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専業主婦の方が離婚する場合、財産分与について不安に感じることも多いのではないでしょうか。
原則として、離婚時には専業主婦でも2分の1の財産分与を受けられます。
ただし、財産分与の対象となる財産は決まっているほか、割合が2分の1にならないケースもあるので注意が必要です。
本記事では、財産分与において、どの資産が対象になるのかどうかとともに、割合の相場や受け取りのためにすべき準備について解説します。
専業主婦の方で納得のいく割合で財産分与を受けたい方は、ぜひ参考にしてください。
離婚時には、専業主婦も財産分与を受けられます。
専業主婦は家事労働が財産の形成に貢献したと考えられるためです。
また、財産分与を受けられるかどうかに子どもの有無は関係ありません。
専業主婦が受けられる財産分与の割合や相場については、以下で詳しく解説します。
専業主婦が受けられる財産分与の割合は、原則として2分の1です。
たとえば、夫婦の共有資産が1,000万円であれば、財産分与で受けられるのはそれぞれ500万円ずつです。
ただし、法律上で財産分与の割合が2分の1と定められているわけではありません。
双方の合意のもと、自由な割合で財産分与するケースもあります。
婚姻期間別に、離婚時にもらえる財産分与の平均額と相場は以下のとおりです。
ただし、専業主婦に限ったデータではないので、参考程度にしてください。
財産分与の金額 |
婚姻期間5年以上 |
婚姻期間20年以上 |
婚姻期間25年以上 |
総数 |
293件 |
1,072件 |
1,804件 |
100万円以下 |
97件 |
110件 |
118件 |
200万円以下 |
61件 |
85件 |
124件 |
400万円以下 |
47件 |
168件 |
192件 |
600万円以下 |
12件 |
105件 |
192件 |
1,000万円以下 |
11件 |
161件 |
301件 |
2,000万円以下 |
6件 |
166件 |
320件 |
2,000万円以上 |
7件 |
83件 |
241件 |
算定不能 |
52件 |
194件 |
316件 |
以上より、婚姻期間が長い方が財産分与で受けられる金額は多いことがわかります。
財産分与の対象になるのは、婚姻してから夫婦で築き上げた資産である「共有資産」のみです。
具体的には以下の財産が財産分与の対象となります。
ただし、婚姻後であっても、別居をした時点から築いた財産は財産分与の対象にはなりません。
別居後に築いた財産は夫婦で協力して築いた資産とはみなされないためです。
また、財産の名義は関係なく、実質的な判断によります。
自動車や不動産のような物品については、購入時の価値ではなく、現在の価値である旨も押さえておきましょう。
専業主婦であっても、夫の厚生年金が財産分与の対象になります。
離婚時には、婚姻期間中に支払った年金を夫婦で分ける「年金分割」という制度があり、厚生年金も年金分割の対象となっているためです。
ただし、夫が会社勤めではなく、自営業やフリーランスで国民年金に加入していた場合は、年金分割の対象になりません。
専業主婦の年金分割については、以下の記事で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
財産分与の対象にならないのは、夫婦の協力とは無関係に築かれた「特有資産」です。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
これらは、夫婦で協力して築いた資産ではないため、財産分与の対象になりません。
ただし、相続した家のリフォーム代金を配偶者に負担してもらったなど、特有財産についても配偶者による貢献度合いで資産価値にプラスの影響を与えた場合は、財産分与の対象となるケースもあります。
ここからは、専業主婦が財産分与を円滑に受け取れるようにするために準備すべきことを紹介します。
以下の手順に沿って進めていきましょう。
それぞれのステップについて、詳しく解説します。
まずは、財産分与の対象となる共有資産をリストアップします。
リストアップする共有資産は、具体的に以下のとおりです。
資産状況を把握するために、必要に応じて金融機関や保険会社へ問い合わせましょう。
また、資産はプラスだけでなくマイナスのものもあります。
全ての資産をリストアップする必要があるので、注意しましょう。
リストアップした共有資産をもとに、財産分与の割合についてパートナーと話し合います。
財産分与の相場は原則2分の1です。
ただし、両者が合意していれば必ずしも2分の1ずつでなくても問題ありません。
また、財産分与手続きを円滑に進めるために、相手方がどのような資産をもっているかを聞き出すのも重要なポイントです。
