連絡頻度 外出中に連絡が取れない時間が増えた、既読がつくのが極端に遅い
⑧ パートナーへの態度 妙に優しくなった(罪悪感)、または逆に冷たくなった
⑨ SNSの使い方 以前より頻繁に投稿・閲覧する、画面を隠すようになった

ただし、これらのサインだけでは不倫・浮気を決定づける証拠にはなりません。あくまで確認が必要な変化として捉え、感情的に問い詰める前に客観的な証拠の確保を優先してください。

不倫・浮気が発覚したときにやるべきこと

不倫や浮気が発覚した際、最優先すべきことは客観的な証拠の確保です。

感情に任せて問い詰める前に証拠を押さえておかなければ、相手に「身に覚えがない」と否認されたとき、法的な追及が極めて困難になります。

有効な証拠の一例は、次のとおりです。

  • 肉体関係を強く推認させるLINEやSNSのやり取り
  • ラブホテルへの出入りを捉えた写真・動画
  • ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細
  • 性交渉を示唆する録音データ
  • カーナビの走行履歴 など

自分一人での証拠収集が難しい場合は、調査会社(探偵)の報告書を活用する方法もあります。法的な手続きで使える証拠として認められやすく、裁判でも有力な証拠になります。

証拠は「怪しい」という段階から意識的に集め始めることが、適切な慰謝料請求や離婚条件の獲得につながるでしょう。

不倫・浮気が発覚したときにやってはいけないこと

どれほど深いショックや怒りを感じても、感情に任せた行動は絶対に避けてください。不適切な行動をとると、本来被害者であるはずのあなたが、逆に損害賠償を請求されたり刑事罰に問われたりするリスクがあるからです。

具体的にやってはいけない行動は、以下のとおりです。

  • 不倫相手の職場に嫌がらせの電話をする(名誉毀損罪・業務妨害罪)
  • 不倫相手の実名や顔写真などをSNSで晒す(名誉毀損罪・プライバシー侵害)
  • 不倫相手に暴力を振るう(暴行罪・傷害罪)
  • 相手の自宅に押しかける(住居侵入罪)
  • パートナーのスマホの証拠を消去する(不正アクセス禁止法違反)

特に、証拠の消去は致命的です。怒りに任せてLINEや通話履歴を消してしまうと、不貞行為の立証が不可能になるケースもあります。

感情的な報復は、あなた自身の首を絞める結果になります。発覚した直後こそ、まず深呼吸して証拠の保全に徹することが重要です。

不倫・浮気で慰謝料を請求できるケース・できないケース

慰謝料を請求できるかどうかは、状況によって異なります。「不倫があった」という事実だけでは不十分で、法的な要件を満たしているかどうかの確認が必要です

具体的に解説します。

慰謝料を請求できるケース

慰謝料を請求できる主なケースは、相手が既婚者だと知りながら肉体関係を持った場合や婚姻生活を破壊するほど親密な関係を築いた場合です。

法律が保護するのは平穏な婚姻生活を送る権利であり、第三者が故意または過失によってそれを侵害した場合、不法行為として賠償責任が生じます。

具体的に請求が認められやすいケースは、以下のとおりです。

  • 既婚者だと認識したうえで性行為(不貞行為)に及んだ場合
  • 相手同士が毎日一緒に過ごすなど、夫婦関係が破綻するほど親密だった場合
  • LINEで「愛している」といった継続的な愛情表現や性的なやり取りがあった場合

手元にある証拠が、相手の既婚の認知と関係の深さを裏付けるものになっているかを確認することが重要です。

慰謝料を請求できないケース

配偶者が異性と接触していても、法的な不貞行為の要件を満たさない場合や、すでに婚姻関係が失われていた場合は、慰謝料請求は認められません。

慰謝料とは、平穏な婚姻生活を破壊されたことへの対価です。請求には「相手の故意・過失」「不法行為(肉体関係)」という要件が必要であり、これらが欠けると法的に賠償を命じることはできません。

請求が認められにくい具体的なケースは、以下のとおりです。

  • たまたま再会した知人と一度お茶をした程度である場合
  • 不倫相手が「独身だと信じて疑わなかった」ことに過失がない場合
  • 不倫の事実を知ってから時効が成立しており、慰謝料請求が認められない場合
  • 不倫が始まる前から長期間別居しているなど、夫婦関係が完全に破綻していた場合

