不倫と愛人はどう違う?慰謝料請求された場合の対処法も解説
「不倫と愛人は何が違うのか」「愛人契約には、どのような法的リスクがあるのか」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
不倫と愛人関係は、一般的には定義が異なりますが、既婚者と肉体関係を伴う交際という点では共通しているといえるでしょう。
いずれも、民法上の不貞行為にあたる可能性があり、慰謝料請求のリスクをはらみます。
本記事では、不倫・愛人関係の定義や違い、慰謝料を請求された場合の対処法を解説します。
愛人契約の法的有効性やパパ活の法的リスクについても触れているので、ぜひ参考にしてください。
不倫・愛人関係・パパ活の違い|肉体関係や経済的援助の有無
不倫・愛人関係・パパ活は、法律用語ではなく、明確な定義はありません。
三つの違いは、一般的に、肉体関係の有無・経済的援助の有無・継続性の3つの視点で整理できます。
| 関係 | 肉体関係 | 経済的援助 | 継続性 |
|---|---|---|---|
| 不倫 | あり | 不問 | 不問 |
| 愛人関係 | あり | あり | あり |
| パパ活 | 原則なし | あり | 不問 |
不倫とは|肉体関係があり経済的援助はない既婚者との関係
不倫は、既婚者が配偶者以外の相手と親密な関係にあることを指します。
社会的・倫理的に非難される男女関係を指す言葉として用いられるのが一般的です。
不倫は肉体関係を伴う交際である場合が多く、不貞行為に該当する可能性が高いです。
不貞行為とは、既婚者が自由な意思に基づいて配偶者以外の人と肉体関係を持つことを指します。
不倫相手を経済的に援助しているケースもありますが、愛人と区別する文脈では、援助を伴わない関係として語られることが多いでしょう。
不倫は、一時の気の迷いや一夜限りの関係ではなく、一定期間にわたって交際を続けている状態を指す場合が多いです。
愛人とは|肉体関係・経済的援助がある公にできない男女の関係
愛人とは、一般的に経済的援助を伴う男女の親密な関係を意味します。
従来は愛する人・恋人を意味する言葉でしたが、戦後に不倫相手や妾(めかけ)の婉曲表現として使われるようになりました。
現在では、継続的な肉体関係を持つことを条件に、お金や住居を提供する関係というニュアンスで用いられるのが一般的です。
愛人関係は、公にできない秘密の関係、すなわち一方または双方に配偶者やパートナーがいる場合が多いです。
また、愛人関係では、交際上のルールや金銭の支払い方法を定めた愛人契約が結ばれる場合もあります。
パパ活とは|経済的援助はあるが肉体関係を前提としない既婚者との関係
パパ活とは、女性が年上の男性と食事やデートをする対価として金銭などを得る行為を指します。
肉体関係を前提としていないのが特徴ですが、稀に肉体関係に発展するケースもあるようです。
パパ活は、不倫・愛人関係と異なり、特定の相手と継続的に関係を築くとは限りません。
一度限りのデートで終わるケースもあれば、月に数回食事に行くといった定期契約が結ばれる場合もあります。
通常、女性側は男性を恋愛対象としていない場合が多いです。
愛人契約は法的に有効?犯罪にはならない?
愛人契約は、法的には公序良俗に違反するものとして、無効となる可能性が高いです。
関係の実態によっては刑事上のリスクが生じる場合もあります。
公序良俗違反として無効になる可能性が高い
愛人契約は、法的には公序良俗に反するとして無効とされる可能性が高いです。
公序良俗とは、社会の秩序や一般的な道徳観を守るための基準であり、契約や法律行為の有効性を判断する上で重要な考え方です。
婚姻秩序や性道徳に反する契約は、公序良俗違反によって無効となります。
既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持つことを前提とした愛人契約は、判例・通説上でも、公序良俗に違反すると明示されています。
なお、愛人契約に基づいて支払われる金品は、不法原因給付にあたるため、愛人に渡した金品は、原則として返還を請求できません。
売春防止法に違反するおそれがある
愛人契約やパパ活の交際態様によっては、売春防止法に違反する可能性があります。
売春防止法は、以下の行為を禁止しているためです。
- 売春行為:金品などの対償を受け又は受ける約束で不特定の相手と性交すること
- 買春行為:売春行為の相手方となること
売春行為・買春行為自体に罰則はないため、売春・買春をしただけでは処罰の対象にはなりません。
しかし、相手が18歳未満の場合は、刑事処罰の対象となる可能性があります。
| 対象となる行為 | 成立しうる犯罪 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 18歳未満の相手に金銭を支払って性行為などをした | 児童買春・児童ポルノ禁止法違反 | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 16歳未満の相手と性行為などをした | 不同意性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑 |
| 16歳未満の相手にわいせつ行為をおこなった | 不同意わいせつ罪 | 6ヵ月以上10年以下の拘禁刑 |
16歳未満の相手との性行為・性的類似行為やわいせつ行為については、同意や金銭の授受の有無は問われません。
ただし、13歳以上16歳未満の者との性行為などは、行為者が5歳以上年上である場合に限り、処罰の対象となります。
不倫・愛人関係・パパ活は慰謝料請求の対象になる?
