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離婚後の戸籍をどうするべきか。
離婚して配偶者の戸籍から抜ける女性にとっては、悩ましい問題ではないでしょうか。
女性は離婚後、選択によって、親の戸籍に戻ることも多くありますが、状況によっては戻れないケースもあるので注意が必要です。
本記事では、離婚後の戸籍はどうなるのか、親の戸籍に戻れないケースと対処法などを解説します。
ご自身がどのような選択を取るべきなのか、本記事を読んで事前に考えておきましょう。
冒頭でもお伝えしたとおり、女性の場合は離婚後に親の戸籍に戻ることを選択しようとする方も多いです。
しかし、戻れないケースがあることも理解しておきましょう。
ここからは、離婚後に親の戸籍に戻れない主なケースについて解説します。
離婚時に親の戸籍がなくなっている場合は、親の戸籍に戻ることができません。
離婚時点で両親ともに死亡していた場合、親の戸籍はなくなっています。
そもそも戻る戸籍が存在しないことから、新たに戸籍をつくる必要があります。
子どもを自分の戸籍に入れたい場合は、親の戸籍に戻ることができません。
戸籍法第6条によると、ひとつの戸籍に入れるのは親子二代までと定められています。
現在の法律では、「親・子・孫」の三世代が入った戸籍は、作ることができません。
ご自身の戸籍に子どもを入れたい場合は、自分を筆頭者として新しく戸籍を作り、そこに子どもを入籍させることになります。
親の戸籍に戻ってしまうと、子どもと自分の戸籍が分かれてしまうので、その点は気を付けましょう。
離婚後も、婚姻時の姓を名乗り続ける必要がある場合は、親の戸籍に戻ることができません。
離婚の事実を周囲に隠したい、銀行などの名義変更が手間など、さまざまな理由で婚姻時の姓を名乗り続けたいという方もいるでしょう。
同一の戸籍に入る場合は、姓を同じにするという決まりがあります。
親の戸籍に戻ると自動的に姓も旧姓に戻るため、婚姻時の姓を名乗りたい場合は新たに戸籍を作らなければなりません。
離婚後に親の戸籍に戻れない、あるいは戻らない場合は、新たに戸籍を作りましょう。
婚姻時には、社会的実態として、女性が配偶者を筆頭とした戸籍に入籍していることが多くあります。
この場合、離婚したら、女性は配偶者の戸籍から抜けなければなりません。
戸籍から抜けた後は、親の戸籍に戻るか新たに戸籍を作ることになります。
戻る親の戸籍がない、婚姻時の姓を名乗り続けたいなどの親の戸籍に戻れない事情があるなら、新たに戸籍を作ることになるのです。
新しく戸籍を作る方法については、後ほど詳しく解説します。
親の戸籍に戻るか新しく戸籍を作るか、迷っている方もいるかもしれません。
どちらの方法をとるべきなのか、新たに戸籍をつくるメリット・デメリットを知ったうえで判断するのがおすすめです。
まずは、新しく戸籍を作るメリットを3つ紹介します。
新しい戸籍を作るメリット1つ目は、本籍地を自由に選べることです。
今後、何かの手続きで戸籍謄本が必要になることがあるかもしれません。
戸籍謄本は、本籍地を管轄とする市区町村の窓口で取得することができます。
本籍地と居住地を同一にしておけば、最寄りの役所で戸籍謄本を取得できますが、親の戸籍に戻った場合、本籍地と居住地が離れてしまうかもしれません。
新たに戸籍を作ることで、本籍地を居住地と同一にすることが可能です。
新しい戸籍を作るメリット2つ目は、旧姓に戻さず新しい戸籍を作る場合、離婚の事実を周りに知られにくい可能性があるということです。
親の戸籍に戻ると、姓は旧姓となります。
職場で婚姻時の姓を使用していた場合、旧姓に戻ることで離婚の事実を周囲に知られてしまうでしょう。
しかし、婚氏続称の手続きを取ったうえで新しい戸籍を作れば、姓が変わることはありません。
離婚はまったく悪いことではありませんが、どうしてもなんとなく周りの目が気になるという方もいるでしょう。
その場合、婚氏続称の手続きをして婚姻時の姓のまま新しく戸籍を作ることにメリットを感じる方もいるのではないでしょうか。
新しい戸籍を作るメリット3つ目は、姓が変わらないので銀行口座の名義変更なども不要になるということです。
離婚によって旧姓に戻ると、さまざまな名義変更手続きが必要です。
銀行口座や運転免許証、クレジットカードやパスポートなど、名義変更が必要なものは非常に多く、手間と時間がかかります。
旧姓に戻さずに新しい戸籍を作れば、このような煩雑な名義変更は不要です。
平日の日中に窓口に行く必要もなくなりますし、離婚後の辛い心情の中でのストレスを減らせるかもしれません。
では、離婚後に新しい戸籍を作るデメリットはあるのでしょうか。
あくまで避けるべき、な禁止すべきというような強いデメリットではありません。
あくまで人によっては比較的利点とはならないかもしれないという意味合いとなります。
