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不貞裁判で負けたらどんな影響がある?|慰謝料や訴訟費用だけではないデメリット

不貞裁判で負けたらどんな影響がある?|慰謝料や訴訟費用だけではないデメリット

不貞行為で裁判を起こされたという方は、このあとどうなってしまうのか不安に感じてしまうことでしょう。

不貞行為に対する裁判で負けてしまった場合、支払う慰謝料が多額になったり、訴訟費用の負担が発生したりする可能性があります。

本記事では、不貞行為についての裁判で負けるとどうなってしまうのか、裁判で負けないためのポイントなどを解説します。

ぜひ本記事を参考にして、できる対策をおこなっておきましょう。

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目次

「不貞裁判で負けた」とはどういうこと?判決文の例

まず、不貞裁判における「負け」とは何を指すのかを押さえておく必要があります。

以下では、不貞裁判における敗訴について解説し、判決文の例を紹介します。

「不貞裁判で負けた」とは慰謝料の減額がほとんど認められなかったこと

一般的に不貞裁判は不倫をされた人が原告となり、不倫をおこなった配偶者・不倫相手に対して慰謝料の請求を求めます。

不貞裁判における「負け」とは、不貞の事実が認められ、慰謝料の支払いが認められたことを指します。

不貞裁判で負けた場合の判決文の例

ここでは、裁判で250万円の慰謝料が請求されたケースを例に紹介します。

【一部減額された例】
  • 減額100万円 
  • 被告は、原告に対して、金150万円を支払え
【減額できなかった例】
  • 減額0円
  • 被告は、原告に対して、金250万円を支払え

不貞裁判に負けたらどうなる?考えられる4つの状況

不貞裁判に負けてしまった場合、どのような状況になってしまうのでしょうか?

以下では、不貞裁判に負けた際に考えられる4つの状況について紹介します。

1.慰謝料を支払わねばならない

不貞裁判に負けてしまった場合、法的に慰謝料の支払義務が生じます

不貞行為に対しての慰謝料は事情や状況によるものの、数十万円〜300万円程度と非常に高額であり、対応に追われることになります。

2.訴訟費用も負担せねばならない

裁判で敗訴した場合、勝訴側から訴訟費用を請求されることがあります。

また、不貞裁判では、原告が弁護士を雇った場合、被告に対し、弁護士費用の支払いも請求することが可能です。

原告が負担した弁護士費用全額ではなく、一般的には慰謝料の10%が損害として認められます。

たとえば、慰謝料額が150万円と認定された場合には、150万円に加えて、弁護士費用として15万円を支払いなさいという判決になります。

3.控訴するなら控訴費用もかかる

裁判の結果に不服がある場合は、控訴をしてさらに争うことができます。

ただし、控訴する場合、控訴費用や弁護士費用が追加で発生し、それらも負担しなくてはいけません。

控訴までおこなって争い続けるべきかは事情や状況によりますが、一般的に控訴審で判決を覆すことは難しく、また、費用が高額になることや訴訟が長期化することが考えられるため、慎重に検討する必要があります。

4.判決確定後に支払わなければ強制執行される

不貞裁判の判決が確定したのにもかかわらず、慰謝料の支払いをおこなわないと、強制執行される可能性があります。

強制執行とは、被告が判決内容を任意に履行しない場合に、裁判所が強制的に財産の回収をおこなって判決内容を実現することで、俗に差し押さえと呼ばれています。

裁判で勝訴すると、原告には強制執行する権利(債務名義と呼ばれています)が与えられ、強制執行の申し立てが可能になります。

強制執行の対象になるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 給与
  • 預金
  • 不動産
  • 動産(金・宝石・時計など)
  • 保険の解約返戻金