闇雲に動く前に、肉体関係の有無や相手の過失などを冷静に確認することが正解です。

【ケース別に解説】不倫・浮気の慰謝料相場

不倫・浮気の慰謝料額は、離婚するか・別居するか・夫婦関係を続けるかという選択によって大きく変わります。

自分の状況に近いケースを確認したうえで、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚する場合の慰謝料相場:100万〜300万円

不倫を理由に離婚を選択する場合、慰謝料の相場は100万〜300万円程度で、ほかのケースと比べて最も高額になる傾向があります。

離婚は、長年の共同生活を完全に崩壊させ、配偶者としての法的地位も失わせる重大な不利益です。住まいや家計、日常の安らぎといった生活の基盤を全て失うことへの賠償として、相応の金額が認められます。

15〜20年と長期間連れ添った末に不倫で離婚に至った場合、300万円前後の慰謝料が認められるケースもあります。一方、婚姻期間が数年と短い場合は、100万〜150万円程度にとどまることも少なくないでしょう。

納得のいく賠償を得るためには、婚姻期間の長さと離婚によって生じた生活上の損害を証拠と合わせて主張することが重要です。

別居する場合の慰謝料相場:100万〜200万円

不倫がきっかけで別居を選択した場合、慰謝料の相場はおおむね100万〜200万円程度です。離婚する場合と再構築する場合の中間的な金額に落ち着く傾向があります。

離婚届は出していなくても、共に暮らすという生活の基盤が実質的に失われており、精神的な苦痛も大きいと法的に評価されます。

子どもの生活環境や経済的な理由から離婚はできないものの、顔を合わせることも苦痛で別居に至ったケースが典型的な例です。別居期間が長引けば、損害が大きいとみなされることもあります。

離婚しないから高くは取れない、と諦める必要はありません。別居という重い決断に至った背景や精神的・経済的な負担を正しく主張し、正当な賠償を求めることが重要です。

夫婦関係を継続する場合の慰謝料相場:50万〜100万円

離婚も別居もせず夫婦関係を続ける(再構築する)場合、慰謝料の相場は50万〜100万円程度と、比較的低めになります。

夫婦の共同生活という基盤が完全に崩壊したとはいえず、精神面・生活面の損害が一定範囲内と法的に判断されるためです。ただし、不倫という裏切りによって平穏な婚姻生活が侵害された事実は変わりません。

主に該当するケースは、子どもの教育環境や経済的な事情を考慮してやり直す決断をした場合などです。ただし、不倫期間が数年に及んでいたり、相手が妊娠・中絶を伴う悪質なケースでは、相場を超える100万円以上が認められることもあります。

再構築を選んだからといって慰謝料を諦める必要はありません。受けた傷へのけじめとして、正当な慰謝料を請求することは再出発に向けた重要なステップです。

不倫・浮気の慰謝料請求をする方法

慰謝料請求の方法は、話し合いから裁判まで段階的に進めるのが基本です。ひとつひとつみていきましょう。

①話し合い(交渉)をする

まず試みるべきは、当事者間での直接の話し合いです。裁判などの法的手続きに比べて、時間・費用のコストを大幅に抑えられます。双方が合意に至れば、早期に解決金を受け取れます。

話し合いでは、証拠を提示したうえで相場を根拠にした請求額を示すのが効果的です。合意に至った場合は、必ず「示談書」を書面で作成し、署名・捺印を残しておきましょう。

口約束で終わらせると、後からトラブルになる可能性があります。感情的に問い詰めるのではなく、証拠と法的根拠に基づいて冷静に交渉することが、早期解決への近道です。

②内容証明郵便を送る

話し合いが進まない場合や、相手が誠実に対応しない場合は、内容証明郵便を送付して正式に請求の意思を伝えましょう。

内容証明郵便は、「誰が・いつ・誰に・どのような内容を送ったか」を郵便局が公的に証明するものです。相手に「本気で法的措置を検討している」という意思を示し、無視やはぐらかしを許さない状況をつくり出せるのがポイントです。

弁護士名義で内容証明を送れば、より強い警告となり、示談交渉に応じる可能性が格段に高まります。証拠を提示したうえで期限を切って回答を求めることで、解決に向けた話し合いが停滞するのを防げるでしょう。

③家庭裁判所の調停を申し立てる

話し合いや内容証明でも決着がつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる手段があります。調停では、調停委員が中立的な立場で双方の意見を聞き、妥協点を探ります。裁判に比べて手続きが簡易で、費用も比較的安く抑えられるのがメリットです。

