婚約期間はいつからいつまで?成立要件・トラブル時の対処法も解説
- 「プロポーズを承諾した時点で、婚約は成立する?」
- 「婚約指輪や結納がないと、婚約したとはいえない?」
婚約がいつから成立するのか、意外と知らない方は多いでしょう。
婚約は、将来夫婦になろうという双方の合意があれば成立します。
ただし、「いつか結婚しよう」「夫婦になれたらいいね」といった発言だけでは、婚約が成立したとはいえません。
本記事では、婚約の法的な定義・成立要件・婚約期間の考え方から、破棄トラブルへの対処法まで解説します。
婚約に関する疑問を整理し、万が一のトラブルに備える参考にしてください。
婚約とは
婚約とは、将来夫婦になろうという当事者双方の合意です。
婚約が成立すると、両者は誠実に婚姻へ向けて努力する義務を負います。
以下では、婚約の定義・成立要件・法律上の効果を解説します。
婚約の定義
婚約とは、将来夫婦になろうという当事者双方の合意や将来結婚しようという約束です。
民法に婚約を定める明文規定はありません。
裁判実務や学説上は婚姻予約とも呼ばれ、将来の適法な婚姻を目的とする契約と解釈されています。
なお、婚約と内縁(事実婚)は異なる概念です。
内縁は夫婦共同生活の実態を伴うものです。
婚約は合意のみで成立する点で、内縁とは区別されます。
婚約の成立要件
婚約は、当事者双方の意思の合致のみで成立します。
書面・届出といった形式的な要件はありません。
ただし、「いつか結婚しよう」「夫婦になれたらいいね」といった発言だけでは、婚姻が成立したとはいえません。
当事者双方の真摯な意思に基づく婚姻の合意が必要です。
なお、近親者(直系血族と3親等以内の親族)との婚約は無効です。
また、一方に配偶者がおり、他方も婚姻関係の存在を知りながらなされた婚約も、原則として無効となります。
婚約の法律上の効果
婚約が成立すると、当事者は将来の婚姻に向けて誠実に努力する義務を負います。
婚約は、婚姻の予約という一種の契約です。
正当な理由なく一方的に破棄すると債務不履行責任が発生します。
賠償責任の範囲は、結婚準備のために支出した費用や結婚を前提に退職したことによる損害のほか、精神的苦痛に対する慰謝料が含まれます。
一方、強制的に婚姻の履行を求めることはできません。
婚姻は、あくまで当事者の自由意思に基づきなされるべきものと考えられているためです。
婚約から結婚までの標準的な流れ
婚約から結婚までの標準的な流れは、以下のとおりです。
| ステップ | 内容 | |
|---|---|---|
| ① | プロポーズ・承諾 | 結婚の意思を明示し、相手が承諾する |
| ② | 両家への挨拶 | 一般的に女性側の実家から先に訪問する |
| ③ | 婚約指輪の受け渡し | 既製品で受け取りまで1ヵ月程度(オーダーメイドはさらに日数がかかる) |
| ④ | 両家の顔合わせ・結納 | 婚約を両家で正式に確認する場 |
| ⑤ | 結婚指輪の購入 | 挙式・披露宴での指輪交換に備えて早めに準備する |
| ⑥ | 式場予約・準備 | 人気会場は1年以上前から埋まるケースがある |
| ⑦ | 婚姻届の提出(入籍) | 提出・受理により法律上の婚姻が成立する |
| ⑧ | 結婚式 | 挙式・披露宴(入籍と前後するケースも多い) |
婚約期間はいつからいつまで?
