同じ理由であっても夫婦の事情や被害の程度によって、請求できる・できないが決定します。
そのため、「請求できないかもしれない…」と思っていても請求できるケースもゼロではありません。
少しでも思い当たる節がある場合、弁護士に判断してもらうことをおすすめします。
弁護士事務所の中には、初回面談無料の事務所もあります。相談したからと言って、依頼する義務も生じません。
「少しでも慰謝料を払ってもらいたい!」とお考えであれば、まずは最寄りの弁護士に無料相談してみましょう。
婚姻期間中に我慢してきた不倫やDVなどに対し、慰謝料を請求したいと思うのは当然です。
しかし、配偶者が反省していない場合、支払いを拒否されたり、「お前が払うべきだ」と主張してくるケースもゼロではありません。
離婚の慰謝料とは、「離婚に至る原因や、離婚そのもので精神的な苦痛を受けた場合に請求できる賠償金」のことです。
法律で請求できるケースが定められているため、「婚姻期間中に配偶者から精神的苦痛を受けた」と思っていても、請求が難しいケースもあります。
「慰謝料はもらえるの?」と迷う人のためにこの記事では、以下のことをまとめました。
気になる項目をご覧ください。「慰謝料がもらえない」と諦めるのはまだ早いかもしれません。
同じ理由であっても夫婦の事情や被害の程度によって、請求できる・できないが決定します。
そのため、「請求できないかもしれない…」と思っていても請求できるケースもゼロではありません。
少しでも思い当たる節がある場合、弁護士に判断してもらうことをおすすめします。
弁護士事務所の中には、初回面談無料の事務所もあります。相談したからと言って、依頼する義務も生じません。
「少しでも慰謝料を払ってもらいたい!」とお考えであれば、まずは最寄りの弁護士に無料相談してみましょう。
ここでは、離婚時に慰謝料がもらえないケースを解説します。
離婚理由で最も多いのは性格の不一致や価値観の違いですが、このような理由で離婚した場合、原則として慰謝料の支払いが認められません。
冒頭でお伝えした通り、離婚時の慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金です。
婚姻関係を破綻させた落ち度があるほうが支払うことになりますが、単に性格の不一致だけでは、どちらに原因があるのか、立証することは難しいでしょう。
性格の不一致は価値観の違いともいえますし、赤の他人が夫婦になったのであれば、価値観が違うのはあたり前ともいえます。
慰謝料を請求することはできますが、まずどちらに原因があるのか、それによってどの程度の損害を受けたのかを立証することが必要ですし、認められたとしても、かなり低い金額となる可能性があります。
ただし、相手の言動で精神的な疾患を抱えるような状況であれば、それは性格の不一致ではなく、『モラルハラスメント』の可能性があります。モラハラを原因とした慰謝料請求を検討する余地はあります。
【関連記事】
モラハラとは|相談先一覧と離婚時の慰謝料相場と高額になる要因まとめ
離婚時の慰謝料請求で認められないのが、配偶者の親族との不仲を原因とした場合です。
これも①のように、どちらに原因があるのか、立証することは難しいでしょう。
ただし、配偶者の親族からのいじめが離婚の直接の原因となり、婚姻を継続し難い重大な事由と判断されれば、配偶者とその親族に慰謝料を請求できる余地があります。
この場合、親族から行われた行為が不法行為に該当することや、婚姻が継続し難いこと、直接の原因となったことを証明する証拠が必要です。
相手が宗教に入信していた、厚く信仰している宗教があるなどの理由でも慰謝料が認められる可能性は低いでしょう。
ただし、宗教を信仰していたことで婚姻関係が破綻するような不法行為があるとすれば、認められるかもしれません。
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宗教を信仰していたことで婚姻関係が破綻するような不法行為の事例 |
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夫婦には扶助義務(民法 第752条)がありますので、家庭にお金を入れないことは法定離婚事由の一つ、『悪意の遺棄』に該当します。
また、配偶者以外の相手との性交渉は不貞行為と認定され、いずれも慰謝料が認められる可能性があります。
これは不倫が原因で離婚するケースに限りますが、婚姻関係が不倫発覚以前から破綻していたといえる状態の場合、慰謝料が認められない可能性が高いでしょう。
婚姻関係が破綻していた事例としては、以下が考えられます。
ただし、冷却期間中の別居や、別居期間中でも家族で交流があった、単身赴任中、相手が勝手に出て行ったようなケースは、婚姻関係の破綻と認められない場合があります。
不倫に対する慰謝料請求では、婚姻関係が破綻していたので、慰謝料の支払いが無効であることを主張してくるケースが多いようです。
慰謝料の請求が認められるかどうかは、個別の事情によって異なってきますので、諦めずに一度弁護士に相談してみましょう。
慰謝料がもらえないケースとして挙げられるのが、請求できるケースでも、証拠がないという場合です。
例えば、相手が不倫していた事実を突き止めたのに、法的に不貞行為と認定される肉体関係の証拠がなかったために、請求が認められなかったケースが考えられます。
離婚で慰謝料を獲得するには、慰謝料が認められるケースに該当するだけでなく、それを立証できるだけの証拠を用意することが必要なのです。