当事者同士で直接対話する必要がなく、精神的な負担を減らしながら解決を目指せるのがメリットです。調停が成立すれば、裁判上の和解と同じ効力を持ちます。調停でも合意できなければ、次の裁判(訴訟)へと移行します。

④訴訟(裁判)を提起する

話し合い・内容証明・調停のいずれでも解決しない場合、最終的に「訴訟(裁判)」を提起します。裁判の場では、裁判官が証拠に基づいて慰謝料の額を決定し、法的強制力を持つ判決を下します。相手が支払いを拒んでも、勝訴判決を得れば給与や預貯金の差し押さえ(強制執行)も可能です。

多くの場合、裁判は長期戦になりますが、相手が頑として応じない場合や高額の慰謝料を求める場合には、もっとも確実な手段です。弁護士に依頼して証拠を整備したうえで、訴訟に臨むことをおすすめします。

不倫・浮気で慰謝料を請求するときの注意点

慰謝料請求を進める際には、見落とすと大きく損をするポイントがいくつかあります。事前に把握しておけば、無用なトラブルを防げるでしょう。

①不倫・浮気の証拠が必要となる

肉体関係を伴う不倫で慰謝料を請求するためには、不貞行為を証明する証拠が必要です。

有効な証拠として認められやすいものは、以下のとおりです。

  • ラブホテルに出入りする写真(探偵事務所の調査報告書)
  • 性行為そのものが映った写真・動画
  • 肉体関係をうかがわせるLINE・メール
  • 不貞行為を認める本人の発言(録音したもの)

証拠が不十分な状態で請求を始めると、相手に「身に覚えがない」と否認された時点で法的な追及が難しくなります。証拠収集に不安がある場合は、探偵事務所や弁護士への相談を検討してください。

②不倫の慰謝料請求権には時効がある

不倫の慰謝料請求権には時効があり、期限を過ぎると1円も請求できなくなります。不倫の事実と不倫相手が誰であるかの両方を知った時点から3年間行使しないと、時効によって請求権が消滅します。

また、不貞行為のときから20年を経過した場合も、同様に請求できなくなるので注意が必要です。過去の不倫について慰謝料請求を考えている場合は、まず時効が成立していないかを確認してください。

時効が迫っている場合は、内容証明郵便の送付(催告)で一時的に時効の完成を猶予させる手段もあります。気づいた時点で早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

③相手に求償権を行使される可能性がある

慰謝料を請求する際、特に注意すべきリスクのひとつが求償権です。求償権とは、慰謝料を支払った不倫相手が、あなたの配偶者(共同不法行為者)に「自分が払った分の半額を返せ」と請求できる権利のことです。

求償権

不倫相手に求償権を行使された場合、実質的に獲得した慰謝料が目減りしてしまいます。対策としてもっとも一般的なのは、示談書に「求償権を行使しない」という条項を盛り込む方法です。交渉の段階でこの条項を入れれば、後からの追加請求を防げます。

求償権の扱いは、示談交渉の中で見落とされやすいポイントです。弁護士に依頼すれば、確実に対策を組み込めるでしょう。

④肉体関係があっても請求できない場合がある

肉体関係(不貞行為)の事実があっても、法的に慰謝料の支払い義務が生じない例外的なケースが存在します。具体的には、次のとおりです。

ケース 詳細
既婚者と知らず、過失もなかった場合 相手が「独身」と巧妙に嘘をついていた状況
「既婚者だと気づけた」と判断された場合、支払い義務は発生
自由な意思に基づかない関係だった場合 暴力や脅迫によって無理やり肉体関係をもたされた場合
本人の自由意思とはみなされないため、賠償責任は発生しない
夫婦関係が破綻していた場合 不倫前から長期間の別居があるなど婚姻生活が破綻していた状態
性格の不一致などの主張では認められず、法的なハードルは高い

あくまで例外的な事情であり、認められるには客観的な証拠による証明が必要不可欠となります。相手の「知らなかった」「夫婦仲は終わっていた」という主観的な言い逃れがそのまま通るわけではありません。

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不倫・浮気の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

不倫・浮気の慰謝料請求は、自身でおこなうことも可能です。しかし、弁護士に依頼すれば、交渉を有利に進められるだけでなく、精神的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

