ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ) > 離婚コラム > その他 > 離婚と家の査定|財産分与に向けて知っておきたい流れや注意点
キーワードからコラムを探す
更新日:

離婚と家の査定|財産分与に向けて知っておきたい流れや注意点

離婚と家の査定|財産分与に向けて知っておきたい流れや注意点

夫婦にとってもっとも大きな価値をもつ共有財産といえば、家なのではないでしょうか。

だからこそ、離婚を考えるときには夫婦で家の処理方法を決めることが求められます。

財産分与の過程で、家の正確な価値を把握するために必須になるのが査定です。

査定は、家の売却価格の設定や交渉において基準となります。

本記事では、離婚時において家の査定をおこなう重要性をはじめ、査定の依頼先や財産分与の流れなどについて解説しています。

離婚に際して家の査定をおこなうことは、夫婦の双方にとって公平な財産分与を実現するうえで欠かせません。

まずは家の査定に関する基本について知っておきましょう。

目次

離婚を考えたら家の査定を依頼すべき2つの理由

離婚時には、夫婦間で築き上げた財産を公平に分け合う「財産分与」という手続きが必須です。

結婚生活のなかで購入した家があるケースでは、財産分与にあたってその価値を正確に把握する必要があります。

離婚時に家の査定を依頼することは、夫婦の双方にとって公平な解決を導くために重要だといえるでしょう。

以下では、離婚時に家の査定を依頼するべき2つの主要な理由について解説します。

1.離婚時の財産分与に備えるため

財産分与では、婚姻期間中に築き上げた財産を分け合うことになります。

離婚に際して共有財産としての家の価値を正確に知ることは、公平な財産分与を実現するために不可欠です。

査定を通じて自宅の市場価値を把握することができれば、双方が納得できる財産分与をおこなうための基準になるでしょう。

特に、新築で購入したケースでは、査定によって大きな金額が算出されることになります。

具体的な価格を知ることで、離婚後の経済的な計画を立てるうえでも役立つことは間違いありません。

正確な査定によって家の価値を知ることは、将来の計画に必要な情報を得ることでもあります。

2.売却時の不動産会社を見つけるため

不動産会社はそれぞれ得意分野が異なるほか、不動産の買取価格も会社ごとに異なるのが一般的です。

離婚後に家を売却するケースでは、適切な不動産会社を見つけることが重要になります。

適切な不動産会社の選定に役立つのが、家の査定を複数の不動産会社に依頼することです。

不動産会社を比較することで、より高い価格で売却できる可能性が高まります。

また、離婚によって新たな生活を始めるためにも、売却を成功に導くためのパートナーは必要です。

査定を依頼する過程で、不動産会社の対応やサービスを比較検討できることは、パートナー探しのための貴重なチャンスだといえるでしょう。

離婚時の家の査定はどこに依頼する?目的に応じて依頼先は変えよう!

離婚は夫婦に多くの変化をもたらしますが、そのなかでも特に大きな変化につながるのが家の扱いです。

持ち家があるときは、離婚時には「売却」か「どちらかが住み続ける」という選択肢が一般的ですが、どちらにしても財産分与のために家の価値を正確に把握することが求められます。

ここで検討すべきなのが、査定をどこに依頼するかということです。

実は、離婚時に家を売却するケースと、どちらかが住み続けるケースとで最適な査定依頼先は変わってきます

以下では、それぞれの状況に応じた査定依頼先について解説します。

1.不動産会社|離婚後に家を売却する場合におすすめ

離婚後に家を売却して現金化したいと考えているケースでは、不動産会社への査定依頼が最適です。

不動産会社は市場価値をもとに査定をおこない、売却に関する手続き全般をサポートしてくれます。

不動産会社による査定方法には「机上査定」「訪問査定」があり、売却意思が固まっていない場合は机上査定で大まかな価値を知り、売却を決めたら訪問査定でより正確な価格を把握できます。