給与を差し押さえられた場合、その事実は勤務先に知られることになりますので、場合によっては会社に居づらくなり退職することもあります。

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不貞裁判で負けないためにできること3つ

不貞裁判で負けないためには然るべき対応をおこなっておく必要があります。

以下では、不貞裁判の対策としておこなえる3つのことを紹介します。

1.弁護士に対応を依頼する

不貞裁判で負けないためには、弁護士に弁護を依頼することが重要です。

とくに離婚問題や不貞行為の対応実績に長ける弁護士に依頼することで、問題の解決に向けて適切に対応してもらえるでしょう。

不貞裁判を依頼する弁護士を探すなら「ベンナビ離婚」の利用がおすすめです。

ベンナビ離婚は、離婚問題に強い弁護士の情報が集まったポータルサイトで、住んでいる地域や相談内容から弁護士を探すことが可能です。

2.相手と交渉し解決を目指す

不貞裁判で負けないために、裁判前に交渉で解決を目指すこともひとつの方法です。

裁判をおこなった場合、証拠に基づき客観的に、事情や状況に応じた慰謝料の支払いが命じられることになります。

しかし、事前に交渉をおこなうことができれば、双方の納得のいく落としどころを見つけることができ、結果として慰謝料の減額を実現することが可能です。

また、裁判をおこなわないことで、問題を長期化させないメリットもあります。

3.裁判で有利となる証拠を集める

不貞裁判で負けないためには裁判で有利になる証拠を集めることも大切です。

不貞裁判では、以下のような要素によって慰謝料の額が変わるため、双方の主張に齟齬がある場合は争点となることがあります。

  • 肉体関係の有無
  • 婚姻関係の破綻の有無
  • 既婚者であることを知っていたか

争いになった場合、争点については裁判所が証拠に基づいて判断することになるため、有利になる証拠を集めておきましょう。

証拠には、SNSの投稿やメッセージツールでのやり取り、手紙や手帳などがあります。

不貞裁判で負けないための反論パターン5つ

不貞裁判で負けないための反論としては、以下の5つのパターンが考えられます。

1.肉体関係はなかったと主張する

不貞行為の有無が争点となった場合、慰謝料を請求している側(原告)に不貞行為があったことを証明する責任が課されます。

明確な証拠を伴った立証ができない場合、不貞行為はなかったとして、慰謝料請求は認められません。

不貞行為はなかったと主張する場合には、「原告が提出する証拠では不貞行為の事実は立証できていない」等と的確に反論する必要があります。

2.相手が既婚者とは知らなかった旨を主張する

慰謝料は、不貞行為の相手が既婚者であることを知っていたり、容易に知り得ることができたといえる状況でないと支払いが認められません。

そのため、不倫した相手が既婚者だとは知らなかったと主張するのもひとつの手段です。

これは、不貞行為の相手が独身だと偽っていたり、マッチングアプリやSNSなどお互いをよく知らない状態で出会ったりした場合に争いのポイントとなります。

3.夫婦関係が破綻していると聞いていたことを主張する

夫婦関係が破綻していると認識していたため、不貞行為とはいえないと主張することもあります。

慰謝料請求が認められる為には、不貞行為があった時点で夫婦関係は破綻しておらず、不貞行為によって夫婦関係が毀損されたといえる必要があるため、不貞行為の時点ですでに夫婦関係が破綻していた場合は慰謝料請求が認められないのです。

夫婦関係の破綻が認められるためには、長期間にわたって別居していたり、離婚調停が進んでいるといった事情が必要になります。

単に、「夫婦仲は悪い」「もう口もきいていない」など夫婦仲が悪いと聞かされていたとしても、同居はしていたような場合には、基本的には夫婦関係が破綻していたとは認められません

4.慰謝料請求権が時効を迎えていることを主張する

不貞行為に対して慰謝料を請求するためには、不貞行為を認識した日から3年以内(民法第724条1項)もしくは不倫の事実があった日から20年以内(民法第724条2項)に訴えを起こす必要があります。

不貞行為の発覚から裁判まで時間が空いた場合には、時効を主張できるケースもあるでしょう。

なお、一部でも慰謝料を支払っていると時効は更新されてしまうため、主張する際には注意が必要です。

5.すでに相手方が配偶者から慰謝料を受領している事実を主張する

慰謝料は、配偶者もしくは配偶者の不倫相手双方から得ることができますが、これは連帯して負担するものとされています。

そのため、一方が払った慰謝料は他方に影響を与え、たとえば一方がすでに十分な慰謝料を払っている場合には、他方から更に慰謝料を得ることは法的に認められません

例えば、原告が、配偶者からすでに300万円の慰謝料を受け取っていた場合、不倫相手に対する慰謝料請求は原則認められません。

ただし、慰謝料以外の名目で金銭の授受があった場合などには、それが実質的に慰謝料の支払いと言えるかどうか裁判所の判断に委ねられることもあります。

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不貞裁判で負けた判例3つ

不貞裁判で負けてしまったケースとしては、どのようなものがあるのでしょうか。

以下では、不貞裁判で負けた判例を3つ紹介します。

1.不貞行為が認められ、まったく減額されなかった事例

1つ目に紹介するのは、示談したことにより不貞行為を認めたとされ、示談書の金額の支払いが全額認められた事例です。

この事例では、原告と妻の婚姻関係が破綻する前に、被告と妻の男女関係があったかどうかが争点となりました。

判決では、示談により男女関係があったことを認めたとして慰謝料請求が認められ、示談書どおりの金額の支払いが命じられました。

参考
令和3年9月30日東京地裁判決 令2(ワ)19158号)

