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婚姻費用をもらえないケースとは?一方的な別居では絶対にもらえない?

婚姻費用をもらえないケースとは?一方的な別居では絶対にもらえない?

離婚を進めるうえで別居を検討していても、相手から十分な生活費を受け取れていない状況が続いていると、「同意を得ずに別居すると、婚姻費用が受け取れなくなるのでは…」と不安を抱いてしまうでしょう。

そこで本記事では、婚姻費用をもらえないケースと、一方的な別居でも婚姻費用を受け取れるケースを紹介します。

また、婚姻費用の適正額を調べる手段や、受け取れない可能性がある場面での対処法もまとめました。

離婚に向けた準備を進めたい方はぜひ参考にしてください。

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目次

婚姻費用をもらえない・減額される可能性のある6つのケース

第一に、婚姻費用は民法760条に基づく義務であり、婚姻関係が継続している限り原則として発生します。

婚姻費用がもらえない・減額される可能性のあるケースは、以下の6ケースです。

  1. 請求する側が正当な理由なく一方的に別居を開始した
  2. 請求される側が子どもと一緒に住んでいる
  3. 請求する側が原因で別居することになった
  4. 請求する側の収入が請求される側より多い
  5. 離婚が成立している
  6. 別居を解消し同居を再開した

ここからは、それぞれ詳しく解説します。

1.請求する側が正当な理由なく一方的に別居を開始した

正当な理由がない別居でも、直ちに婚姻費用が認められなくなるわけではありませんが、事情によっては減額・制限される可能性があります。

民法には「夫婦の同居義務」が定められており、理由のない別居は同居義務に反すると判断されるおそれがあるからです。

たとえば、家庭内での些細な喧嘩が原因で別居を開始したケースなどが該当します。

2.請求される側が子どもと一緒に住んでいる

請求される側(別居された側)が子どもを監護している場合、算定上は相手側の必要生活費が大きく評価されやすく、結果として婚姻費用が発生しない(または少額になる)ことがあります。

婚姻費用には子どもの養育費や教育費も含まれるため、子どもの生活を支える負担が優先されるからです。

婚姻費用の計算では、まず子どもの生活費を算出し、請求される側の収入から差し引きます。

そのうえで残った金額をもとに、双方の生活費のバランスを比べます。

計算の結果、子どもの生活費を負担したあとに手元に残る金額が、請求する側(別居した側)より少なくなれば、婚姻費用の請求は認められないケースが多いです。

3.請求する側が原因で別居することになった

不貞行為やDVなど、別居した側が婚姻関係の悪化につながる行為をおこなった場合は、婚姻費用が認められないことがあります。

原因のある側の婚姻費用請求は、「権利の濫用」と評価される可能性があるからです。

ただし、権利の濫用は、様々な具体的事情を総合考慮して判断されるものであるため、有責性の大きさや有責行為に至るまでの経緯、夫婦関係等の内容次第では、婚姻費用の請求が認められる余地があります。

また、子どもの生活に必要な費用(養育費相当)は別途考慮されるべきものであるため、有責配偶者本人の生活費と比較して、子ども養育費相当分の負担は認められやすいといえます。

4.請求する側の収入が請求される側より多い

婚姻費用は、夫婦の生活水準を維持するために、収入に応じて生活費を分け合う考え方が基本です。

そのため、収入が多い側が収入の低い側に対して生活費を求めるのは制度の趣旨に合わず、婚姻費用の請求は認められません。

5.離婚が成立している

婚姻費用は、夫婦間の生活維持を目的とした制度です。

そのため、離婚が成立した時点で扶養関係が終了し、婚姻費用の支払い義務も消滅します。

離婚前に別居していた期間については、請求が認められる可能性があるでしょう。

ただし、離婚成立日以降に発生する婚姻費用は請求できません。

6.別居を解消し同居を再開した

別居を解消して同居を再開した場合、婚姻費用の支払い義務はなくなります。

生活を一箇所に戻しているため、夫婦間で生活費を分担していると判断されるからです。

ただし、同居を再開しても、生活費を渡してもらえない状態が続く場合は、家庭内別居と認定されることがあります。

この場面は婚姻費用の請求が認められる可能性がありますが、生活費の不払いを示す資料が必要です。

同意のない一方的な別居でも婚姻費用がもらえる「正当な理由」とは?

同意を得ずに別居を開始した場合でも、「正当な理由」が認められれば婚姻費用を受け取れるケースがあります。

正当な理由があると認められやすいケースは、以下のとおりです。

主な正当理由
  • DV(暴言、執拗な怒鳴り声、人格を否定する発言も含む)
  • 生活費をほとんど渡さない状態が続いている
  • 不貞行為が継続しており、関係の修復が困難な状態
  • 子どもへの暴力や過度な叱責
  • 近居の家族の介護など、家庭環境上のやむを得ない事情

正当な理由が争われる場合に備えて、診断書やメッセージの記録、通院履歴などの資料を用意しておきましょう。

婚姻費用をもらえない可能性がある場合はどうすればいい?