複数の不動産会社に査定を依頼して比較検討することで、よりよい条件や高価格で売却するチャンスを増やすことが可能です。

2.不動産鑑定士|離婚後にどちらかが住み続ける場合におすすめ

離婚後に家を売却せず、どちらかが住み続けることを選択するケースでは、不動産鑑定士による査定がおすすめです。

不動産鑑定士は法的に認められた専門家が査定をおこなうことで、その結果が法的効力をもつことが特徴です。

不動産鑑定士による査定で算出された価値は、財産分与の際に公平性を保つための基準となります。

不動産鑑定士に査定を依頼した場合は、不動産会社の査定と比較して費用がかかることが一般的です。

しかし、その精度の高さと公平性から、離婚時の家の価値を正確に把握するためには最適な選択肢だといえます。

離婚時に家の査定を依頼するときの3つのポイント

離婚を考えた際、共有財産としての家の適正な価値を知ることは、公平な財産分与を実現するために非常に重要となります。

以下では、離婚時に家の査定を依頼する際のポイントを解説します。

1.必要書類などを準備しておく

家の査定を依頼する前に、査定に必要となる登記済証や登記識別情報通知書などの書類を準備しておきましょう。

これらの書類は査定の精度を高めるために不可欠であり、査定額の算出に直接影響します。

必要書類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 登記済証(権利証)
  • 登記識別情報通知書
  • 土地の確定測量図
  • 建物の間取り図面
  • 分譲時のパンフレット

また、リフォーム履歴を含め、過去におこなった改修や修繕の記録も査定額に影響を与えるため、改修や修繕の情報も整理しておきましょう。

マンションの場合は管理費や修繕積立金の滞納がないこと、戸建てや土地の場合は境界確定がされているかも重要なチェックポイントです。

2.目的に合った査定方法を選択する

家の査定方法には、訪問査定・机上査定・AI査定の3種類があります。

訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を訪れておこなう査定で、精度が高い反面で時間がかかることが特徴です。

