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セックスレスで離婚慰謝料の請求が可能なケースとは?失敗しないためには?

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配偶者との関係が冷え切り、セックスレスを理由に離婚と慰謝料請求を検討している方も多いのではないでしょうか。

セックスレスによる離婚でも、慰謝料を請求できる可能性があります。

ただし、必ずしも認められるわけではなく、相手に責任があるといえる事情やその事実を立証する客観的な証拠が必要です。

また、具体的な慰謝料額は個別の事情によって大きく変動します。

そこで本記事では、セックスレスによる慰謝料請求が可能なケースと難しいケース、請求の流れや一般的な相場を解説します。

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セックスレスで離婚慰謝料の請求が認められる可能性があるケース

セックスレスで離婚慰謝料が認められるのは、民法第770条で定める「法定離婚事由」のうち、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する場合です。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 相手は性交渉ができるにもかかわらず一方的に拒絶し続けた場合
  • セックスレス以外に不倫・DV・モラハラなども離婚原因となっていた場合
  • 性交渉を拒否し続けたことが夫婦関係を破綻させる要因となっていた場合

ここからは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

相手は性交渉ができるにもかかわらず一方的に拒絶し続けた場合

離婚慰謝料が認められやすいのは、性交渉が可能な健康状態であるにもかかわらず相手が一方的に拒み続けているケースです。

できるのにしない、歩み寄ろうともしないといった態度が問題視されます。

例えば高齢で体力的に難しい、妊娠中で体調がすぐれない、EDなど身体的な理由があるなら慰謝料の対象にはなりません。

裁判所が重視するのは、例えば以下のような事情です。

  • 年齢や健康状態から見て、性交渉が可能な夫婦である
  • 相手が明確な理由を示さず、長期間にわたって性交渉を拒否し続けている
  • 話し合いや改善の働きかけを何度もしているにもかかわらず、相手が応じない

実際の裁判例では、結婚後約5ヵ月の間に2~3回程度しか性交渉がなく、やがて一切応じなくなった一方で深夜にアダルト動画を観て自慰に耽っていた夫に対し、慰謝料120万円の支払いが命じられたケースがあります(平成5年3月18日 福岡高等裁判所判決)。

このように、単に性交渉を拒否したというだけでなく、パートナーと向き合おうとしない姿勢そのものが、婚姻関係に対する重大な背信行為と判断される可能性があります。

セックスレス以外に不倫・DV・モラハラなども離婚原因となっていた場合

セックスレスに加えて不倫やDV、モラハラが重なると、慰謝料が認められる可能性はさらに高くなります。

不倫やDV、モラハラはそれ自体が不法行為に該当する行為であり、セックスレスだけが問題のケースよりも大きな精神的苦痛を受けるためです。

実際の裁判例でも、結婚後性交渉を拒否していた妻が暴言・暴力を繰り返していた事案で、夫からの150万円慰謝料請求が認められた例があります(平成3年3月29日 岡山地方裁判所津山支部判決)。

ただし、不倫やDV、モラハラを理由に慰謝料を請求する場合、それらを証明する有効な証拠を集める必要があります。

証拠については、「セックスレスで離婚慰謝料を請求するには証拠が求められる」を参考にしてください。

性交渉を拒否し続けたことが夫婦関係を破綻させる要因となっていた場合

セックスレスによる慰謝料請求が認められるかどうかは、結果的に夫婦関係の破綻を招いたかどうかが重要です。

単に「拒否された」というだけでは不十分であり、性交渉を拒否され続けたことで、関係を修復できないほど夫婦関係が破綻したという事実が必要です。

実際に、夫が性交渉だけでなくキスやハグなどのスキンシップさえも拒み続け、妻の気持ちに寄り添おうとしなかった事案では、夫の行動によって夫婦関係が破綻したとして夫に慰謝料50万円の支払いが命じられました(平成29年8月18日 東京地方裁判所判決)。

