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2019.7.10

事実婚とは内縁とどう違う?デメリットは?事実婚するならしておくこと

銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士
監修記事
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事実婚(じじつこん)とは、双方が結婚の意志を持ちながら共同で生活しているものの、入籍の届出をしていない状態、あるいはそういった形態で生活を送る夫婦のことです。「内縁関係」ともいわれます。

実際に戸籍を入れている状態と同程度に夫婦関係があるのだと認められるのであれば、事実婚でも法律婚と同じ程度の保護を受けることができます。現に、相続法も事実婚を保護する方向で考えられているのが現在の流れです。

2018年には人気ブロガーが事実婚を発表して話題になりました。事実婚、あるいは内縁と呼ばれる結婚の形態は、法律婚とどう違うのでしょうか?

この記事では事実婚のメリットやデメリット、事実婚を検討している方がすべきこと、事実婚関係を解消する際の注意点などを解説します。事実婚を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

事実婚・内縁の違いと定義

まずは「事実婚」や「内縁」という言葉の意味を確認しましょう。

事実婚と内縁の違い

事実婚と内縁は同じ意味です。男女がお互いに婚姻の意思を持って生計を一つにして生活していたら事実婚、あるいは内縁関係となります。とくに明確な違いがある者ではなく、用語法の違いにとどまるのです。

事実婚(内縁関係)の定義

事実婚とは、「夫婦がお互いに婚姻の意思を持って夫婦としての共同生活を行っている」状態です。事実婚というために必要な条件は以下の通りです。

1:お互いに婚姻の意思を持っている

お互いに相手と婚姻しようという気持ちを持っていることが必要です。単に恋人と一緒に暮らすという認識しかなかったら「同棲」という状態にすぎないものであり「事実婚」になりません

婚姻の意志とは、お互いが結婚する意思を持つことですが、法的に婚姻の意志を持った事実婚である、内縁関係であると評価されるには、婚約や結婚式を挙げた、双方の親族が夫婦だと認識しているなど、客観的に夫婦であることが立証できることが必要となってくるでしょう。

よくあるのは、実際にこんなやりとりをしていたとしてラインなどの証拠を提出し、日常生活を共にしている状態を立証することがあります。

2:共同生活をしている

生計を共にして夫婦としての共同生活をしていることが必要です。夫婦生活の実体がなかったら結婚しようと思っていても事実婚になりません。

なお「何年以上同居したら事実婚」などの年数に関するルールはありませんが、ある程度の継続性は要求されます。3年もあれば事実婚と認定されやすいでしょう。

3:事実婚(内縁関係)を公的手続きにも表明している

住民票に「未届の妻(夫)」と表記されているなど、公的な資料によっても「夫婦」とされていたら、事実婚を示す有力な資料となります。

住民票は、法律婚以外の状態でも事実状態としてその人の生活の実態はどのようなものであるのか、届け出ることができるのです。

その他にも、社会保険に第3号被保険者として登録していたり、事実婚を証明する私的契約書(内縁契約書)を調印しているということも有効です。

4:子供を認知している

同居して、子供を認知している場合も、事実婚であると評価されえます。全然関係がない子どもを認知することはそう多くないだろうと考えられるのでしょう。

【関連記事】『内縁関係』の定義

事実婚(内縁)と法律婚の違い

事実婚と法律婚とでは、以下のような点で違いがあります。

公的な手続き面での違い

まず公的な手続き面で違いがあります。法律婚であれば、離婚時年金分割は一部の適用、税金の配偶者控除なども適用されません。

戸籍上の違い

事実婚の場合、入籍しないので夫婦の戸籍が別々になっており、それぞれ苗字も異なります。

子供の扱いの違い

法律婚の場合、子供が産まれれば出生届以外の手続きもなく、戸籍上も夫婦の子供として記載されます。

一方、事実婚の夫婦に子供が産まれたときには「妻の子供(非嫡出子や私生児)」となり、父親は不明な状態となります。戸籍上も父子関係を明らかにするには父親が子供を「認知」する必要があります。

相続での違い

事実婚では相続権がありません。また子どもが父親から認知されていたら子どもに相続権が認められますが、認知されていなければ子どもにも相続権が認められません。

実はこれは一番のトラブルのものとになるものです。多くのケースでは、厳密にはまだ戸籍が他の異性と入っているけど、実際は他人と事実婚をしてしまうケースです。この場合争いが熾烈です。

事実婚(内縁)のメリット・デメリット

ここでは、事実婚のメリットとデメリットをご紹介します。

事実婚(内縁)のメリット

姓の変更が不要

今の日本では夫婦別姓が認められていませんが、事実婚であれば姓の変更が不要なので夫婦別姓を実現できます。クレジットカードやキャッシュカード、免許証などの名義変更が不要で楽です。

