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相手の借金が原因で離婚できる?自分に関係のない借金の返済は?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
相手の借金が原因で離婚できる?自分に関係のない借金の返済は?

パートナーとの金銭感覚の違いは離婚を考えるきっかけになります。

特に浪費がひどかったり、浪費によってできた借金が常にあるようでは、離婚したいと思うのも当然です。

しかし、「借金を理由に離婚できるか」と不安になる人は多いでしょう。借金を理由に離婚できますが、方法によっては難しい可能性があります。

この記事では、『借金を理由に離婚する方法』『折半しなければいけない借金とそうでない借金』『借金を緩和して生活を楽にする方法』をご紹介します。

この記事に記載の情報は2024年03月18日時点のものです

借金を理由に離婚する3つの方法と難易度

離婚には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの方法があります。

借金を理由に離婚できますが、離婚方法によって難易度が以下のように変わります。

  難易度 理由
協議離婚 相手の合意さえあれば、どのような理由でも離婚できる。
離婚調停 ★★

合意があれば借金でも理由が可能。ただし調停委員が相手の味方になったり、相手が頑なな態度をとっていると、話し合いが難航し離婚できない可能性もある。

離婚裁判 ★★★

相手から合意を得なくても離婚できるが、裁判官に離婚が妥当と示す証拠を集めなければならない。

協議離婚|難易度★

協議離婚は、ほとんどの離婚で利用され方法です。話し合いにより離婚の可否や条件を決めていき、合意によって離婚が成立します。

この方法では、当事者双方が離婚の意思を持っていれば、特別な離婚理由は必要がないため、配偶者の借金を理由に離婚を申し入れるということは有りえます

ただ、あくまで協議であるため、相手が離婚に応じない場合は離婚は成立しません。

調停離婚|難易度★★

離婚に対して配偶者どちらかが合意をせず、協議離婚が成立しない場合は状況が変わってきます。協議離婚で話がまとまらない場合、次に進むのが調停離婚です。

調停離婚では、第三者である調停委員との話し合いを経て離婚が協議されます。

中立的な立場で離婚が妥当か判断し、双方に妥協点を提案します。

ただ、最終的に夫婦の合意がなければ離婚成立にはなりません。そこでも決着がつかなければ、離婚裁判へと発展します。

裁判離婚|難易度★★★

離婚裁判では、配偶者に明確な離婚理由があるかどうかを問われます。借金を理由にするならば、上記した「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを証明する必要があります。

しかし、「単に借金がある」という理由のみでは離婚は認められない場合が多いと思われます。

借金の影響で夫婦生活が破綻しているという状態に至らない場合は、離婚を認めないのが通常です。

他方、借金以外にも以下のような事情がある場合は、これらを総合して離婚を認める場合もあるかもしれません。

  1. 借金して愛人に貢いでおり、家庭にお金を入れようとしない
  2. 生活費をギャンブルに充てており、家族全員が困窮している
  3. 配偶者の制止を無視して借金を繰り返しており、日常生活が送れない

離婚裁判では借金の有無や金額だけでなく、これにより夫婦関係にどの程度影響があるかが重視されます。

この影響が看過できない程度に至っており、夫婦関係が破綻していると評価されれば、離婚は認められる可能性があります。

配偶者の借金の返済義務は自分にもあるのか?

基本的に借金をした当事者や連帯保証人となっている場合でない限り、配偶者に返済義務は一切ありません

もっとも、夫婦生活を維持するために必要であった債務(住宅ローンなど)は、財産分与の資産評価に置いて考慮対象となります。

配偶者もこの限度で離婚時に影響を受けますので注意しましょう。

借金を理由にした離婚でも慰謝料や養育費の請求はできる

借金を理由にした離婚でも慰謝料や養育費の請求はできる

配偶者の「借金」により生活が苦しくなったり、離婚に至ったとしても、一般的に慰謝料を請求することはできません。

もっとも、借金や浪費の程度が大きく、客観的に見て夫婦の扶助義務を放棄していると判断されるような場合、慰謝料請求できる場合があります。この点は程度問題であるため、ケースバイケースです。

なお、養育費の支払義務は、相手の財産状態によりこれが免除されるということはありません。ただ、多額の借金を負っている状態であれば、支払は期待できないかもしれません。

今後そういったことが起こることを見越して、早い段階で財産は確保しておくようにしましょう。また、弁護士の無料相談を利用し、できるだけ損をしない離婚ができるように計画を立てることが重要です。

離婚時の借金問題の解決策|気持ちよく新生活を送る方法

夫婦で背負ってしまった借金が理由による離婚を避けるには、借金について以下のような債務整理処理を行うことが考えられます。

 

調停による借金の減額、返済方法の緩和

ひとつが調停による方法です。特定調停として簡易裁判所に調停を申し立て、債権者と債務者の間に介入してもらいます。

特定調停とは、借金返済が順調でない債務者の申し立てにより行われ債務者が借金の整理により生活を立て直せるように支援することを目的としている調停です。

特定調停を申し立てられる条件は以下の2点です。

  1. 減額後の借金が3年程度で返済できる金額である
  2. 継続して収入を得る見込みがある場合


特定調停では、借金返済の減額や返済方法の緩和や見直しなどの話し合いが行われます。

しかし債権者の中には、特定調停に対して協力的でない対応をされる場合もあるため用心が必要です。

任意整理

任意整理は特定調停と大方同じような効果が得られる傾向があります。弁護士や司法書士などの法律の専門家に委任し、自身の代理として債権者と交渉してもらい、法的手続外で解決策を話し合ってもらいます。

あなたが自力で行うこともできますが、スムーズかつ有益に交渉を行ってもらうには専門家の力を借りるほうがいいでしょう。

個人再生

この方法では、裁判所を利用し借金の残額を分割で支払うことができます。この方法を行うには、以下のような条件を満たしている必要があります。

  1. 今後において安定した収入が見込める
  2. 破産に準ずる経済状況であること
  3. 住宅ローンを除き、借金額が5,000万円以下

個人再生の方法であれば、住宅や車などの財産を手放さずに債務が最大10分の1へと減額されるのです。

その減額された借金を裁判所が認めた原則3年の支払い計画にもとづいて返済を行います。自己破産を避ける方法として一般的になってきています。

自己破産

自己破産とは、借金の返済が明らかに不可能であると判断された場合に、借金返済を免除してもらえる制度です。

これにより非免責債権以外の借金がなくなり、人生の再スタートを切るには有効とされています。

しかし、自己破産のタイミングによってはあなたに不利な状況が降り掛かってくる場合もあり、専門家に相談するなど慎重に行うといいでしょう。

まとめ

夫の借金問題は通常であれば離婚に繋がるようなものではありませんが、夫婦や家族の生活に影響が出るようであれば離婚も視野に入れる必要があります。

しかし、離婚する前に解決可能かもしれませんので、悩んでいる場合は、まずは弁護士等に相談してみましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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