なお、婚姻関係の破綻とは、以下のような状態をいいます。

  • 夫婦に婚姻生活を続ける意思がない
  • 関係を修復できる見込みがない

また、裁判所は、性交渉を拒否し続けたことに加え、相手の苦しみに向き合わず関係を修復する努力をしなかった点を重く見る傾向にあります。

セックスレスで離婚慰謝料の請求が難しいケース

セックスレスの事実があっても、以下のように慰謝料請求が難しい、あるいはできないケースもあります

自分の状況に当てはまっていないかチェックしてみましょう。

  • 病気などが原因で性交渉できない

病気やけが、心身の不調などが原因であれば、慰謝料請求は難しいでしょう。

したくてもできない事情がある場合に責任を問うのは、酷だと判断されやすいためです。

ただし、性的不能を黙って結婚した場合は、不誠実な対応として慰謝料が認められる場合があります

  • 夫婦双方が性交渉を望んでいなかった

年齢や多忙などを理由にお互いが「無理に性交渉しなくていい」と暗黙に納得していたケースでは、どちらか一方だけに責任を問えません

このような場合は「求めたのに一方的に拒否された」とはいえず、慰謝料請求は認められにくくなります。

  • セックスレスの程度が軽い

頻度が減った程度であれば、セックスレスとまでは判断されない可能性があります。

例えば「3回に1回は応じていた」「3ヵ月に1回は性交渉があった」といったケースは、精神的苦痛が法的に保護されるレベルとまでは判断されにくく、慰謝料請求が困難になります。

  • 自分からはほとんど性交渉を求めなかった

自分から性交渉を求めていなかった場合、「求めたのに拒否された」とはいえません。

どちらから誘うべきといった決まりはないため、一方的に相手だけを責めるのは難しく、慰謝料請求を認めてもらうハードルは高いでしょう。

なお、慰謝料が認められなくても、話し合った結果、解決金として金銭を支払ってもらう形で折り合いをつけるケースもあります。

解決金は、有責性がはっきりしない、慰謝料として認められにくいといった場面で、離婚問題をスムーズに終わらせるために支払われるお金です。

慰謝料については合意できない場合でも、名目が解決金なら合意できるケースもあります。

合意書や離婚協議書では、「解決金として◯◯円を支払う。これをもって互いに今後一切の請求をしない」というような形で利用されるのが一般的です。

セックスレスによる離婚慰謝料相場は数十万円~100万円前後

セックスレスを理由とする離婚慰謝料の相場は、数十万円~100万円程度です。

ただし、実際の金額は以下のような事情によって大きく異なります。

  • 婚姻期間の長さ
  • 相手の収入・資産
  • 子どもの年齢・人数
  • 相手の行動の悪質性
  • 精神的苦痛の程度
  • DV・モラハラなどのほかの問題の有無

深刻な精神的苦痛を受けたと判断される場合は、相場よりも高い慰謝料が認められることもあります。

以下では、慰謝料が増額されやすい主な要因について見ていきましょう。

セックスレスによる慰謝料が高額になる可能性がある主な要因

セックスレスによる慰謝料が高額になりやすいのは、以下のような事情があるケースです。

被害の程度・期間 ・セックスレスの期間が長い(3年以上など)
・結婚後一度も性交渉がない
・暴言や暴力が伴うなど、相手の拒否が激しい
精神的・経済的被害の大きさ ・セックスレスが原因で心身に深刻な影響が出ている
・高齢、収入が少ないなど、離婚後の生活への影響が大きい
・財産分与で得られるものが少ない
・未成年の子どもがいる
・初婚である
相手の行動の悪質性 ・配偶者を拒否しておきながら、不倫相手とは性交渉をしている
・不倫やDV、モラハラなども離婚原因になっている
・改善する努力をしていない