机上査定では、提供された情報のみで査定をおこなうため、迅速に結果を得られますが、訪問査定に比べると精度は劣ります。

AI査定は、即時に査定結果を得られる点が魅力ですが、査定の精度については留意が必要です。

自身の状況や査定に求める精度、スピードを考慮して、最適な査定方法を選択しましょう。

査定方法

メリット

デメリット

訪問査定

・物件の状態を直接確認する

・精度の高い査定が可能

・査定終了まで時間がかかる

机上査定

・簡単な情報提供で査定が可能

・比較的速やかに査定結果が得られる

・精度が低下する可能性がある

AI査定

・即時に査定結果を得られる

・手軽に査定依頼が可能

・査定の精度が低い場合がある

・物件の特性を十分に反映できない可能性がある

3.複数社に依頼して査定額を比較する

不動産会社は、どこに依頼しても同じ査定ができるわけではありません。

それぞれ得意分野が異なり、査定によって算出する金額にも差があります

そのため、一つの不動産会社のみに査定を依頼するのではなく、複数の不動産会社に依頼して査定額を比較することが重要です。

不動産会社の査定を比較することで、より適正な価格での財産分与が可能となります。

また、不動産会社によって査定基準やサービスが異なるため、複数の意見を聞くことで自身の状況に合った最適な選択をしやすくなります。

査定額を比較するだけでなく、不動産会社の対応やサービス内容も評価基準に加えると、より納得のいく不動産会社選びができるでしょう。

不動産がある場合の離婚時の財産分与の流れ|家の査定から協議成立まで

離婚する際に財産分与は必須ですが、家のような不動産を所持していると手続きは複雑になりがちです。

家の正確な価値を把握し、双方が納得できる分配を目指すためには、専門的な査定が欠かせません。

以下では、不動産をもっている場合の離婚時の財産分与の流れについて解説します。

1.夫婦の財産と借金を確認する

財産分与を始める前に、夫婦間で共有する財産と借金の全体像を明らかにすることは必須です。

夫婦の財産としては、現金・預貯金・有価証券・車両・家具などの動産、そして不動産などが含まれます。

家や土地などの不動産は、相続や贈与で手に入れたものであったり、結婚前に一方が購入したものであったりなど取得経緯はさまざまです。

なかには財産分与の対象外となるケースもあるため、注意しなければなりません。

この段階で夫婦間の全財産と借金などの負債について正確に把握し、後の査定や協議に備えます。

2.不動産の査定を依頼する

家の市場価値を正確に知るためには、不動産会社や不動産鑑定士に査定を依頼しなければなりません。

査定方法には、不動産会社による無料査定と不動産鑑定士による有料査定があり、それぞれメリットとデメリットが存在します。

無料査定は手軽におこなえますが正確性に欠け、有料査定は費用がかかる半面で正確な市場価値がわかることが特徴です。

査定結果は財産分与の基準となるため、複数の業者に依頼して比較検討することが推奨されます。

不動産の査定を受ける際に必要な準備

  • 不動産の名義人を確認する
  • 住宅ローン残債を確認する
  • 必要書類を用意しておく など

3.割合などについて話し合う

専門家による査定結果をもとに、財産分与の割合や方法について夫婦間で話し合います。

原則として共有財産は半分ずつ分けることになりますが、夫婦の合意があれば異なる割合での分配も可能です。

特に、不動産の場合は現金のように分割することができないうえに、売却して現金を分け合うだけでなく、一方が住み続けるという選択肢もあります。

さらに住宅ローンが残っているケースもあるため、状況に応じたさまざまな選択肢が考えられます。

この段階で、双方が納得できる分配方法を見つけるように努めましょう。

4.取り決めた内容を書面に残す

夫婦間での話し合いで決定した財産分与の内容は、書面に残して正式な合意とします

書面に残すことによって後日のトラブルを防ぎ、双方が納得した形で離婚の手続きを進めることができるでしょう。

必要に応じて弁護士などの専門家に相談しながら、適切な文書を作成することが重要です。

なお、財産分与について記載する書面には、分配する財産の詳細をはじめ、分配割合や支払いスケジュールなど、財産分与に関するすべての合意事項を明記します。

離婚時の家の査定についての注意点

離婚に際して家の査定をおこなう目的は、家の正確な価値を把握して公平な財産分与を目指すことです。

ただし、査定に関する基本を把握していないとトラブルの原因になる可能性もあるため、以下では査定に関する注意点について解説します。

正確な査定額の把握と公平な財産分与を目指し、双方が納得できる解決を目指しましょう。

1.査定額で売却できるわけではない

専門家が算出する査定額は、あくまでその時点での市場状況や物件の状態を考慮した推定価格です。

そのため、査定後に実際に売却すると、査定とは異なる価格になることが少なくありません

市場の変動や買い手との交渉によって最終的な売却価格は変わるため、査定額を売却価格の保証と考えないことが大切です。

査定額が高いからといって、それがもっとも条件のいい不動産会社であると考えるのもおすすめしません。

不動産会社を選ぶ際には、サービス内容や販売戦略も考慮に入れる必要があります。

2.査定ではマイナス面も伝えるようにする

家の査定を依頼する際には、物件のよい点だけでなく、欠点や改修が必要な箇所も正直に伝えることが大切です。

マイナス面もしっかり伝えることで査定額が現実的なものになり、後々の買い手との交渉でトラブルが起こりにくくなります。

万が一隠していた欠点が後から発覚してしまうと、買い手の信頼を失うだけでなく、法的な問題に発展するリスクもあることを覚えておきましょう。

正直な情報提供は、スムーズな売却のためにも欠かせません。

3.結婚前に購入した家なら査定・売却は必要ない

財産分与の対象となるのは夫婦として築き上げてきた共有財産であり、結婚前から所有している個人の財産は対象外です。

そのため、結婚前に一方が購入した家だったケースでは、原則として財産分与の対象外とされます。

ただし、結婚後にその家の価値が上がったり、ローン返済を夫婦でおこなっていたりした場合など、状況によっては財産分与の対象となることもあります

財産分与の対象となるかどうか悩んだ際には、専門家のアドバイスを求めることで適切な対応を図ることができるでしょう。

また、結婚前に取得した財産であっても、夫婦間で合意があれば査定や売却をおこなうこともあり得ます。

離婚時の家の査定についてよくある質問

離婚に関する手続きはさまざまですが、特に共有財産である家の扱いについて悩みを抱える方は少なくありません

以下では、離婚時の家の査定に関するよくある質問に回答していきます。

Q.家の査定は匿名でもできますか?

離婚を考えている段階ではプライバシーに配慮したいというニーズが高まり、家の査定を匿名でおこないたいと考える方は少なくありません。

基本的に、オンラインで利用できる不動産一括査定サービスであれば、匿名で大まかな査定額を知ることが可能です。

オンラインの査定サービスを利用すれば、財産分与の交渉にあたっての参考情報を得ることができるでしょう。

ただし、最終的に正確な査定額を知りたいのであれば、物件の詳細情報を提供して訪問査定を受ける必要があります。

訪問査定では不動産会社に対して個人情報を開示することになりますが、信頼できる業者を選択できれば情報の取り扱いについても安心です。

Q.土地と建物の名義が異なる場合はどうすればいいですか?