夫婦関係が良好なうちであれば、比較的聞きやすい一方で、夫婦間ですれ違いが起き、会話すらしていないと、資産情報を開示してもらうのは困難でしょう。
そのような場合は、同居している間に金庫や重要書類をチェックしておくのも肝心です。
なお、話し合いがまとまった場合は、公正証書を作成するのも忘れないようにしましょう。
万が一、取り決めを守らなかった際に法的効力をもつので、安心材料となります。
話し合いでお互いの資産が明らかになり、スムーズに取り決めができるのが理想です。
しかし、残念ながら配偶者が所有している共有資産を隠す可能性もゼロではありません。
次に、専業主婦の財産分与の割合が2分の1にならないケースについて紹介します。
以下の場合、財産分与の割合が下がる可能性があります。
それぞれのケースについてみていきましょう。
特殊な能力や資格などにより、夫の稼ぎが大きい場合には、財産分与の割合が2分の1よりも少なくなるケースがあります。
特殊な資格や専門的な能力によって築かれた資産は、資産形成における夫の貢献度が妻よりも高いと判断されるためです。
具体的には、以下のような職業が挙げられます。
夫が以上に該当するような職業である場合は、注意しましょう。
専業主婦にもかかわらず、家事育児を十分にしていなければ、財産分与の割合が2分の1以下になる可能性があります。
なぜなら、専業主婦は家事育児をすることが資産形成への貢献とされているからです。
たとえば、専業主婦でも掃除や洗濯をまったくしていなければ、財産分与の割合相場である2分の1を受けるのは難しいでしょう。
妻が有責配偶者であれば、財産分与の割合が2分の1にならないかもしれません。
有責配偶者とは、不貞行為により夫婦関係を破綻させた配偶者を指します。
このケースでは、精神的な苦痛を賠償するために請求する慰謝料を財産分与に含める「慰謝料的財産分与」がおこなわれることがあります。
慰謝料を含めて、財産分与の割合を考えるのであれば、相場である2分の1を下回る可能性もあるでしょう。
専業主婦が、納得する割合で財産分与を受けるためには押さえておくべきポイントがあります。
ここでは、特に重要な部分を4つ解説します。
納得できる割合で財産分与を受けるためには、早く行動することが肝心です。
以下のように、財産分与の手続きには多くの工数や時間を要します。
また、離婚では財産分与以外にも、養育費や慰謝料などの内容も取り決める必要があります。
離婚を検討したタイミングで、なるべく早く行動するようにしましょう。
財産分与で決めた割合については口約束のみや離婚協議書ではなく、公正証書にまとめておくのもポイントのひとつです。
公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。
公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。
引用元:公正証書 | 日本公証人連合会
財産分与をしないと強制執行されてもよい旨を内容に盛り込んでおけば、万が一支払いがされない場合に裁判所を通さずに強制執行ができます。
財産分与の取り決めにあたっては公正証書を作成しておけば安心です。
財産分与について取り決めたうえで離婚するのも、重要なポイントです。
取り決めの前に離婚してしまうと、交渉や話し合いがスムーズにいかない可能性があります。
一般的に考えられるリスクは以下のとおりです。
なお、財産分与の請求期限は離婚後2年以内と決まっているため、期限を過ぎてしまうと一切請求できなくなります。
期限内であれば離婚してからも請求は可能ですが、あらかじめ割合を取り決めてから離婚するのが理想だといえるでしょう。
専業主婦が納得のいくような割合で財産分与を受けたいのであれば、弁護士に相談しましょう。
特に以下のケースでは、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば相手の財産を正確に把握でき、ひとりで対応するよりも財産分与の割合が増える可能性があります。
また、離婚が成立するまで相手と顔を合わせずに手続きを進められるので、必要に応じて弁護士への相談を検討してみてください。
離婚に際して、専業主婦であっても原則2分の1の財産分与を受けられます。
ただし、財産分与の対象になるのは共有資産のみであり、特有資産は対象外です。
また、専業主婦が家事育児を十分にしていなかったり、夫の稼ぎが大きかったりした場合には、割合が2分の1とならないケースもあるので注意しましょう。
なお、専業主婦が納得のいくような財産分与を受けるためのポイントは以下のとおりです。
状況によっては、弁護士に相談をしたほうがスムーズに話し合いが進み、最終的に受けられる財産分与の割合も多くなるケースがあります。
少しでも疑問点がある場合は、弁護士に相談してみましょう。
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