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婚姻関係の破綻とは?事例や要点をわかりやすく解説

たま法律事務所
玉真聡志
監修記事
婚姻関係の破綻とは?事例や要点をわかりやすく解説
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婚姻関係の破綻とは「夫婦に婚姻を継続する意思がなく」「夫婦で共同して生活できる見込みがない状態」のことをいいます。

このような状態にあるかどうかは、実際の状況など様々な要素を踏まえて判断されることになります。

夫婦関係のことは当事者同士にしかわかり得ないこともあるため、裁判所であっても簡単に判断できないでしょう。

この記事では婚姻関係の破綻について考慮される事情について解説します。

婚姻関係の破綻を理由に離婚したい方へ

婚姻関係の破綻は、裁判離婚の離婚事由の一つとして定められています。

従って、婚姻関係の破綻が認められれば、離婚することは可能です。

しかし婚姻関係の破綻が認められると、破綻後の権利侵害に慰謝料を請求できないというデメリットも存在します。

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婚姻関係の破綻とは?

婚姻関係の破綻とは次のような状態です。

  1. 夫婦に婚姻継続の意思がない状態
  2. 夫婦生活を共同で行える見込みがない状態  

夫婦として一緒に暮らしたり、協力して生活したりすることができない夫婦関係は、婚姻関係が破綻していると言える可能性があります。具体的には、一切のコミュニケーションがなかったり、家事や食事が別々になったりしている状態が長期間続いているイメージ等が挙げられます。

婚姻関係の破綻は、民法では裁判離婚の離婚事由の1つとして定められています。

その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

【引用】民法第七百七十条|e-GOV法令検索

婚姻関係が破綻していれば、裁判所に離婚を提起することで離婚できる可能性があります。しかし、そのためには婚姻関係の破綻を証明して、夫婦関係が破綻していたことを客観的に認めてもらう必要があります。

婚姻関係破綻の定義

婚姻関係破綻の定義は明確に決まっていません。しかし、民法では、夫婦相互の義務として以下を守るように定めています。

  1. 同居
  2. 協力
  3. 扶助

同居、協力及び扶助の義務)

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

【引用】民法|e-GOV法令検索

また、夫婦は貞操を守る義務があると考えるのが一般的です。たとえば、別居が数年続き、お互いに別のパートナーとの肉体関係を持つ等、共に不貞行為を行っている状況であれば、実質的には夫婦と言えないため、婚姻関係が破綻していると認められる可能性があるでしょう。

婚姻関係の破綻が認められやすい状態

婚姻関係の破綻が認められやすい状態は主に以下のようなケースがあります。

主に、これらの事情の有無を総合的に検討して、婚姻関係が破綻しているか否か決定されます。

  1. 長期間の別居
  2. DV・モラハラ
  3. 不就労・飲酒癖・浪費癖
  4. 犯罪行為・服役
  5. 家庭の放置
  6. 親族との不和
  7. 性格・性生活の不一致

これらの事情は、実際に過去の裁判で婚姻関係の破綻として認められた事情なので、あなたのケースと見比べてみるなど、参考にしてみましょう。

長期間の別居

別居が続いている夫婦は、夫婦としての同居義務を守れていませんから、婚姻関係が破綻していると認められやすいでしょう。しかし、仕事や療養など、別居に正当な理由がある場合は別です。

婚姻関係の破綻と認められる別居かどうかは、以下がポイントになるでしょう。

  1. あなたの家族はどのような構成か(子供の有無、両親との同居の有無など)
  2. 別居に、仕事や療養などの正当な理由があるかどうか
  3. 別居前に続いていた同居の期間はどのくらいか
  4. 別居を開始した側が、不貞行為をした者などの有責配偶者かどうか

婚姻関係の破綻として認められる別居期間としては、5年間が目安です。5年以上別居が続いていれば長期間の別居と判断されて、夫婦関係が継続していると解釈されにくいでしょう。

しかし、裁判例では、3年半弱の別居でも、同居期間中に車中泊したり、配偶者が他方配偶者の在留資格の更新拒絶を申し入れたりする等、夫婦関係の改善見込みが次第に減る中で、遂に不貞行為に及んだといった事情が考慮されて、婚姻関係の破綻が認められた事例もあります。