土地と建物の名義が異なる場合、財産分与を進めるうえで複雑な問題が生じる可能性があります。

たとえば土地は夫名義で建物は妻名義というケースでは、両者の合意がなければ売却や譲渡が困難です。

このような状況であれば、まず法律の専門家に相談して適切な手続きを踏む必要があるでしょう。

財産分与の協議においては、双方が納得できる解決策を見つけることを優先すべきです。

場合によっては土地や建物の一方を売却し、その収益を分配するという方法も検討しましょう。

また、名義変更が必要になるケースでは、それに伴う費用や税金の問題も考慮する必要があります。

Q.できる限り正確に査定額を知るには?

できる限り正確な査定額を知りたいときは、複数の不動産会社に訪問査定を依頼することがもっとも効果的です。

訪問査定では、不動産のプロフェッショナルが直接物件を確認し、その状態や立地、市場状況を踏まえたうえで査定額を算出します。

物件の特徴や改修履歴、近隣の開発計画など、査定額に影響を与える可能性のある情報をすべて伝えることで、より正確な査定額がわかるはずです。

さらに、不動産鑑定士による鑑定評価を受けることで、法的な効力をもった正確な市場価値を知ることができます

ただし、不動産鑑定士による査定は費用がかかるため、財産分与の交渉が難航しているケースなど、特に必要性が高いときに検討するべきでしょう。

Q.査定した不動産はどのタイミングで売るべきですか?

査定した不動産を売るタイミングは、個々の状況によって大きく異なります。

離婚前に売却するメリットとして挙げられるのは、離婚後のトラブルを避けることができる点です。

また、財産分与の交渉がスムーズに進む可能性もあることもメリットだといえるでしょう。

一方で、離婚後に売却するのであれば、より高い価格で売却するチャンスがあります

ただし、元配偶者との連絡や協議が必要になるため、関係が良好でないケースでは難しいかもしれません。

市場の状況や自身の財務状況、離婚の進行状況を考慮し、最適なタイミングを見極めることが重要です。

さいごに|家の査定はできる限り早くおこなうようにしよう

離婚を検討する際、家の査定は財産分与を公平に進めるために不可欠です。

家の査定には不動産会社による無料査定と不動産鑑定士による有料査定という選択肢があるため、状況に応じて適切な方法を選びましょう。

査定を通じて家の市場価値を正確に把握できれば、売却するか、どちらかが住み続けるかを含めた財産分与の基準を設定できます。

査定額は成約価格を保証するものではないため、複数の査定結果を比較し、慎重に売却価格を決定することが重要です。

離婚に際しては感情に流されず、冷静に家の価値を評価して公平な財産分与を目指すことが双方の利益につながります。

できるだけ早く家の査定をおこない、公平な財産分与の基準にしましょう。

10秒で検索!離婚・男女問題が得意な弁護士を検索
お住まいの都道府県を選ぶ
お悩みの問題を選ぶ
弁護士を検索する
この記事をシェアする
東京
神奈川
千葉
埼玉
大阪
兵庫
弁護士 高井 雅秀(電羊法律事務所)

休日夜間の相談可】離婚協議DV親権獲得不倫慰謝料など幅広い離婚問題に対応!依頼者様の立場を一番に考え、スムーズな問題解決を目指しサポートいたします!DV/不倫をした方のご相談も◎◆初回相談1.1万円|時間制限なし

事務所詳細を見る
【離婚協議の実績多数】ブラスト法律事務所

御徒町駅より徒歩4分】離婚・男女間のトラブルに注力!「離婚に応じてくれない」「不当な慰謝料を請求されているなどのご相談に最良の解決方針をご提案します◆土曜日・19時台の相談可(予約制)

事務所詳細を見る
【離婚・慰謝料・財産分与に注力】ブラスト法律事務所

  御徒町駅より徒歩4分】離婚・男女間のトラブルに注力!「離婚に応じてくれない」「不当な慰謝料を請求されているなどのご相談に最良の解決方針をご提案します◆土曜日・19時台の相談可(予約制)

事務所詳細を見る
東京都の弁護士一覧はこちら
弁護士費用保険のススメ
Cta_merci

離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
弁護士費用が払えなくて泣き寝入りすることも…。


  • 相手に親権を渡したくない
  • 養育費を払ってもらえなくなった
  • 不倫相手に慰謝料を請求したい

弁護士保険は、法律トラブルで弁護士に依頼したときの費用が補償されます。
離婚トラブルだけでなく、子供のいじめ、労働問題等でも利用することができます。

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須

その他に関する新着コラム

その他に関する人気コラム

その他の関連コラム

編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

その他コラム一覧へ戻る
相談員

相談内容を選択してください

金アイコン
もらえる慰謝料を増額したい方
弁護士の方はこちら