証拠については、請求する理由で異なりますので「①離婚を切り出す前に完璧な証拠を集めておく」を参考にしてください。
ここまでは、離婚の慰謝料として認められないケースについて解説してきましたが、慰謝料をもらえるかどうかという点で重要になるのが、相手の支払い能力です。
例えば、借金が原因で平穏な婚姻生活が破綻すれば、慰謝料の請求は可能です。しかし、請求した慰謝料を相手が支払えるかどうかは別問題です。
差し押さえる財産がなければ、相手に支払わせることはできません。
不倫での離婚であれば、慰謝料の請求相手を不倫相手にすることは可能です。また配偶者が財産を隠しているケースもあるので、弁護士への相談が確実です。
ここでは、慰謝料請求訴訟で慰謝料が認められなかった事例をご紹介します。
不貞行為で妻と職場の不倫相手にそれぞれ150万円の慰謝料請求を申し立てた裁判では、慰謝料請求が認められませんでした。
不貞行為の証拠として提出されたのは、ラブホテル3軒が書かれたメモと、不貞行為を認めた妻の証言を録音したもの。
妻は職場の上司と会話中に出てきたラブホテルをメモしただけだと主張。また、不貞行為を認めたのは、夫の暴力などを恐れたため、夫が望むような証言をしただけだということです。
裁判では、不貞行為があったとされる日の妻の行動に不自然な点がないこと、録音記録から疲れていた妻が夫に話を合わせて不貞行為を認めたと判断し、不貞行為は認定されませんでした。
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裁判年月日 平成28年12月15日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平27(ワ)32541号 ・ 平27(ワ)37177号 事件名 慰謝料請求等反訴事件、慰謝料請求事件 裁判結果 請求棄却(甲事件)、請求棄却(乙事件) |
参考:文献番号 2016WLJPCA12158009
不貞行為で元妻の交際相手に慰謝料、不貞の調査費用、弁護士費用合わせて約450万円の慰謝料の支払いを求めた裁判では、婚姻関係の破綻が認定され、慰謝料の請求が認められませんでした。
元妻の交際相手は、元妻が結婚していたことを知らず、不貞行為もなかったと主張。
裁判では、元妻が交際相手と出会う前に一度離婚の話が出て、離婚届に署名したこと、離婚届に署名してから5ヶ月後には別居していることなどを考慮した上で、婚姻関係が破綻していたものと推認し、元妻と交際相手が旅行をしたことは不法行為になるとはいえないとしました。
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裁判年月日 平成28年 9月29日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平28(ワ)1057号 事件名 慰謝料請求事件 裁判結果 請求棄却 |
参考:文献番号 2016WLJPCA09298010
こういった事例は、素人判断では不貞行為と認められるだろうと考えてしまいます。しかし、婚姻関係の破綻した時期、不貞行為の時期によっては認められないこともあるのです。
いずれにしても、慰謝料が請求できるか否かは、まず弁護士に相談してみることが重要です。
ここでは、離婚で確実に慰謝料を獲得するための8つの方法について解説します。
離婚時に慰謝料を獲得するには、上述した通り、何といっても証拠が肝心です。可能であれば、離婚を切り出す前に、明確な証拠を集めておきましょう。
離婚を切り出した後では、慰謝料を請求されないために、証拠を破棄されてしまったり、財産を隠されてしまったりすることが予想されるからです。
また、慰謝料請求をする不法行為の頻度が多い、程度が酷いことが証拠によって立証できれば、慰謝料の増額も期待できる可能性があります。
不法行為を立証するための証拠の具体例は以下の通りです。
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必要となる証拠 |
証拠の具体例 |
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浮気・不倫 |
パートナーが浮気相手と肉体関係を持っていたこと |
ラブホテルに複数回出入り・滞在時間がわかる動画や写真 肉体関係がわかる2人のやり取りなどの記録 など |
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DV・モラハラ |
相手に暴力を受けた、モラハラを受けたこと |
怪我した部分の写真(日付入り)、病院の診断書 暴力やモラハラを受けた日・DVで警察や公的機関に相談した記録 状況・具体的な会話などの記録、相手とのやり取りを記録した音声 モラハラで通院した心療内科の診断書、カウンセラーの証言など |
|
悪意の遺棄 |
相手が夫婦生活の義務を果たしていないこと |
生活費の振り込みが途絶えた通帳の記録、家系の収支がわかる通帳 別居先が特定できる賃貸契約書、相手の行動記録など |
|
セックスレス |
相手が理由もなくセックスを拒否していること |
性交渉があった時期の記録(避妊具の購入明細など)、いつから性交渉がないのかの日記などの記録 夫婦間のLINEのやり取りなどの記録 拒否された理由や回数、内容、それについてどう感じたかなどの記録 性交渉がないのに風俗店に通った記録(風俗嬢の名刺・ポイントカード・クレジット明細)など |