婚約期間とは、プロポーズの承諾から入籍日または婚約破棄の時点までの期間を指します。
婚約期間は、半年〜1年程度となるケースが多いようです。
婚約期間の始期|プロポーズの承諾が一般的な起点
一般的に、婚約期間の始まりは、プロポーズを相手が承諾した時点とされています。
婚約に形式的な要件はないため、いつから婚約期間が始まったかが明確でないケースもあるでしょう。
いつから婚約期間が始まるかは、法律上、明確にされていません。
将来夫婦になろうという意思は、相手と過ごす中で段階的に固定・成熟していくものと考えられています。
そのため、指輪交換・結納・同棲・挙式の予約といった外形的な事情や当事者の真意などを総合考慮して、婚約成立の有無を判断します。
婚約期間の終期|入籍または婚約破棄の時点
婚約期間の終期は、入籍または婚約破棄の時点です。
婚姻届が受理されれば、婚姻期間がスタートします。
なお、婚約者が死亡した場合も、婚約期間は終了します。
婚約期間の平均|半年から1年程度
婚約から入籍までの期間は、半年〜1年程度が一般的とされています。
ただし、半年以内に入籍するカップルも少なくありません。
婚約期間中は、誠実に婚姻へ向けて努力する義務が双方に生じます。
期間の長短にかかわらず、婚約破棄には正当な理由が求められる点を理解しておきましょう。
婚約と結婚(婚姻)の法律上の違い
婚約と婚姻は、成立要件と法的な権利・義務の範囲において根本的に異なります。
戸籍への届出の要否・関係解消の方法・発生する権利義務の3点について、以下で整理します。
法律上の効力発生に戸籍の届出が必要かどうか
婚姻は、双方の婚姻意思の合致と戸籍の届出によって成立します。
婚約に届出は不要です。
| 婚約 | 婚姻 | |
|---|---|---|
| 届出の要否 | 不要 | 必要 |
| 戸籍上の変動 | なし | あり |
婚姻届が受理されると戸籍上の変動が生じ、夫婦の氏が統一されます。
婚約段階では戸籍上の変動は生じません。
一方的な意思で関係を解消できるかどうか
婚約は、一方の意思のみで関係を解消できます。
破棄された側の救済は損害賠償に限られ、婚姻の強制はできません。
一方、婚姻関係を解消するには、以下のいずれかの手続きが必要です。
| 手続き | 成立要件 |
|---|---|
| 協議離婚 | 離婚意思の合致 + 戸籍の届出 |
| 調停離婚 | 調停の成立 |
| 審判離婚 | 調停に代わる審判の確定 |
| 裁判離婚 | ・離婚を認める判決の確定 ・請求の認諾 ・裁判上の和解 |
相続権や同居・協力・扶助義務が発生するかどうか
婚姻すると、相続権や同居・協力・扶助義務が生じます。
一方、婚約段階では、いずれも生じません。
婚約者が死亡しても相続権は認められず、遺言がなければ、財産を受け取ることも原則できません。
婚約期間は、婚姻まで別々に暮らす方も多いでしょう。
婚約関係では同居・協力・扶助義務も生じないため、婚約者に対し、別居中の生活費(婚姻費用)も請求できません。
婚約の成立を法的に主張するために必要な証拠
本章では、婚約の成立を証する証拠の例を紹介します。
婚約指輪・結納品などの贈り物
婚約指輪・結納品などの贈り物は、婚約の成立を裏付ける証拠となり得ます。
ただし、単なるプレゼントとしての指輪ではなく、婚姻の約束として贈られたものであることを示す要素も必要です。
たとえば、月収の数ヵ月分に該当する高額な指輪であることを示すレシートやメッセージカードなどを併せて示せると証拠力が高まります。
結納品や結納金の授受の事実を示す資料も、有効な証拠のひとつです。
結納品・結納金は、婚約が成立した証として、男性側から女性側の家へ贈られる物や金銭です。
当事者間の婚姻の意思を外形的に示すものとして、婚約の成立を証明する事実となり得ます。
結納品の目録・領収書や、結納金を渡すために預金を引き出した通帳の記録などを保管しましょう。
両家の顔合わせ・結納の記録
結納を含む両家の顔合わせの記録も、婚約の存在を示す証拠として有効です。
将来結婚しようという約束が公となり、法的にも婚約が有効に成立したと評価されやすくなります。
近年は結納をせず、両家の食事会のみをおこなうカップルも多いでしょう。
両家の顔合わせが済んでいる場合は、以下のような書類を保存してください。
- 両家が顔合わせした際の写真・動画
- 日程調整のメール・LINE
- 顔合わせの会場(店舗など)の予約確認書
- 顔合わせ当日の食事代などの領収証
なお、写真や動画はバックアップを取って保存しておくのが望ましいでしょう。
結婚式場の予約・準備の記録
結婚式場を予約したことがわかる証拠や準備の記録も、婚約の成立を示す客観的な証拠となり得ます。
有効な証拠の例は、以下のとおりです。
- 結婚式場の予約確認書・契約書
- 申込金の領収証
- 式場のスタッフとの打ち合わせ記録
- 親族や友人への招待状の発送リスト・発送履歴