同居中の被告やその子らの生活態度について原告と考えが合わず,原告が車中泊をするなどして疎外感を強めていったこと等により次第に悪化していったと認められ,被告が,原告の在留資格の更新を拒絶するよう申し入れるなどしていること,別居期間が3年半弱継続していること,その間に,後記5のとおり,原告がBと一時的にせよ同居し,不貞行為に及んでいたこと(その時点で,夫婦関係が破綻に至っていたとまでは認められず,この点で,原告は,いわゆる有責配偶者と認められる。)をも考慮すれば,原告と被告との婚姻関係は,既に破綻しているといわざるを得ない。

文献番号 2021WLJPCA01266002

裁判年月日 令和 3年 1月26日 裁判所名 静岡家裁浜松支部 裁判区分 判決

こちらのケースでは、3年半の別居だけでなく、不貞行為があったことも、夫婦関係が破綻していると認められた理由になっています。

DV・モラハラ

民法によると、夫婦は互いに助け合って生活する義務を負います。そのため、配偶者に対する身体的・精神的な暴力を行った事実があると、婚姻関係が破綻していると認められる可能性があります。

また、DV・モラハラを行った側は、離婚原因を作った有責配偶者とされる可能性が高いでしょう。

婚姻関係の破綻が認められるためには、DVやモラハラの事実を裏付ける証拠が必要となります。下記の裁判例では罵りや無視が婚姻関係破綻の原因であるとして主張しましたが、罵りや無視の客観的証拠がなかった為、モラル・ハラスメントによる婚姻関係破綻の主張が認められませんでした。

控訴人は,被控訴人が控訴人に対して,些細なことで罵ったり,無視したりすること(いわゆるモラル・ハラスメント)を繰り返したことが婚姻関係破綻の原因であると主張し,これに沿った供述をする(控訴人本人,甲3)。しかし,これを裏付ける客観的な証拠はなく,反対趣旨の被控訴人の供述に照らし,上記供述は直ちには採用できず,その他,上記破綻原因を認めるに足りる証拠はない。

文献番号 2011WLJPCA09296004

裁判年月日 平成23年 9月29日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決

モラハラは客観的証拠を用意するのが困難ですから、証拠の集め方について弁護士に相談して対策するのが適切です。一方、下記の裁判例では、DVが起きたことで別居が開始され、その別居が長期間続く間に、夫は妻から離婚を一貫して求められたことから、夫婦関係改善の見込みが無くなったと判断され、婚姻関係の破綻が認められました。

子の面前で妻を何十回も殴ったり蹴ったりするという極めて苛烈なものであったこと,④そのため,Aは,原告から避難して別居した後,直ちに離婚の意思を表明し,以後,一貫して原告との離婚を求めてきたこと,以上の事実が認められるところであり,かかる経緯に鑑みれば,原告とAの婚姻関係は,どんなに遅くとも平成28年9月4日の暴行がなされた時点において,決定的に破壊され,もはや夫婦としての関係を維持することは不可能な状態に至ったものというべきである。

文献番号 2019WLJPCA03078007

裁判年月日 平成31年 3月 7日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

DVに関しては、病院の診断書などを通じてDVによる怪我を証明しやすいため、モラハラより、比較的証明しやすいかもしれません。それでも、DVの証拠が裁判で有効かどうか、やはり弁護士に相談するのが一般的です。

婚姻関係の破綻の有無や程度は、DVやモラハラが始まった時期や回数、内容などから総合的に判断されます。動画や写真、音声データなどの証拠を少しでも集めておくことで、婚姻関係が破綻したことの証明に繋がるでしょう。

不就労・飲酒癖・浪費癖

健康上の理由もなく就労しなかったり、家に生活費を入れなかったりすれば、婚姻関係の維持に対する協力や扶助の義務を果たす姿勢が著しく欠けているとみなされる場合があります。

