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夫婦が離婚する場合、いずれか一方は婚姻中の戸籍から外れ、別の戸籍へ移ることになります。
その際の選択肢は、婚姻前の戸籍に戻るか、または新しく作られる戸籍に入るかの2通りです。
どちらのパターンでも、本籍地は婚姻中のものから変更されます。
離婚後の本籍地は、離婚届を提出する際に決まります。
本記事では、妻が夫と離婚する際に、本籍地を変更する手続きについて解説します。
離婚による本籍地変更について分からないことがある方は、本記事を参考にしてください。
夫婦が離婚すると、戸籍は別々になります。
夫婦のうちいずれか一方はそのまま戸籍に残りますが、もう一方は別の戸籍に移り、本籍地も変更されます。
妻が離婚に伴って戸籍から離脱し、本籍地を変更する際の手続きは以下のとおりです。
②のステップには2つのパターンがあります。
離婚に伴う本籍地変更の事前準備として、以下の様式を準備しましょう。
離婚届の様式は、全国共通となっています。
市区町村役場の窓口で交付を受けられるほか、法務省から委託を受けている出版社のウェブサイト(下記)からダウンロードすることも可能です。
ダウンロードした離婚届の様式を印刷して使用する場合は、必ずA3用紙に印刷しましょう。
A3以外の大きさで印刷した離婚届は、市区町村役場で受理されないのでご注意ください。
また、自治体によってはダウンロード・印刷した様式での離婚届を受理しないケースもあるようです。
ダウンロード版の様式が使えるかどうか、事前に自治体へ問い合わせることをおすすめします。
離婚して戸籍から離脱する側は、旧姓に戻るのが原則です。
しかし、「離婚の際に称していた氏を称する届出」を市区町村役場に提出すれば、婚姻中の姓を使用し続けることができます(=婚氏続称)。
「離婚の際に称していた氏を称する届出」の提出期限は離婚後3か月以内で、離婚届と同時に提出することも可能です。
離婚届と同時に婚氏続称の届出をおこなう場合は、「離婚の際に称していた氏を称する届出」の様式も準備しましょう。
本籍地変更に関しても、「離婚の際に称していた氏を称する届出」において記載すべき事項があります(後述)。
「離婚の際に称していた氏を称する届出」の様式も、離婚届と同様に全国共通です。
市区町村役場の窓口で交付を受けられるほか、法務省から委託を受けている出版社のウェブサイト(下記)からダウンロードすることもできます。
ダウンロードした「離婚の際に称していた氏を称する届出」の様式を印刷して使用する場合は、必ずA4用紙に印刷しましょう。
A4以外の大きさで印刷した「離婚の際に称していた氏を称する届出」は、市区町村役場で受理されないのでご注意ください。
また、自治体によってはダウンロード・印刷した様式での「離婚の際に称していた氏を称する届出」を受理しないケースもあるようです。
離婚届と同じく、ダウンロード版の様式が使えるかどうかを事前に自治体へ問い合わせましょう。
離婚届(+離婚の際に称していた氏を称する届出)の様式が準備できたら、必要事項を記入しましょう。
本籍地に関係する事項は、以下のいずれかの方法によって記入します。
該当する方を選択して、適切に記入しましょう。
離婚によって旧姓に戻る場合は、離婚届における「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄に記入します。
後日に婚氏続称の届出をおこなう場合も、離婚の時点ではいったん旧姓に戻るので、同様の要領で記入します。
「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄には、以下の事項を記載しましょう。
下記(c)において記載した本籍地が、離婚後の本籍地となります。
(a)婚姻前の氏にもどる者(夫or妻) |
婚姻中の戸籍から離脱する者として、夫または妻の欄にチェックします。 |
(b)「もとの戸籍にもどる」or「新しい戸籍をつくる」 |