なお、性交渉を拒否している側が不倫をしている場合は、セックスレスに対する慰謝料に加えて不貞行為に対する慰謝料もあわせて請求できる可能性があります。

複数の事情が重なり、結果的に慰謝料額が相場より高額になることもあるのです。

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セックスレスで離婚慰謝料を請求するには証拠が求められる

セックスレスに限らず、相手が非を認めていない場合の慰謝料請求には、相手の不法行為を立証するための証拠が必要です。

有効な証拠を入手しているかどうかが結果を左右することもあるため、できるだけ多くの証拠を集めることが重要です。

証拠の種類 内容の例
日記・メモ ・生活パターン
・性交渉を求めた日付と相手の反応
・拒否された回数やセックスレスの期間
メール・LINE・SNSのやりとり 以下のスクリーンショット  
・夫婦関係について話し合った履歴
・性交渉への誘いに対する返信
・冷たい対応や暴言が含まれるメッセージ
会話の音声データ・映像 ・セックスレスについて話し合った際の会話
・性交渉を持ちかけた際のやりとり
・DV、モラハラ発言があったときの録音、録画
診断書・通院記録 ・セックスレスが原因のうつ病、不安障害などを患ったことがわかる診断書など
カウンセリング・相談記録 以下の相談日時や内容の記録  
・心療内科やカウンセリング
・配偶者暴力相談支援センター
・法律事務所
DV・モラハラに関する資料 ・日記やメモ(DV・モラハラを受けた日時や詳細)
・人格を否定する内容のメールやLINE、手紙
・DVによるけがの写真
・暴力を受けたとわかる診断書や通院記録
・110番通報記録

単体では証拠として弱くても、ほかの証拠と組み合わせれば有効な証拠になり得ます。

そのため、証拠になるかならないかは置いておいて、手に入れられるものは全て集めておくとよいでしょう。

なお、証拠集めに困ったら離婚問題を得意としている弁護士に相談し、アドバイスをもらうのがおすすめです。

セックスレスで離婚慰謝料を請求する流れ

セックスレスで離婚慰謝料を請求する場合は、以下の流れで手続きをおこないます。

  1. まずは話し合いで離婚と離婚慰謝料を求める
  2. 合意ができなければ離婚調停を申し立てる
  3. 調停が不成立なら離婚裁判へ移行する

慰謝料は離婚後でも請求できますが、離婚手続きのなかで離婚条件のひとつとして取り決めるのが一般的です。

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.まずは話し合いで離婚と離婚慰謝料を求める

まずは当事者同士で話し合い、慰謝料を求めます

両者の話し合いで離婚する「協議離婚」の場合、離婚理由がどうであれ夫婦間で合意できれば離婚が可能です。

話し合いで離婚の合意が得られ、さらに慰謝料の支払いについても相手が了承すれば、時間も費用もかけずに解決できます。

話し合いは対面、電話、書面など、利用しやすい方法で構いません。

書面で請求する際は、郵便局が「いつ・誰が・誰に・何を送付したか」を証明してくれる内容証明郵便が有効です。

話し合いで合意できたときは口約束だけで終わらせず、必ず合意内容を離婚協議書や合意書などの書面に残しましょう

口約束だけでは、あとから「言った・言わない」のトラブルになり、結局支払われないこともあり得ます。

また、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、約束が守られなかったときに裁判を経ず強制執行が可能です。