また、飲酒癖の度合いによって粗暴行為などのトラブルが起きるリスクはあるので、配偶者が過度の飲酒癖を抱えている場合、夫婦で協力して生活するのは困難と認められやすくなると言えるでしょう。下記の裁判例では、浪費や過剰な飲酒が婚姻関係破綻の原因の一つになったと認められています。

主として被告が家計への配慮をせずに浪費をし,原告を侮辱し,非違行為により勤務先を退職することを余儀なくされ,また,過剰に飲酒をし,粗暴な振る舞いに及ぶなど,度重なる被告の有責行為によって原告が家を出て別居し,破綻に至ったものというべきであって,少なくとも平成24年3月の別居開始時までの被告の有責行為は不法行為を構成するというべきである。

文献番号 2014WLJPCA12038013

裁判年月日 平成26年12月 3日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

浪費して趣味に没頭しすぎると、家庭の放置や性格の不一致などに発展する可能性もあります。浪費の内容によっては婚姻関係の破綻が認められる場合も有り得るでしょう。

犯罪行為・服役

配偶者の一方がなんらかの犯罪行為で逮捕されて服役になった場合、他方配偶者に社会的な影響が及ぶと考えられます。その影響によって家庭生活が経済的・社会的窮地に陥るとすると、その他の事由と総合考量して、婚姻関係の破綻が認められる可能性があります。

裁判離婚においても、犯罪行為あるいは服役が婚姻関係を破綻させたと判断されることも有り得ます。実際の裁判例としては以下のケースがあります。

被告は夫として一家の生計の支えとなるべき立場にありながら、また、長女出生という人生の転機を迎えながら、前記のような家族の窮状を知りつつ、いたずらに妻及びその実家などに負担を強いるのみで、勤労意欲なく、無計画で怠惰な生活態度を変えようとせず、その上犯罪をおかして四度目の服役することとなり、残されたB、妻及び長女A子の三人は分散して生活せざるを得ない結果となったものであるから、これらの諸般の事情は民法第七七〇条第一項第五号にいう婚姻を継続し難い重大な事由がある場合に該当するものというべきである。

文献番号 1967WLJPCA08300002

裁判年月日 昭和42年 8月30日 裁判所名 新潟地裁 裁判区分 判決

上記のケースで離婚請求をされた夫は、婚姻の前後で詐欺罪を4度も犯したことだけでなく、勤労意欲がなく家庭を経済的に支える意思が欠けると認められたことも併せて、婚姻関係の破綻が認められました。

家庭の放置

家庭の放置とは、配偶者の一方が仕事や趣味を家庭よりも優先して、のめり込んでしまう状態です。たとえば仕事のために長期間別居している場合や、宗教活動に集中して家族生活に支障を来たす等、夫婦としての同居協力扶助義務を果たしていない状態であれば、家庭の放置として、下記裁判例のように婚姻関係の破綻が認められる可能性があります。

被控訴人が現に行つている宗教活動の状況からすれば日常の家事や子供の養育に相当の支障が出てくるのは必至であり、控訴人がこれを容認することは全く期待できないこと、控訴人の被控訴人に対する不信と増悪の念が強く離婚の意思が固いこと、被控訴人は離婚の意思がなく控訴人の言うことにも従いたいというが、別居期間はすでに8年に及んでおり(もつとも、当初の2、3年は両者間に若干の交渉があつたが)現実に夫婦関係が円満に回復するという見込みは全くないことが明らかであり、控訴人と被控訴人との間の婚姻関係は既に完全に破綻しているものと認めるのが相当である。

文献番号 1990WLJPCA12140003

裁判年月日 平成 2年12月14日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決

この裁判例のように、個人で従事する活動によって、婚姻関係の維持に対する協力・扶助について夫婦が果たすべき義務が著しく欠けていると判断された場合、婚姻関係の破綻が認められることがあります。

親族との不和

配偶者の両親など親族との関係が悪化したことがきっかけで、夫婦関係が悪化するケースがあります。親族との不和それ自体は夫婦どちらかの責任とは言えませんが、妻と姑の関係が悪いにも関わらず夫がそれを改善しようと協力しなかったり、関係悪化を招く行動に出てしまったりすることで婚姻関係が回復不能に至る場合があります。