婚姻中の戸籍から離脱する者が「もとの戸籍にもどる」のか、それとも「新しい戸籍をつくる」のかをチェックします。 なお、離婚届の提出時において、婚姻前の戸籍に誰も残っていない場合(=除籍簿に移されている場合)は、「もとの戸籍にもどる」は選択できません。 この場合は、必ず「新しい戸籍をつくる」を選択します。 |
(c)離婚後の本籍地・筆頭者の氏名 |
「もとの戸籍にもどる」にチェックした場合は、その戸籍の本籍地と筆頭者を記載します。 「新しい戸籍をつくる」にチェックした場合は、新たな本籍地とする地名を記載します。 筆頭者は記載不要です(離婚して戸籍から離脱した者が、自動的に筆頭者となります)。 |
なお、離婚届と同時に「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出する場合は、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄の記入は不要です。
この場合はパターン2となりますので、次の項目をご参照ください。
離婚届と同時に「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出すれば、旧姓に戻ることなく、婚姻中の姓を使い続けることができます。
この場合、本籍地変更に関する事項は「離婚の際に称していた氏を称する届出」において記入します。
「離婚の際に称していた氏を称する届出」の中には、本籍地を記載するところが「本籍」と「離婚の際に称していた氏を称した後の本籍」の2か所あります。
離婚届と同時に提出する場合、「本籍」の欄には婚姻中の本籍地を記載します。
「離婚の際に称していた氏を称した後の本籍」の欄には、新たな本籍地とする地名を記載します。
なお、婚氏続称を選択した場合には、婚姻前の戸籍に戻ることはできません。
必ず新しい戸籍が作られることになり、それに伴って本籍地も新しくなります。
上記の記入を含めて、必要事項の記入が済んだら、離婚届(+離婚の際に称していた氏を称する届出)を提出しましょう。
提出先は、届出人の本籍地または所在地の市区町村役場です。
離婚によって妻が元の戸籍に戻る場合、本籍地も元の戸籍のものに戻ります。
これに対して、離婚時に新たな戸籍を作る場合は、本籍地を自由に決めることができます。
基本的には、生活拠点の近くを新たな本籍地とするのが便利です。
同じ戸籍に属する人は、全員同じ本籍地となります。
したがって、離婚によって妻が元の戸籍に戻る場合には、本籍地も元の戸籍のものに戻ります。
離婚によって戸籍から離脱する妻が元の戸籍に戻らず、新しく作られる戸籍に入る場合は、新たな本籍地を自由に決めることができます。
新たな本籍地は、日本国内の土地台帳にある場所ならどこでも構いません。
縁のある土地でなくとも、たとえば公共施設やテーマパークの住所などを本籍地とすることも可能です。
離婚に伴って新しく作られる戸籍の本籍地は自由に定めることができますが、基本的には生活拠点と同一の市区町村を本籍地とするのが便利です。
本籍地のある市区町村においては、戸籍関係の書類の交付をスムーズに受けられます。
自治体によっては、マイナンバーカードを利用してコンビニで交付を受けることも可能です。
特段の事情がない限り、新たな本籍地は住所地と同一の市区町村とすることをおすすめします。
離婚時における妻の本籍地変更について、よくある質問と回答をまとめました。
離婚に当たって婚姻中の戸籍に残るのか、それとも戸籍から離脱して別の戸籍に移るのかにかかわらず、いずれのケースでも戸籍簿に離婚歴は記載されます。
ただし、離婚後に転籍の届出をして本籍地を変更すれば、新たな戸籍には離婚歴が記載されません。
また、離婚時に婚姻前の戸籍へ戻った後、分籍の届出をして新たな戸籍へ移れば、その新たな戸籍には離婚歴が記載されません。
転籍の際には「転籍届」、分籍の際には「分籍届」を提出します。
提出先は、以下のいずれかの市区町村役場です。
転籍届・分籍届の様式は全国共通で、市区町村役場で交付を受けられるほか、法務省から委託を受けている出版社のウェブサイト(下記)からダウンロードすることもできます。
ダウンロードした転籍届または分籍届の様式を印刷して使用する場合は、必ずA4用紙に印刷しましょう。
A4以外の大きさで印刷すると、市区町村役場で受理されません。
