中絶で慰謝料請求は認められる?認められた判例と慰謝料の請求方

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中絶で慰謝料請求は認められる?認められた判例と慰謝料の請求方法
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2017.8.25

中絶で慰謝料請求は認められる?認められた判例と慰謝料の請求方法

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厚生労働省が公表している人工妊娠中絶の平成23年度から平成27年度の推移が下の表になっています。

 

(参考:母体保護関係|厚生労働省)

 

平成27年度だけでも、176,388という件数になっており、平成23年度から減ったとはいえ、依然と多い数になっています。

 

中絶に至るまでの経緯は人により変わりますが、手術によって負った精神的・肉体的な負担は図り知れません。せめて慰謝料を請求し相手にも背負ってほしいと思うのは当然のことです。

 

しかし、合意の性行為の上妊娠した場合、中絶費用の半分は請求できても、中絶に対しての慰謝料はお互い合意の上での性行為ということで基本的に認められていません。

 

そんな中、平成21年の裁判では女性の中絶に対し相手の男性の対応が悪いことを考慮し慰謝料請求を認める判決が下りました。このことにより、合意の性行為の上で妊娠し中絶した場合でも、慰謝料を請求できる可能性が出てきたのです。

 

ここでは、慰謝料を請求できるケースや慰謝料の請求が認められた際の金額、慰謝料以外に請求できる費用、事実婚(内縁関係)だった場合にどのような請求ができるのかを紹介します。

 

 

 

 【目次】
慰謝料を請求できる可能性が高いケース
強姦された場合
避妊していると嘘をつかれた場合
強要や暴力などによる中絶
中絶による慰謝料が認められた裁判と慰謝料の金額
概要|平成21年5月27日 中絶に対する慰謝料請求事件
判決|請求金額200万円に対し100万円の慰謝料の支払い
慰謝料以外に請求可能な費用
中絶手術の費用
その他の中絶に係る費用として考えられるもの
中絶費用や慰謝料請求の方法
示談
民事調停
裁判
事実婚(内縁関係)だった場合の中絶慰謝料と内縁解消の際にもらえる費用
事実婚で中絶に対する慰謝料が認められたケース
内縁解消時に財産分与ができます!
まとめ

 

 

慰謝料を請求できる可能性が高いケース

「中絶した」と言っても、それに至るまでに様々な経緯があります。そのため、中絶自体に慰謝料がかかるのではなく、中絶をしなければならない背景を考慮し、慰謝料の請求を認められるケースがあるのです。

 

ここでは、慰謝料の請求ができる可能性の高いケースを紹介します。

 

強姦された場合

強姦をされた場合、慰謝料請求が認められやすくなることと共に「強姦」として加害者を強制性交等罪にも問うことができます。

 

被害者は、望まぬ妊娠による中絶に対し慰謝料を請求するというよりは、「強姦」という犯罪行為によって被った精神的被害に対して、慰謝料を請求するといったかたちになるのです。

 

この場合、妊娠・中絶という事実を踏まえ、強姦行為についての慰謝料額が高額になると思われます。

 

避妊していると嘘をつかれた場合

避妊しているなどの嘘をつかれ、行った性行為で妊娠し中絶した場合は、相手への慰謝料請求が認められる可能性があります。

 

これは虚偽の事実を伝えることで被害者側において妊娠についての自己決定権を侵害しているためです。

 

強要や暴力などによる中絶

妊娠が発覚した後に中絶を求められ、中絶を強要してきた、従わないと暴力に訴えるなどと言われた場合に、慰謝料の請求が認められる可能性があります。

 

これは中絶行為だけでなく、中絶に至るまでの強要行為が不法行為を構成するためです。

 

 

中絶による慰謝料が認められた裁判と慰謝料の金額

合意の上で行われた性行為でも、慰謝料の請求をすることが可能な場合があるのです。ここでは初めて慰謝料請求が認められた裁判の内容や、どのようなことが認められるポイントになったのか、その場合の慰謝料はいくらだったのかを紹介します。

 

概要|平成21年5月27日 中絶に対する慰謝料請求事件

A(女)がB(男)の子供を妊娠したにもかかわらず、産むか中絶するのかの具体的な話し合いは避け、判断を女性側にゆだね、中絶せざるをえなくなったなどを理由に慰謝料の請求を行った。

 

この事例により、裁判所は、「共同行為の結果として男性側は、女性がわが受ける不利益を軽減し、解消するための行いをする義務を背負うべきであり、これを行わないということは、女性が保護される法律上の利益に違法に害する不法行為として、これによる慰謝料の支払い責任を認める」という判決を下した。

 (参考:東京高判平成21年5月27日判時2108号57頁)

 

判決|請求金額200万円に対し100万円の慰謝料の支払い

この裁判は合意で行った性交で妊娠しその後中絶したことに対して慰謝料の請求を行い、それが初めて認められた裁判でした。この判例で慰謝料を認めたポイントは下記の3つです。

 

  • 妊娠発覚後の責任回避
  • 出産するべきかどうか話し合いを拒否・強要又は選択の放棄
  • 中絶費用を払わない

 