離婚協議書や合意書には、以下の項目を記載します。

  • 慰謝料の金額
  • 支払い期限
  • 支払い方法
  • 清算条項

清算条項とは、この協議書で定めた以外に、お互いに一切請求しないことを約束するための条項です。

協議書や合意書に入れておくことで、相手が安心して合意しやすくなります。

2.合意ができなければ離婚調停を申し立てる

話し合いで離婚や慰謝料の条件について合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます

離婚調停は、裁判官と調停委員が間に入り、離婚するかどうかや慰謝料、養育費などの条件について話し合う手続きです。

調停はあくまでも話し合いで解決を目指す手続きであるため、当事者同士で柔軟な取り決めができる余地があります

また、話し合いとはいっても、当事者は別室で待機し、交互に調停委員と話す形式で進めるため相手と顔を合わせることはありません。

相手と対面することに抵抗がある場合でも、落ち着いて話し合いを進めやすいでしょう。

離婚調停の流れや費用、有利に進めるポイントについては、以下の記事を参考にしてください。

3.調停が不成立なら離婚裁判へ移行する

離婚調停でも合意に至らず不成立となった場合、最終的な手段として離婚裁判に進みます

裁判では、夫婦それぞれが主張や証拠を提出し、裁判所が離婚の可否や慰謝料の要否、金額などを判断します。

セックスレスを理由に慰謝料を請求する場合、セックスレスの事実や経緯、精神的苦痛を受けたことを、証拠をもとに立証しなければなりません

裁判への対応は自分でもできますが、専門知識や経験が必要です。

そのため、早い段階で弁護士に対応を依頼することをおすすめします。

なお、離婚裁判は原則として調停を得なければおこなえません。

ただし、相手の所在がわからない場合や調停が成立する見込みがない場合は、例外的に調停を経ず裁判を提起できることもあります。

離婚裁判が認められる条件や流れ、費用については以下の記事を参考にしてください。

セックスレス慰謝料の請求で失敗しないためのポイント

セックスレス慰謝料の請求で失敗しないために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • できるだけ夫婦の話し合いで解決する
  • 離婚問題に強い弁護士に相談・依頼する

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

できるだけ夫婦の話し合いで解決する

セックスレスでの離婚や慰謝料請求を求める場合は、できる限り夫婦間の話し合いで解決することをおすすめします。

裁判では請求が難しいケースが多く、セックスレスという非常にデリケートな問題を争うことになるため、精神的な負担が大きくなりがちです。

また、時間や費用もかかります。

その点、協議離婚なら裁判で慰謝料が認められにくいケースでも、相手が納得すれば一定の金銭を受け取れる可能性があります。

調停や裁判よりもスムーズに解決しやすいため、離婚後の生活を早くスタートできるでしょう。

話し合いを進める際は、決して感情的にならず冷静に自分の気持ちを伝えることが大切です。

そして、自分のことばかりではなく、相手の事情も理解する姿勢をとりましょう

離婚問題に強い弁護士に相談・依頼する

セックスレスによる慰謝料請求が認められるかどうかは、専門家でない限り正確な判断が難しいのが実情です。

適切な請求金額や方法についても、状況に合わせて検討する必要があります。

そのため、まずは離婚問題を得意としている弁護士に相談し、具体的なアドバイスを受けましょう

弁護士に依頼すれば、依頼者の代理人として相手と交渉してくれるほか、裁判手続きに必要な書類作成や裁判所とのやりとりなど、多くのことを任せられます。

また、セックスレスのような感情的なもつれが生じやすい問題では、第三者である弁護士が間に入ることで両者が感情的にならずに済み、話し合いがスムーズに進む可能性があります。

さらに弁護士は、慰謝料だけでなく財産分与や養育費、親権といった離婚全般の問題についてもサポートが可能です。

離婚協議書の作成や公正証書化の手続きも一任できるため、離婚問題全般について早期から相談しておくとよいでしょう。

さいごに|セックスレス慰謝料の請求で失敗しないためにも弁護士に相談を!

セックスレスで離婚慰謝料請求が可能なケースについて解説しました。

セックスレスを理由とした慰謝料請求は、相手に責任があるといえる事情があるか、それを証明できる証拠が揃っているかによって認められるかどうかが大きく変わってきます。

また、個別の事情によって適切な慰謝料額も異なるため、自分のケースでいくら請求できるかを正確に判断するのは簡単ではありません。

まずは、離婚問題を得意としている弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、証拠集めのサポートや相手との交渉、裁判対応まで一任できるため、精神的な負担を軽減できるでしょう。

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この記事の監修者
法律事務所Legal Barista
阿部 洋介 (札幌弁護士会)
結婚相談事業所を併設しており、全国的にも珍しい「婚」に注力した法律事務所となっております。ご依頼者様に寄り添った姿勢で最善の解決策をご提案いたします。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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