法律婚とほぼ同等の権利・義務がある

事実婚でも法律婚とほぼ同等の権利や義務が認められます。配偶者には同居や生活費を要求できますし、離婚する際には財産分与も請求可能、慰謝料が発生するケースもあります。

子供が認知されていれば養育費の請求も可能ですし、相手が亡くなったら遺族年金も受給できます。

ここで気を付けてもらいたいのは、法律婚であれば、問題なく法的なことが通るものが、事実婚の場合一定の説明や証明しなければならないことは多くあることです。

親族のしがらみに縛られにくい

事実婚の場合、戸籍を触らないので、どちらか一方の親族が家柄などにうるさい場合にも婚姻しやすくなります。

対等な関係で生活できる

事実婚の場合「女性が男性の家に入る」形式を取りませんし、女性は男性の姓を名乗る義務もありません。対等な立場を築きやすい面があります。

別れても戸籍に履歴が残らない

戸籍を触らないので、別れても「離婚」の履歴が残りません。次の相手とは「初婚」として婚姻することが可能です。

事実婚(内縁)のデメリット

子供が産まれた場合の手続きが多い

子どもが生まれたとき、父親が認知しない限り父子関係が確認されず、子どもと父親は「法律上他人」となってしまいます。そうならないためには認知の手続きをする手間が発生します。

また、お子さんは妻の戸籍に入ることになりますので、お子さんが成長した際に父親と違う姓である不便が起きることも考えられるでしょう。

認知をしていても、お子さんが非嫡出子(嫡出子は婚姻関係のある夫婦から生まれた子供のこと)であることに変わりはなく、妻の戸籍に入るとなれば、親権者も母親となります。

子供を父親の戸籍に入れて、同じ姓にしたい場合は、家庭裁判所に子どもの氏の変更許可を申し立て、親権者を父親に変更するには養子縁組をしなければなりません。

保険や税金関連でも権利を得ることができない

事実婚で配偶者を健康保険の扶養に入れるには、現実に事実婚をしていることを資料によって証明しなければならないので、法律婚のケースより手間がかかります。

また扶養に入れたとしても税金の「配偶者控除」が適用されないので、法律婚のケースよりも支払う税金が高額になります。

配偶者控除とは、配偶者がいることによって当然に所得が減額されて税金が低くなる制度です。その他、相続税控除、医療費控除も利用することができません

相続では相続権がない・相続税控除が受けられない

事実婚の配偶者の場合、相続権がないので相手名義の不動産や預貯金を引き継ぐことができません。遺産をもらうためには「遺言書」を書いてもらう必要があります。

もっとも、遺言書によって相続を受けられたとしても、相続税の控除が受けられず、法律婚と比較して損をするケースがあるでしょう。

法律婚であれば、相続された財産の1億6,000万円までは相続税が課税されないなど、そのメリットは大きなものです。(2019年7月現在)

子供に関しては、認知していれば相続権を得ることはできます。

夫婦関係を証明しにくい

法律婚なら戸籍謄本を用意すれば済みますが、事実婚の場合には住民票や生命保険の証書、写真や日記、親族の証言などさまざまな資料を集める必要があります。

慰謝料を請求する際、法離婚以上にハードルが高い

後述しますが、事実婚でも慰謝料が発生するケースがあります。権利と義務は法律婚と同等であるなど、メリットもあります。

しかし、事実婚で慰謝料請求する場合、まず事実婚であることを立証し、慰謝料を請求できる事由を立証しなければなりません。

事実婚(内縁)でも解消時には慰謝料が発生するケース

事実婚でも、解消する際に、場合によっては慰謝料が発生するケースがあります。事実婚でも、法律婚と同等の権利・義務は生じるのは解説した通りです。

事実婚でも、相手に有責性があれば、慰謝料を請求することができるということです。

先ほども説明した通り、事実婚でも実際の夫婦関係と同等と認めてもらえると、法律婚と同程度の保護が与えられるので、典型的には不貞行為などが問題となりえるわけです。

※前提として事実婚(内縁)を証明することが不可欠です

事実婚の場合、いくら慰謝料が発生するケースに該当しても、前提として「事実婚が成立していること」の証明が不可欠です。事実婚を証明できる具体的な証拠に関しては、後の「事実婚が証明しやすいように準備しておく」で解説します。

不貞行為があった場合

相手が不貞行為(肉体関係を伴う不倫)をしたことによって夫婦関係を解消せざるをえなくなった場合、不貞行為をされた被害者は、加害者やその不貞行為の相手に、不倫慰謝料を請求できます。

【関連記事】

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正当な理由なく一方的に事実婚(内縁)の解消があった場合

事実婚は法律婚ではありませんが、相手が嫌になったなどの簡単な理由で気軽に解消することはできません。正当な理由なく、一方的に事実婚を解消された場合、慰謝料を請求することができます。

