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2018.7.3

離婚する専業主婦の年金はいくら?損しない年金分割ガイド

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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離婚の財産分与では、夫の年金も分与の対象になることを知っていますか?

 

専業主婦の場合、最も不安なのが金銭面だと思います。離婚後の生活のためにもできるだけお金をもらっておきたいですよね。

 

離婚時に配偶者の年金を分けることを『年金分割』といいます。年金分割は、まだご自身が年金を受け取る年齢でなくても請求することが可能です。

 

この記事では、年金分割に関する基礎知識や夫に請求する方法、どのくらい受け取れそうかなどを詳しく解説します。

 

 

 

専業主婦の『年金分割』に関する5つの基礎知識

ここでは、年金分割に関する基礎知識をご紹介します。

 

1:年金分割の対象は厚生年金のみ

『年金分割』といっても、すべての年金の分割を請求できるわけではありません。請求できる年金の種類は、厚生年金のみです(共済年金は2015年10月より厚生年金制度に統一)。

 

配偶者が結婚してからずっと自営業の場合、年金分割が請求できないかもしれません。ただし、自営業でも会社組織(有限会社・株式会社)として働いている場合は請求できます。

 

 

2:結婚期間中の分しかもらえない

年金分割は、夫の厚生年金・旧共済年金すべてのうちの半分を得られるわけではありません。対象になるのは、婚姻関係が成立していた期間分です。

 

別居が長い場合でも、戸籍上は婚姻関係になっているので、期間内に含まれます

 

事実婚の方が関係解消する場合も、年金分割を請求することができます。その場合、夫の扶養に入り第3号被保険者(※)だった期間が対象になります。

 

※第3号被保険者

第3号被保険者とは、民間企業の従業員や公務員に従事する配偶者に扶養されている、年収130万円未満の人のこと。

 

例えば、夫の厚生年金・共済年金の加入期間が50年で、結婚していた期間が30年のケース。この場合、対象になるのは50年のうちの30年、つまり年金の5分の3です。

 

妻が得られるのは、最高で半分の金額です。つまり、最高で10分の3の年金を得ることが可能です。

 

 

3:年金は離婚後すぐにもらえない可能性もある

年金分割したからといって、すぐには年金を受け取れないこともあります。例えば、ご自身がまだ年金受け取りの対象年齢になっていない場合など。

 

分割した年金は、受け取れる年齢になってから支払われます。また、ご自身が年金を受け取る年齢になる前に、夫が亡くなってしまった場合でも、受給することができます

 

 

4:2008年の3月と4月で割合の決め方が異なる

2008(平成20)年4月に『離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度』が導入されたことにより、2008年4月以降から離婚するまでの間の年金の割合は、自動的に2分の1になります。夫婦で話し合う必要も裁判所で決めてもらう必要もありません。

 

しかし、2008年3月以前も婚姻関係にあった場合、結婚した時点から2008年3月までの年金の割合については、夫婦で話し合う必要があります

 

年金分割の割合は、あくまで最高2分の1です。夫が「半分も払いたくない!」と主張した場合は、調停で決めることになります。

 

調停の申立てについて詳しくはこちら『年金分割の割合を決める調停の流れ』をご覧ください。

 

 

5:年金分割は離婚後2年を過ぎると請求できなくなる

年金分割にも請求期限があります。離婚(事実婚や内縁の場合は婚約解消)した日の翌日から起算して2年以内です。過ぎてしまった場合、請求できなくなりますのでご注意ください。

 

【関連記事】▶財産分与の時効(除斥期間)は2年!時効後にできること

 

【モデルケースあり】離婚した専業主婦は年金をいくらもらえる?

2:婚姻期間中の分しかもらえない』でもご紹介したように、年金は婚姻期間中の分しか対象になりません。それを踏まえると、以下のような計算式が成り立ちます。

 

 

夫の厚生年金(共済年金)の全受給額は『ねんきん定期便』の厚生年金保険という項目からチェックすることが可能です。

 

また、年金分割の割合ですが、2008年3月以前も婚姻関係にあった場合は、話し合って決める必要があるので、注意しましょう。

 

年金は物価や経済の状況で変わるので、おおよその金額になってしまいます。そのため、正確な金額とはいえません。

 

ここでは、3つのケースからどのくらい年金が受け取れるのか計算してみました。全受給額はこちら『厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省』を参考にしています。

 

実際は掛金額が変動するため、このように単純に計算できるものではありませんが、あくまで参考としてごらんください。もし、詳しい金額を知りたい場合は、日本年金機構に相談しましょう。

 

結婚年数が20年で年金分割の割合が2分の1の場合

結婚年数が、1998年〜2018年の20年間で、夫の勤務年数は40年。年金分割の割合が2分の1の場合、受け取れる金額は以下のようになります。

 

年金の全受給額(万円)

もらえる金額(万円)

200

50

180

45

160

40

140

35

120

30

 

結婚年数が30年で年金分割の割合が2分の1の場合

結婚年数が、1988年~2018年の30年間で、夫の勤務年数は40年。年金分割の割合が2分の1の場合、受け取れる金額は以下のようになります。

 

年金の全受給額(万円)

もらえる金額(万円)

200

75

180

67.5

160

60

140

52.5

120

45

 

年金分割の割合を決める調停の流れ

夫婦間の話し合いで、年金の割合が決まらなかった場合、裁判所に『年金分割の割合を定める審判又は調停』の申立てを行います。

 

申立てからの流れは以下のとおりです。

 