不倫・愛人関係が発覚すると、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
パパ活の場合も、交際態様によっては、慰謝料請求の対象となる可能性があるでしょう。
不倫・愛人関係は慰謝料請求の対象になる可能性が高い
不倫・愛人関係は、慰謝料請求の対象となる可能性が高いです。
既婚者が自由な意思のもと配偶者以外の人と肉体関係を結ぶ行為は、不貞行為に該当するためです。
不貞行為は、民法上の不法行為(民法709条)にあたります。
不貞行為をされた側は、不貞をした側に対し、精神的苦痛に基づく慰謝料請求が可能です。
肉体関係がなくても、既婚者として度を過ぎた交際があり、夫婦関係の悪化を招いた場合は慰謝料請求の対象となり得ます。
たとえば、愛人宅に入り浸り自宅に帰らなくなった場合や、不倫相手と二人きりで旅行をした場合などです。
慰謝料の金額は、婚姻期間・不貞期間・頻度・子どもの有無などによって異なります。
相場は、以下のとおりです。
| 夫婦の状況 | 金額(目安) |
|---|---|
| 離婚しない場合 | 50〜100万円 |
| 離婚する場合 | 100〜300万円 |
パパ活も交際状況によっては慰謝料請求の対象になる場合がある
パパ活も、交際状況によっては慰謝料請求の対象となる場合があるでしょう。
相手と一度でも肉体関係を持つと、原則として不貞行為に該当します。
肉体関係は性行為をした場合だけではありません。
手淫や口淫、お互いの性器を触り合う行為等の性交類似行為も含まれます。
肉体関係がなくても、夫婦生活の平穏を乱す行為があれば、慰謝料請求の対象となる場合があります。
たとえばパパ活に夢中になり過ぎて家庭を顧みなくなった場合や、相手にお金やプレゼントを貢いで家計に深刻なダメージを与えた場合などです。
不倫・愛人・パパ活がバレて慰謝料を請求された場合にとるべき対応
不倫・愛人・パパ活が発覚して慰謝料を請求されたら、まずは請求内容と根拠を確認し、支払い義務が生じるかどうかを見極めましょう。
不法行為の成立要件を満たさない場合や減額できる事情がある場合は、交渉によって支払い額を抑えられる余地があります。
1.請求内容・根拠・請求額を確認する
請求内容・根拠・請求額を確認しましょう。
慰謝料を請求された場合、まず相手が何を根拠にいくらを求めているかを把握する必要があります。
たとえば、あなたと不倫相手・愛人が二人きりで食事・デートをした事実のみを根拠に請求してきている可能性もあります。
配偶者が不貞行為の存在までを確信していない、あるいは証拠が不十分な場合は、自ら不貞行為を認めるような発言は控えるべきです。
慌てて動く前に、相手がどこまで把握しているかを冷静に見極めるのが重要です。
2.民法上の不法行為に該当するかどうか確認する
相手の請求の根拠とする行為が、民法上の不法行為に該当するかどうかを確認しましょう。
慰謝料請求が認められるには、不法行為の成立要件を満たす必要があります。
不倫・愛人関係・パパ活で不法行為が成立するのは、原則として、以下を満たす場合です。
- 不貞行為時点で婚姻関係があった
- 不倫相手・愛人・パパ活の相手と不貞行為(肉体関係や性交類似行為)を持った
- 不貞行為によって、夫婦関係が悪化または破綻した
- 夫婦関係の悪化または破綻について、故意・過失があった
- 不貞行為をされた側に精神的損害が発生した
上記4の故意・過失については、積極的な害意は必要ありません。
婚姻関係の存在を知っていたか、あるいは知る余地があったかどうかで判断されます。
不貞行為をした既婚者側は、婚姻関係の存在は当然把握しているため、上記4については故意が認められます。
3.慰謝料を減額できる事情があるか確認する
慰謝料を減額できる事情があるかを確認しましょう。
慰謝料の金額は、さまざまな事情を総合的に考慮して算定されます。
支払い義務が生じる場合でも、一定の事情があれば減額が認められる余地があります。
主な減額事由は、以下のとおりです。
- 不貞期間が短い
- 不貞回数が少ない
- 婚姻期間が短い
- 夫婦関係が不貞前から悪化していた
- 夫婦が離婚に至っていない
- すでに社会的制裁(解雇など)を受けている
たとえば、不貞期間が1ヵ月程度で回数も2~3回程度の場合は、減額交渉の余地が生じます。
4.不倫問題が得意な弁護士に相談・依頼する