婚姻費用をもらえないおそれがある状況でも、取るべき行動を整理しておくと別居後の生活設計が立てやすくなります。

婚姻費用がもらえない可能性があるときにすべきこと
  • まずは本来ならどのくらい婚姻費用をもらえるか把握しておく
  • もらえない可能性がある場合でも請求を試みる
  • 養育費部分だけ請求を試みる
  • なるべく早く離婚を成立させる
  • 離婚問題を得意とする弁護士に相談する

ここからは、それぞれの対処法について詳しく解説します。

まずは本来ならどのくらい婚姻費用をもらえるか把握しておく

婚姻費用が受け取れない可能性があるとしても、本来もらえる金額の目安を知っておきましょう。

適正額を把握すれば、自分の主張がどれほど現実的なのか判断しやすくなり、話し合いや調停の準備に役立ちます。

婚姻費用の適正額は婚姻費用算定表で確認できる

婚姻費用の適正額は、「婚姻費用算定表」を使って確認できます。

婚姻費用算定表は、家庭裁判所が婚姻費用の算定に利用している表です。

金額の試算にあたっては、以下の情報を使用します。

算定表で用いる主な情報
  • 夫婦それぞれの年収
  • 子どもの人数
  • 子どもの年齢区分(0~14歳、15歳以上)

該当する表を選び、夫婦の年収が交差する位置を確認すると、生活費の目安がわかります。

婚姻費用算定表の詳しい見方が知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

ただし、婚姻費用算定表の金額は標準的な生活を前提にしているため、一定の金額を超える特別な出費は考慮されていません。

考慮されていない主な費用は、別途個別に考慮する必要があります。

算定表で考慮されていない主な費用
  • 私立学校・大学・専門学校へ進学する場合の入学金や学費
  • 病気やけがで必要になる高額な治療費
  • 生活水準から見て過剰と判断される娯楽費
  • 離婚に関する法的な費用

自分で計算するのが難しい場合は「婚姻費用の自動計算機」を使う方法もある

婚姻費用を算定表で確認する場合、複数の表から該当箇所を探す必要があり、数字の読み取りに慣れていないと混乱しやすいでしょう。

とくに、収入額や子どもの年齢区分を当てはめて計算する作業は、思ったより複雑です。

計算に不安があれば、ベンナビ離婚が提供する「婚姻費用の自動計算機」を使う方法もあります。

年収や子どもの人数など、必要な項目を順番に入力するだけで、婚姻費用の概算がすぐに表示されます。

たとえば、以下のような条件を入力した場合を考えます。

入力例
  • 婚姻費用をもらう方の年収:300万円(給与所得者)
  • 婚姻費用をもらう方が監護する0歳~14歳の子どもの人数:1名
  • 婚姻費用をもらう方が監護する15歳~19歳の子どもの人数:1名
  • 婚姻費用を支払う方の年収:600万円(給与所得者)
  • 婚姻費用を支払う方が監護する0歳~14歳の子どもの人数:0名
  • 婚姻費用を支払う方が監護する15歳~19歳の子どもの人数:0名

この条件で試算すると、「月々11.6万円婚姻費用を受け取れる可能性があります。」と表示されます。

ただし、算定表は標準的な生活を基準にした目安です。

教育費が大きくかかる場合や、医療費が高額になる事情がある場合などは、別途考慮する必要があります。

より正確な金額を把握したい場面では、弁護士へ相談して計算してもらいましょう。

もらえない可能性がある場合でも請求を試みる

婚姻費用をもらえない6つのケース」に該当し、婚姻費用の請求が認められる可能性が低い場面でも、必ずしも婚姻費用請求が否定されるとは限りません

婚姻費用の必要性は、裁判官が証拠や背景事情を総合的に判断して決定します。

状況によっては、一部だけでも婚姻費用の請求が認められる場合があります。

迷うのであれば請求してみましょう。

養育費部分だけ請求を試みる

婚姻費用の請求が難しいケースでも、養育費部分だけを請求する方法もあります。

養育費はあくまで子どもの成長に必要な支出であり、親の別居原因などに影響されません。

そのため、婚姻費用の請求が認められない場合でも、養育費の支払い義務だけは認められる可能性があります。

なるべく早く離婚を成立させる

婚姻費用が認められない場合、別居を長引かせるメリットはほとんどないはずです。

そうであれば、早めに離婚を決めましょう

早めに離婚を成立させると、利用できる公的支援が増え、生活の再建が進みやすくなります。

たとえば、児童扶養手当などの支援は、離婚後のひとり親世帯が対象です。

離婚が成立すれば、このような公的な支援を積極的に活用できるようになります。

離婚問題を得意とする弁護士に相談する

婚姻費用は制度の仕組みが複雑で、夫婦の収入差や生活状況によって判断が変わります。

そのため、自分だけで適正額を判断するのは難しい場合が多いでしょう。

こうした場面では、離婚問題を得意とする弁護士へ相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すると、婚姻費用の適正額を具体的に把握できます。

算定表だけでは判断できない要素も反映して計算してくれます。

婚姻費用の取り決めが決まらず調停や交渉に進んだ場合でも、必要となる資料の準備も任せられるため、負担が軽減します。

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婚姻費用をもらえるケースなら知っておきたい基本的な知識

ここでは、婚姻費用をもらう際に知っておきたい基本的な知識として、婚姻費用の基本的な決め方と、支払いが滞った場面の対応について紹介します。

婚姻費用の決め方|もらえるケースならどう請求する?