①相場を超える増額交渉が可能

弁護士は、法的根拠と交渉術を駆使して相手と交渉するため、自身で対応するよりも高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まります。相手の主張の弱点を見抜き、こちらの証拠の価値を最大化する論理的な主張を展開すれば、裁判上の相場を上回る金額での和解を目指すことも可能です。

感情論ではなく、法理論で攻めることが慰謝料増額の鍵となります。交渉を有利に進めるためにも、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。

②違法な証拠収集を避けられる

何が合法で何が違法な証拠収集なのか、法律専門家の視点からアドバイスをもらえます。知らぬ間に違法な方法で証拠収集をおこなうと、逆に配偶者や不倫相手から訴えられるリスクが高まります。

プライバシー侵害や不正アクセス禁止法など、証拠収集に潜む法的リスクを事前に回避し、安全かつ有効な証拠固めのサポートを受けることが可能です。自己判断での調査は危険なので、弁護士に相談してアドバイスを受けると安心です。

③相手との連絡・交渉から解放される

弁護士が、配偶者や不倫相手との連絡や話し合いの窓口となるため、精神的な負担を軽減することが可能です。依頼者が相手と直接やり取りをすれば、怒りや悲しみに直面し続ける必要がなくなります。

弁護士は、代理人として全ての連絡・交渉を引き受けてくれます。依頼者は精神的な平穏を取り戻し、仕事や育児など日常生活の再建に集中できるのは大きなメリットといえるでしょう。

④示談書の内容がより強力になる

弁護士であれば、将来起こりうるあらゆるリスクを想定し、法的に万全な示談書を作成することが可能です。具体的には、求償権の放棄や強制執行認諾文言など、専門家でなければ見落としがちな重要な条項を盛り込み、合意した内容の確実な履行を担保します。

示談書を自分で作成すると、不利な条項がないか、自身を守る条項が漏れていないかを確認しきれず、法的に無効な示談書になりかねません。また、口約束や簡易的な書面では、法的なリスクを避けるには不十分です。

公正証書で示談書を作成すれば、万が一支払いが滞った場合に、裁判を経ずに直ちに相手の給与を差し押さえることが可能になります。弁護士なら、示談書の公正証書化も速やかにおこなってくれるでしょう。

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不倫・浮気問題に関するよくある疑問

最後に、不倫・浮気に関するよくある質問をまとめました。本記事のおさらいもふまえて、頭に入れておきましょう。

Q1.肉体関係が一度もなくても、慰謝料を請求できる?

原則として、肉体関係のない食事やデートだけでは不貞行為にはならず、慰謝料請求は認められません。

ただし、例外的に肉体関係がなくても認められるケースがあるのも事実です。不倫相手と配偶者が同棲していたり、朝まで一緒に過ごしたりするなど、親密な交際があると認められたときは、慰謝料が認められる場合があります。

「肉体関係はなかったはず」と思っていても、ラブホテルへの出入りなど肉体関係を強く示す事実があれば、証拠として有効になるケースもあります。まずは弁護士に相談して、手元の証拠で請求できるかを確認してみてください。

Q2.風俗店の利用や一夜限りの関係は浮気・不倫のどっち?

一般的に、風俗店の利用や一夜限りの関係は浮気や遊びとされますが、法律の観点ではどちらであっても不貞行為とみなされる可能性があります。法律が不貞行為を問題にする理由は、平和な夫婦生活を壊す要因になるためです。

本気か遊びかに関わらず、配偶者以外と肉体関係を持てば、理屈の上では慰謝料請求の対象になります。ただし、風俗店の利用については少し特殊です。一度きりの利用であれば、夫婦関係を破綻させるほどの不貞行為とは認められないケースもあります。

一方、特定のキャストと親密な関係になった場合などは、夫婦の信頼関係を傷つけたと判断され、慰謝料が発生する可能性が高まります。

「本気じゃなかった」という言い訳が常に通用するわけではありませんが、実際に認められる慰謝料の額は、継続的な不倫関係よりも低くなる傾向です。

Q3.不倫相手が「既婚者だと知らなかった」と言い張る場合、慰謝料は取れる?