その意味で、ここからは、新しい戸籍を作ることで考えられるデメリットを2つ紹介します。
新しい戸籍を作るデメリット1つ目は、家族に戸籍謄本をとってもらうことができなくなることです。
同じ戸籍に載っている人であれば、誰でも戸籍を取得することができます。
たとえば急に戸籍が必要になった場合、同一戸籍に載っている父母や兄妹に頼めば、窓口で簡単に戸籍を手に入れることができるのです。
同一戸籍でなくても、直系尊属(親や祖父母など)、直系卑属(子や孫など)であれば戸籍を取ってもらうことは可能です。
しかし、窓口で親族関係を確認できる資料の提示を求められることもあり、手続きはやや複雑になります。
また、兄妹に関しては傍系親族となるため、同一戸籍でない場合は戸籍を取得してもらうことはできないので注意ください。
日常生活で戸籍が必要なケースはそう多くはありませんが、万が一の時に家族に取得を頼めなくなるのは多少不便な点かもしれません。
新しい戸籍を作るデメリット2つ目は、元配偶者の住所地を調べづらくなる場合があることです。
子どもが元配偶者の戸籍に入ったままであれば、子どもの戸籍附票をたどり、元配偶者の住所地を知ることができます。
戸籍附票には住民票を置いた住所の履歴が掲載されているため、元配偶者が現在どこに住んでいるかも確認できます。
しかし、新しい戸籍を作り、子どもをそこへ入籍させると、元配偶者と子どもの戸籍は別となります。
そのため元配偶者の住所地が調べづらくなるのです。
なお、この場合も、必ずしも元配偶者の戸籍附票を取得できなくなるわけではありません。
子どもの養育費支払いを求めるためといった正当な理由があれば、手続きの仕方によって、元配偶者の戸籍附票を取得できる場合があります。
ただ、裏を返せば、元配偶者の戸籍の附票を取得するために、そのような理由を説明し認めてもらわなければならなくなるのです。
離婚後に新しい戸籍を作る場合、どのような手続きをしたらいいのでしょうか。
旧姓に戻すか、婚姻時の姓を名乗り続けるかで方法は変わります。
ここからは、離婚後に新しい戸籍を作る方法について、状況別で解説します。
離婚後は旧姓に戻して新しい戸籍を作る場合、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄にて必要な記載をおこないます。
まず、「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れます。
その下に新しい本籍地の場所と筆頭者を記載して窓口に提出すれば完了です。
離婚届と同時に手続きできるので、負担も少ないといえるでしょう。
婚姻中の姓を名乗ったまま新しい戸籍を作る場合、まずは離婚届と一緒に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所へ提出しましょう。
この届出を出すことで、婚姻時の姓を維持したまま新しい戸籍が作れます。
提出期限は、離婚届の提出から3ヵ月以内です。
ただし、婚氏続称の手続きをとると、簡単に旧姓には戻れなくなるので、どうするべきかは慎重に決めましょう。
新しい戸籍へ子どもを入れたい場合、子どもの姓をどうするのかによって方法が変わります。
まず前提として、離婚しても子どもは筆頭者(元配偶者)の戸籍に残ります。
手続きをしない限りは、ご自身の新しい戸籍に子どもが移動することはありません。
ご自身が旧姓に戻り、子どもの姓も旧姓に変えたいなら、家庭裁判所へ「子の氏の変更許可」を申し立てましょう。
許可が下りれば子どもの姓を旧姓へ変えて、ご自身の新しい戸籍へ入籍の手続きを取ります。
また、ご自身が婚姻時の姓を名乗り続ける場合は、婚氏続称の手続きを取り、新しい戸籍を作りましょう。
その後「子の氏の変更許可」を申し立て、ご自身の戸籍へ子ども入籍させる手続きをおこないます。
婚氏続称の手続きを済ませているので、ご自身と子どもは、すでに姓が同一となっているはずです。
しかし、「婚氏続称の手続きを取った氏」と「婚姻中の氏」は、表記が同じでも法律上は別の氏となります。
そのため、同じ姓でも同一戸籍に入れるためには「子の氏の変更許可」の申し立てが必要になるのです。
離婚後、女性が親の戸籍に戻ろうとする場合、
などの状況であれば、親の戸籍には戻ることはできず、ご自身で新たに戸籍を作る必要があります。
新たに戸籍を作ることで、本籍地を自由に定めることができます。
更に婚姻時の姓を継続して使うのであれば、周囲に離婚の事実が知られにくいですし、銀行口座などの煩雑な名義変更手続きも不要です。
戸籍のお悩みに加え、養育費や面会交流、財産分与など、離婚にはさまざまな問題があります。
離婚や戸籍の問題で不安があれば、弁護士へ相談しましょう。
弁護士に相談すれば、戸籍だけでなく離婚全般について、ご自身の状況に応じたアドバイスをもらえるはずです。
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