上記は男性側の努力義務の内容を判示したものです。上記裁判例はあくまで事例判断ではありますが、男性側が妊娠中絶する相手に誠実に対応しない場合、同裁判例を参考にして損害賠償義務が認められることはあり得ると思われます。

 

 

慰謝料以外に請求可能な費用

中絶するということは、精神的・肉体的の両方に多くの負担がかかる他、手術代や治療費などの費用が掛かります。

 

相手側から強要された場合、自分が全部支払うということは、理不尽と思ってしまいますよね。ここでは、慰謝料以外にどのような費用を請求することができるのか紹介します。

 

中絶手術の費用

中絶手術は病院や、妊娠期間によって費用がかわってきます。性交渉が合意の上で、中絶も話し合いで決めた場合においての請求金額は基本的に中絶費用の半額です。

 

なお、中絶を不当に強要された場合やそのような強要行為で流産してしまった場合は、手術費とは別に慰謝料を請求できる可能性があります。

 

その他の中絶に係る費用として考えられるもの

  • 妊娠中の診療費
  • 診察にかかった交通費
  • 妊娠により会社を休んだ場合の休業損害費
  • 後遺症が残る場合には後遺症についての慰謝料・治療費など

必ずしも上記費用の全てが実際に請求できるわけではありませんが、中絶に関連する費用として請求を検討すること自体は検討の余地があるかと思われます。

 

したがって、これら費用が発生しているのであれば、領収証、診断書、休業証明等を確保することが大切です。

 

中絶費用や慰謝料請求の方法

中絶の費用をどのように請求すればよいのでしょうか。ここでは、請求する3つの方法を紹介します。

示談

示談とは、当事者間で話し合い問題を解決させることを言います。このような中絶の費用を請求するにもまず、示談交渉を行うことが通常です。

 

示談では、すべてお互いの合意で決まるため、相手が受諾するのであれば中絶の負担額を相手側の全負担にすることも可能になります。

 

また示談を行う際に決まった条件を和解書又は、合意書として作成しましょう。和解書の参考として下記の画像をご覧ください。

和解書はお互いに合意した条件を記載するので、用紙や書体に特に決まりはありませんが、支払われなかった場合、証拠として裁判所に提出するので、改まった文体で作成することをおすすめします。

 

また、弁護士や行政書士に和解書の作成も依頼できるので、心配な場合は作成を依頼しましょう。

 

民事調停

民事調停とは、2人で話し合っても決まらなかった場合に、裁判所で裁判官と調停委員という第3者を間に立てて話し合う方法です。

 

裁判を行うより費用を抑えることができ、調停も話し合って解決することが前提になるため、相手が合意することにより、費用等を多く負担してもらうことができます。

 

民事調停を行っても決まらない場合は請求を断念するか、裁判するかのどちらかです。

 

裁判

再三の話し合いで決まらない場合は裁判を行います。また請求金額が140万円以下の場合、民事訴訟という裁判より費用が安い裁判を起こすことが可能です。

 

また、裁判を起こす場合は必ず男女問題に強い弁護士に相談して、どのくらい金額がもらえるかなど確認するようにしましょう。

 

弁護士を探すならこちら「厳選 離婚弁護士ナビ」をご覧下さい。裁判手続きに関してもっと知りたい場合は最寄りの裁判所に直接尋ねることも可能です。

 

 

事実婚(内縁関係)だった場合の中絶慰謝料と内縁解消の際にもらえる費用

事実婚(内縁関係)とは婚姻届けを提出せずに、自他ともに夫、妻と認め同棲し生活することです。

 

将来夫婦になることを約束した相手から妊娠した途端、中絶を強要され中絶を行った際の慰謝料や内縁を解消する際にもらえる費用を紹介します。

 

事実婚で中絶に対する慰謝料が認められたケース

平成15年10月24日婚約の不法破棄による慰謝料請求事件

A(女)がB(男)による婚約の不法破棄を理由に慰謝料の請求を行った。またBがAと婚約時に他の女性と既に婚姻関係にあったが、関係は破たんしている。裁判所は300万円の慰謝料の請求を認めた。

 

【慰謝料の算定要素】

  • BがAの親に結婚の了承を得ていたこと
  • がBの子供を妊娠した際にBの指示で中絶したこと
  • Bによる頻繁な暴力があったこと

(参考:慰謝料算定の実務 ぎょうせい)

 

平成21年2月24日婚約の不法破棄による慰謝料請求事件

A (女)がB(男)に対し不法な婚約破棄を理由に慰謝料の請求を行った。裁判所は慰謝料100万円の支払いを認める。

 

【慰謝料の算定要素】

  • 交際期間が1年3ヶ月と長いこと
  • お互いの両親に紹介済みであったこと
  • 子供を設ける予定で性交渉を行っていたこと
  • 不法破棄によりAは中絶せざるをえなかったこと

 

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まとめ

いかがでしょうか。中絶をして負った精神的・肉体的苦痛に対し、慰謝料請求が認められる可能性はあります。

 

また、中絶自体の慰謝料が認められなくても、慰謝料の算定要素になってくる場合も多いので、中絶に対し男性側に不誠実な対応をされ、精神的苦痛を負った場合、まず弁護士に相談することをおすすめします。

 

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編集部

本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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