(参考:年金分割までの流れ|日本年金機構)

 

ここでは、申立て方法などについて詳しくご紹介します。

 

【関連記事】
財産分与請求調停の手順|財産分与の獲得を有利に進める8つのコツ
離婚弁護士の選び方マニュアル|優秀な弁護士を選ぶ8つのポイント
離婚に必要な弁護士費用はいくら?支払う際の3つの注意

 

 

調停の申立て

年金の割合が話し合いでも決まらない場合、夫の住所地の家庭裁判所もしくは、夫婦で定めた家庭裁判所へ、『年金分割の割合を定める調停を申し立てます(裁判所一覧)。

 

もし、年金分割以外の離婚に関わること(慰謝料・親権・財産分与・養育費など)を決める場合は、年金分割の割合を定める調停ではなく、『夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てます。

 

調停では、夫婦が別室に入り、調停委員に仲介してもらいながら、話し合いと合意によって問題解決を目指します。

 

必要書類

必要書類は以下のとおりです。

 

  • 申立書とその写し
  • 年金分割のための情報通知書

 

年金分割のための情報通知書は年金事務所へ申請します。詳しくはこちら『年金分割のための情報通知書の申請方法』をご覧ください。

 

必要費用

必要費用は以下のとおりです。

 

  • 収入印紙:1,200円
  • 連絡用の郵便切手:状況や裁判所により変わりますので、裁判所でご確認ください(裁判所一覧)。

 

調停成立・不成立

調停が成立した場合は、『年金分割の請求手続き』を行います。調停でも話がまとまらず不成立になることもあるでしょう。そのような場合は、『審判手続き』に移ります。

 

できるだけ調停を成立させるためには、お互いに譲歩しながら話し合うことが大切です。また、調停では、弁護士と一緒に出頭することができます。

 

依頼して、ご自身の代わりに代理交渉してもらうことも、早く解決するための1つの方法です。

 

審判手続き

審判手続きでは、裁判官が提出された資料や双方の事情を考慮して割合を決定します。

 

この決定に不服がある場合は、2週間以内に不服の申立てを行います。これにより、高等裁判所での再審理を受けられます。

 

必要書類は審判の申立書とその写し、年金分割のための情報通知書です。状況によっては追加で書類を請求されることもあります。

 

申立費用として、1,350円の収入印紙と連絡用の郵便切手が必要です。

 

 

年金分割の請求手続き

調停または審判で割合が決まった後は、年金事務所または各共済組合で年金分割の請求手続き(標準報酬改定請求等)を行わなくてはいけません

 

この手続きは、離婚が成立した日の翌日から起算して2年以内に行う必要があります。

 

なお、離婚成立後に調停や審判で年金分割を申し立てて手続き期間中に2年の期限が到来してしまった場合は、手続き終了後1ヶ月以内に手続きを行わなければいけません。

 

年金分割の請求手続き先一覧

厚生年金か共済年金かによって請求手続きをする場所が異なります。共済年金でもさらに細かく分けられますので、注意しましょう。

 

職業の種類

年金の種類

手続き先

民間企業の従業員

厚生年金

住所地の年金事務所

地方公務員

地方公務員共済年金

各所属(元所属)共済組合

私立学校の教師

私立学校教職員共済年金

日本私立学校振興・共済事業団

国家公務員

国家公務員共済年金

各省庁の共済組合

(現役勤務の方)

国家公務員共済組合連合会

(退職している方)

 

必要書類

必要書類は、どのように割合が決まったかで異なります。

 

決まり方

必要書類

夫婦間の話し合いで決まった場合

  • 公正証書の謄本または抄本、もしくは公証人の承認を受けた私署証書

調停で決まった場合

  • 調停調書の謄本または抄本

審判で決まった場合

  • 審判書の謄本または抄本
  • 審判の確定証明書

 

確定証明書は交付請求しなくてはいけません。請求していない方は、審判を行った裁判所に問い合わせましょう。

 

また、このほかにも書類を追加請求される場合があるので、あらかじめ年金事務所または各共済組合に確認することをおすすめします。

 

 

標準報酬改定通知書の受け取り

手続き後、標準報酬改定通知書(ひょうじゅんほうしゅうかいていつうちしょ)が日本年金機構または共済組合から届き、完了になります。

 

 

年金分割のための情報通知書の申請方法

年金分割のための情報通知書には、年金分割の対象の期間などが記載されています。そのため、正しく割合を決めるためにも必要な書類なのです。

 

申請には以下の書類が必要になります。

 

  1. 年金分割のための情報通知書
  2. 妻(請求する側)の国民年金手帳
  3. 年金手帳、基金年金番号通知書
  4. 婚姻期間が記載されている、市区町村の証明書、または戸籍謄本、もしくは戸籍抄本

 

また、籍を入れていない事実婚の方は、事実婚関係にあったことを証明できる書類(世帯全員の住民票の写しなど)が必要です。

 

これらの書類を『年金分割の請求手続き先一覧』を参考に、該当する機関に申請します。

 

まとめ

年金分割では、決めごとや作成しなくてはいけない書類が多数あります。ご自身で行うともめてしまったり、正確に作成できないかもしれません。

 

夫との割合の交渉も書類の作成も、弁護士に依頼することができます。無料相談を行っている事務所もありますので、まずは気軽に相談してみましょう。

 

【関連記事】
熟年離婚の財産分与の相場は?
熟年離婚の相談先一覧とよくある相談|離婚前に考えるべき3つのこと

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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