事実婚の解消をする際に、正当な理由として認められるのは法律婚と同様です。離婚には法的に離婚が認められる法定離婚事由が定められています。

  1. 相手が不貞行為を行ったとき
  2. 相手が生活費を渡さない、理由なく同居を拒否しているなど
  3. 相手の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

【参考】民法 第770条

婚姻を継続しがたい重大な事由とは、性格の不一致、DV、モラハラ、セックスレス、ギャンブルなどが挙げられます。

もちろん、こういった事情があって事実婚を解消するのであれば、これらを立証する証拠が不可欠です。

事実婚(内縁)の相手が一方的に別居した場合

同じく相手が正当な理由なしに突然家出してしまったケースにおいても、悪意の遺棄として慰謝料が発生します。

事実婚(内縁)の解消時は法律婚と同様に財産分与などができる

事実婚の解消時にも、法律婚と同様に財産分与などの金銭請求ができます。以下で具体的な項目をご紹介します。

財産分与

財産分与は、夫婦共有財産を公平に分配する制度です。事実婚の場合でも、同居中に夫婦が共同で積み立てた財産を2分の1ずつに分け合うことが可能です。

慰謝料

夫婦の一方に有責性(婚姻関係を破綻させた原因)があれば、離婚の慰謝料が発生します。有責性としては不貞や暴力、家出などが挙げられます。金額はその内容にもよりますが、50~300万円程度が相場と言われています。

【関連記事】

離婚慰謝料を徹底解説|相場・請求可能な理由・増額可能な証拠まで

養育費

内縁の夫婦に、認知した未成年の子供がいたら、子供が成人するまで養育費が発生します。

養育費は、夫婦それぞれの収入状況に応じて決まりますので、相場というものはありません。平均の月額は4万円ともいわれています。

【関連記事】

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年金分割

事実婚のケースでも年金分割請求できます。ただし一方が相手の扶養に入っている場合の「第3号被保険者」である場合の「3号分割」に限られ、合意分割はできません。

【関連記事】年金分割の種類と流れ

婚姻費用

事実婚でも、同居中に相手が生活費を払ってくれなかったら「婚姻費用」を請求できます。婚姻費用とは結婚している夫婦がお互いに負担すべき「生活費」です。

法律婚の場合、別居しても離婚が成立するまで、婚姻費用が発生します。一方で、事実婚の場合、同居の解消は、事実婚の解消と評価される可能性があり、婚姻費用の請求が難しいことが考えられます。

事実婚での婚姻費用の請求となると、単身赴任や入院といった場合に限られるでしょう。

事実婚(内縁関係)を検討している方がすべきこととは?

これから事実婚を検討しているなら、以下のような準備をしておいてください。

事実婚を証明できるように準備しておく

事実婚するなら、必ず後から事実婚を証明できる状態にしておくべきです。

健康保険の扶養に入れてもらう際や、遺族年金を受け取るとき、離婚の際に慰謝料や財産分与をもらうためなど、あらゆる手続きにおいて「事実婚の証明」が前提となるからです。

事実婚を証明できなければ公的な給付も相手への請求も認められなくなる可能性が高くなってしまいます。証明資料を用意する方法として、以下のように対処しましょう。

住民票の続柄を「未届の妻(夫)」とする

役所へ届出て住民票の記載を変更してもらいます。同一世帯の場合「同居人」と記載されることもありますが、事実婚を証明したいのであれば「未届の妻(夫)」と記載してもらうべきです。

結婚式を挙げる

結婚式を挙げたり新婚旅行に行ったりして、その際の領収証や写真などの資料を保管しましょう。

事実婚の契約書を作成しておく

契約書を作成すると、後に明確に事実婚関係を証明しやすくなります。

遺言書を作成する

事実婚の夫婦は、お互いに相続権がないので、内縁の夫が亡くなったときに妻が家や預貯金を相続できず困ってしまうケースも珍しくありません。

そのような不利益を防止するため、婚姻時からお互いに死亡したときには遺産を相手に渡す内容の遺言書を書いておくとよいでしょう。

事実婚の場合「若いからまだ書かなくてよい」というわけにはいきません。明日交通事故に遭う可能性もあるので、必ず早めに遺言書を作成しておくことをおすすめします。

まとめ

今の日本では夫婦別姓が認められていないので、相手の苗字に変わりたくない方にとって、事実婚は有意義です。お互いに縛られたくない、親族付き合いを避けたいなどの希望も叶えることが可能です。

ただし事実婚の場合、法律婚より保護が薄くなるケースもあるので、デメリットもしっかり理解した上で選択すべきです。迷われた際には一度婚姻制度に詳しい弁護士に相談をしてみるのもよいでしょう。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
男女問わず不倫問題全般を得意とし、円満解決の実績もあり。不倫が原因の男女トラブル、離婚慰謝料の請求や親権獲得など、幅広い相談に対応している。

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編集部

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