また、自治体によってはダウンロード・印刷した様式での転籍届または分籍届が受理されないケースもあるようです。
ダウンロード版の様式を使用する場合は、受理してもらえるかどうかを事前に自治体へ問い合わせましょう。
なお、転籍・分籍によって現戸籍上の離婚歴は消えますが、過去の戸籍をさかのぼって参照すれば、離婚歴は確認できてしまうのでご注意ください。
「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出すれば、婚姻中の氏を再び名乗ることができます。
提出先は、届出人の本籍地または所在地の市区町村役場です。
「離婚の際に称していた氏を称する届出」の提出期限は、離婚の種類に応じて下表のとおりです。
届出の期限が市区町村役場の休日である場合は、その日以降の最初の開庁日が提出期限となります。
離婚の種類 |
離婚の際に称していた氏を称する届出の提出期限 |
---|---|
協議離婚 |
離婚届が受理された日の翌日から起算して3か月以内 |
調停離婚 |
調停の成立日の翌日から起算して3か月以内 |
審判離婚 |
審判の確定日の翌日から起算して3か月以内 |
和解離婚 |
和解の成立日の翌日から起算して3か月以内 |
認諾離婚 |
請求の認諾がおこなわれた日の翌日から起算して3か月以内 |
判決離婚 |
判決の確定日の翌日から起算して3か月以内 |
なお、離婚に伴って婚姻前の戸籍に戻ったあとで「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出すると、婚姻前の戸籍から離脱して新たな戸籍が作られることになります。
離婚後の本籍地は、婚姻中と同じ地名とすることもできます。
ただし、本籍地の地名が同じであっても、離婚した元配偶者とは別の戸籍に属することになります。
子どもの本籍地は親同士が離婚しても変更されず、婚姻中の戸籍に残ります。
離婚時に婚姻中の戸籍から離脱した側が、子どもを自分と同じ戸籍に入れたい場合は、以下の2つの手続きをおこなう必要があります。
①家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を得る |
家庭裁判所に対して申立てをおこない、その許可を受けて子どもの氏(姓)を自分と同じものに変更します。 【参考】子の氏の変更許可|裁判所 |
②入籍の届出をおこなう |
子の本籍地または届出人の住所地の市区町村役場に、子どもが自分と同じ戸籍に入るという内容の「入籍届」を提出します。 入籍届を提出する際には、子の氏の変更を許可する審判書の謄本などの添付が必要です。 |
入籍届の様式は全国共通で、市区町村役場で交付を受けられるほか、法務省から委託を受けている出版社のウェブサイト(下記)からもダウンロード可能です。
ダウンロードした入籍届の様式を印刷して使用する場合は、必ずA4用紙に印刷しましょう。
A4以外の大きさで印刷すると、市区町村役場で受理されないので注意が必要です。
また、自治体によってはダウンロード・印刷した様式での入籍届が受理されないケースもあるようです。
ダウンロードした様式を使用できるかどうか、事前に自治体へ問い合わせましょう。
以下のいずれかの市区町村役場に「転籍届」または「分籍届」を提出すれば、本籍地を変更することができます。
転籍の場合は、戸籍に記載されている人全員の本籍地が変更されます。
分籍の場合は、自分だけが戸籍から離脱して新たな戸籍に入ります。
ただし、筆頭者およびその配偶者の分籍は認められません。
転籍届・分籍届の様式については、市区町村役場で交付を受けるか、または以下のウェブサイトに掲載されているもの(いずれもA4印刷)をご利用ください。
なお、ダウンロードした様式を使用できるかどうかは、自治体にお問い合わせください。
離婚届の提出を含めて、配偶者との離婚に当たってはさまざまな手続きをおこなう必要があります。
どのような手続きが必要になるか分からずお困りの方は、弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
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