これ以外にも、ギャンブルや借金、浪費、過度な宗教やアルコール依存症などで、精神的な苦痛を受けたことを立証する証拠を集めましょう。
相手から確実に慰謝料をもらいたいのであれば、事前に離婚や慰謝料請求に詳しい弁護士に相談しましょう。
離婚に詳しい弁護士に相談することで、どんなメリットがあるのか、どんなリスクを回避できるのか、依頼した場合の弁護士費用などについては、後述する「確実に慰謝料をもらいたいなら弁護士への相談が有効」をご覧ください。

「慰謝料を払わなくて済んだ」と思い、今後請求されないために、連絡を絶つこともあるかもしれません。慰謝料を獲得するには、離婚条件が決まるまで離婚しないでおきましょう。
話し合いだけで離婚が成立させられそうなら、協議離婚しましょう。協議離婚のメリットは、調停などを行うことなく、話し合い次第ですぐに離婚が可能な点だけではありません。
慰謝料のおおよその相場は上述した通りですが、それはあくまでも調停や裁判での話です。協議離婚であれば、双方の合意次第で、柔軟に慰謝料の金額を決めることができます。
また、協議離婚の場合、相手が支払いに合意すれば請求できるため、裁判では弱い証拠しかもっていない場合でも慰謝料請求を成功させやすくなります。
相手が絶対に支払えないような金額を請求し続けることはおすすめしません。相場以下の低い金額に設定する必要はありませんが、相手の減額要求を聞くことで、慰謝料請求を成功させやすくすることが可能です。
どこまで考慮するかについては、相手の収入などをふまえて弁護士と相談しましょう。
慰謝料の支払い方法についてはときに譲歩することも必要です。慰謝料の支払いは一括か分割か、法律で定められてはいませんので、柔軟に決定することができます。
可能であれば一括で支払ってもらいたいと考える方もいるかもしれません。一括払いであれば、一度にまとまったお金を手に入れることができ、その後相手と関わる必要もなくなります。
分割は相手の支払いが滞るリスクがありますが、一括にこだわって調停に発展して解決まで時間がかかるよりも、お互いが納得した金額でスムーズに決定することができます。
いずれにしても、弁護士に相談しておけば、のちのちトラブルとなるリスクを軽減することができます。
確実に慰謝料を獲得したいのであれば、弁護士に相談をすることが最良の方法です。
ここでは、離婚の慰謝料について弁護士に依頼するメリット、気になる弁護士費用の相場、弁護士費用を抑える方法について解説します。
離婚の慰謝料で弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
素人判断で交渉し、相手に言い逃れて慰謝料がもらえずに後悔することもありません。気なる弁護士費用については次項で解説します。
離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の費用の相場は以下の通りです。
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相手との交渉 |
着手金:20~30万円 報酬金:獲得金額の10~20% その他相談料・実費・日当がかかる場合も多い |
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離婚調停 |
着手金・報酬金など総額:40~70万円 |
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離婚訴訟 |
着手金・報酬金など総額:70~110万円 |
慰謝料について、相手との交渉は着手金が20~30万円、報酬金は獲得金額の10~20%です。これ以外に協議離婚で財産分与や親権、養育費の交渉を行えば、それぞれ費用がかかります。
ただし、調停や訴訟で依頼すればそれ以上に費用がかかりますので、早い段階で依頼したほうがコストがかからず時間も浪費せずに済むかもしれません。
また、これらはあくまでも目安ですので参考程度にお考えください。弁護士費用は各弁護士事務所の料金体系によって左右されます。
これよりも安価な事務所や相談料・着手金が無料といった所もありますので、あなたの予算に合った事務所を探しましょう。
【関連記事】

もしあなたの手取りの月収が18~20万円以下であれば、法テラスを利用する方法もあります。
法テラスは、経済的な余裕がない人でも法的なサービスが受けられるよう支援している法務省管轄の法人です。
資力要件などを満たす必要はありますが、弁護士への無料相談や、弁護士費用の立替制度を受けることができます。
【参考】
当サイト『ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)』では、離婚問題を解決してきた実績を持つ弁護士を掲載しています。
離婚時に慰謝料を請求するには、何よりも証拠が重要です。証拠がどれだけ充実しているかが鍵を握ります。
また、相手に「慰謝料なんて支払う義務はない」と言われても、諦めずにまずは弁護士にご相談ください。
慰謝料を請求できる可能性が残されているかもしれません。慰謝料にこだわらず財産分与を増額してもらう方法があるかもしれません。
後悔することがないよう、今できることをしてみてはいかがでしょうか。
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