たとえ相手が「知らなかった」と主張しても、それに過失があれば慰謝料請求は可能です。法律では、以下のどちらかに当てはまる場合に責任を問えると決まっています。

  • 故意: 既婚者だと「知っていて」あえて関係を持った場合
  • 過失: 既婚者だと気づけるはずなのに、うっかり、あるいは確認せずに見過ごした場合

たとえば、配偶者がマッチングアプリで独身と嘘をつき、生活感も一切隠していたなら、相手に過失は認められず請求が難しくなるケースもあります。しかし、普通に交際していれば「土日に会えない」「深夜に連絡が取れない」など、既婚者だと気づけるポイントは多々あるはずです。

そうした不自然な点を見逃していた場合、「注意すれば気づけた(過失あり)」とみなされ、言い逃れは通用しなくなります。

Q4.離婚したくないけど、不倫相手だけに慰謝料を請求できる?

配偶者と関係を継続したまま、不倫相手のみに慰謝料を請求することは可能です。この場合の慰謝料相場は50万〜100万円程度。離婚する場合より低めになりますが、請求する権利は失われません。

ただし、不倫相手が慰謝料を支払った後に、あなたの配偶者に求償権を行使するリスクがあります。示談書に「求償権を行使しない」という条項を盛り込めば、この問題を回避できます。弁護士に相談して、示談書の内容をしっかり確認することをおすすめします。

Q5.LINEのやり取りだけで不倫の証拠として成り立つ?

LINEのやり取りは証拠になり得ますが、内容の具体性によって証拠能力が大きく変わります。一般的に、「好きです」「会いたい」程度の内容では、感情的なやり取りにとどまり、肉体関係の証明には不十分とみなされることが多い傾向です。

一方、性的な内容を含む具体的なやり取りや、「昨夜は楽しかった」「ホテルで待ってる」といった内容であれば、肉体関係を強く示す証拠として有効性が高まります。

LINEだけに頼るのではなく、ラブホテルへの出入り写真や宿泊記録などほかの証拠と組み合わせれば、証拠全体としての説得力が増すでしょう。

Q6.ダブル不倫で慰謝料を請求すると、逆にこちらが支払うことになるのは本当?

可能性としては、十分あります。ダブル不倫は双方の配偶者が被害者になるので、一方が請求するともう一方の配偶者も請求する事態が起こりやすいためです。

たとえば自分が相手に200万円を請求し、相手の配偶者も自分の夫(妻)に200万円を請求してきた場合、家庭の収支はゼロになります。弁護士費用が双方に発生すれば、動けば動くほど手元のお金が減る状況になりかねません。

示談書に求償権の相互放棄条項を盛り込むことが、ダブル不倫特有のリスクへの対策として有効です。

Q7.不倫相手の職場やSNSで不倫の事実を公表してもいい?

名誉毀損やプライバシー侵害として、逆にあなたが訴えられるリスクがあるので絶対に避けましょう。

たとえ事実であっても、相手の職場に嫌がらせの電話をかけたりSNSで実名を公表したりする行為は、名誉毀損罪や業務妨害罪に該当する可能性があります。「被害者なのに訴えられた」という事態になりかねないので注意が必要です。

感情的な制裁ではなく、法的な手続きによって慰謝料を請求することが正当かつ安全な対応です。不倫の事実や証拠は、裁判や交渉などの正当な場で示しましょう。

Q8.性格の不一致で別居中に不倫が始まったけど慰謝料は請求できる?

別居中であっても、婚姻関係が法的に破綻していたかどうかによって結論が変わります。別居していても離婚が成立していない以上、原則として婚姻関係は継続しています。

不倫の事実があれば、慰謝料請求は可能なケースが多いですが、以前から婚姻関係が完全に破綻していた場合は、慰謝料が認められない可能性があります。

「別居していたから仕方ない」という相手の主張が通るかどうかは、別居の経緯・期間・状況によって異なります。別居中だから請求できないと諦めず、まずは弁護士に相談して請求の可能性を確認することをおすすめします。

まとめ|不倫・浮気問題でお悩みの方は弁護士へ相談しよう

不倫と浮気の違いは、法的には「既婚者が関わり肉体関係があるか(不貞行為)」という一点に集約されます。感情的な裏切りだけでは、慰謝料請求は難しいのが現実です。

慰謝料の相場は、離婚する場合で100万〜300万円、別居する場合で100万〜200万円、関係を続ける場合で50万〜100万円が目安。婚姻期間・不倫の期間・状況によって大きく変わります。

配偶者の不倫が疑われる段階から、証拠の確保と弁護士への相談を早めに始めることが、適正な慰謝料獲得と有利な解決への近道です。感情的な行動で自分を不利にする前に、まず専門家に状況を相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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