そのような場合、夫婦として協力・扶助できておらず、婚姻関係が破綻したと解釈できる場合が有ります。

実際に下記の裁判例では、親族との不和が、婚姻関係破綻に発展した原因の1つとして、判断されています。

平成28年4月に二女の大学の入学式のために上京した原告の両親との食事をめぐって,原告と口論になったりするなど,それ以前の不仲の原因の一つであった二女及び原告の両親との不仲の問題は改善していなかったのであって,原告と被告との間の,良好な部分も認められる平成26年以降の婚姻関係は,それらの点についての問題を留保した状態にあったといえる。

文献番号 2020WLJPCA03316009

裁判年月日 令和 2年 3月31日 裁判所名 東京家裁 裁判区分 判決

なお、こちらのケースでは、被告と原告両親の不仲や夫婦間の別居だけでなく、被告の不貞行為がありましたが、被告の不貞行為が直接的に婚姻関係を破綻させたとは認められていないので、被告は有責配偶者とされていません。

性格・性生活の不一致

夫婦の性格や性生活が合わなければ、婚姻関係の破綻につながる可能性もあるでしょう。

配偶者に事情を話して改善するために他方の配偶者が寄り添えれば良いですが、身勝手な理由で寄り添うことがなければ、それは夫婦として協力できていないと言えるかもしれません。下記の裁判例では、夫婦生活に応じない夫の行為が婚姻関係を継続し難い重大な事由に該当すると判断されました。

被控訴人と控訴人との性交渉は入籍後約五か月内に二、三回程度と極端に少なく、平成二年二月以降は全く性交渉がない状態であるのに、反面控訴人自身はポルノビデオを見て自慰行為をしているのであつて、性生活に関する控訴人の態度は、正常な夫婦の性生活からすると異常というほかはなく、これらの点を指摘する被控訴人に対して、控訴人は、一旦は改善を約しながら依然として改めていないこと、被控訴人は、控訴人への愛情を喪失し、婚姻生活を継続する意思が全くないこと等の事情からすると、控訴人と被控訴人との婚姻生活は既に破綻しているものといわざるを得ず、被控訴人と控訴人との間には『婚姻を継続し難い重大な事由』があると認めるのが相当である。

裁判年月日 平成 5年 3月18日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決

事件番号 平4(ネ)628号

事件名 離婚等請求控訴事件

裁判結果 棄却 上訴等 確定 文献番号 1993WLJPCA03180003

婚姻関係の破綻が認められにくい状態

婚姻関係の破綻が認められにくい状態は、まだ夫婦として生活できる余力や関係を回復できる見込みがある場合で、具体的には次のような事例です。

  1. 夫婦が同居しており、性生活にも問題がないケース
  2. 家族でレジャーをしたり、旅行をしたりして、家族で仲良く過ごしているケース
  3. 夫婦の一方が相手を介護・看病しているケース
  4. 夫婦としての別居期間が短く、離婚の準備をしていないケース

1~3のケースは上から順に同居・協力・扶助と、夫婦の相互義務を果たしている事実が確認できます。また、別居期間が長期とは言えず離婚を考えていることが確認できなければ、婚姻関係が破綻しているとは言い難く、回復の見込みありと判断される可能性があるでしょう。

婚姻関係破綻後の注意点

婚姻関係が破綻したと認められると、不貞行為が配偶者に対する不法行為として扱われず、慰謝料が認められなかったりするなど、注意すべきポイントがあります。

不貞行為が不法行為にならない

不倫などの不貞行為が配偶者にとって不法行為になるのは、夫婦で平穏な生活を送る権利を侵害されたと判断されるからです。しかし婚姻関係が破綻している状態では、夫婦で平穏な生活を送っているとは言えないため、その権利も保護されない可能性があります。

とはいえ、婚姻関係が破綻していたか否かを判断するのは裁判官ですから、婚姻関係が破綻していると裁判官が判断しない限り、不貞行為は配偶者に対する不法行為に該当します。