2.不貞行為の事実などが認められ、200万円の慰謝料が認められた事例

2つ目に紹介するのは、不貞行為の事実が認められて200万円の慰謝料が認められた事例です。

原告は被告と原告の夫が不貞行為をしたことに対して、200万円の慰謝料を請求しました。

裁判所は、被告が原告の夫が既婚者であることを知りつつ、不貞行為をおこなっていたことを理由に、慰謝料は200万円が妥当と判断しました。

参考
東京地判平成26年11月13日判決

3.不貞行為によって婚姻関係が破綻したため、100万円の慰謝料が認められた事例

3つ目は不貞行為によって婚姻関係が破綻したことにより、100万円の慰謝料が認められた事例です。

原告は被告と原告の妻が不貞行為をしたことに対し、慰謝料140万円を請求しました。

裁判所は不貞行為によって婚姻関係が破綻したことを認め、婚姻期間が9年と長く、未成年の子どもが2人いることや職を失ったことを考慮し、100万円の慰謝料が妥当と判断しています。

参考
東京簡判平成24年6月5日

不貞裁判で一審は負けたが控訴で勝訴した事例

一方で、裁判所の判決を不服とし控訴した結果、控訴審では勝訴した事例も存在します。

原告は原告の妻と離婚を前提に別居を開始しましたが、原告の妻がその後すぐに被告と関係を持ったとして訴えを起こしました。

証拠として原告の妻と被告がキスをしたり、宿泊したりしていることを示す写真が提出され、一審では不倫ないしそれに準ずる行為があったとして、慰謝料の支払いを命じました。

しかし、被告は、友人以上の関係はあったとしつつも、肉体関係はなかったとして控訴しました。

不貞行為を直接的に裏付ける証拠はなかったとして、控訴審では慰謝料の請求は認めらませんでした。

このようなケースもあるため、主張の一貫性や証拠の有無、弁護士のサポートは非常に重要なポイントになります。

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不貞裁判で負けた場合によくある質問と回答

最後に不貞裁判に関するよくある質問とその回答を紹介します。

1.お金がなくて慰謝料を支払えません。どうなりますか?

慰謝料の支払いが命じられたにもかかわらず、慰謝料の支払いができない場合、強制執行される可能性があります。

しかし、強制執行されたからといって、全財産を差し押さえられるわけではありません。

日本では憲法で「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利が認められているため、生活に必要な財産までは差し押さえられません

また、給与を差し押さえられた場合でも4分の1を超えて差し押さえることは禁止されています。

2.裁判に負けましたが、控訴したほうがよいでしょうか?

裁判に負けたものの、不服な点がある場合は控訴を検討することをおすすめします。

控訴をするかどうかを検討する際には、第一審判決による不利益の程度や判決が覆る可能性、控訴にかかる費用や時間、心情的に納得できるかどうかなどの要素が求められます。

これらの要素を踏まえたうえで、弁護士へ相談しながら慎重に検討する必要があります。

3.裁判に負けたら、不貞の事実を周りに知られるでしょうか?

裁判をおこなったことや裁判に負けたこと自体は、周りに知らされることはありません

しかし、裁判に負け慰謝料を請求された結果、支払いができず給与が差押えられた場合は、勤務先に強制執行があったことを知られるため注意が必要です。

4.不貞の裁判に負けたら前科がつきますか?

不貞裁判は民事事件に属する裁判となります。

罪が認められると前科がついてしまう刑事事件とは異なるため、不貞裁判に負けても前科はつきません

5.不倫の証拠はありません。「不貞行為はない」と嘘をついてもよいですか?

不倫の証拠がなかったとしても、実際には不倫をしていた場合、嘘をつくことはおすすめできませんが、ケースバイケースですので、弁護士に相談することをおすすめします。

仮に不倫の証拠がないとしても、不倫相手が不倫を認めてしまうことで、不倫があったとみなされる可能性があります。

また、嘘をついていたと認定された場合には、慰謝料の増額につながる可能性があります。

さいごに

不貞行為は許される行為ではありません。

そのため、不貞行為に対しての慰謝料はとても高額で、支払いができない場合には強制執行される可能性があります。

しかし、裁判になったからといって確実に慰謝料が認められるわけではありません。

不貞行為によって裁判をおこなう場合は、本記事を参考に弁護士へ相談・依頼し、解決に向けて一歩前進してください。

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この記事の監修者
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竹中 朗 (東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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