不倫問題を得意とする弁護士への相談・依頼を検討しましょう。
慰謝料の請求を受けた場合、感情的になった相手との直接交渉は長期化する傾向があります。
不適切な交際をした弱みから、不当に高額な請求を受け入れてしまうリスクもあります。
弁護士を代理人に立てれば、対等な立場での交渉が可能です。
法的な根拠に基づいて交渉を進められるため、相手の譲歩を引き出しやすく、減額の可能性が高まります。
減額事由の主張や証拠の評価など、専門的な判断が必要な場面でも適切な対応を受けられるでしょう。
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不倫・愛人・パパ活に関するよくある質問
本章では、不倫・愛人・パパ活に関するよくある質問に、Q&A形式で回答します。
Q.不倫ではなく愛人を作る人は何にメリットを感じているの?
愛人関係は感情的なしがらみが少なく、割り切った関係を維持しやすい点にメリットを感じる人が多いと言われています。
恋愛感情がある場合もありますが、基本的には互いの利害一致を前提としているためです。
経済的な対価を伴うため、関係の継続・終了を管理しやすいと考える人もいるでしょう。
Q.愛人契約で得たお金には税金がかかる?
金品を受け取った愛人側に、税金が課される場合があります。
継続的な生活費の援助は、贈与税の対象となる可能性があります。
年間110万円を超える場合、超過分について贈与税の申告・納付が必要です。
お金だけでなく、車や不動産などの高額な財産をもらった場合も同様です。
援助する側が事業を営んでおり、会社のお金で愛人に手当を支払っている場合は、贈与税ではなく所得税が課税されることになるでしょう。
Q.契約解消で愛人側から既婚者に慰謝料は請求できる?
愛人側から既婚者に対して、契約解消を理由とした慰謝料を請求することは、原則として認められません。
愛人契約は、公序良俗違反として法的に無効であり、保護すべき法律上の権利がないためです。
ただし、重婚的内縁関係にあり、法律婚の夫婦関係が形骸化している場合には、例外的に慰謝料請求が認められる可能性はあります。
個別の事情については、弁護士への相談をおすすめします。
Q.パパ活で相手に下着姿や裸の写真を要求するのは犯罪?
相手が未成年の場合、以下のような犯罪に該当する場合があります。
| 行為 | 該当しうる犯罪 | 罰則 |
|---|---|---|
| 16歳未満の相手に性的な画像を要求する | 映像送信要求罪 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 18歳未満の相手に性的な画像を要求する | 各都道府県が定める青少年保護育成条例違反 | 東京都の場合:30万円以下の罰金 |
| わいせつな画像を撮るよう児童に要求し、児童本人に撮影させる | 児童ポルノ禁止法で規定されている製造 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 自分だけが楽しむ目的で、児童のわいせつな画像などを所持・保管する | 児童ポルノ禁止法違反 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
なお、映像送信要求罪は、相手が実際に送ってこなくても、要求した時点で処罰の対象です。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、要求する側が5歳以上年長である場合に限り、処罰の対象となります。
まとめ
不倫・愛人・パパ活は定義が異なりますが、肉体関係が生じた場合は、いずれも不貞行為に該当する可能性があります。
関係が発覚すると、配偶者から慰謝料請求・離婚請求を受けるリスクがある点も共通しています。
愛人契約は公序良俗違反として法的に無効となる可能性が高く、契約書を交わし署名・押印していても法的拘束力は生じません。
愛人に渡した金銭は不法原因給付にあたり、返還を請求できないのが判例の立場です。
関係発覚により配偶者から慰謝料を請求された場合は、請求額をそのまま支払う必要はありません。
不倫・男女問題に注力する弁護士に早めに相談することで、減額交渉などの適切な対応が可能です。
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