また、離婚成立後に配偶者の不貞行為が発覚したケースでは、不貞行為が行われた期間に婚姻関係が破綻していたか否か、がポイントになります。このようなケースでは、弁護士に相談すると良いでしょう。

破綻後の権利侵害に慰謝料を請求できない

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償です。配偶者の不貞行為によって、夫婦で共に平穏な生活を過ごす権利を侵害された場合、他方配偶者が慰謝料を請求するケースがあります。しかし、婚姻関係が破綻した状態では、すでに夫婦とは事実上言い難いため、婚姻関係破綻後の不貞行為に対する慰謝料請求の場合には、不貞行為が他方配偶者の権利侵害に該当しないと判断されて、慰謝料が認められない可能性が有ります。

実際に、過去の裁判例でも婚姻関係の破綻が認められて、慰謝料請求を認めなかった判決があります。

被上告人が一郎と肉体関係を持った当時、一郎と上告人との婚姻関係が既に破綻しており、被上告人が上告人の権利を違法に侵害したとはいえないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例(最高裁昭和五一年(オ)第三二八号同五四年三月三〇日第二小法廷判決・民集三三巻二号三〇三頁)は、婚姻関係破綻前のものであって事案を異にし、本件に適切でない。論旨は採用することができない。

文献番号 1996WLJPCA03260001

裁判年月日 平成 8年 3月26日 裁判所名 最高裁第三小法廷 裁判区分 判決

離婚事由はないが離婚したい場合の対処法

裁判離婚で離婚請求を行う場合は、以下の離婚事由が必要になります。

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

 配偶者に不貞な行為があったとき。

 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

【引用】民法|e-GOV法令検索

もし、法律で定められた離婚事由がない場合でも、夫婦同士での話し合い、家庭裁判所での調停などを通じた話し合いで、離婚成立を目指す方法があります。

  1. 離婚に向けて夫婦で話し合いをする。
  2. 離婚調停をする
  3. 専門家に相談する

離婚に向けて夫婦で話し合いをする

法律で定められた離婚事由がない場合に、今後、夫婦で共に平穏な生活を送ることが難しいと判断したとき、夫婦で話し合って離婚を成立させることは可能です。この話し合いでは、財産分与、親権、養育費など、離婚をするときに必要とされる権利関係を具体的に決定することが必要です。

夫婦の間の話し合いで財産分与、親権、養育費の具体的な内容が決まった場合には、離婚に向けた話し合いの内容を文書化して保管しておくと良いでしょう。離婚に向けた文書の証拠としての価値を高めるためには、公証役場で公証人に離婚を内容とする公正証書を作成してもらうのも良いと思います。

離婚に向けた話し合いとしては、以下の書類や証拠類を用意しておくと、話し合いがまとまらず、家庭裁判所の調停に移った場合に証拠として利用できるので、用意しておくと良いでしょう。

  1. 長期間の別居:相手の住んでいる家の家賃や契約情報
  2. DV・モラハラ:怪我や被害による診断書、被害を写真や音声で記録する
  3. 不就労・飲酒癖・浪費癖:不要証明書、飲酒物の写真や購入レシート
  4. 犯罪行為・服役:犯罪経歴証明書
  5. 家庭の放置:相手と過ごした写真や相手の休日の様子が分かる物
  6. 親族との不和:親族と話し合ったことを録音など記録する
  7. 性格・性生活の不一致:相手と性生活の不一致について話したことを記録する

このとき、相手と協議しても離婚が成立せず、裁判で認定されるほどの婚姻関係破綻の証拠がない場合は別居の意思を伝えましょう。そうすれば相手側もあなたの離婚したい気持ちが本気であることに気が付いて、話し合いに応じてくれる場合も有るでしょう。

また、別居後に夫婦関係を回復させたいなど、あなた自身の気持ちが変化する可能性もあります。婚姻関係が続いていれば、生活費などの婚姻費用を請求できる可能性があるので、1つの対処法として参考にしてみましょう。

【関連記事】別居しても生活費は受け取れる?婚姻費用の相場や請求方法を解説

離婚調停をする

離婚調停とは、調停委員という第三者が、あなたと相手方配偶者双方の主張を聞いて離婚成立を目指す方法です。相手方と直接顔を合わせる必要がないことや、弁護士に依頼して代理してもらえるメリットがあります。財産分与や親権について、夫婦本人同士の話し合いでは離婚の条件を決められない方に向いている方法です。