婚姻費用は、まず夫婦で話し合って金額を決定します。

生活費や教育費の分担を整理したうえで、毎月どれくらい費用が必要か確認しつつ協議を進めます。

協議で支払われるべき金額が決まったら、合意書を作成しましょう。

合意書は公正証書として作成し、強制執行認諾文言を入れておくと、支払いが滞った場合に回収しやすくなります。

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を申し立てます。

調停とは、裁判官1名と調停委員2名が双方の言い分を聞き、現実的な金額を示しながら合意を目指す手続きです。

調停が成立すると調停調書が作成されます。

話し合いが不成立の場合は、裁判官が審判で判断を下します。

合意したのに相手が婚姻費用は払わない場合は差し押さえなどが可能

合意した金額や調停で定められた金額が支払われない場合は、以下の制度を利用してみてください。

手続き名 内容 効果
履行勧告 家庭裁判所が、支払い義務を守らない相手に義務の履行を促す制度 強制力はないが、裁判所からの連絡をきっかけに支払うケースもある。
履行命令 家庭裁判所が期限を定めて支払いを命じる制度 命令に従わない場合、過料(10万円以下)が科される可能性がある。
強制執行(差し押さえ) 給料・預貯金などを差し押さえて未払い分を回収する制度 最終手段として確実な回収を目指せる。調停調書や公正証書などの「債務名義」が必要。

一般的には、履行勧告 → 履行命令 → 強制執行の順に手続きを進めます。

家庭裁判所の制度を利用すれば、請求側の負担を減らしながら未払い分を回収できます。

支払いが滞っている状態を放置しないようにしましょう。

婚姻費用をもらえないケースについてよくある質問

ここでは、婚姻費用をもらえないケースに関するよくある質問とその回答を紹介します。

似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで疑問を解消してください。

相手名義の家に住んでいる場合は婚姻費用をもらえない?

相手名義の住宅に住んでいる場合でも、婚姻費用を請求できます

仮に相手が住宅ローンを支払っている場合でも同様です。

なぜなら、婚姻費用の負担は生活費に関する取り決めで、住宅ローンの支払いは相手の資産形成に関わる支出なので、性質が異なると考えられているからです。

ただし、住宅ローンを払っている状況であれば、住居費の負担が実質的に発生していません。

そのため、住居費相当分が婚姻費用から差し引かれる場合があります。

どこまで差し引かれるかは家計状況によって異なります。

金額の見通しを知りたい人は、弁護士へ相談してください。

子どもがいないことは婚姻費用をもらえない理由になる?

子どもがいない夫婦でも、婚姻費用は請求できます

婚姻費用は、夫婦双方の生活を維持するための負担を調整する制度であり、子どもの有無は関係ありません

生活費の負担が偏っている場合は、収入が多い側から不足分を補う仕組みが維持されます。

専業主婦だったが別居中に就職したら婚姻費用はもらえなくなる?

別居中に働き始めても、婚姻費用がすぐに受け取れなくなるわけではありません

就職によって収入が増えたとしても、当事者同士の合意が成立するまでは当初の取り決めが維持されます。

相手が「収入が増えたので金額を減らしたい」と申し出ても、同意しない限り減額されません。

ただし、相手が減額調停や審判を申し立てた場合は、現在の収入状況を基準に再計算されます。

別居時から生活状況に変化があると判断されると、婚姻費用が減額または不支給となる可能性があります。

さいごに|婚姻費用の請求に不安な点があれば弁護士に相談を!

本記事では、別居の際に婚姻費用がもらえないケースについてわかりやすく解説しました。

婚姻費用の支払いが認められるかどうかは、別居の理由や夫婦の収入差など、複数の事情を踏まえて判断されます。

一方的な別居でも正当な理由があれば認められやすいなど、状況次第で判断が変わるのです。

請求が難しい場面でも、婚姻費用の一部だけ支払いが認められたり、養育費の請求は認められたりするケースもあります。

そんなときに頼りになるのが離婚問題が得意な弁護士です。

弁護士であれば、現在の収入や家庭状況にもとづいて、婚姻費用を受け取れるのかの判断や適正額を算定をサポートしてくれます。

離婚問題が得意な弁護士を探す際は、「ベンナビ離婚」を利用がおすすめです。

地域や相談内容に合わせて弁護士を検索でき、実績や特徴も比較しやすいため、自分の状況に合う弁護士が簡単に見つかるでしょう。

別居を検討しており、弁護士探しを進めたい方は、ぜひ利用してみてください。

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この記事の監修者
万里一条法律事務所
石濱 嵩之 (東京弁護士会)
皆様に現状・将来像について具体的にイメージしていただけるよう、分かりやすく丁寧にご説明することを心がけております。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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