招待状の発送・ドレス試着・引き出物の準備など、結婚式の準備を進めていた事実も婚約の証拠となり得ます。
式場とのやりとりのメール・LINE・領収書類は、できるだけ保管しておきましょう。
婚前誓約書などの書面
婚前誓約書や結婚を約束する内容のLINE・メール・手紙は、婚約の成立を示す証拠として有力です。
婚前誓約書とは、婚約の内容・条件・違約時の取り決めなどを書面化したものです。
日本では法的拘束力は限定的ですが、婚約の成立を示す証拠として裁判でも活用されます。
婚姻を約束した前後のLINEやメッセージも、ほかの証拠と組み合わせることで、婚約の成立が認められる可能性が高まります。
「入籍日は〇月〇日にしよう」「〇月〇日に両親に挨拶に行こう」といった具体的な内容を含むやり取りなどです。
LINEやメッセージは、日時を含めてスクリーンショットを撮りましょう。
婚約中でも慰謝料請求の対象となる2つの行動
一方的な婚約破棄と婚約中の浮気は、慰謝料請求の対象となります。
正当な理由のない破棄や貞操義務違反は、不法行為または債務不履行として損害賠償責任が生じます。
一方的な婚約破棄
正当な理由のない一方的な婚約破棄は、慰謝料請求の対象となり得ます。
婚約をした当事者は、将来の婚姻に向けて誠実に努力する義務を負います。
正当な理由のない婚約破棄は、債務不履行または不法行為にあたり、相手に生じた損害を賠償しなければなりません。
慰謝料の相場は50万〜200万円程度です。
婚姻に向けた準備の進捗・精神的損害の大きさなどによって増減します。
式場キャンセル費用・退職による逸失利益・引越し費用などの財産的損害も、請求できる場合があります。
また、婚約解消の原因が贈った側にない場合は、相手に対して結納金や婚約指輪の返還請求が可能です。
婚約中の浮気
婚約期間中に、婚約者以外の人と性的関係を持った場合は、慰謝料請求の対象となり得ます。
婚姻関係における場合ほど強い内容のものではなくても、婚約中の当事者は互いに貞操を維持する義務を負うと考えられています。
慰謝料の相場は、50万円~100万円程度となるのが一般的です。
浮気の回数や期間と婚約期間の対比、婚約者の妊娠の有無・浮気が発覚したあとの対応などによって増減します。
浮気相手が婚約の事実を知っていた、もしくは通常の注意を払えば知ることができた場合、浮気相手にも慰謝料を請求できます。
婚約中のトラブルへの対処法
婚約中のトラブルには、自身が婚約関係を解消したい場合と、相手から一方的に婚約を破棄されたケースの2パターンがあります。
自ら婚約関係を解消したい場合は、正当な理由の有無を検証しましょう。
相手から一方的に破棄された場合は、慰謝料請求を検討できます。
自分から婚約を解消したい場合|正当な理由の有無を検証する
自分から婚約を解消したい場合は、正当な理由があるかどうかを検証してください。
正当な理由がない場合でも破棄自体は可能ですが、相手から慰謝料請求される可能性があります。
正当な理由として認められやすい例・認められにくい例は、以下のとおりです。
| 正当な理由として認められやすい例 | 正当な理由とは認められにくい例 |
|---|---|
| ・婚約相手が浮気をした ・婚約相手から暴力を振るわれた ・婚約相手の経済状況の悪化した(失業・多額の借金) ・婚約相手に社会的常識を著しく逸脱した言動がある ・婚約相手に異常な性癖がある |
・単なる心変わり ・親族の反対・親族との不仲 ・性格の不一致 ・信仰の不一致 ・婚約を破棄する側の浮気 ・婚約相手の親族の非行・犯罪歴 ・差別的な理由 |
正当な理由の有無に関わらず、解消の意思は早めに相手に伝え、誠実に説明することが求められます。
突然の通告や連絡の遮断は、相手への精神的損害を大きくするおそれがあります。
婚約解消を希望する場合は、婚約者と話し合い、合意による婚約解消を目指しましょう。
合意に至った場合は、後のトラブルを防ぐために合意書の作成をおすすめします。
一方的に婚約破棄された場合|慰謝料請求を検討する
正当な理由なく一方的に婚約破棄された場合は、財産的損害・精神的損害(慰謝料)の賠償請求を検討できます。
慰謝料の相場は、50万〜200万円程度です。
婚約期間が長い・準備が相当程度進んでいた・精神的苦痛が大きいといった事情があると高額になる傾向があります。
財産的損害として請求できるものの例は、以下のとおりです。
- 式場のキャンセル費用・申込金
- 新居の初期費用・引越し費用
- 婚礼家具の購入費用
- 退職による逸失利益
財産的損害は慰謝料とは別立てで請求できますが、認められる範囲は個別の事情によって異なります。
婚約解消の原因が贈った側にない場合は、相手に対して結納金や婚約指輪の返還請求も可能です。
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婚約に関するよくある質問
本章では、婚約に関するよくある質問にQ&A形式で回答します。
Q.婚約するメリットは?