離婚調停の起こし方や決まりについては関連記事を参考にしてください。

【関連記事】離婚調停(夫婦関係調整調停)とは|流れと費用・進め方を徹底解説

専門家に相談する

離婚したいけれど自分のケースで離婚できるのか分からない。離婚以外に夫婦関係を改善する方法を知りたいなど、具体的なアドバイスを受けたい方は専門家に相談しましょう。

なお、離婚に関する法律相談では、弁護士が専門家です。

法律事務所には、電話やメール相談も受け付けているところもあります。ご自身に合う方法でお問い合わせください。

離婚問題についての相談先

離婚する際にもらえる慰謝料や、離婚する理由などで相談したい方へ以下の相談先を紹介します。

  1. 離婚カウンセラー
  2. NPO法人
  3. 行政書士
  4. 弁護士

離婚カウンセラー

離婚カウンセラーは離婚に関するアドバイスを行ってくれる相談窓口です。実際に夫婦間の問題を解決するよりは、話を聞いて、一緒に考えてくれるなど心のケアをしてほしい方に向いています。

しかし離婚カウンセラーに法的な手続きや依頼はできません。また相談費用として2時間で15,000円ほどかかるなど、費用も発生します。

離婚に向けて具体的な準備をしていきたい人には向いていないでしょう。

NPO法人

NPO法人も同じく話を聞いて心理的なケアやアドバイスを行う相談窓口です。

相談できる内容は、離婚だけでなく、浮気や不倫、夫婦関係の修復など様々な問題に対応している法人もありますが、離婚カウンセラーと同じく、法的な手続や依頼はできません。

【参考】NPO法人よつば

行政書士

離婚について行政書士に相談するのは、離婚する相手方と争う必要がない場合です。

相手との財産分与や親権などで争う必要がなく、話し合いで離婚が成立する場合、弁護士よりも相談料や報酬が比較的安価な行政書士が適切です。

また、離婚の協議で決めた約束事を書面に残すため離婚協議書を作成する場合、行政書士を利用すると良いでしょう。

【参考】日本行政書士会連合会

弁護士

弁護士は、離婚の相談から調停や裁判対応まで、離婚に関するあらゆる手続に対応できますし、離婚をした時の見通しも説明できます。たとえば、あなたのケースで離婚した場合、財産がどのくらい分与されるのか、親権がとれる見込みはあるのか。調停離婚や裁判離婚の準備や手続きを、すべて任せられるメリットがありますから、離婚の交渉から始めて、スムーズに離婚したい方にはぴったりの相談先です。

特に、相手と争って慰謝料請求、財産分与、親権取得を希望する場合には、弁護士に相談する必要があります。たとえば配偶者の不貞行為やDVに対して慰謝料を請求したい方や、養育費や財産分与で納得がいかず相手と争う必要がある方は弁護士に相談しましょう。

まとめ

婚姻関係の破綻とは、夫婦のいずれも結婚生活を維持する意思がなく、その関係を修復することも難しい状態のことを言います。婚姻関係の破綻は、民放で定められている離婚事由の一つに該当するため、離婚調停や離婚裁判に進んだ際、破綻を立証することで離婚の成立を目指すことができるでしょう。

しかし、婚姻関係の破綻は客観的に見て証明するのが難しいため、具体的な証拠が必要になります。また、あなたの今の夫婦生活の状況が、法律的に婚姻関係の破綻に該当するのかどうか気になる方は、弁護士に相談するのが向いています。最近は相談料無料の弁護士事務所も多いため、1度は利用してみましょう。

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この記事の監修者
たま法律事務所
玉真聡志 (千葉県弁護士会)
中央大学大学院法務研究科卒業。埼玉県内の法律事務所に入所後、千葉県内の法律事務所へ移籍。たま法律事務所を平成30年9月に松戸駅近くで開所。離婚に限らず相続問題のセミナー講師も務める。

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