婚約により、お互いに結婚の覚悟と責任が生まれることで、交際中より破局しにくくなる点がメリットといえるでしょう。
単なる交際関係では、相手の心変わりや浮気に対して法的責任は問えません。
一方、婚約が成立すると、誠実に婚姻へ向けて努力する義務が双方に生じます。
婚約の成立が客観的に認められれば、不当破棄や婚約中の浮気に対して、慰謝料を請求できます。
Q.婚約指輪はいつ買って渡すもの?
婚約指輪を買うタイミングは、主に以下の3パターンがあります。
- プロポーズ前
- プロポーズ後
- 顔合わせ・結納前
プロポーズ前に購入してサプライズで渡す場合は、事前にサイズや好みのリサーチが必要です。
プロポーズ後に二人で選ぶ場合は好みに合わせやすく、近年増えているスタイルです。
顔合わせや結納でのお披露目に合わせて準備する場合は、当日までに手元に届くよう日程から逆算して動く必要があるでしょう。
なお、注文から受け取りまでの期間の目安は、既製品で2週間~1ヵ月程度、オーダーメイドは2〜6ヵ月程度です。
Q.婚約指輪はいつまでつける(使う)?
婚約指輪をつける期間に決まったルールはなく、受け取ったときから結婚後も含めて、いつでも身につけてかまいません。
婚約期間中は結納・顔合わせや親への挨拶でお披露目する場面が多くあります。
結婚後は毎日つける人は少数で、友人の結婚式・記念日のデート・子どもの行事など特別な場面でつける人が多い傾向にあります。
結婚指輪との重ねづけを楽しむスタイルも増えており、日常的に着用する方も少なくありません。
Q.交際相手に両親を紹介されたら婚約成立といえますか?
両親への紹介だけでは、婚約成立とはいえません。
婚約の成立には、将来結婚しようという双方の明確な合意が必要です。
婚約者として紹介された場合は、婚約成立を示す事情の一つとして裁判でも考慮され得ます。
一方、単に交際相手として紹介されたにすぎない場合は、婚約の合意があったとはいえません。
Q.婚約できる年齢は何歳からですか?
婚約できる年齢について、法律上の明確な規定はありません。
男女ともに婚姻できる年齢は18歳以上ですが、婚姻適齢に満たない場合でも、婚約が当然に無効になるとは限りません。
未成年者でも婚約の意味を理解したうえで、将来夫婦になろうという当事者双方の合意があれば、婚約は成立し得ます。
一般的には、15歳以上であれば、単独で婚約の意思表示が可能と考えられています。
Q.婚約破棄に基づく慰謝料請求権の時効はいつですか?
婚約破棄に基づく慰謝料請求権の時効は、以下のとおりです。
- 債務不履行に基づく場合:婚約破棄の時から5年
- 不法行為に基づく場合:婚約破棄の時から3年
不法行為と債務不履行のいずれを根拠に慰謝料を請求できるかを判断するには、法的な知識が必要です。
慰謝料請求を検討している場合は、早期に弁護士への相談をおすすめします。
まとめ
婚約は、将来夫婦になろうという当事者双方の合意であり、書面や届出がなくても成立します。
婚約期間は、一般的にプロポーズの承諾から入籍または婚約破棄の時点までを指します。
婚約から入籍までの期間は、おおむね半年〜1年程度となるケースが多いようです。
婚約は婚姻とは異なり、戸籍上の変動や相続権・同居義務は生じません。
一方で、正当な理由のない婚約破棄や婚約中の浮気は慰謝料請求の対象となり得ます。
婚約の成立が争われた場合には、婚約指輪の授受や両家の顔合わせなど、婚約の成立を客観的に証明できる資料を収集しましょう。
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